表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
239/402

27・ほんらいのもくてきはそーゆーこと

( ・ω・)今年の夏休みは9月以降に取ろうと

決心(会社の方が涼しいから)


日本・とある都心のマンションの一室―――


そこに二人の少女と、ペットと思しき銀の

長毛をした猫が一匹。


カーペットに座ってくつろいでいた。


「さて本日は4人目のゲスト―――」


「本日はこの方!

 悪霊ちゃんです!」


女神のお目付け役(猫Ver)と、彼の主筋である

黒髪セミロングにして、やや目付きの鋭い少女が、

司会者のように元気よく声を出す。


「ん……と。


 確かあたくしたちが働いているお店―――

 その状況を知りたい、という事でしたね?」


見事な黒髪を後ろで結んでポニーテールにした、

和風の人形のような表情の彼女は、その和装に

ふさわしい、りんとした態度で口を開く。


「まあまあ。

 ママも気になっているところでして」


「何だかんだ言って、面倒見いいですからね。

 アルフリーダ様は」


フィオナとナヴィが先を促し、悪霊は少し考え、


「店の状況としましては……


 やはり和風イベントとか、着物週間とかに

 重宝されておりますね。


 それ目当てで来てくださるお客様も

 いるくらいでして―――」


それを聞いてウンウン、と、主従揃ってうなずく。


「おおー、いいじゃないですか」


「店に貢献も出来ていますし、

 まさに悪霊あなたの仕事にピッタリな」


彼らの言葉に、悪霊はポリポリと頬をかいて、


「まあ、確かにあたくしに取っては適材適所だと

 思うのですけれど」


歯切れの悪い答えに、フィオナとナヴィは

首を傾げ、


「?? 何か問題でも?」


「お客さんですか?

 それともお店に―――」


すると彼女は首を軽く左右に振って、


「いえ、お店もお客様も問題があるというわけでは

 ありません。


 ですが、その……」


言いにくそうにしながらも、意を決したように

対面の一人と一匹に向き直り、


「お、お客様の中にですね。

 かなりお年を召された方が多くて……


 あたくし、古い作法やマナーを知って

 おりますし―――

 この国で結構長く過ごしておりましたから。


 『婆さんの若い頃にそっくりじゃ』

 『今時、よう作法を心得ておるのう』

 って、懐かしがられまして」


うーむ、とフィオナとナヴィはうなり、


「そんなに年配の人って来ます?」


「結構敷居が高いと思うのですが」


その質問に、悪霊は少し困った顔になって、


「お客様の中に、その方のお孫さんが

 いたらしく―――


 写真も撮っていかれるので、それで

 お孫さん同伴であたくしに会いに来られた

 ようです」


その答えに、主従の一人と一匹は納得した

面持ちで、


「あー、なるほど。

 悪霊ちゃん、写真写りもすごく良さげだし」


「この国では古風な美人、という事になるでしょう

 からね。

 時代劇のヒロインのような……


 それはそれとして、そろそろ本編スタート

 しましょうか」




│ ■グレイン国・王宮中庭施設   │

│ ■バーレンシア侯爵一行宿泊部屋 │




「ただいまー」


「今、戻りました」


青みがかった短髪に、頬にクロスの傷を持つ

特徴的な外見の侯爵と―――

実年齢より十才は下に見える、シルバーの

短髪をした伯爵青年があいさつしながら部屋に

入ってきた。


「何か、国を挙げての一大イベントに

 なりそうですわね」


「序列一位の国ですからね。

 規模も何もかも違うでしょう」


ロングストレートの金髪をした、女性騎士といった

風体の伯爵令嬢と、黒髪黒目の従者の少年も―――

それまでの経緯を説明するように語る。


「お帰りなさいませネーブル様」


「……食事にする……?

 ……お風呂にする……?

 それとも……♪」


同じロングのバイオレットヘアーを持つ姉妹が、

自分たちの従者である少年にまとわりつく。


「えーあーじゃれつくのはですねー。

 ヨソでやってもらっていいですか?」


女神・フィオナがその光景にツッコミを入れ、


「一応これから情報共有するんでぇ~」


第三眷属の妹であるメイが続き、


「『リア充うらやましいねたましい』でしゅね

 わかります」


シルバーの短髪の女神の従者が、彼女たちの

心の声を代弁し―――

その場は一応落ち着いた。




「で?

 その剣闘会とやらはいつからやるのー?」


獣人族の少女・カガミの質問で、情報共有は

スタートした。


「あくまでも余興なので、1週間後と言って

 いたかな」


「それが成功すれば―――

 後々に本格的な大会を開く、という事

 らしいです」


バーレンシア侯爵とビューワー伯爵が、交互に

状況を説明する。


「そこの剣士のおねーさんも出るの?」


赤茶のツインテールをした少女が、八重歯を

光らせて続けてたずねる。


「男女別とは聞いていません。

 そもそも、女性の出場者自体少ないでしょうし」


「身分も問わずって事ですから……

 無差別の試合になるでしょうね」


レイシェン・シッカ伯爵令嬢が答え、トーリ財閥の

従者であるネーブルが補足する。


「でも1週間後ですか。

 ビミョーに時間が空きますね」


「まあ監禁されているわけでもなし―――

 本来の目的である『枠外の者』・『新貴族』に

 対し、勢力を削ぐ……

 もしくは動きをけん制しゅる、その調査や準備に

 あてるのもいいのではないかと思いましゅ」


女神に続いて、その従僕が話すが、フィオナは

目をパチクリさせて、


「そーそーほんらいのもくてきはそーゆーこと

 でしたからー」


「絶対素で忘れていたでしゅね。


 まあ、実際にどう行動するまでは具体的に

 詰められていなかったので―――

 気にしても仕方なかったという事は

 ありましゅけど」


フィオナとナヴィの会話を聞いて、トーリ財閥の

姉妹は、


「取り敢えず私たちは、グレイン国の財閥の

 拠点に行って―――

 あの例の装置を使った商売の準備を進めたいと

 思います」


「……モデルも用意出来れば……


 『枠外の者』でも『新貴族』でも……

 味方に引き入れる用意は……ある……!


 女性限定で……!!」


7章に出て来た、ピンホールカメラの原理を

使用した装置を使った絵は、すでに各国で

高い人気を博しており、


そして『女性限定』の絵は……

裏で凄まじい高値、そして人脈をも形成していた。


「じゃあ、眷属組が帰ってきて彼らとも

 情報共有をしたら―――


 僕とバートレット君、レイシェンさんは

 グレイン国の貴族のあいさつ回りに行こうか。


 グレイシア王妃様には御目通りしたわけだし、

 この国で顔を広げておいて損は無いと思う」


侯爵の提案に、ビューワー伯爵とシッカ伯爵令嬢は

同時にコクリとうなずく。


「みなさんすごいでしゅねえ。

 本来いろいろと動かなければならないどこかの

 女神と違って」


「アタシはなるべく人間の世界に介入しないように

 しているんですー!! ですー!!」


周囲は女神の主従の会話にどう対応したらいいか

わからず、戸惑っていると、


(「まあ久しぶりに『アンカー』でも頼ってみたら

 どうでしゅか?


 今後の方針とかどう動けるか、後言い訳とか

 いろいろ」)


小声で語り掛けるナヴィに、フィオナは真面目な

表情を作って、


「では―――

 アタシも何が出来るか、少し考えてみます」


こうしてフィオナは地球、自分の部屋へ

意識をダイブさせ―――

PCから回線へと繋げた。




【 おー、おひさー 】


【 実に三ヶ月ぶりくらいか 】


【 そーいや、結局手繋げるくらいは

 出来たん? 】


(■8章13話目

フィオナはスルースキルをおぼえた! 参照)



「おかげさまでー♪

 それじゃ今日はこの辺でー♪」


いきなり古傷をえぐるような指摘に、彼女は

即座に回線を切ろうとするが、



【 待て待てw 】


【 つーかこのまま帰ったら、ナヴィさんに

 叱られるだろ 】


【 まずは状況から教えてくれへん? 】



『アンカー』たちになだめられ―――

フィオナは説明し始めた。



【 剣闘会……

 今そんな流れになってんのかー 】


【 しかし、今後の方針っつーか考えねえ 】


【 またフワフワした相談だなあ 】



つかみどころの無い話に、『アンカー』たちは

呆れる様子を見せる。



「いえそれはわかっているんですよ。

 でも、この状況下でアタシだけ何もしないって

 いうのも何だかなーって事で」



【 まあポーズだけでも見せておくのは

 重要だわな 】


【 でも人間世界にあまり介入しちゃ

 ダメって設定なんだろ? 】


【 そーなるとなあ…… 】



これといった意見が出て来ない中、一人の

『アンカー』が、



【 つか、別行動取るってメンバーも

 いるんだろ? ならさ…… 】



その発言に、フィオナと他の『アンカー』たちが

注目した―――




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6400名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ