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19・じゃあこっちもそれに加わろうよ

( ・ω・)時々ここの一言で、その時何があったか

確認する(記録兼日記)


日本・とある都心のマンションの一室―――


ちょっと目付きの悪い黒髪セミロングの女の子と、

ペットらしき長毛種の猫がリビングでくつろぐ。


「あ~……

 何かだるいわー。


 これがGWボケってヤツかしら……」


「それは普段仕事をしている人間だけが言っていい

 セリフですよフィオナ様。

 遠回しに言うと黙れ」


「全く遠回しじゃない件について」


女神はお目付け役(猫Ver)であるナヴィと、

いつものやり取りをし、


「というか本当に貴女は自発的に何かしないん

 ですかね?


 毎日が日曜日みたいなものでしょうに。

 それだけ時間があるんだったら―――」


「し、神託地域ではそれなり忙しいから

 いいんですよ!


 それに一応、自由な時間がある分……

 邪神ちゃんたちにも頼りにされているん

 ですから!」


予想外の答えが来た事でナヴィは首を傾げ、


「それはまた一体何を―――

 と言いたいところですが、


 どうせソシャゲの新規イベントや、

 何か周回イベントの情報共有とかじゃ

 ないですか?」


「そ、それもありますけど……


 主に今日ナヴィがどういう行動をしたのかとか、

 何回猫の姿になったのかとか、

 どんな食事をしたのかとか、

 その情報共有を頼まれていまして」


「説明がストーカーのそれなんよ。

 ていうか何しているんですかあの方々……


 まあそろそろ、本編スタートします」




│ ■ミイト国・首都ポルト      │

│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷   │




「フィオナ様、お体の具合は大丈夫ですか?」


「は、はい。

 1日寝たらすっかり良くなったんですけど」


第一眷属の少年に世話されながら、女神は

顔を赤くして答える。


彼、アルプは本来、フラール待機の予定で

あったが、


転移のやり過ぎでグロッキーになってしまった

フィオナの介抱のため、ミイト国までやって

来ていた。


『どうせ後1回くらい、転移しても変わらない

でしょう』

という女性陣のツッコミと……


ミイト・バクシア・フラール三ヶ国間での

移動確保は無くなったが―――

それでも緊急時に他国に飛べるという

アドバンテージは確保しているので、


フォローとしてミイト財閥から警護の者たちが、

アルプの家に残っている母・ソニアの元へ向かう

事と引き換えに、


アルプを連れて来るよう、フィオナは周囲から

説得され、急遽きゅうきょ彼を同行させる事になった。


「どしたのフィオナ様?

 まだ発情中?」


「おおー神をも恐れぬ物言いですねー。

 さすがアタシと同じ夫(予定)を持つメイさん」


シルバーのロンウェーブを持つ少女が、

同年代の外見の女神と火花を散らすのを、

周囲は困惑しながら見つめる。


「な、なぁ。

 体の調子が悪ければ正直に言ってくれよ?」


「そ、そうですよ。

 フィオナ様のお体が第一ですので」


ミモザ・ファジー姉弟が気を使って

フォローに入る。


「やっぱり転移を使わせ過ぎたかしら」


「……あの『えいようどりんく』でも……

 復活は難しい……?」


屋敷の主であるシンデリン・ベルティーユ姉妹も

心配そうな表情になるが、


「そ、そうじゃなくてですねえ。


 もう双方の親公認の仲ですのに、いつまでも

 アルプから、様付けで呼ばれるのはちょっと」


フィオナの答えに―――

バーレンシア侯爵とシッカ伯爵令嬢、

ビューワー伯爵にマルゴット令嬢が

揃って苦笑する。


「まあ、こればかりは。


 私もお嬢様方を呼び捨てにするのは、

 未だ抵抗がありますし」


彼女たちの従者であるネーブルの言葉に、

場が和やかに収まりつつある中、


「あ、ナヴィ?」


女神の反応に、全員の視線が集中した。




│ ■コザイ国・王都 │




「こちらナヴィ。


 バカップルで醸成じょうせいされた空気にいつ

 切り込むのか判断が迷いましゅたが―――

 グレイン国一行のコザイ国王都入りを

 確認したでしゅよ」


銀髪の少年が神託を通して話すと、向こう側から

申し訳なさそうな沈黙と雰囲気が伝わってくる。


そこへ赤茶のツインテールの獣人族が彼の背後から

抱き着き、


「え~じゃあこっちもそれに加わろうよー。

 カガミとナヴィさんがくっつけば万事解決?」


「それは収拾がつかなくなると言いましゅ。


 しかし本当にもう……

 くっつくまでいろいろ心配させて、

 くっついたら際限なくいちゃいちゃでまったく」


『そ、そんな事よりですねっ!

 もうそちらに行ってもいいんですかっ!?』


別の話に変えるように、本題を切り出すフィオナ。

そこでナヴィは適当に周囲を見渡し、


「街中で突然出現させるわけにもいきましぇんし、

 目立たない場所を見つけてくるでしゅ。


 すぐに済むと思いましゅので、一応そのまま

 待機しててくだしゃい」




│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷   │




「わ、わかりました……

 それじゃ、その時が来たら連絡お願い

 しまーす」


女神が神託を終えると、部屋の中は微妙な

空気と気まずいカップル陣が残された。




│ ■コザイ国・王都 │




「やれやれ……


 序列下位国でも一応、王族には敬意を

 表さなければならんからな」


痩せこけた頬に、アンバランスな筋肉質の体の

マイヤー伯爵が疲れた表情で王宮から出てくると、


「お疲れ様です、伯爵。


 しかし、伝承の書類や担当を借りるためには

 仕方が無いでしょう」


長身で、ピンクに似た白い短髪の騎士団長が

慰めるように返す。


「魔王復活、か……


 あの暴走したゲルータ選手の状況を考えれば、

 何らかの力が働いている事は間違いない。


 祟りや呪いで無ければ、人為的な力が裏に

 隠されているはず」


「という事は―――

 あれは人の仕業だと?


 しかし、そんな事が可能でしょうか」


ガルディが聞き返すと、マイヤー伯爵は

アゴに手を当てて、


「最初に小細工を考えついたのは私だ。


 後先考えなければ、痛覚の鈍化、それに

 精神を興奮させる薬の併用だとすれば、

 それほど難しい事ではあるまい。


 まさか騎士団長ともあろう者が、

 伝説や言い伝えを信じているのか?」


「とは言いましてもねぇ……


 それに、人に非ざる力を感じたのは、

 あのゲルータという男からだけでは

 無いですよ。


 伯爵も気付いているはずでしょう?

 バーレンシア侯爵、ビューワー伯爵―――

 シッカ伯爵令嬢、そしてネーブルとかいう

 少年の、最後の一撃。


 剣士として、あの力……

 うらやましくないと言ったら嘘つきになるのでねぇ」


反論する騎士団長に伯爵は渋面じゅうめんを作るが、


「伯爵様だって、マービィ国でオバケに

 会ったんでしょう?」

(■5章36話

「遠くから的確にダメージを」参照)


「あれを持ち出されると厳しいな。

 未だに自分の目が信じられなくなる。


 ……まあいい。

 そろそろ現実の話をしようじゃないか」


そう言いながら、マイヤーはある方向を指差して

ガルディの視線を誘導する。


「あれは―――」


「ミイト国、トーリ財閥の馬車だな。

 どうやら彼らも到着したようだぞ?


 しかしやはりあの侯爵は食わせ者よ。

 こちらが到着したのを見計らってのご登場か。


 どれ、彼らにも挨拶せねばなるまい」


と、二人は場所の方向へ向かって歩き出した。




「う~ん……

 空き地とかどこかに無いんでしゅかね」


「建物の中とかはー?

 確かトーリ財閥の二人が手配してくれるんじゃ

 ないのー?」


「んー、それも良さそうでしゅね」


ナヴィとカガミが適当な場所を探す中―――

彼女の提案を受け、彼は女神に神託をつなげる。


『お、ナヴィ。

 そろそろ?』


「それがでしゅね、ちょっと聞きたい事が」


シンデリン・ベルティーユ姉妹と話したい―――

そう続けようしているところへ、


「おや? 君達は……」


「もう来てたのかい。

 奇遇だねぇ。


 それとも、待ち構えていたのかな?」


マイヤー伯爵、ガルディ騎士団長に二人は

バッタリと出会い、


「あ、マイヤー伯爵様……


 え? だから違いましゅよ!

 ちょっと待って今じゃないでしゅ!」


「「??」」


焦るナヴィの意図がわからず、彼らがただ

茫然ぼうぜんと見つめる中、周囲が光り輝き、


「っ!?」


「な、何だ?」


そのまばゆい光が収まった時、二人が

目を見開くと、


「あ、ど、どうも」


「お久しぶりです」


困ったような表情であいさつする、

バーレンシア侯爵にビューワー伯爵……

それに他一行がその場に立っており、


「い、今の光は何だ!?」


「もしかして……

 伝説の勇者様!?」


「勇者様御一行が降臨なされたぞー!!」


と、街中のあちこちから声が上がった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6933名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】

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