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16・神と人の戦い(超低レベル)

( ・ω・)季節の変わり目は首肩が凝る

(年寄り)


日本・とある都心のマンションの一室―――


目付きの悪い黒髪セミロングの女の子と、


黒いカラスのような羽を背負った、ブロンドの

ロングウェーブをした髪の少女がテーブルに座る。


「そういえば堕天使ちゃん。

 他の人外組もそうですけど、この前ナヴィと

 一緒に出かけたって聞いて」


「あー、でも本当に出かけただけですよ?

 それはもう健全な外出でしたから」


フィオナはお茶を、堕天使はお菓子をつまみながら

情報共有する。


「でも他に、邪神ちゃんにサキュバスちゃん、

 悪霊ちゃん、それにワーフォックスちゃんも

 いたんでしょ?


 5人もいて包囲というか―――

 何かこう、出来なかったんですか?」


女神が聞き返すと、そこへ同居している当事者が

入ってきて、


「お互いに口裏でも合わせて協力関係にあれば

 話は別でしゅけど……


 互いにけん制し合ったり足を引っ張り

 合ったりで、何といいましゅか」


シルバーの短髪の少年が、呆れながら

お代わりのお茶とお菓子を差し入れる。


「……と、いうわけでですね」


テーブルの上に上半身をうつ伏せにして、

堕天使は肯定する。


「あー、まあ、確かに。

 アタシとメイさんみたいなモンですね。


 ていうかやっぱりダメなんですか?

 みんなで一緒にっていうハーレムは」


その問いに彼女は少し間を置いて、


「それは……

 ナヴィ様がそうおっしゃるのであれば?」


「私はアルフリーダ様の従僕であり、

 フィオナ様のお目付け役も兼ねて

 おりましゅから」


堕天使の言葉に、彼は今の役目を盾に

反論するが、


「んー?

 ママなら、別にいいって言ってたわよ?」


女神のお墨付きに、もう一人の人外の少女は

熱気を帯びる。


「でしゅから……

 神様になる以上に予定が取れなくなると

 思いましゅけど?


 5人も恋人が出来た日にゃ」


「アタシが悪うございました」


未だにナヴィのサポートの比重はかなりあり、

それを骨身に染みてわかっているフィオナは、

すかさず床に頭をこすりつける。


それを見てがっかりする堕天使を後目に、

少年は一礼して退出するが、残された二人の少女は

視線を交わし、


「それではフィオナ様。

 プランBの発動を許可願えますか?」


「あー、例のお薬作戦ね。

 でもナヴィ、鼻と勘はかなりいいので、

 計画は慎重に。


 それじゃそろそろ、本編スタートしますね」




│ ■ミイト国・首都ポルト      │

│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷   │




「お嬢様。

 グレイン国より、お手紙が届きました」


黒髪黒目の、執事風の衣装の少年が持ってきた

封筒を、財閥の姉妹が受け取る。


「意外と早かったわね」


「……侯爵様。

 内容の……ご確認を……」


トロンとした目付きをした姉から、

日本人形のように無表情な妹へと手紙は渡り、


最終的に―――

頬にクロスの傷を持つ、室内では最も身分の高い

男性に手渡された。


「さてさて……

 どういう返事になっているかな、と」


彼は封を開けて中身を確認する。

一読すると、やや首を傾げて、


「どうかしたの、レンジ様」


婚約者であるレイシェンがたずねると、


「文面自体は差し障りの無いものだけど、

 拒否ではないね。


 むしろ来てもらえると助かる、みたいな事も

 書いてある。

 まあ社交辞令だろうけどさ」


すると、伯爵とその恋人の豪商の令嬢も口を開き、


「拒むでもなく―――

 歓迎、ですか」


「そのまま額面通りには受け取れませんけど、

 ただの調査なんでしょう?


 すんなり受け入れるというのも、

 それはそれで奇妙ですわね」


シルバーの短髪の青年と、真っ赤なロングヘアーの

女性が隣り合って語る。


「ま、まあ行ってみればわかる事ですよ!」


フィオナが愛想笑いで追及させない雰囲気を

作ると、


「調査だし、人手は多い方がいいと思ったんじゃ

 ないですか?」


「そうだね。

 それに何事も無かったら、別にそれで

 いいじゃん」


ファジー・ミモザの姉弟が続いて―――

話を一段落させる。


「しかし、往復は……

 フィオナ様の転移、とやらでいいのですか?


 聞くところ、かなりの力を使うようですが」


ネーブルがその事についてたずねると、


「ええ、そうですねー。

 何の役にも立たない人が自主的に

 ここに残ってくれるとかすると、

 大変助かるんですけどー?」


「いやいやー。

 せっかくフラールからミイト国まで

 同行させてくれたんですからー?

 同じ夫(予定)を持つ身として一心同体ですよ

 わたくしはー?」


女神とメイが手四つでプロレスのようにガッツリと

組み合い、神と人の戦い(超低レベル)を周囲は

困惑しながら見守る。


「で、でもそうなると問題はタイミングだねぇ。


 コザイ国でマイヤー伯爵殿たちと合流するに

 しても、いきなり目の前に現れる……

 なんて事は出来ないだろう?」


バーレンシア侯爵が話の方向を変えるために、

気を使って提案すると、


「まあ確かに……

 空から降って来るとかしなけりゃ

 いいんじゃねーか?」


「ミ、ミモザねえっ」


三白眼の姉を、気弱そうな弟が困惑しながら

注意する。


「あはは、基本的にはナヴィに神託を

 繋げてから、それから転移という形を

 取ると思いますので―――


 あちらで何らかのトラブルが無い限りは、

 大丈夫だと思いますよ?」


女神は努めて心配無いとアピールするが、

ていねいにフラグを積み立てている事を

自覚していなかった。




│ ■グレイン国・王都ウィーンテート   │

│ ■マイヤー伯爵家屋敷         │




「さて、出るか」


「いささか、思ったよりも小規模に

 なりましたが―――」


貴族というよりは武人に近い体格をした

伯爵と、


眼光の鋭い王室騎士団長が、まとめた

人員を確認しながら話し合う。


「しかし、マイヤー殿。

 バーレンシア侯爵殿からの返事を待たなくて

 良かったのですか?」


ガルディがたずねると、伯爵はフッ、と鼻で笑い、


「彼はやり手だよ。


 手紙ではコザイ国に向かう、

 そのメンバーも指定済み。


 恐らくはすでにいつでも動けるよう

 待機してから、あの手紙を出したのだろう。


 下手をすると、すでにコザイ国に向けて

 出発しているかも知れんぞ?」


「返事はミイト国宛てでしょう?

 それも読まずに、ですか?」


騎士団長が聞き返すと、


「それすら想定済みかもな。


 もしくは近くに待機していて―――

 内容を知ると同時にコザイ国へ出発とか。


 それくらいはやる男だよ、彼は」


「その評価は、戦った経験からですか?


 確かに彼の太刀筋たちすじは―――

 隙があるように見えて受け流し、

 追い詰められているようで、

 それをくつがえす奥の手を隠し持っている。


 まあそれくらいでなければ、『枠外の者』、

 『新貴族』を敵に回す判断はしないでしょうな」


侯爵のいないところで彼の評価はうなぎ登りに

なっていくが……

もちろんそれは、彼の知る由では無かった。




│ ■コザイ国・某所 │




「到着ー!!」


「はあ……やっと着きましゅた……」


カガミとナヴィは、目的地で対照的な

声を上げる。


「あれ?

 ナヴィさん疲れてない?」


「誰かしゃんが真っすぐ移動しないから

 でしゅよね?


 その度に私が無理やり引っ張ったり

 かついだり探したりと……


 出発する前に注意していた事を全部

 してやがりくだしゃるんでしゅから」


赤茶のツインテールの獣人族の少女に、

ナヴィは皮肉と嫌味を込めて話すが、


「あ、でもナヴィさんに強引に止められたり

 引っ張られたりする度に何か体がキュンキュン

 してきたような。

 これってナヴィさんの物になって

 体が喜んでる証拠?」


「しょれは病気というものでしゅ。


 しばらく休んだら、神託に備えましゅよ」


そこで二人は休憩に入り、神託の時間を

待つ事になった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6880名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894

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