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15・アタシはこっちが本職ですから!

( ・ω・)ツイッターに制限かけられた理由が

まだわからない


日本・とある都心のマンションの一室―――


五体投地するようにうつ伏せに寝転がる、

家主と思われる黒髪セミロングの少女と……

その背中にペットらしき、シルバーの長毛種の猫が

乗っていた。


「燃え尽きたぜ……真っ白によ……」


「ただのGWイベントが終わった程度で―――

 本当に全力で遊び倒しますねこの人は」


お目付け役(猫Ver)のツッコミに、女神は

反発する気力も無く、


「でも、今年は邪神ちゃんたちがいたから……

 一つも取りこぼすどころか、普段入手出来ない

 エクストラアイテムまでゲットしたわ……


 これが……きずなの力……!」


「てゆーか、ご主人(アルフリーダ)様の許可の下―――

 課金無制限で突っ走ってましたからね。

 いったいいくらつぎ込んだのやら……


 まあそれを言うと絆と言うより財力、お金の力と

 言えなくもないですけど」


淡々と客観的に述べるナヴィに対し、

うつ伏せになったままフィオナは顔を横に向け、


「そんな甘い考えで―――

 あの戦いを勝ち抜けると思っているんですか?


 士気は物資で左右されるんですよ。


 友情だとか絆だとか、そんなつかみどころの無い

 ふわふわした概念に頼るよりも……

 金と言う拘束力でがっちり繋がってるほうが

 安心安全でしょうが」


「神様がそこまで拝金主義に染まっていいん

 ですかね?

 あと絆って言ったのフィオナ様ですからね?

 そしてその発言、神様としてギリアウト。


 ではまあそろそろ―――

 本編スタートしましょうか」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「しょれでなぜ―――

 こういう事になったんでしゅか?」


銀の短髪をした従僕の少年が、主筋の女神に

問い質す。


「い、いやぁ~……

 成り行き? と言いますか?」


フィオナは困ったような笑いを浮かべる。


「ええと、各人の希望を聞いた上でですね。

 意見調整した結果、このような形に」


シルバーのウェーブがかかった長髪をした、

第三眷属の妹の少女が答える。


「あの、どうかされましたか?」


「果樹園の見回りに、みんなで行く事に

 したんですよね?」


第一眷属と第二眷属の―――

グリーンの短髪の少年と、それより少し年下の

ブラウンの髪をした少年が、自分たちが仕える

女神・フィオナに話しかける。


「まあ、今日はちょっと大所帯だけど……

 全員で見ればまた、違った見方があるんじゃ

 ねーかな」


それっぽい理屈をつけて、第二眷属の姉である

ミモザが―――

弟と同じ、首までの長さのブラウンの髪を手ぐしで

とかしながら語る。


「(てゆーかダブルデートに持っていきたいって

 話してましゅたよね?

 しょうれがどうして3対3になっているん

 でしゅか?)」


「(しょ、しょうがないじゃないですか。

 だってミモザさんのご指名がナヴィだったん

 ですし……)」


「(ふみゅ?)」


女神の指摘に従僕が彼女に視線を向けると、

ミモザはサッと顔を背け、


「……しょれでいいのならいいんでしゅけど」


こうして―――

ナヴィ・アルプ・ファジーの男性組と、

フィオナ・メイ・ミモザの女性組で、

見回りに出発する事になった。




「この果樹園も結構広くなりましたね」


「フィオナ様のおかげで―――

 新しい果実も増えていますから」


アルプとファジーが先行するようにして、

木々の間を歩く。


「別世界の物を持ち込むのはご法度でしゅが、

 フィオナ様の能力……

 『果樹の豊穣』を使って作られたのなら、

 問題はないでしゅからね」


従僕の言葉をみんなが感心しながら聞いていると、


「そそそそそりゃーもう。

 アタシはこっちが本職ですから!」


滝のような汗を流しつつ女神が答える。


多分、何の考えもなく使ったんだろうなー……

というツッコミはせず、ナヴィは歩き続ける。


そしてある程度まで行ったところで、アルプと

ファジーが振り返り、


「う~ん……

 こう広いと時間がかかってしまうかも」


「ここらで別れて見回りします?」


来た!! という感情を表に出さず―――

女性陣はうなずいて同意する。


「じゃあここから先は私とアルプ君・

 ファジー君で……

 向こうへは女性陣が」


(ちげーよ!?

 させねえよ!?

 やらせねえよ!?)


フィオナがナヴィの脳内に直接言葉を飛ばす。


(違うとは?)


(話聞いてた!?

 まずはダブルデート目指すって言ってた

 でしょうがあぁああ!!)


表面上はあくまでも穏やかに―――

心中では獣の叫びが響き渡る。


(……こっちがミモザさんを引き受けるのは

 別にいいんですけどね?


 そちらはどっちがアルプ君、ファジー君の

 相手をするんですか?)


(そそ、それは~……

 じっくりと検討するべきであって、

 今すぐどうこうとは)


(いや今すでに決める時なんですけどね?

 ……じゃあ、後はお二人で決めてください)


ナヴィはミモザの方を向いて、


「えーと、ミモザしゃん」


「えひゃいっ!?」


彼女は驚きと同時に返事の声を上げる。

それを見た彼は一息ついて、


「こちらから先は私とミモザさんで見回り

 ましょう。


 見回ったらそのまま家に戻る、という事で」


そのまま彼女の手を取り、


「え? ああ、ハイ。

 んじゃそーいう事で……」


そこでナヴィとミモザは手をつなぎながら、

別方向へと去った。


それを見送り、残された男女四人組は、


「じゃあ、僕たちも行きましょう。

 フィオナ様」


「ミモザねえは―――

 ナヴィ様がいれば安心かな。


 フィオナ様、メイさん。

 ボクたちがご案内します」


それに対する二人の反応は、


「は、ハイ」


「よろしくお願いします……!」


そして、それぞれの見回りが始まった―――




│ ■グレイン国・王宮中庭施設   │




王室騎士団・バスタが去った後―――

再び施設内に入った一行は歓待を受けていた。


「それにしても見事でした、ネーブル。

 さすがトーリ財閥の護衛というところですか」


豊富な、長い黒髪をなびかせながら、

グレイシア王妃は黒髪黒目の少年をたたえる。


「いえ、私などまだまだ……


 一度、そこにおられるレイシェン・シッカ

 伯爵令嬢に手合わせして頂いた事がありますが、

 完敗でした」


指名されたロングのブロンドヘアーの女性は、


「その私が手も足も出なかったのが―――

 バーレンシア侯爵様です。


 上には上がおります。

 私もまだ未熟の身でありますれば」


「い、いやあ……ハハハ。

 実力で言えば、ビューワー伯爵殿と

 同じくらいだと思うよ?」


フォックスタイプの眼鏡をかけた―――

青みがかった短髪に、頬にクロスの傷を持つ、

特徴的な外見の貴族は謙遜して笑う。


「評価して頂き、恐れ入ります。


 辺境で獣の相手ばかりしてきたので、

 見苦しい無粋な剣ではありますが」


白銀の短髪を持つフラールの貴族もまた、

自分を卑下ひげし頭を下げる。


その度に黄色い歓声が室内に木霊するが、

いったん王妃が場を収めるように手に持った

扇子をかざし、


「ともあれ、失礼をした。

 この詫びはいずれ何らかの形で必ず……


 この国にいる間はこの施設をお使いください。

 身の回りの事も全て、施設にいる侍女に

 お命じくだされば」


そこで他国の一行は頭を下げ、


「じゃー行こっかー」


赤茶のツインテールをした、獣人族の少女が

元気良く声を上げ、


「お疲れ様、ネーブル」


「……ん……

 部屋で……休もう……」


バイオレットのロングヘアーをした女性と、

それと同じ色の髪を身長と同じくらいまで

伸ばした少女―――

トーリ財閥の姉妹が、従者の少年の両脇に立つ。


そこへ、ブラウンの肌と黒の短髪をした少年と、

銀のロングウェーブをした女性が近付き、


「しっかし強いんだな、ネーブルさん。

 俺も剣を学んだ方がいいのかなあ」


「ベ、別にシモン君は商人なのですから、

 無理に覚える必要は無いと思いますが」


すると、ネーブルは同じ髪の色をした少年に

振り返り、


「身を守るためであれば―――

 そこそこ出来ればいいですし、そんなに

 難しくもないと思いますよ。

       ・・

 相手の攻撃を受けてさばくだけでも、

 時間稼ぎになりますし」


『受け』という単語が出た途端―――

身分問わず、女性陣の耳がピクっと反応する。


「そーだなあ……

 あんな攻防見てりゃ、とてもじゃないが

    ・・

 反撃で攻めるなんてちと無理っぽいし」


『攻め』という言葉にまた女性陣が反応するが、

男性陣は気付かず……


一行が退室した後、グレイシア王妃を始め

メイド・女性騎士・侍女・使用人の女性が

円陣を組んで―――

『受け』『攻め』論争が行われた事を、

彼らは知る由も無かった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6300名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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