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20・時々自分でも忘れそうになりますが

( ・ω・)逆ハーレムものってどういう決着

付けているんだろうなあ。


日本・とある都心のマンションの一室―――


やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、

黄色に近い首までの長さの金髪をウルフカットに

した、半人半獣の狐耳の子がいた。


「な~にやってるんですかフィオナ様ぁ」


「も、申し訳ございません……

 ワーフォックスちゃん」


女神は獣人の少女に申し訳なさそうに頭を下げる。


事の発端は前回、人外組から頼まれていた

ナヴィの様子及び状況を彼女たちに伝える

任務の事を、ついうっかり本人にバラして

しまったからなのだが、


「あの、しょれで~……

 ナヴィから何か言われてない?」


「いえ、それが何も。

 外でお会いしても普通に対応してくれるし」


そこへ話題の当人―――

シルバーの短髪をした美少年が姿を現す。


「あんなくだらない事でいちいち何か言う事は

 無いでしゅよ」


お茶とお菓子を持ってきてくれた彼は、

それを二人の前に静かに置いていく。


フィオナとワーフォックスが気まずそうに

する中、ナヴィはふぅ、と一息ついて、


「しょれに、慣れてましゅから」


「へ?」


「えっ?」


困惑する二人の目の前で、彼はお菓子を

ひとつまみすると―――


「しょこっ!!」


と、空間に向かって投げつけると、何も無い

はずの場所に当たって落ちる。


そして声が室内に響き、


『フフフ……

 よくぞ見破ったわね、この神の目を』


「しょれは盗撮もしくはのぞき見と

 言いましゅアルフリーダ様。


 しょんな事に神の力を使わないでくだしゃい」


そこで娘であるフィオナは慌てて、


「えっ?

 も、もしかしてその力でいつもアタシの

 事を?」


『えー?

 同性の娘の事なんて見て何が面白いの?』


「おぅわ言い切りやがりましたよこの人!

 あ、でもアルフリーダ様がこういう力を

 使えるんだったら、いずれフィオナ様も?」


「あ、眷属の目を通じてなら出来ますよ。

 だからアルプやファジーのお風呂シーンとか

 見放題と思ったんですけど湯気がですねー」

(■3章7話 おいでませ、ルコルアへ参照)


ワーフォックスも参戦し、話がろくでもない

方向に進みそうだと察したナヴィはその場から

そっと抜け出し、


「はぁ……

 それではそろそろ、本編スタートしましゅ」




│ ■コザイ国・王都 │




「……えーと……」


「と、とにかく場所を移動しませんか?

 落ち着くところへと」


バーレンシア侯爵とビューワー伯爵が、

固まっているマイヤー伯爵とガルディ騎士団長に

提案し、


「う、うむ。そうだな」


「しかしどこへ行ったものか」


彼らが周囲を見渡すと、ひざまずいて祈りを捧げる者、

拝む者―――

と、集団に囲まれてしまっており、


「トーリ財閥が予約した宿があるはずです。

 ひとまずそちらへ……!」


「……あちらの方へ……

 ここからそんなに……離れていない……」


シンデリンとベルティーユが地図を出して、

そちらへの移動を促す。


「そそっ、そうですねっ。

 フィオナ様、まずはそちらへっ」


第一眷属のアルプが呼応し、


「ええ、行きますでございますよっ」


「とにかく離れましょうでございますですっ」


女神とメイが同時に同意し、


「こっちですね、付いてきてください」


ネーブルの先導の元、女神一行とグレイン国の

二人は、慌ててその場を後にしたのだった。




│ ■コザイ国・王都高級宿 │




「だ、大丈夫ですか皆さん?」


「いったんご休憩を」


マルゴットとシッカ伯爵令嬢、それにアルプと

ネーブルがせわしなく動いて飲み物などを用意する。


「……何で人の話を最後まで

 聞かないんでしゅかねえ」


「喜んで♪

 もうみんな王都の有名人だよー♪」


ナヴィが苦言を発した後に、カガミが

トドメを刺す。


そして張本人の女神は―――

シルバーのロングウェーブを持つ少女から

薄い板か何かで、パタパタとあおがれていた。


「……ずいぶんと派手な登場の仕方だったな。

 侯爵様」


痩せこけた頬に筋肉質の武人のような体を持つ

伯爵が、皮肉でも何でもなく、率直に驚いた

感想を口にする。


「い、いやあ……ハハハ」


愛想笑いで返すバーレンシア侯爵に、


「しかし、この国では少々厄介な事になりそう

 ですよ?


 ここは伝承やら伝説がまだ生きている土地。

 何に結び付けられるか、わかったものでは

 ありません」


眼光の鋭い目はそのままに、騎士団長が口元を

歪めながら語る。


「伝承や伝説って……

 何かあるんですか?」


「ここに来たばかりですので、何も知らないの

 ですが」


グリーンの短髪の少年と、黒髪黒目の従者が

動き回りながら質問すると、


「『魔王』の伝承がこの辺境にはあるのだよ」


「まだ詳しくは知りませんが、魔王の復活……

 同時に勇者の降臨があるらしいんですよねぇ。


 今頃王都では、その話で持ち切りでしょう」


グレイン国から来た二人の話に、女神一行は

顔を見合わせ―――

改めて彼らと情報共有を行う事になった。




「……なるほど。


 でも、勇者降臨って普通魔王復活の

 後とかじゃないのかな」


「ええ。今回の件がそうだととらえられたと

 しても、前後が異なってしまうような」


フォックスタイプの眼鏡の裏に、三白眼の

目を持つ侯爵と、


ホワイトシルバーの短髪を持つ、年齢よりも

かなり若く見える伯爵がそれぞれ見解を述べる。


「関係あるまいよ。

 未だに祟りだの呪いだの信じている連中だ。


 騒ぎを起こすのは目に見えている」


「ただある意味、協力はスムーズにしてもらえる

 でしょうねえ。


 何せ伝説の『勇者様』がいらっしゃるん

 ですから」


今度は皮肉を込めて、他国の伯爵と騎士団長が

返す。


「お前のせいでしゅよ何とかしろ」


「もうちょっと穏便に遠回しに言って頂け

 ないでしょーかっ!?」


従僕の言葉に女神は反発し、一行はそれを

困惑しながら見つめる。


「……?」


「?? あの、僕の顔に何か」


そんな中、ふとマイヤー伯爵がアルプの顔を

しげしげと見つめ、


「いや、どこかで会ったかと……


 グレイン国でバーレンシア侯爵様一行として

 来ていたのは知っているが、それ以前に」


実はマービィ国にて、女神に女装もとい変装した

アルプに彼は会っていたのだが、その説明に

アルプが戸惑っていると、

(■5章35話目 「……大・改・造……!」

■36話目 「遠くから的確にダメージを」参照)


「あ、コレと勘違いしているんじゃ

 ないでしゅか?」


「コレとか言わないでくださいコレとか。

 アタシは女神なんですよ時々自分でも

 忘れそうになりますが、ええ」


ヘッドロックのようにしてナヴィがフィオナの

首をマイヤー伯爵の前に差し出す。


「しかし、この事態―――

 どうするんでしょうかねえ?

 女神様。


 まさか本当に魔王復活が近いから、

 勇者・バーレンシア侯爵様を連れてきたと?」


「え? ええ、その、あの……

 そうであったりなかったり出来れば?

 そうならない方がいいような?」


あたふたと言い訳のように語るフィオナを前に、

一行もどうしたらわからず右往左往するが、


「フ、フィオナ様が来たのは人外の力を感じた

 からで―――

 まだ何かあると決まったわけではありません!


 そもそもそれを調べるために、遺跡の調査に

 来たのではないですか?」


アルプが割って入るように話すと、


「……まあ、そうだな。

 する事に変わりはない。

 神様がいようがいまいが―――」


「そうですねぇ。

 じゃあ、いざという時は神様にお願いする事に

 しましょうか」


伯爵の後にガルディ騎士団長が続き、

ようやく室内は落ち着いた雰囲気となった。




│ ■コザイ国・某所遺跡 │




『近い……近いぞ匂いが……


 あの憎き神どもの……匂い……


 肉親であれ何であれ……

 その身内は敵……

 見ておれよ……』


同じ頃、女神一行の接近を感じ取ったのか、

何者かの声が遺跡で発されたが―――

それはフィオナたちの知るところではなかった。





カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6941名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

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【ゲーセンダンジョン繁盛記】

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