10・よっしゃあテンション上がって来た
( ・ω・)キネノベ大賞一次選考通過していたけど、
どの作品かわからない(ノミネートが名前のみ)
日本・とある都心のマンションの一室―――
やや目付きの悪い黒髪セミロングの少女と、
ペットと思しきシルバーの長毛種の猫がくつろぐ。
「そういえばフィオナ様。
今後の事は考えておられますか?」
「え? ナヴィ、何の事?」
毛づくろいをしながらたずねる
お目付け役(猫Ver)に、女神はきょとんと
した声で返す。
「いや、アルプ君と結ばれたんでしょう。
いずれ結婚するわけですし―――
同棲とか考えたら、私と一緒に住む事は
出来なくなりますよ?」
「何で??」
聞き返すフィオナにナヴィは両目を閉じ、
「……いや、普通はそうでしょう。
メイさんだって呼ぶでしょうし、
いくらお目付け役とはいえ、男が一緒の
家にいるのはいろいろとマズいでしょうに」
「あー、そっか……
逆ハーレムとか見ていると、トラブルとか
無さそうなんですけど」
細目でため息をつくお目付け役に女神は、
「何?
『そんな度胸ねーだろ』って心の中で
思っていそうな顔は?」
「すごいですね。
よくわかりましたね(棒」
「もはや隠す気すら!?」
そんなやり取りの後、ナヴィの方から口を開き、
「そういえば、やっとアルプ君とくっついた事に
関しては安心しておりますが―――
メイさんも一緒でいいんですか?
逆ハーレムどころか女性2人って」
「まあアタシも大人になったんですよ。
それに複数の方がいろいろとプレイの幅が
広がったりですねゲヘゲヘゲヘ」
それを聞いた彼はシッポを左右に振り、
そんなお目付け役を見て彼女は、
「何?
『どうせ2人一緒じゃなければ寝室に
入る事も出来ねーんだろ?』って心の中で
思っていそうな顔は?」
「すごいですね。
よくわかりましたね(棒」
「それはもういいんですよ!!
はあ、それじゃそろそろ本編スタートしますね」
│ ■コザイ国・王宮 │
「はー……
やっと帰ってくれたな」
「序列一位の国―――
グレイン国か。
王室騎士団長と伯爵様だっけ?
格というか迫力が違ったな……
まあこれで役目も終わりだ。ホッとしたぜ」
王宮の廊下……
そこを兵士二人が軽口を交わしながら歩く。
「何言ってんだよ。
また来るって話だぞ?
今度は調査隊とか組んで、本格的に―――
だってよ」
「うへえ、何しに来るのかねえ。
連合の中でも1・2を争うこんな弱小国に。
調査したって、グレイン国が欲しがるような
モン、何も無いだろうに」
彼らの話に出て来た二人……
ガルディ騎士団長とマイヤー伯爵がこの国に
来た『本当』理由は明かされておらず―――
遺跡の調査に関しても、極秘では無いにしろ、
末端の兵士までは知らされていないようだった。
「むしろ何かありゃめっけモンだろ。
商売でも何でも、グレイン国と取引きが
出来るってだけで、ウチに取っちゃ御の字
だからな」
「まぁな。
調査隊にしろ、我が国とは比べ物にならない
くらいの、お偉いさんやお金持ちが来るんだ
ろうよ。
せいぜいお金を落としていってもらおう」
「ま、そんな事をしてもらっても―――
俺たちの給料は変わらないんだろうけど」
「違いねぇ。ハッハッハッ!」
国の、それも序列上位国の使者が帰ったという
開放感からか、彼らは最後まで軽口をたたいて
去っていった。
「行ったようでしゅね」
「ん。周りには誰もいないよー」
兵士たちが去った後の廊下に、二つの人影が
降り立つ。
「しかし、拍子抜けするくらいに簡単に潜入
出来ましゅたね。
こりぇならまだ、オリイヴ国の『枠外の者』の
屋敷に忍び込んだ時の方が―――
警戒は厳しかったでしゅよ」
(■6章11話目(第148話)
『どこかで人種を超えた同士が現れた』参照)
「あー、そういえばあそこでナヴィさんと
初めて会ったんだっけ」
銀髪の少女と思える顔の少年に、赤茶の
ツインテールの少女が答える。
「そうでしゅね。
さらわれたと聞いていた人を助けに行ったら、
出来れば連れて帰ってと頼まれたのも初めての
事でしゅたけど」
「もー、ナヴィさんってば記憶力がいいんだから。
そんな昔の事より今のじょーほー!
すり合わせるんでしょ?」
ごまかすように怒るカガミに、ナヴィは言う通り
入手した情報を互いに交換する事にした。
「ふーん。
あの遺跡に、大規模な調査隊を送り込むんだ」
「そうでしゅね。
しょれで『近付かないように』とお願いした
ようでしゅが―――
誰かさんがさっそく破壊しましゅたので。
どうしたものでしゅかね、コレ」
突然厄介ごとが増えたと頭を抱えるナヴィに、
「まー古いし、自然に壊れたって
思うんじゃない?」
「その真っすぐポジティブな思考はある意味
うらやましいでしゅ。
でもそうでしゅね。
彼らもあの奥まで入った形跡は無かった
でしゅし……
そこまで考える事も無いでしゅか」
そう話していると、どこからか足音が聞こえ―――
「誰か来たみたいだよー」
「みたいでしゅね。
では、いったんグレインまで戻りましゅか。
その後は一直線にフラールまで」
その言葉の後、二人の姿はそこで消え……
巡回であろう兵士の姿が見える頃には、
何事も無かったかのように静まり返った。
│ ■アルプの家 │
その頃、フラールのアルプの実家では―――
また女性陣が集まり、
「で、これの効果は?」
「それは、えーと……
『最初は恥ずかしながらも段々とおねだり
していくようになる』だったかと」
ブラウンの髪を首まで伸ばした女性・ミモザは
目にも止まらぬ早さでそれを奪うように手に取る。
説明していた女神は次の、真っ赤な長髪をした
豪商の娘・マルゴットに肩をつかまれ、
「前の薬と言いますか……
それより上、い、いえ。
似通った効能のものは?」
「それならコレ―――
『相手の事など一切考えない、ただ
欲望を満たすためだけになる』のが
この薬で」
彼女はそれを受け取ると、その大きな胸に
埋めるように抱きしめる。
そこに、メイとアルプの母であるソニアが
やって来て、
「これで一通り?」
「出来ればある程度の種類を揃えて、
送ってあげたらと」
二人の言葉に女神はキョトンとして、
「お、送るって……どちらへ?」
「そりゃ第三眷属たるわたくしの姉―――
ポーラ姉さまと」
「あのミイト国のトーリ家の姉妹にも。
せっかく晴れて男女の仲になったのですから、
仲間外れは後で恨まれますわよ?」
姉譲りのシルバーのロングウェーブの長髪を持つ
少女と、一人息子と同じグリーンの髪の女性が、
送り先を説明する。
「そ、そこまでする必要がありますかねえ?」
しどろもどろになるフィオナに、ソニアは
顔を近付けて、
「眷属によって差を付けるのは、良くない
事だと思いますわ、フィオナ様」
「そーだよ、フィオナ様。
これじゃアルプ君とファジー君……
あと身内だけ優遇しているように思われ
ちゃうしさー」
もっともらしい返しに、女神は一応うなずくが、
「で、でもですねぇ~……
複製するだけでも結構疲れるんですよぉ。
しかも今は、効果を確かめながらやってて。
その種類別の複製もやって―――」
それを聞いたソニアは、ふぅ、と一息吐いて、
「……確かに、何かご褒美が無いと張り合いが
無いかも知れません。
では―――
アルプがまだ小さい頃の失敗談とか、
思い出話でも後で」
「お任せください、お義母様!!」
するとマルゴットがミモザに向かい、
「そういえばミモザさん。
ファジーちゃんの小さい頃って?」
「うわあ飛び火しやがった!
ま、まあ?
フィオナ様頑張っているし、少しくらいなら
話してあげても―――」
「よっしゃあテンション上がって来たあぁあ!!
美少年の小さい頃の恥ずかしい話……
ゲットオォオ!!」
と、熱気に包まれる女神を―――
周囲は生暖かい目で見守った。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6797名―――
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