21・ご期待に沿えたようでしゅね
( ・ω・)何で週8回も何かしら更新するように
したんだろう(無計画)
日本・とある都心のマンションの一室―――
ソファで横になる黒髪セミロングの少女を、
ペットと思しき猫が床の上で見守る。
「どうしたんですかフィオナ様?
毎日が日曜日のあなたが何をお疲れで」
「まるでニートみたいな言い方をしないで
ください!
確かに地球ではそうですけど、ちゃんと
異世界では神様やっているんですから!」
お目付け役(猫Ver)の言う事に反発し、
女神は思わず起き上がるが、
「……あ~……ダメです。
やっぱり立ち直れない……」
またソファに突っ伏す少女に、シルバーの
長毛種の猫は首を傾げる。
「いったいどうしたのですかフィオナ様。
ようやくアルプ君との仲も成就し、
そこまで落ち込むような事も無かったと
思うのですが」
「いやまあリアル生活ではそうなんですけどね。
ちょーっと二次元の方で……」
そう言って女神は手元のスマホを見せる。
「あー、サービス終了ですか。
でもそれは仕方無いでしょう。
あちらだって商売なんですし。
ていうかリアルが充実して来て
いるんですから―――
そろそろ妄想は卒業してもですね」
「妄想とは何ですか!
アタシに取ってあの日々はリアルだったん
ですよ!!」
再びガバッと起き上がり、フィオナは
ナヴィに反論する。
「ゲームキャラ相手にリアルって……
頭と心は大丈夫でございますか?
それなら課金はどうです?
お金で相手の好感度とか上げたり、そのための
アイテムを買ったりするんでしょう?
まあある意味、お金払わないと親密に
なれないというのはリアルかも知れませんが」
「それ以上いけない。
いろいろなところを敵に回し過ぎるから。
そ、それじゃそろそろ本編スタートするわね」
│ ■コザイ国・王都高級宿 │
「ではそろそろ行きましょうかねえ」
大きく伸びをすると同時に、バーレンシア侯爵が
合図のように告げる。
「い、行ってらっしゃいませ!」
それに対しグリーンの短髪の少年がペコリと
頭を下げる。
「戦力的に―――
侯爵様と私、シッカ伯爵令嬢、それに
ナヴィ様とネーブル君。
グレイン国からもマイヤー伯爵に騎士団長と、
まず後れを取る事は無いでしょう」
ビューワー伯爵が確認のように、遺跡へ向かう
メンバーについて語る。
「で、ですがフィオナ様……
本当によろしいのですか?」
「……私たちと一緒に……
待機していた方が……」
おずおずとトーリ財閥の姉妹、シンデリンと
ベルティーユが問う。
「わたくしも、マルゴットさんやメイさんと
同じく、フィオナ様には待機して頂いた方が
いいと思うのですが」
金髪ロングの女性騎士が、剣を腰に装備しながら
女神の方へ視線を向けると、
「きっ、危険かも知れないというのは
わかりますが―――
それを他の人に任せっぱなしという事は
出来ません!
それに、これは『アンカー』たちが決めた
最善策でもありますから」
フィオナの言う通り、『遺跡へ向かわせる
メンバー』の選定に『アンカー』を使い……
結果として、フィオナ・メイを始め
バーレンシア侯爵、ビューワー伯爵、
レイシェン、ネーブル、そしてナヴィが
調査隊へ同行し、
シンデリン、ベルティーユ姉妹とアルプ、
マルゴットが残り、カガミがその護衛として
宿屋待機する事になった。
「(いやもー『アンカー』たちの言う事は
絶対だとしてもですねぇ。
何でアタシが現場に行かなければ
ならないのかと)」
「(ご期待に沿えたようでしゅね)」
「(ちょっと黙って静かにして)」
心の中でグチるフィオナに、ナヴィは
ツッコミを入れ―――
「でもまぁ、理にかなっていると思うよ?
何よりアルプ君を置いていけば、いつでも
ここに緊急避難出来るワケだし」
「そそ、そーですよ!
何より全員の安全が最優先ですからね!」
それを聞いたメンバーは神妙な面持ちで、
「確かに、この方法ならば安心出来ます」
「それに今回の相手は、あのゲルータ選手が
おかしくなった事が絡んでいるとすれば―――
尋常ならざる相手。
用心し過ぎるという事は無いでしょう」
実際に決勝戦でゲルータ選手と戦った
バートレットは、表情を引き締める。
「いつでも好きな時に退避し、体勢を立て直せる
というのは……
何が起きても対応出来るという事。
フィオナ様がいてこその方法です」
レイシェンが補足して語り、周囲もウンウンと
うなずく。
だがそこで、シルバーのロングウェーブの髪の
少女が片手を挙げ、
「で?
何でわたくしまで同行を?
戦力にもならないし、どう考えても待機組だと
思うんですけどねー」
「いやメイさんも重要なんですよ。
アタシもメイさんもアルプの妻となる身。
いわばアタシと一緒に神としての仕事や
手伝いをしなければならない事になる―――
今回はその勉強というか練習というかですね
あとあなただけアルプの側にいさせてたまる
かっていう」
「おい女神。
最後の方本音がダダ洩れなんでしょのへんで」
妻二人の問答にナヴィが介入し、彼はそのまま
獣人族の少女に向かって、
「じゃあカガミさん。
アルプ君たちの護衛、お願いしましゅよ」
「任せてっ!
留守はきちんと守るわ、アナタ♪」
「しょういうところを注意して欲しいん
でしゅけどねえ」
彼らのやり取りが終わると、今度は黒髪黒目の
少年が、
「ではシンデリン様、ベルティーユ様。
あんまりはしゃいだり騒いだりして、他の方々に
迷惑をかけないようにしてください」
「えーと、私たち今回の遠征のスポンサー
なんだけど」
「……子供じゃ……ない……」
姉の方は丸っこい童顔の頬を、妹の方は
人形のような無表情の頬を膨らませながら
抗議する。
「まあまあ。
それじゃ、向かうとしようか」
一行の中で一番身分の高い青年の一言で、
彼らはそれぞれ動き始めた。
│ ■コザイ国・某所遺跡 │
「……ここですか」
「ああ。
以前一度だけ来た事があったが―――
古いという以外はこれという感想は無いな」
石造りの遺跡を前に、バーレンシア侯爵と
マイヤー伯爵は佇む。
「何か感じますかね? 女神様」
「え~っとぉ。
ナ、ナヴィ。あなた何かわかる?」
一方でフィオナはガルディ騎士団長からの
質問を受け、それをそのままナヴィに渡す。
「丸投げするなでしゅ。
まあ、今は何も感じましぇんが……
ところで、どうやって調査していく
つもりでしゅか?」
「我が国やコザイ国から歴史学者を呼んで
調査隊を組ませている。
彼らの護衛をしつつ、内部の探索って
ところかな」
騎士団長はあっさりと答え、
「全員まとまって、ですか?」
「そんな効率の悪い事はせんよ。
そうだな、3つの組に分かれて、それぞれ
探索させよう」
レイシェンの問いにマイヤーが答え、
「では、一つ目の組は私とガルディが護衛として
同行しよう。
二つ目、三つ目の組は君たちの誰かが護衛
してくれ」
グレイン国の伯爵の提案に、彼らはうなずき、
「じゃあ、僕とレイシェンは二つ目の組に」
まず侯爵が名乗りを上げ、婚約者と一緒に
行動する事に。
「私とネーブル君、ナヴィ様は三つ目に」
バートレットが続き、
「あれ? アタシと―――」
「わたくしは?」
フィオナとメイが同時に首を傾げると、
「表で待っていろと言いたいところ
でしゅが……
一応あなたたちも護衛対象でしゅので、
遅れずについてきてくだしゃい。
迷子にならないでくだしゃいよ」
こうして二人はオマケ扱いで、ビューワー伯爵・
ネーブル・ナヴィが護衛する調査隊の組に加わる
事となった。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6948名―――
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