11・確かにそれはそれで……アリ……
( ・ω・)登場しなくなったキャラ人数は
数えない事にしている(無計画)
日本・とある都心のマンションの一室―――
そこでホワイトシルバーのロングウェーブの
髪をした少女が、やや目付きの悪い黒髪黒目の
同性と対峙する。
「おぉお~……
しかし、以前も一度来ましたけど、
やっぱりすごいですねここ」
(■8章48話
可愛い声で可愛くない事を参照)
「あの時はアルプと一緒でしたね、メイさん。
まあ慣れておくのも悪くないと思いまして」
そこへ長毛種の猫―――
お目付け役のナヴィが姿を現し、
「おや珍しい。
メイさんだけですか?」
「えっ!?
あ、ナヴィ様でしたか。
でも本当に『元』猫だったんですね……
人間の姿もキレイでしたけど、猫の方も
神々しいと言いますか」
異世界では猫の姿を見た事が無かったメイは、
素直にその毛並みをほめる。
「ありがとうございます。
しかしお2人だけとは?
アルプ君はどうしたんですか?」
猫の姿のまま、フィオナとメイに向かう
ナヴィ。
「いえまあ、いずれは天界に住む事にも
なると思いますので、その前にこっちで
いろいろと慣れて頂けたらと」
「ただアルプ君までいたら、それどころじゃ
なくなると思いまして」
その二人の答えを聞いたお目付け役は、
線のように目を細め、
「まあ晴れてカップルになったばかりですし、
色ボケ一直線なのは仕方がありませんが。
ですがいいんですかね?」
「??」
「何が、でしょうか」
ナヴィの返しに、女神と少女は首を傾げ、
「いえ、いくら勢いを付けるためとはいえ、
初体験が薬で結ばれた絆……
というのはどうも気になりまして」
その問いに対しフィオナとメイは、
某世紀末漫画に出てきそうな肩パッドと
釘バットを用意し、
「ヒャッハー!!
ぶっこんできやがるぜコイツはよォ!!」
「ファー!!
それは聞いていい事と悪い事の悪い事の
方だぜ!!」
それに動じず、お目付け役は質問を続行し、
「うーん……
貴女たちはそれでいいのでしょうか?
納得しているのでしょうか」
再び向けられた問いに彼女たちは、
「結果のためなら手段は選びません!」
「きっかけは何であれ、自分のモノにしたという
事実が大事―――」
なぜか二人は武将のように鎧姿で、
『敵将、討ち取ったり』というように刀を掲げる。
「信じていましたよ、その反応を。
それではそろそろ、本編スタート
しましょうか」
│ ■グレイン国・王都ウィーンテート │
「これは……
ずいぶんと大規模な予算編成ですな、
マイヤー伯爵様」
ある教育機関の一室で、教授と思われる
アラフィフの男が―――
一通の書類に目を通しながら語る。
「コザイ国にある遺跡の調査だ。
考古学や歴史、後は……
魔力鑑定に長けた者。
20人は必要になる。
これくらいは妥当だろう」
痩せこけた頬の顔、その体格はスリム
ながらも戦士のように筋肉質の体をした、
白髪交じりのアラフォーの男が答える。
「では、人選はこちらで進めさせて頂きます。
調査期間は往来を含めて1ヶ月半。
現地では滞在1ヶ月―――
護衛や物資は……」
「それもこちらでやるから安心して欲しい。
王室騎士団に伝手があるからな。
補給物資も任せてもらおう」
教授らしき男は書類にサインをすると、
それを伯爵に手渡すと、
「……邪魔したな」
と、その書面を片手に部屋を退室した。
後に残されたアラフィフの男は大きく
ため息をつき、
「『枠外の者』、『新貴族』―――
そのどちらにも顔が利くお方がいったい
何のつもりで……?
いやいや、詮索はやめておこう。
下手に首を突っ込んでにらまれても、
な……」
男はテーブルに向かうと、その依頼の
事務処理に手を付け始めた。
│ ■バクシア国・首都ブラン │
│ ■高級青果店『パッション』 │
「あら?
シモン君、フラール国から荷物が
届いたわよ?」
妹と同じ、銀のロングウェーブの髪を持つ
第三眷属の女性が、恋人である少年に
報告する。
「そうなのか?
それ、俺が見ても大丈夫なヤツ?」
黒髪黒目、褐色肌の少年が忙しなく動きながら
聞き返す。
女神・フィオナがBL文化をこの世界に
持ち込んでおり―――
『男子禁制』の品もある事から、それについて
彼女に確認を促し、
「そうですねえ、う~ん……」
ガサゴソと中身を確認するポーラ。
その中に一通の手紙を見つけ、
「あー、そうですねコレ。
ミイト国のトーリ財閥の姉妹に、ボガッド家から
送ってくれって」
「トーリ財閥っていうと―――
シンデリンさん、ベルティーユさんか。
そっち任せていいか、ポーラ?
俺ちょっと忙しくて」
「わかったわ。
すぐ行くわね」
そう言うと彼女は『自分宛』の分だけ
別に取り置きすると、外出の準備を始めた。
│ ■ミイト国・首都ポルト │
│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷 │
数日後……
ミイト国でも有数の財閥、その屋敷の一つに
ある荷物が届き―――
「私はこのケダモノ一直線の効能を推します。
異論は認めない」
ロングのバイオレットヘアーに、ややトロンとした
目付きの姉と、
「……もともとネーブルお兄ちゃんはクール……
それは魅力を相殺しかねない……
ここはひとつ、最初は嫌がりながらも段々と
快楽に溺れ……
最終的にはおねだりするような効能で……!」
姉と同じ色のロングのストレートヘアーを持つ、
日本人形のように無表情の妹が、熱い議論を
交わしていた。
「わかってないわね、ベルティーユ。
それは魅力を相殺するのではなく、
倍増させるっていうのよ!
さらにいつもより直情的にののしりながら、
と思ったらもう……!」
「……む……
確かにそれはそれで……アリ……
でも私はネーブルお兄ちゃんより年下……
そのお兄ちゃんがおねだりしてくるという
ぎゃっぷは……捨てがたい……!」
お互いに、ふー……と一息付くと姉妹は
周囲を見渡し、
「……大丈夫よね?
ネーブル、今はここには近付かないはずだし」
「……問題無し……
『男子禁制』の荷物が届いた時、
ネーブルお兄ちゃんはいつの間にか
離れているから……」
そこで姉妹はまた互いに向き合い、
「でもこのままでは平行線のようね。
そこで提案なんだけど―――
両方試す、というのは?」
「……それは私も考えていた……
それなら後の問題は、どちらが先か?
という事だけ……!」
そして白熱の議論は続き―――
その次は『どうやって食事に混ぜるか』という
議題に変わっていった。
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家 │
「ただいま戻りましたでしゅ」
「帰ってきたよー!」
コザイ国まで調査に出向いていたナヴィと
カガミは、まず女神であるフィオナにあいさつ
するが、
「あ……お、お疲れ様……です」
一人ゾンビのように疲れ果てたその様を見て、
二人は疑問を呈する。
「いったい何があったんでしゅか?
定期的に連絡は入れていましゅたよね?」
「夜が激しかったとかー?」
赤茶のツインテールの獣人族の少女が、
空気をまったく読まずに問うが、
「そんなんじゃありませんよ!
いや確認はしていましたけど、アタシの
意思じゃないってゆーか!」
「どういう事でしゅか?」
従僕が聞き返すと女神は弱々しく、
「えーと、例のお薬を複製すると、いろいろと
異なった効能が見込める事がわかりまして……
『段々とおねだりするようになる』とか、
『甘えん坊さんになる』とか―――
『ただひたすら求め続ける』とか。
ですから、詳しい報告は後日にして頂けると
助かるなーなんて?」
「ふざけるな、と言いたいところでしゅが……
その様子だと確かに。
仕方ないでしゅね、報告は明日にしましゅ」
ナヴィの言葉にフィオナはホッと一息つくが、
「それでそれで?
複製したらって事は、いったん作ったヤツなら
同じ効能のものが作れるって事なの?」
そこで空気クラッシャーのカガミが質問を続け、
ナヴィに引きずられ、一緒に部屋を出て行った。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6818名―――
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
基本、土曜日の午前1時更新です。
休日のお供にどうぞ。
みなさまのブックマーク・評価・感想を
お待ちしております。
それが何よりのモチベーションアップとなります。
(;・∀・)カクヨムでも書いています。
こちらもよろしくお願いします。
【ゲーセンダンジョン繁盛記】
https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894