37・しまったこのコも変態だという事を忘れていた
( ・ω・)最後の話は考えてある
(かも知れない)
天界、フィオナの実家―――
そこでやや気の強そうな目をした黒髪セミロングの
少女と、
娘と同じ黒髪・褐色肌の青年、
ブロンドの長髪にモデルのようなプロポーションの
女神が一堂に会していた。
「そういえばアルフリーダ様。
ユニシス様を天界へ受け入れた際はどのように
なさったのでしゅか?」
そこへシルバーの短髪をした、目鼻立ちが整った
美少年……
従僕であるナヴィがお茶を用意して姿を現す。
「パパの同意を得て、天界に一緒に来て―――
そのまま結婚だったかしら。
その時のパパ、私の加護もあったからか、
すでに軍神としての実力もあったしね」
お茶請けのお菓子を口にしながら、母である
女神が答える。
「しかし、何と言うか気が抜けたなあ。
ホッとしたのと、寂しくなるのと―――
どっちつかずの気持ちに」
「私としましてもようやくと言うか、
一段落ついたような気分でしゅ」
ユニシスとナヴィがお茶を飲みながら話すと、
「何言ってるの、パパ。
アルプ君を天界に迎え入れなきゃいけないん
ですから、これからですよ?」
「そーですよ!
それでママ、ママと結婚した時、パパは
何才くらいだったんですか?」
きゃあきゃあと母娘で盛り上がるのを、
父と従僕は眺めていて―――
ふと彼らは互いに顔を見合わせて、
「ユニシス様。
今、『手のかかる娘が嫁に行った気持ち』に
なっていませんでしゅたか?」
「ナヴィ、今お前―――
『手のかかる姉が嫁に行った弟の気持ち』
だったんじゃないか?」
男性陣はフッ、と苦笑すると、
「それじゃそろそろ―――」
「本編スタートしましゅか」
│ ■グレイン国・王宮中庭施設 │
│ ■バーレンシア侯爵一行宿泊部屋 │
「んー、見事に別れたねえ」
「1対1の総当たり戦とは聞いていましたが、
まさかここまでとは」
頬にクロスの傷のある侯爵と―――
ブロンドの女性騎士といった体の伯爵が、
一緒になって書面をのぞき込む。
「このまま行くと準決勝で私は、
バーレンシア侯爵様と当たりますね」
「ネーブルさんはもう1つの区分ですから……
こちらは準決勝でシッカ伯爵令嬢様と」
年齢より若く見える、シルバーの短髪の伯爵と、
真っ赤な長髪を持つ豪商の娘が隣り合って語る。
「私は一回戦目で、あのバスタ騎士団副団長様と、
ですか」
「思う存分八つ裂きにしてあげなさい」
「……手加減、無用……」
一方で、黒髪黒目の従僕の少年は―――
自分の主人であるトーリ財閥のパープルヘアーの
姉妹に挟まれながら、
「いやただの大会だからな、コレ?」
「一度愛する彼に因縁付けられているから……
わからなくも無いですけど」
銀のロングウェーブの第三眷属の少女が、
しっかりと褐色肌の少年の片腕に抱き着くように
して話す。
「まあしゃーないよ。
アタイだってファジーに何かされたら
キレるし」
「ミ、ミモザ姉っ」
第二眷属を弟に持つ姉が、彼女と同じブラウンの
髪を持つ彼を後ろから抱きしめ、
「それはアタシも同意するわー」
「人の夫(予定)に手ェ出したら―――
妻(予定)としちゃそりゃあねえ?」
「あ、あの……
フィオナ様、メイさん。
ずっとくっつき過ぎでは」
グリーンの瞳と髪の第一眷属の少年の両側で、
彼の腕にしがみ付くようにして、女神と第三眷属の
妹がべったりと離れず―――
そこで唯一、カップルではない従僕と
赤茶のツインテールの獣人族の少女が、
「ふーみゅ。
見事なまでのラブラブ空間が出来上がり
ましゅたねえ」
「人間も発情期ってあるんだねー(棒」
その言葉に、誰からともなく室内のカップルたちは
姿勢を正す。
「ままままあ、それはともかく!
剣闘会でアタシたち一行の力を示せば、
『枠外の者』・『新貴族』に一泡吹かせられる
ってぇワケですよ!」
女神が慌てて話をはぐらかす。
「そ、そうだね。
とにかく当面の目標は剣闘会で良い成績を
出す事だから……」
「え、ええ。
期日も迫っておりますし―――
模擬戦はもういいのでは」
バーレンシア侯爵とシッカ伯爵令嬢がコホンと
咳払いし、
「もう明日ですよ。
それなら、もう打ち合いは止めにして、
各自調整しておきましょう」
「それがいいと思います。
ケガでもしたらコトですから」
ビューワー伯爵とマルゴットが、それに同意する。
「そうですね。
それに、女神様のお父上様にして頂いた以上の
模擬戦が出来るとは……」
「軍神、ですからね」
「……後は自主練習で……」
ネーブルの後に、彼の主人であるシンデリンと
ベルティーユが続く。
そしてそれぞれが一礼すると、自分の彼氏の―――
あるいは彼女の、または一緒に泊まっていた部屋へと
移動して、
「じゃあシモン君、わたしたちは―――
部屋で果実の在庫確認でも」
「ン? 別に確認するほどの量は……
わわ、わかった! 行くって!」
シモンはポーラに引きずられるようにして
彼女の部屋へ連行され、
「アタイらはちょっとひと眠りするかあ。
起きたら厨房の手伝いに行こうぜ」
「そうだね、ミモザ姉」
ミモザは弟のファジーを連れて、訪問客用の
一室へと戻っていった。
「じゃあアルプ君……♪
昨日はお疲れだったみたいだし……」
「わたくしたちが癒して差し上げますわぁ♪」
「??
え? あ、はい」
アルプは両腕をガッチリとホールドした
フィオナとメイにお持ち帰りされ、
後に残されたのは、非カップルのナヴィと
カガミ―――
「どーするナヴィ様?
発情中ならここにお相手がいますけど?」
「ちにぇ♪」
「ドストレート死亡要求!?」
お約束のやり取りをしてから、従僕はため息を
ついて、
「まあ冗談はともかくとして……
あのバカップルどもを見張りましゅよ」
「お?
のぞき見とはなかなかいい趣味ですね旦那。
それならカガミにお任せあれ!
気配の消し方や音を立てない移動の仕方とか」
話の途中でナヴィはアイアンクローのように、
カガミの顔面をつかむ。
「そういうカガミしゃんのような人たちから、
あのバカップルを守ろうという事でしゅ。
おわかり頂けましゅたか?」
「お、おぉお……♪
リオネル兄やキーラ兄はこういう乱暴なやり方、
してくれた事ないからすごく新鮮……♪」
「しまったこのコも変態だという事を忘れて
いたでしゅ。
とまあそういう事でしゅので―――
パトロールに行きましゅよ」
そして彼らはカップルたちの平穏を守り……
剣闘会の日を迎えた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6493名―――
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