09・久しぶりのあんかぁ
何でか3000PVいってた。ホントに何でだ(-_-;)
ありがとうございますm(_ _)m
日本、とある都心部のマンションの一室。
―――ではなく、いつもとは異なる場所……
本来のフィオナの世界である天界、その実家である
神殿で、ナヴィ(猫Ver)は庭の土を掘っていた。
「これだけ掘ればいいですかね。
では安らかに眠れ。
―――おや?」
女神・フィオナから預かった薄い本を
穴に放り込もうとしたところ、そこに
別の本の一部があるのを発見した。
「先客が?
―――んー、でもこれは……」
「ああ、それ多分パパのよ。
別に捨てる必要無いのに」
そこには、フィオナの母―――
時と成長を司り見守る女神、アルフリーダがいた。
「フムフム……
軍神ユニシス様は姉・年上スキーと。
ですが、ちょっと意外なような」
「私と初めて出会った時―――
外見的にも私の方が年上でしたからね。
多分その影響でしょう。
別に怒ったりとかしないのに。
私もBLとかガンガン読むし」
特に問題視しない、という許可を得て―――
ナヴィは作業を続行する。
「じゃあ、コレはこのまま埋めておくと
いう事で」
「あ、でもパパには黙っておいてあげてね。
恥ずかしいので埋めたんでしょうから……」
「そうですね。
―――アルフリーダ様がBL好きなのも
黙っておいた方がいいですか?」
「 な ん で ? 」
「(この瞳……曇り一つない!!
この方は、己の行動を何一つ
恥じておられない……っっ!!)」
「どうかしたの?」
「いえ、なんでもありません。
ではそろそろ、本編スタートしますね」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
「やっぱり、知ってたんだね―――」
絞り出すように言葉を発するミモザに、
きょとんとした顔でナヴィは対応する。
「まあ事情がありゅと推測するでしゅよ。
だからしょの事については、話したくなければ
話さなくてもいいでしゅから。
あと、この事はアルプ君も知っている事でしゅよ」
「―――そうかい。
なあ、ファジーの事なんだけど……
アイツだけでも許してやってくれねーか。
アタイならどうなってもいいからさ。
命でも体でも、何でも―――」
「ちょっと何言ってるかわからないでしゅ」
話の展開について行けず、
思わずツッコミを入れるナヴィ。
「全部お見通しなんだろ?
アタイらが『枠外の者』の依頼で
ここに来た事も。
なあ、頼むよ。
神様のお使いなんだろ?
あの子を見逃してやるくらいの慈悲は……」
「『枠外の者』?
ああ、そういえばそういう連中も
いたでしゅね。
で、君たちはその連中とやらの
お仲間なんでしゅか?
そうは見えないでしゅけど」
微妙に話がかみ合わず、互いに戸惑う。
「いや、仲間ってわけじゃないが―――」
「とにかく、フィオナ様も交えて話を
してみる事でしゅよ。
しぇっかく神様が来ているんでしゅから、
相談くりゃいしてもバチはあたらないでしゅ。
ありぇでも一応多分おそらく神様なんでしゅから―――
ありぇでも! ありぇでも! ありぇでも!
私の心が折りぇそうでしゅから3回言いましゅた」
「あ、ああ―――
わかった??
じゃあ、今夜にでも話をさせてくれ。
出来れば、ファジーが寝た後にでも」
「わかりましゅた。
じゃ、お仕事の方は終わらしぇておきましょう」
そして彼らはようやく、午後の作業へ入った。
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家・食卓 │
「どうでしゅか?」
「ああ、ファジーならよく寝てるよ。
えっと、フィオナ様―――」
仕事を終え、食事を終え、お風呂を終えて―――
ファジーが寝静まるのを見計らって、3人は改めて
顔を合わせた。
「ええ。『枠外の者』と絡んでいるとの事ですが」
「いったい連中は、何をしようというのでしゅか?」
「本当にそれはわからないんだ。
アタイらが受けた依頼は、ココを調査しろって
事だけだからね。
ただ―――フィオナ様や、その眷属である
アルプさんを快くは思っていない。
それは確かだと思う」
ミモザは、正直に彼らに話を打ち明けた。
「それで、ミモザさんはどうしたいんです?
その依頼―――断る事は出来ないんですか?」
「出来ればそうしたいさ。
けど―――金が必要なんだよ」
視線を下に向けたまま、悔しそうにミモザは語る。
「何か事情があるようでしゅね。
……話してもらえましゅか?」
「……ファジーは、本当の弟じゃないって
言ったよね?
あのコの両親が死んだ後―――
アタイが引き取ったんだ。
すでに奉公労働者として売られていた、
その優先権を買い取ってね」
「そのお金が必要って事?
あ、でもすでに買い取って、引き取って
いるのよね?
だけどよくそんなお金が―――」
フィオナがそこまで口にした後、言葉に詰まる。
「……自分の、奉公労働者としての
優先権を売って、金を作ったのさ。
本来は金持ち同士でしか売り買いは
出来ないけど、抜け穴ってのはある。
まあ買い叩かれたけど、何とかファジーを
引き取る分だけは確保出来た」
「じゃあ、必要なお金っていうのは―――」
「いや、すでに自分の奉公労働者としての権利は
買い取っているよ。
そのままにしてたんじゃ、いくら値上げされるか
わかったもんじゃないからね。
ただ、一括で払うのに借金しちまってさ。
それも今回で終わるはずだったんだけどな―――」
諦めのような、悟ったような視線をミモザは
宙へと投げた。
「どういう事でしゅか?」
「今回の依頼料、金貨30枚―――
借金はそれで返済し終える予定だったんだ。
前金でもらっていたし、それも送金済みでさ。
依頼を断って返せって言われたらどうしようも無い」
「―――というわけなのですが、アルプ。
アレは使っても大丈夫ですよね?」
「は?」
│ ■バクシア国・首都ブラン │
│ ■ボガッド家屋敷 │
「はい、そういう事情でしたら―――
万が一の時の事を考え、お渡しした金貨100枚、
お使いください」
バクシア国、ボガット家の屋敷で―――
彼の母、マルゴット、バートレット、義理の祖父の
5人は、神託を通じて話を聞いていた。
「これで一件落着、ですね」
アルプの母、ソニアが胸をなでおろす。
しかし、祖父であるローン・ボガットは違っていた。
「そうかのう。
ワシも商売人だから、わかるのだが―――
連中、そんなに甘い輩ではないぞ。
特にこういう―――
契約解除や不履行は神経を使うものだ」
同じ商人であるマルゴットも同様の不安を感じ、
バートレットも続く。
「ええ。出来れば穏便に持っていきたいところですが、
違約金とか面倒な項目があれば―――」
「金貨100枚でも足りない、と?」
「足りるだろうが、後腐れなく事を済ますのが
重要なのだよ。
それに彼女たちは、『枠外の者』に関わり過ぎている。
ここは知恵を絞らんと―――」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家・食卓 │
「う~ん……後腐れなく、ですか。
すっきりキッパリ手を切る方法……」
「フィオナ様、どうでしゅか?
今回はしょんなに緊急事態というわけでは
ないでしゅし―――
『アレ』を使うべきでは?」
「―――ああ、そうですね。
久しぶりにいくとしましょう。
『アンカー』を……!」
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在1174名―――