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35・その反応どうなんですかー?

( ・ω・)ユニーク数に若干の伸びが(感謝)


天界、フィオナの実家―――


そこにいるのは住人である少女と、ペットと

思しき長毛種の猫。


そして……


『俺の方が活躍した!』


オロカナ事ヲ……

 アルジへの貢献ハソノ大小デハナイトイウ事ガ

 ワカラナイノカ」


筒状の金属製の兵器と、葉を放射状に

鳥のクチバシのようにさせ―――

枝葉を四肢のようにした異形の植物が

対峙する。


「何をやっているんですか、あれは?」


猫Verの従僕、ナヴィの質問に……

黒髪セミロングの女神は困惑しながら、


「いえ、あの二つはアタシが生み出した

 ものですけど―――


 ぱんつぁーふぁうすとさんの方は『神器』、

 パックさんの方は『神樹』となって、

 天界入りを果たしたのですが。


 どちらが『ご主人様』のために役立ったのかと、

 口論になりまして」


「止めろよ」


「だから0.5秒で超ストレート正論

 止めてください!

 出来るものならやってます!


 こういう時に限ってパパもママも出掛けて

 いますし、ああもうっ」


主従の争いをよそに、無機物と植物の争いは

続き―――


『俺はあの坊主をおとこにしたんだ!

 祖国を救った英雄として……!

 お前はどう、主のためになったというんだ!?』


「我ガ主ハソノヨウナ事ニコダワッテオラレヌ。

 真正面カラ立チ向カウ事モ確ニ大事ダガ……


 清濁併セイダクアワセ持ツ事モ教エネバ、

 今後、サラナル強敵トノ戦イニツイテハ

 イケヌ……!」


それを見ていたフィオナとナヴィは、


「どうなんでしょうねコレ。

 どちらもそれなりに、言っている事は

 まともに聞こえるので……」


「まあ止めるだけなら簡単ですけどね」


「ホント!?」


目を丸くして驚く女神を置いて、シルバーの

長毛種の猫が人外二つに近付き―――


「お2人は、アルプ君とファジー君を

 主と認めているんですよね?」


『そうだ! 俺を初めて装備した坊主だからな』


「ソレガドウカシタカ?」


ぱんつぁーふぁうすととパックがほぼ同時に

答えると、


「そして、彼らは2人ともフィオナ様の

 第一眷属と第二眷属です。


 そんな彼らが、あなた方が争っていると

 聞いたら、どう思いますか?」


ナヴィの言葉に、二つの人外は考え込み、


『そ、そりゃあ……』


「……スマヌ。

 我ラガ間違ッテイタヨウダ」


素直に矛を収め、争いは終了する。

そこで女神がずいっ、と出てきて、


「そーですよそれにですねー。

 眷属たちが悲しんだら、アタシだって

 悲しいわけです!!」


それに対しぱんつぁーふぁうすととパックは、


『…………』

「…………」


「何ですかーそのアタシに対しては、

 『割とどうでもいい』みたいなリアクションは」


「フィオナ様がオチとしての役目を全うしたようで

 何よりです。


 それではそろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■グレイン国・王宮中庭施設   │

│ ■訓練・練習場         │




「……何だ、あれは」


「格が違う、などというものではありませんね。


 バスタ騎士団副団長の言―――

 何をおおげさな、と思っておりましたが」


大勢のギャラリーで沸き立つ中―――

その人混みに混じって、マイヤー伯爵と

ガルディ王室騎士団長は、ある人物の対戦を

見つめていた。


「剣とは、技とは……

 ああまでなるものなのですか」


観客となった人々の前で模擬戦を行って

いるのは、フィオナの父・ユニシスと、

トーリ財閥の従者の少年・ネーブル。


その前にビューワー伯爵相手の対戦も行われて

いたが、彼らはそれには間に合わず―――


「欲を言えばバーレンシア侯爵様との一戦も

 見ておきたかったが」


「誰が相手でも一緒でしょうね。


 それどころか、百人千人で立ち向かっても、

 勝てる手が想定すら出来ない」


その痩せた頬を撫でながら伯爵は語り、

桜色の短髪の騎士は、鋭い眼光の表情に

汗を一筋浮かべる。


「お2人にそこまで言わせるとは……

 やはり別格なのですね」


金のエアリーヘアーの副騎士団長も、その評価に

同調し―――

三人は最後まで眼前の試合に釘付けになっていた。




「いい勉強になりましたよ」


「世の中とは広いものですね……」


模擬戦の檀上だんじょうで、まずはフォックスタイプの

眼鏡をかけた侯爵と、ホワイトシルバーの短髪の

伯爵、貴族二名が会釈えしゃくし、


「あ、ありがとうございましたっ」


最後に戦った―――

この世界では珍しい、黒髪黒目の少年が

頭を下げる。


「ははは、僕もいい経験になったよ。


 それに何より、妻と娘の前だったのでね。

 格好悪いところは見せらなかったから」


まだ十代後半に見える褐色肌の青年は、

にこやかに笑いながら挨拶を返し、


「パパー、格好良かったわよ~!

 惚れ直しちゃった♪」


「そこの人たちって―――

 ホントにすごく強いんですよ!?

 さすがパパです!!」


そこへ豊満な胸に腰のくびれを併せ持った、

モデル級の長身のブロンドの妻と、


父譲りのセミロングの黒髪を持つ娘が、

夫と父親の健闘を称える。


そしてフィオナ一行は、施設内に割り当てられた

部屋へと戻っていった。




│ ■グレイン国・王宮中庭施設   │

│ ■バーレンシア侯爵一行宿泊部屋 │




「いやー、盛り上がりすごかったな」


「あんなに人が集まるなんて……

 でも、それだけすごい模擬戦だったのでしょう」


「ボクには試合を見ていても何が何だか……

 ただ、スゴいって事だけはわかりました」


青果店の跡取りと、丸いグリーン・アイを持つ

第一眷属、そしてブラウンの短髪の第二眷属の

少年たちが、模擬戦の感想を語り合う。


「イベントとしては、これ以上無い前宣伝に

 なったんじゃないかしら」


「わたくしも同感ですわ、ポーラ姉さま」


銀のロングウェーブの髪の姉妹も続き、


「シッカ様はどうして、お手合わせなさらなかった

 のですか?」


「わたくしごときでは、とてもとても」


真っ赤なロングヘアーの豪商の娘の問いに、

レイシェンは首を左右に振って答える。


「ネーブルが敵わなかったシッカ伯爵令嬢様が

 そう言うんですから……」


「……強過ぎる……

 ネーブルお兄ちゃんが負けて悔しい、

 という感情すら……」


同じパープルの髪を持つ財閥の姉妹も、

その実力差に感心を通り越していた。


「カガミもムリ。本能的にムリ。

 虫が熊と全力でやり合うくらいムリ」


「まあ例えはともかく、戦力比としては

 合っていると思いましゅ」


赤茶をツインテールにした獣人族の少女も、

その実力差に身震いし、銀髪の女神の従僕が

それに同意する。


「じゃあママ―――

 僕たちはこの辺で失礼する事にしようか」


「そうね。

 あまりこの世界に滞在し過ぎると、また役所に

 怒られちゃうかも知れないし。


 じゃあフィオナちゃん、またね♪

 きちんと他の人たちの言う事を聞くのよ?」


「もー、子供じゃないんですから!」


神の家族、両親と娘が別れの挨拶に入ると、

戦った三人の男性陣から改めて、


「今度来る時は―――

 もっとごゆっくり」


「次にお会いするまで、もう何手かもつように

 精進いたします」


「私も頑張って修行しますね!」


それに対し、軍神・ユニシスは微笑むと、


「……アルプ君」


第一眷属の少年の前に、彼はずい、と歩み出て、


「まあその、何だ。

 フィオナの事をよろしく頼むよ。


 僕が妻と一緒になった時も、ちょうど君と

 同じくらいの年だったし―――


 あと、メイさんも縁があって一緒になるん

 だったら、彼女も大切にしてあげるように」


いくら恋愛事情にうといとはいえ、ここまで

言われれば彼も理解し、


「い、いえ。

 お許し頂けるのであればっ」


少年が顔を真っ赤にした事で、ここで

ようやく彼とフィオナは、相思相愛で

あった事に気付く。


「しょしょ、しょれではあ~。

 ふ、不束者ふつつかものですけれど」


女神の少女もまた、顔を赤くして答え、


「しっかし母親の私が言うのも何だけど、

 よく貰ってくれたわー。

 もう感謝しかないわよ。


 苦労するでしょうけど、その時は私や

 パパにも頼ってねー」


アルフリーダが場を和ますためか、

くだけた感じで接するが、


「いえ、いずれ僕の方から告白しようと

 思っていたので……


 『枠外の者』や『新貴族』との戦いが

 一段落したら、自分からフィオナ様にその、

 想いを伝えようと考えておりました」


「……………………


 ……………………えっ?(迫真)」


アルプの言葉を聞いて、長い沈黙の後―――

目を点にして驚く女神に、


「ちょっとぉーママー?

 実の母親としてその反応どうなんですかー?」


「はいじゃあ家族漫才もほどほどにしゅて、

 お帰りくださいましぇ」


ナヴィは神の男女の背中をぐいぐいと押し、

さらにその背後から娘の女神が追及する様を、

この世界の人間たちは困惑しながら見送った。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6481名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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