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22・いろいろ、もろもろは死守いたしますわ

( ・ω・)仕事でもプロットとかふわふわした設定を

まとめるのが苦手(シナリオに向いてない)


日本・とある都心のマンションの一室―――


黒髪セミロングのやや気の強そうな目鼻立ちの

少女が、イスに腰かけPCとにらめっこしている

中、ペットと思しき一匹の猫が、同じ机の上で

毛づくろいしていた。


「んん~……

 最近、PCの警告メッセージが多くなって

 きましたね」


「??

 ウイルス対策ソフトとか入れているでしょう?

 また海外のいかがわしいサイトとか見ていたん

 ですか?」


女神の独り言のような言葉に―――

お目付け役(猫Ver)がすかさずツッコミを

入れる。


「『また』って何ですか『また』って。

 ヤバかったのはもう2ヶ月くらい前の

 話ですよ」


「否定しろや。


 それで、どのような警告が出るんですか?」


一緒に画面をのぞき込む一人と一匹。

そこには―――


「HD容量の空きが無くなってきています……

 ふーん、こんなの出るんですか」


「そうなのよ。

 だから今、余計なデータとかを整理しているの」


カタカタとキーボードを叩くフィオナ。


「それなら―――

 フィオナ様が保存している、いかがわしい

 画像や動画などを処分すれば」


「何でアタシ(イコール)いかがわしいなのよ。

 そのデータならとっくに別HDDに避難させて

 あるから」


「そこだけはブレませんね。

 でも、それならどうしてそこまで容量が?」


少しのやり取りの後、首を傾げるナヴィに

主筋の女神は、


「もしかしたら―――

 猫画像や猫動画を集めているから、それで

 圧迫しているのかも……」


「それは、何と言いますか。


 動物好きなのは別によろしいのですが、

 そこまで猫好きでしたっけ? フィオナ様」


元猫の彼としては、それを集める事自体に

否定的にはなれず―――

意図を聞いてみる。


「いや、まあ、そりゃあね。

 だってナヴィがいるんだし……」


「それは従僕冥利(みょうり)に尽きますが。

 しかし、それで空き容量を圧迫するほどまでと

 いうのは」


それでもたしなめる従僕に女神は、


「それがねナヴィという美少年になれる猫が現実に

 こうしているわけじゃないそれでねいつの間にか

 猫からこういう美少年にチェンジ出来るって

 思いついたら予想以上に妄想がはかどるって

 いうかハァハァ」


「早めの受診をオススメいたします。

 早期発見が貴女を救うのです。


 オチがついたところで―――

 そろそろ本編スタートしましょう」




│ ■グレイン国・王宮中庭施設   │

│ ■バーレンシア侯爵一行宿泊部屋 │




「では行ってきます」


頬にクロスの傷を持つ―――

青みがかった短髪の侯爵が片手を挙げる。


「フィオナ様とナヴィ様はお部屋でお待ちを」


「まあ、ここは安全だと思いますが」


シルバーの短髪に細身のモデルを思わせる

青年伯爵と、


金髪ロングの、いかにもな女性騎士といった

伯爵令嬢が続く。


「シンデリン様もベルティーユ様も、

 大人しくしていてくださいね」


黒髪黒目の―――

従者である少年が、主人である姉妹に声をかける。


「わかってるわよ」


「……ん……

 子供扱い……し過ぎ……」


やや垂れ目の姉と、ビスクドールのような

無表情の美しさを持つ妹―――

ロングのバイオレットヘアーを持つ、

トーリ財閥の二人が見送る。


「騎士団と初顔合わせ……

 剣闘会に出場するメンバーで、か」


「あの騎士団副団長のような事は起きないで

 しょうが、そちらもお気をつけて」


バクシアの果実店の跡取り息子と、

フラールの豪商の娘が揃って、過去の経緯も

踏まえて注意する。


不意に、ネーブルが第一眷属と第二眷属の

少年の方を向いて、


「アルプさん、ファジーさんもお気をつけて」


そこでグリーンの短髪をした一重の、丸目の

少年と―――

ブラウンの短髪をした、気弱そうな少し

垂れ目がちの少年が首を傾げ、


「こちらはナヴィ様もおりますし」


「そうそう危険な事は無いかと思いますけど」


その二人に代わって―――

握りこぶしを作る、シルバーのロングウェーブの

髪の姉妹が、


「お任せください!」


「この2人の―――

 いろいろ、もろもろは死守いたしますわ!」


妙に気合いの入ったメイとポーラを見て、

赤茶のツインテールをした少女が、


「別に戦う必要は無いんじゃないのー?


 いいじゃん、洗濯してもらえるのなら

 それでー」


獣人族特有の、八重歯にも似た牙をのぞかせて

にこやかに笑う。


「いったい何が始まるんでしゅ?」


「女の戦いよ……!」


最後に女神の主従が剣闘会出場組を見送り―――

フィオナ一行は二手に別れた。




│ ■グレイン国・王宮中庭   │




「おお、久しぶりだね。

 バーレンシア侯爵様」


「あなたは―――


 お久しぶりです、マイヤー伯爵殿。

 フラール国以来でしょうか」


そこには白髪の目立つ、やや痩せ過ぎとも思える

頬をした、アラフォーの男がいた。


顔とは対照的に筋肉質の体をしており、

貴族というより武人を思わせる。


「おお、見知っておったか。


 となると初めて顔を会わせるのは―――

 アイリ・ガルディ騎士団長だけになるな」


その豊かなボリュームのある黒髪を揺らしながら、

一段上でグレイシア王妃が語る。


その視線の先には……

金色の髪をエアリーにまとめた青年、

バスタ騎士団副団長と、


その彼と同じくらいの、180cmほどの

身長に、ピンクに似た白い短髪―――


軽めの副団長とは真逆の、眼光鋭い青年が

立っていた。


「アイリ・ガルディ―――

 グレイン国・王室騎士団の団長を務めさせて

 頂いております。


 どうかお見知りおきを」


一礼すると、バスタもつられるように頭を

下げる。


「ところでアイリ騎士団長。


 あの少年が、副団長と互角以上に戦った

 ネーブルという平民だが―――」


「フム、平民ですか。

 しかし将来有望ですね。


 君、大きくなったら騎士団に興味は

 無いかな?」


そこで王妃様がクスクスと笑い、


「わらわの目の前で引き抜きは止めい。


 とは言え―――

 騎士団長のお眼鏡に叶ったという事か?」


「ははは、そうですね。

 バスタに膝をつかせたという実力は

 本物でしょう」


そこで、ビクッと揺れるように―――

バーレンシア侯爵とビューワー伯爵が身構えた。


「…………」


「……む」


侯爵の視線の先には騎士団長が―――

伯爵の目にはマイヤー伯爵がおり、


「侯爵様?」


「ど、どうかしましたか?」


レイシェンとネーブルが心配して声を発する。


「……三度、ですか?」


バーレンシアの問いに、ガルディはコクリと

うなずき、


「確かに三度、でした」


王妃や取り巻きの侍女、女性騎士は何が何やら

わからず、顔を右往左往させる。


「何ゆえ、仕掛けられました?」


「ははは、年寄りのたわむれゆえ、許せ」


バートレットとマイヤーの会話が終わると、


「??

 いったい何があったのじゃ?」


グレイシア王妃が問うと、騎士団長と

グレインの伯爵は、


「ちょっとまあ―――

 心の中で『仕掛けて』みたのですよ。


 三回とも防がれましたが」


「さすがは『バクシアの鬼神』、

 『フラールの剣聖』……


 『本物』に出会うのはいつぶりかな」


そして、副団長と伯爵令嬢、財閥の従者の少年は

目を伏せた。


気付かなかったという事は―――

剣士としてそれだけ未熟である証でもある。


それを見た素人である周囲は、ただ黙る事しか

出来なかった。




│ ■バーレンシア侯爵一行宿泊部屋 │




「三回!? 三回とも防がれたですってえ!?」


「どうなっているんですの!?

 まだ靴下の一足も取れていないなんて!」


一方その頃―――

別室では別の(低)次元の戦いが

繰り広げられていた。


「何でこの人たち、カガミの動きについて

 こられるのー!?」


「愛かな!?」

「愛です!!」


カガミとポーラ・メイ姉妹が洗濯物を巡って

火花を散らし、それをシモンとナヴィが

見つめる。


「愛っていうのはそんなに便利な言葉

 だったっけなあ……」


「まあ無理に理解しようとする必要は

 ないかと思いましゅ」


アルプとファジーはその戦いが見えないように、

マルゴットとフィオナに避難させられていたが、


「わーすごい!

 床や壁がパカッと開いて―――」


「面白いです!

 さすがグレイン国、こんな仕掛けも

 あるんですね!」


二人は忍者屋敷を初めて見た小学生のように、

目を輝かせてはしゃぐ。


「あ、あのねアレは……

 そ、そう!

 グレイン国特有の文化だから!」


「だ、だから覚えなくても気にしなくても

 いいっていうか―――」


真っ赤なロングの髪を持つ女性と、異界の

女神は、四苦八苦しながらごまかしに奔走ほんそうした。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6358名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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