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06・優秀な守り手は優秀な攻め手でもあります

マンガBANG×エイベックス・ピクチャーズ

第一回WEB小説大賞一次選考通過作品。


( ・ω・)初めて何かの選考に引っかかったどー!!

(連載4年目)


日本・とある都心のマンションの一室―――


そのキッチンにて、家主と思われる少女が、

何やら調理器具を前に、ぶつぶつと何か

唱えていた。


「いあ、いあ! はすたあ、はすたあ、

 くふあやく、ぶるぐとむ、ぶぐとらぐるん、

 ぶるぐとむ、あい、あい!」


「おい止めるでしゅ。

 邪神ちゃんならすでに呼び出して

 いるんでしゅから」


銀髪の少年―――

お目付け役(人間Ver)のナヴィが、

後ろからツッコミを入れる。


「邪魔しないでくださいナヴィ。

 これは『アンカー』から得た情報……!


 手作りチョコを湯せんする際にこれを唱え、

 彼に食べさせれば、そのハートはわしづかみって

 ものでさぁね……

 さらに自分に塗りたくれば効果は無限大……!


 リアルイベで『今年のチョコはア・タ・シ♪』

 が出来るこのチャンス、逃してたまりますかっ

 てーの!」


「順調に騙されているようで何よりでしゅが、

 それ以前、もう友達以上恋人未満の関係は

 しゅでに終わっているんでしゅから―――

 それに何の意味が?」


するとフィオナは呪術の儀式のような

動きを止め、その黒髪セミロングの髪を

幽霊のように前に垂らし、


「いやあ……

 ずっとその関係が長かったのと、

 一気に一線を超えた事で、らぶらぶ甘々な

 期間が一切無かったと言いますかぁ~……」


「しょれは薬に頼った時点で自業自得と

 いうものだと思いましゅが。


 いいじゃないでしゅか。

 これから、どんどん仲良くなっていけば」


不満たらたらなフィオナに、ナヴィはあくまでも

冷静に返し―――


「う~……

 でも、お薬使うとアルプ、あんまり

 その時の事覚えていないっぽいんですよね。


 だから何かインパクトのある事で、アタシの

 愛を受け取ってもらえないかと」


そんな女神の前では、チョコという名の物体が

うねうねと触手のように容器からい出しそうに

なっていて、


「その愛が何か新しい生命を生み出そうと

 している事を、まず心配して欲しいでしゅ。

 貴女、食べ物から銃器のみならず、生物兵器を

 作った前科がありましゅし。


 まあそろそろ―――

 本編スタートしましゅよ」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「おはよーございます……」


「おはようさんです」


「あー、だりい……」


昼近くになって―――

女神と第三眷属の妹、そして第二眷属の姉である

三人……

フィオナ・メイ・ミモザはややグロッキーに

なりながらも、ソニアに挨拶する。


「お早うございます。

 フィオナ様、メイさん。ミモザさん」


息子と同じグリーンの髪の彼女は優しく微笑み、


「あれ? アルプは?」


「いませんね……」


「そういや、ファジーの姿も見えねーな」


席に着いて、三人は口々に夫(予定)・恋人を

見回して確認する。


「アルプとファジーちゃんなら先に起きて

 きたので、今は朝のフルーツを代官館まで

 届けに行っています」


「あー、そういえばバーレンシア侯爵様、

 戻って来てましたね」


アルプの母の言葉に、メイが返す。


「どうもすいません~。

 なかなか起き上がる事が出来なくて」


「うぅ、何かジンジンする……

 どことは言わねーけど」


フィオナとミモザはそう言って体を

もじもじさせ―――


「お疲れのようでしたので、起こすに

 しのびなく……


 アルプとファジーちゃんもちょっと

 だるそうにしていましたが。


 やっぱり男の子ですね、少し休んだら

 すぐ元気になりましたわ」


「いやーすごいッスねー」


「まあ若いと回復が早いって言いますから……」


アルプの妻(予定)であるフィオナとメイは、

上半身をテーブルの上に突っ伏して、


「ていうかね?

 何でファジーにまであのクスリ飲ませるん

 ですかね?


 アタイらは関係無いと思うんですけど」


ミモザは背もたれに背中を預け、二人とは

対照的に天井を見上げる。


「え、だって―――

 何かフィオナ様もメイさんもたんぱくって

 いうか、大人し過ぎると思いまして。


 私と夫が恋人同士になった時なんて、

 考える時間も乾く間もなく」


「いや生々(なまなま)しい生々(なまなま)しい」


「薬使って獣に変身したアルプさんも嫌いじゃ

 ないですけど、もうちょっと加減というものを」


義母(予定)の言葉に彼女たちは反発し、


「いやだからアタイは関係無いよね?」


続いてミモザも抗議の声を上げる。


やがて女神と少女はゆっくりと上半身を

起こすと、


「そ、それでぇ~……

 お義母様かあさまの場合はさぞすごかったんで

 しょうねえ?」


「アルプさんの父親ですものねえ。

 さぞかし体力とか」


二人が反撃の狼煙を上げようと―――

逆にソニアに聞き返すが、彼女はんー、と

過去を思い出すように首を傾げて、


「そうですねえ。

 初めての時はまだ二人とも10代

 でしたけど……


 余裕で10回20回は。

 アルプくらい若ければ、もっといっていたかも

 知れません」


その言葉に、フィオナとメイは再び

撃沈したように身を沈める。


「に、人間かアルプ……!?」


「良かったあ、フィオナ様と一緒で。

 わたくし1人じゃ絶対身が持ちませんよぉ……」


その光景を見せつけられていたミモザは、

頭を振って、


「えーと、ソニアさん。


 そっちはアルプさんが関わっているから

 いいとして……

 アタイにまで使う必要ってありませんよね?

 いや、アルプさんだから使っていいって話でも

 無いような気がするんですがそこはもう関わり

 たくないってゆーか」


片手を挙げておずおずと語る彼女に、

フィオナ&メイは視線を向けて、


「まあ確かに……

 ファジー君にアレ使っても、

 アグレッシヴビーストモードになる

 イメージが予想出来ないし」


「基本、大人しいもんね。

 ミモザさん主導でしょ? やっぱ」


二人は助け船を出すように、薬に対して消極的な

意見を出すが、


「甘いですわ……


 あの子は誘い受け、もとい受け身では

 あると思いますけど―――


 優秀な守り手は優秀な攻め手でもありますのよ」


ソニアの指摘にミモザは泣き笑いの表情に

なって、


「だ・か・ら!

 それがイヤって言ってるんですー!!


 いきなり両手で頭つかんで乱暴に

 来た日にゃ……!」


すると他の女性陣三人の注目がミモザに集まり、


「来た日にゃ?」


「日にゃ?」


フィオナとメイは猫の目のように縦線の瞳に

なって問い、


「まあ、強引ですのね♪


 ……来た日にゃ、どうなりました?」


ミモザは顔を赤くして横を向き、


「来た日にゃ、そ、その……


 頭が真っ白になったっていうか、

 飛ぶっていうか」


その後は彼女を他の三名が囲い―――

根掘り葉掘り聞く事になった。




│ ■フラール国・バクシア国代官館(改3) │




「はっ、くしゅーん!!」


「クチュンッ!!」


同じ頃、バーレンシア侯爵に果物を届けにいった

アルプとファジーは、同時にくしゃみをし、


「大丈夫かい?

 風邪かなあ、暖かくなってきたのに」


頬にクロスの傷を持つ侯爵が、心配そうに

少年たちにたずねる。


「い、いえごめんなさい」


「自分でもビックリした……!

 し、失礼しました」


髪と瞳がグリーンの第一眷属の少年と、

姉と同じブラウンの短髪を持つ少年は、

二人して頭を下げる。


「そういえば、シッカ伯爵令嬢様も

 来ていらっしゃると聞いたんですけど」


アルプが話題を変えようと話を振ると、


「んー、何か起きて来ないんだよね。

 まあ彼女も違う土地に来たばかりだし、

 疲れたのかも。


 僕はフラールで代官やってて長いから、

 慣れてるけどね」


侯爵はお茶を口に運びながら、彼の質問に

答える。


「そういえばボクも、いつの間にか

 寝入ってしまって……

 記憶が飛んでいるっていうか、

 夢も見ないほど寝ちゃっている事が」


「そうなのかい?

 何か僕も、今日起きた時はそんな感じ

 だったんだよねえ。


 体も妙にだるいし疲れが取れていないしで……

 体調には気を付けないと」


実はシッカ伯爵令嬢も例の薬を使い、

しっかりとその洗礼を受けていたのだが……

その事を男性陣が知る由も無かった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6752名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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