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22・あいだだだだいやお約束ってゆーか?

( ・ω・)フラール待機のはずのアルプが

しれっと混ざっていた点について(18話から

修正・調整済み)


日本・とある都心のマンションの一室―――


そこで女の子たちが集まり、手持ちの端末に

集中していた。


「おー、邪神ちゃんにサキュバスちゃん。

 今どんな感じ?」


やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女が、

他の少女二人に話しかける。


「なかなか状況が厳しくて……」


「まあ相手あっての事ですから」


ワンレングスの黒髪で顔の片方が隠れている

邪神と、


いかにも小悪魔っぽいシッポと翼を持つ、

ブラウンのワンカールロングのサキュバスが

端末から目を上げずに答える。


「こうなったら道具の修理だけで勝ちを

 狙いに行きましょう!


 お2人とも、今どれくらい直してます?」


「え、え~っと……

 ワタクシは3つ?」


「わ、私は後4つほど残っていて」


その答えに、フィオナは端末を持ったまま

頭の方向だけ彼女たちに向け、


「いったい何をしているんですか!

 これはチーム戦なんですよ!!

 一人一人がきちんと頑張らないと

 ダメなんです!!


 確かに道具を全部直さなくても勝てますけど、

 確実な勝ち筋を進めておく事で相手に対する

 プレッシャーにもなるんですからね!!」


「ひいぃいいいごめんなさいごめんなさい!」


「そ、それで今フィオナ様はどれくらい直して

 おられますかっ!?」


あまりの剣幕に邪神とサキュバスは聞き返す。


「ん? アタシはまだ1コもやってませんけど」


「「 オ 前 ヲ 殺 ス 」」


二人の人外娘は女神に対して反発する。


「さしゅがは自分の事を棚に上げる選手権

 日本代表でしゅね」


「何言っているんですか!

 アタシはアジア代表です!」


そこへツッコミと共に入ってきたナヴィに、

フィオナは答え、


「世界レベルでしゅたか。

 ていうかどうしてあなたは自分が言っていた事を

 していないのでしゅか?」


それに動じず、銀髪の少年は飲み物とお菓子を

置きながら質問を続け―――

その様子を邪神とサキュバスは応援するように

片手を振り上げる。


「え? だってアタシはリーダーですし?

 一人くらい直すのサボったって別に」


「手の平返し過ぎてもはやドリルになって

 いましゅよ。


 まあいいでしゅ。

 そろそろ本編スタートしましゅよ」




│ ■コザイ国・某所遺跡 │




「興味深い遺跡ですな。

 辺境という事を差し置いても―――

 これほどまでに異質な文化様式を備えて

 いるとは」


調査隊の中心となっているグレイン国の

歴史学者が、方々を見ながら語る。


「それほどかけ離れているのか?

 コザイ国の意見としてはどうだ?」


痩せこけた頬とは対照的に、頑強な肉体を持つ

伯爵が、同国の学者に意見を求めると、


「正直に言いまして、我が国がこの遺跡の

 歴史の延長線上にいる、とは言えません。


 それほどまでに独自性が高いと申しましょうか」


マイヤー伯爵に学者が答えると、その隣りにいた

淡い桜色の短髪の長身の男性が続けて、


「コザイ国では、この遺跡の研究は

 してないのか?」


「はは……

 個人的に調査する者はいたようですが、

 何せ魔王だのぶっそうな言い伝えがある

 おかげで―――

 調べようにも人手が集まらず」


ガルディ騎士団長の問いに、苦笑交じりの

答えが返される。


つまり怪しげな言い伝えのせいで、それを恐れる

国内と地元の協力が得られにくかった……

という事情に、彼らも苦笑いするしか無かった。


「しかし、この照明の魔導具はありがたいです。

 これのおかげで道に迷う事はなさそうですね」


同行している荷物持ちが、懐中電灯のような

道具を持ちながら感心するように声を出す。


「ミイト国、トーリ財閥からの提供だ。


 それ一つで金貨100枚は下らないらしい。

 慎重に扱う様にな」


「う、うへぇ……」


グレイン国の伯爵の指摘に、調査隊一行は

改めて序列上位国との差を思い知らされていた。




「見れば見るほど奇妙な遺跡ですわね……

 どのくらい前のものなのでしょう」


レイシェンが周囲を警戒しながら、

その石造りの様式の感想を述べる。


「魔王、という言い伝えがあるくらい

 だからねぇ。


 少なくとも数百年くらいかな」


バーレンシア侯爵が婚約者の疑問に受け答える。


「わ、我が国の建国以前に遡るのですか」


コザイ国の学者が思わず声を上げる。


「いや、適当に言っているだけだからね。

 それを調べるために来ているんだし」


頬にクロスの傷のある侯爵は、慌てて訂正

するように追加する。


「……しかしトーリ財閥の財力はすごいですね。

 こんな魔導具まで用意してくださるのですから」


「これ1個金貨100枚以上って聞いたよ……

 便利だけどなかなか心臓に悪い」


侯爵は微妙な表情をしながら、その照明の魔導具で

辺りを照らし、進んでいく。

それを聞いていた一行の一人が、


「今を時めくバーレンシア侯爵様でも、高価な

 魔導具を扱うのは緊張するのですか?」


「だって僕もともと貧乏だったしね。

 侯爵とは名ばかりの歴史だけはある貴族って

 感じだったし。


 代々あった借金を返し終えたのだって、

 最近の話だしなあ」


あけすけに自分の過去を話す貴族様に、

一行は驚いた表情を見せたが、


「(……ずいぶんと気さくなお方だな。

 噂とは大違いだ)」


「(グレイン国の剣闘会でもかなりの強さを

 見せたというし、『枠外の者』や『新貴族』と

 事を構えるお人だから、鬼か悪魔と見紛みまがう人が

 来るかと思ったら)」


「(苦労した経験があるからこそ、

 『枠外の者』、『新貴族』の理不尽な

 行いを許せないのだろう。


 このお方であれば、序列下位の国々は

 もとより、平民の暮らしも考えてくださるに

 違いない)」


小声でひそひそと話す彼らの会話は、

レイシェンの耳に入っていたが―――

それを聞いた彼女はまんざらでもない表情を

浮かべた。




「うぉう、お化け屋敷のような雰囲気。

 しかも外と違って涼しいのがまた」


一方、第三組で探索中の、ビューワー伯爵を

始めとするネーブル・ナヴィに護衛された一行は、

女神ともう一人の少女をようして進んでいた。


「この魔導具すごいですねー。

 値段もすごいって話ですけど」


銀のロングウェーブの少女、メイが明かりを

照らしながら恐る恐る一向に合わせて歩く。


「しかし、確かに魔王とやらが出て来ても

 おかしくなさそうです」


「妙な気配は感じませんが、フィオナ様、

 メイさん。

 そばを離れないようにしてください」


貴族の青年と財閥の従者の少年が、

周辺に気を配りながら声をかけると、


「メイさんメイさん」


「?? 何ですかフィオナさばひゅっ!?」


そこには、照明の魔導具を懐中電灯でよくやる

イタズラのように、顔の真下から照らす女神が

いて―――


それを見た一行も驚いたり視線を背けたりして、

何とか平静を装おうとするが、


「お・ま・え・は・な・に・を・

 し・て・い・る・ん・で・しゅ・か?」


ナヴィはフィオナのこめかみを両側から

グリグリと拳で締め上げる。


「あいだだだだいやお約束ってゆーか?

 みんな緊張しているみたいだから何かこう

 それを解きほぐす目的でででででで」


「いやマジほんとそれ止めてください!

 わたくし思わず魔導具放り投げそうに

 なったんですからね!?」


怒られるフィオナ、罰を与えるナヴィ、

抗議するメイ。

それをどういう顔で見たらいいのかわからない

周囲と、いったん間を置いてなだめに入る

ビューワー伯爵とネーブルとで、しばらく

カオスな状況が続いた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6967名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894

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