13・そっかー使命を果たす時が来たのかー
( ・ω・)異世界もの3つ書いているからか、
名前が時々脳内でバグる。
日本・とある都心のマンションの一室―――
そこでグラマラスなボディの、ロングのブロンドの
髪を持つ妙齢の女性と、
黒髪セミロングの、やや目付きの悪い少女が
向かい合って座っていた。
「ぬふふふふふ……
いいでしょフィオナちゃん、コレ。
シチュといいいカップリングといい、
これ以上は無いと言うくらいの……!」
「確かにコレは……
ママとはちょっとジャンルが違えど、
その中では極上と言っていいレベル……!
これを手に入れたアタシはもはや腐死身……
腐死鳥とも呼ぶべき存在に……!」
アルフリーダ、フィオナ―――
母娘が見ているのはいわゆるBL本、
一般・18禁・同人問わずのもので、
「カッコ悪い事を格調高く言わないでくだしゃい。
しかしながら通常運転でしゅね」
そこへ銀髪の美少年、従者兼お目付け役の
ナヴィが、飲み物とお茶菓子を持って現れた。
そこで二人はいったん目の前の物をしまい、
「ままままあ、これもアレよ、アレ。
フィオナちゃんの世界でもこの手の本が
人気になりつつあるから……
その資料として、ね?」
「そそそそーですよー。
あくまでもこれは仕事の一環としてですね」
そう言う女神たちは、飲み物を持つ手を
カタカタと震わせる。
「まあ言い訳はともかくとして―――
いい加減、アルプ君とも結婚を前提として
付き合っているんでしゅし、そろそろどう
しゅるか、考えた方がいいと思うんでしゅけど」
「ん~……
やっぱり共同生活するにあたって、
問題になりますか。
そういえばママって結婚して長いですし、
趣味もアタシとほとんど違いませんよね?
こういう場合はどうしてたんですか?」
話を娘から振られた母親は少し困惑するも、
「ええと……
私の場合はホラ、パパをいろいろと
カスタマイズしたり洗脳したり時間を
巻き戻したり記憶操作したりして、
方法はいろいろあるから……」
「ダメだアテにならねえ!
あ、じゃあアルプにもお願い出来る?
ママ」
「ご自分の夫に何しているんでしゅか。
何でも出来るというのも考え物でしゅね……
ではそろそろ、本編スタートしましゅよ」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家 │
「コザイ国に……」
「ですか?」
フィオナの話を聞いて、アルプとファジーが
確認するように聞き返す。
「え、ええ。
どうもあの国の遺跡をグレイン国が調査する
みたいですし―――
何か匂うっていうか不審? みたいな?」
フィオナはしどろもどろになりながら、
一応、『アンカー』の指示に従うために
説明する。
「ですがフィオナ様。
わたくしとレンジ、そしてビューワー伯爵殿に
ネーブル君ともなりますと……」
シッカ伯爵令嬢が、婚約者である侯爵に
寄り添いながら言いよどむ。
「過剰戦力と言いますか……」
「あのグレイン国主催の、剣闘会の上位陣
勢ぞろいじゃん」
マルゴットとミモザも、不安そうな表情を
隠せない。
実際、先日の剣闘会において―――
バートレット・ビューワー伯爵
→優勝
レンジ・バーレンシア侯爵
→Bトーナメント準決勝勝利後棄権
(相手・リーゾット・マイヤー伯爵)
レイシェン・シッカ伯爵
→Aトーナメント決勝敗退
(相手・アンリ・ガルディ王室騎士団長。
勝利後棄権)
ネーブル
→Aトーナメント一回戦勝利後棄権
(相手・フェルゼン・バスタ王室騎士団副団長)
と、相当な腕前だと公式に認められている
実力の持ち主ばかり。
「『バクシアの鬼神』、『フラールの剣聖』……
『ミイト国の剣姫』―――
あとグレイン国の王室騎士団副団長に
打ち勝てる護衛の少年。
その遺跡とは、それほどまでに危険と
いう事でしょうか?」
ソニアが不安そうに女神に問うが、
「い、いえ。
まあ万が一の事にも対応出来るメンバーと
しましてですね。
何も無ければそれに越した事は無いかなー、
なんて?」
そんなフィオナを、線のように細い目で
メイが見つめる。
「(……メイしゃん、『ぜってー何も考えて
無いなコレ』とか思っていても口に
出してはいけましぇんよ)」
「(おおスゴイですねナヴィ様。
どうしてわかったんですか?)」
女神の従者の少年が小声でツッコミを入れ、
「じゃあネーブルさんも呼ばないといけないけど、
どーする?
今から呼んでくるー?」
獣人族の少女、カガミが空気を読まずに
本題へと引き戻す。
「ま、まあそれ以前予定もあるでしょうから。
特にバーレンシア侯爵さんはお仕事も……って、
あの、大丈夫、ですか?」
フィオナの言葉と同時に、視線が彼に集まるが、
放心したかのようなうつろな目を侯爵はしており、
「えっと……何もありません、よね?
そう言えば僕、称号を頂いていたんでしたっけ?
確か、特別称号『真なる勇者』―――
(■7章08話
よくぞあそこから盛り返した参照)
そっかー使命を果たす時が来たのかー(ヤケ」
宇宙の何かと交信しているような状態の彼を、
全員が心配して見つめるが、
「いや大丈夫ですって!
まだそうなると決まったわけじゃありませんし
もう婚約者だっているんだからちょうどいい機会
だからこれが終わったら結婚して今何かが……
いや気のせいか? すぐに追いつくから先に
行って」
「今すぐその多種多様なフラグの乱れ撃ちを
やめるでしゅ。
どうしぇこの小説にしょんな展開は無い」
フラグバーストにメタ発言で切り返す主従を、
侯爵とは別の意味で心配そうに周囲が見つめる。
「まあ、最近は『新貴族』・『枠外の者』、
ともに大人しくしておりますので―――
動くのにこれといって障害は無いと
思われますが。
バーレンシア様。
ご予定の方は?」
助け船を出すようにビューワー伯爵が、
渦中の人間に質問し、
「そうだねえ。
一段落していると言えばしているかな?
ただ代官という役職上、あまり長期間
遠出は出来ないし……
それはバートレット君も同じだろう?」
「そうですね。
移動その他、計画を考えないと―――」
こうして話し合いは移動手段へと移り……
意見が交わされた。
│ ■ミイト国・首都ポルト │
│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷 │
「コザイ国の遺跡の調査、ですか」
黒髪黒目の少年が、お茶を用意しながら
赤茶のツインテールの少女と向き合う。
「ウン。
まずカガミが行ってー、到着したら
フィオナ様が全員連れて転移するん
だって」
屋敷の一角で、二人しかいない部屋の中……
少年少女は話し込むが、
「そういえばさー。
あの胸のおっきな人と無表情系の
姉妹さんは?」
「シンデリン様とベルティーユ様は―――
最近、疲れが取れないのか体調がすぐれないのか
お休みになられている事が多く。
私も何だか最近、夢も見ないで目が覚めたら
朝という事があって……
今頃剣闘会の疲れでも出てきているの
でしょうか?」
カガミの質問に、首を傾げながら答えるネーブル。
例の薬を送っている事を知っている彼女は、
猫のような目をさらに際立たせて、
「それはそれは。
ほどほどにお大事にしてくださいニャ~」
「??
はい。では起きましたら伝えておきます。
私はコザイ国へ直行という事でいいので
しょうか?」
ネーブルの問いに、外へ行きかけていたカガミは
急ブレーキをかけたように止まり、
「あ、忘れてた。
その事でいったん神託待たないと
ダメだったー」
「……お部屋をご用意いたしますので、
少々お待ちください」
ため息を吐く彼の前の席に、獣人族の少女は
改めて座り直した。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6847名―――
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
基本、土曜日の午前1時更新です。
休日のお供にどうぞ。
みなさまのブックマーク・評価・感想を
お待ちしております。
それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
こちらもよろしくお願いします。
【ゲーセンダンジョン繁盛記】
https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894