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13・フィオナはスルースキルをおぼえた!

( ・ω・)PV数70万突破しました!

応援ありがとうございます!!


日本・とある都心のマンションの一室―――


黒髪セミロングの少女が、青ざめた表情で

同室にいる同性の彼女たちに語り掛ける。


「う……ウソですよね?

 アタシたち、友達だったじゃないですか!」


ワンレングスで、顔の片側を黒髪で隠している

少女が応じる。


「今でも、友達とは思っているわ……

 だけど貴女はワタクシたちに手の内を

 見せ過ぎた……」


「すいません。でも―――

 あまり相手を信用し過ぎるというのも、

 考えものなのです。

 特に……この世界では」


ワンカールロングの、ブラウンの髪を持つ

小悪魔っぽいシッポとコウモリのような翼のある

少女が、申し訳なさそうに続く。


そこに、ロングウェーブをした金髪の―――

天使のような羽を持った少女が口を開き、


「我も、見逃すつもりはありました。

 ですが―――

 『終わり』が近いのです。


 ここで終わらせられるのであれば、

 非情な決断もいといません!」


そして、和装の―――

長い黒髪を後ろにポニーテールのようにまとめた

少女がつぶやく。


「フィオナさん……

 今まで、楽しかったです……


 あたくしの手でとどめを刺すのが、

 せめてもの手向たむけ……!」


そこで彼女は一呼吸おいて、


「―――ロン!」


「ぐああぁああああ!!

 そりゃ通りませんよねー!!」


女神はそれを見て、頭を抱える。


「どれどれ、悪霊ちゃん……

 え? チンイツ……字牌じはいのみ!?」


「それって字一色ツーイーソーじゃん!

 うわ、えっぐぅ」


邪神と堕天使が彼女の役を見て驚く。


「悪霊ちゃんこういうとこあるよねー。

 黙って静かにぶった斬るってゆーか」


「まあ、悪霊ですし」


意気消沈の女神を前にして微笑む悪霊。


「珍しくスマホをしていないかと思えば……


 麻雀マージャンですか。まったく」


そこへ、シルバーの毛並みを持つ長毛種の

お目付け役(猫Ver)と、


「終わったー?

 んじゃ次入るねー♪」


一緒に、首までの長さの黄色に近い金髪を

ウルフカットにした、獣人族の少女が

入ってきた。


「うぃーす、選手交代ー!」


ハンドタッチで位置を代わるフィオナ。

それを見ていた他の三人は、


「うぉ、ワーフォックスちゃんか」


「これは気合いを入れてかかりませんと」


邪神とサキュバスの言葉に、ナヴィは首を傾げ、


「麻雀は詳しくないのですが、そんなに彼女は

 強いのですか?」


彼の問いに和装の悪霊が、


「……定石じょうせきといいますか……

 あらゆる手順とかロジックをすっ飛ばしてくる

 タイプです。


 勝率は半々ですけど、勝つ時も負ける時も

 無茶苦茶といいますか」


「野生のカン! だよー」


そこで四人が座り、ジャラジャラと牌が

かき混ぜられる音を、ナヴィはフィオナと

聞きながら、


「さて……

 そろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■グレイン国・王宮中庭   │




「王室騎士団・団長であればともかく―――

 副団長の身で許可なくここへ立ち入った事、

 その意味は理解しているのでしょうね?」


豊かな長い黒髪をなびかせながら、威厳を保ちつつ

彼女は突然の侵入者に言葉と視線を向ける。


声の向かった先で、金髪をエアリーにまとめた

騎士風の鎧に身を包んだ男がひざまずく。


美男の部類に入るだろうが、軽薄そうな印象を

受ける、その20代半ばの青年は、


「これは失礼を、グレイシア王妃様。


 ですがそれを言うなら―――

 他国の、それも序列下位国の者どもを

 ここへ招き入れるというのはいかなる事で

 ありましょうか?


 騎士団の人間は、それ以下と仰りたいの

 ですかな?」


その言葉に、王妃は手にした扇子を向け、


「控えよバスタ。

 客人への無礼も罪に加えたいのですか?


 そもそもここへ来た用は?

 緊急でも無ければ即座に立ち去りなさい」


それに対し、彼は跪いた姿勢のまま、


「しかし、この現状は見過ごせません。


 『バクシアの鬼神』、『フラールの剣聖』……

 大方おおかた、田舎の弱小国が見栄のために作った

 宣伝なのでしょうが―――


 それに惑わされる王族に諫言かんげんするのも、臣下の

 務めだと存じます」


そこでバスタと呼ばれた青年は頭を上げる。


視線の先は、青みがかった短髪に頬にクロスの傷を

持つ、フォックスタイプの眼鏡をかけた侯爵と、


シルバーの短髪を持つ伯爵に向けられる。


「バーレンシア侯爵殿にビューワー伯爵殿……

 このお2人には、是非騎士団に稽古をつけて

 もらいたいと―――

 ビンス騎士団長より請願せいがんが来ております。


 騎士団長の顔にも泥を塗るつもりですか?」


王妃と騎士の話し合いを横目に、侯爵と伯爵は

ロングのブロンドヘアーの伯爵令嬢と小声で、


「(どーしたものかねえ。

 面倒な話になっているっぽいけど……


 でも彼、実力的にはそれほども無さそう

 なんだけどね)」


「(ミイト国の中でも中の下、程度でしょう。

 何を考えて来たのか……)」


「(侯爵様、もうアレ私が相手しても

 いいですよね?

 ちょっとたたっ斬ってきますから―――)」


ヒートアップするレイシェンを何とか男性陣で

なだめ、他のメンバーを呼ぶ。


そして黒い短髪の、ブラウンの肌をした少年と、

黒髪黒目の少年が、


「(腕試しか嫌がらせに来たのか?)」


「(まあ腕はそこそこ立ちそうですし―――

 もし倒せたら王妃様の覚えもめでたく……

 って感じでしょうか)」


そこで銀のロングフェーブの髪を持つ、

第三眷属の少女が、


「(いいタイミングで邪魔―――

 もとい、乱入ですからね。

 別に相手にしなくてもいいのでは)」


そこでトーリ財閥の姉妹―――

バイオレットのロングヘアーを持つ、シンデリンと

ベルティーユが、


「(他は良くてもねぇ~。

 一応、私たちやシッカ様はミイト国の

 人間よ?)」


「(……結構……微妙……

 でも序列三位、貴族と商人とはいえ……

 められるわけには……!)」


「(落ち着いてください)」


ネーブルが主筋の姉妹をなだめると、


「何、少し手合わせするだけで済みます。

 お時間は取らせません。


 本当に実力があるのであれば、ですけど」


挑発するようなバスタの言葉に、レイシェンが

振り向き、


「事故なら無罪……事故なら無罪……」


バーレンシア侯爵とビューワー伯爵が、彼女を

挟むようにして制止し、


「どーするのコレ?

 いっそカガミが行く?」


赤茶のツインテールをした小柄の獣人族の少女の

提案に、全員が首を横に振る。


「……私が行きましょうか?」


従者の少年の言葉に、メンバー全員が注目する。

彼は小声で、


「(いくら何でも、序列上位国とのいざこざは

 国際問題になりかねません。


 私なら平民ですし、子供のやった事で―――

 どうとでも誤魔化す事は可能でしょうし)」


伯爵令嬢は収まらない様子だったが、

他のメンバーはその提案に同意し、


シンデリンは、すっとグレイシア王妃の前に

歩み出ると、


「このネーブルは、トーリ財閥の護衛も兼ねて

 おります。


 稽古は後にして頂いて……

 余興という事で、彼に一手指南(しなん)して頂くと

 いうのはどうでしょうか」


王妃は、少年と自国の騎士を交互に見て……


「なるほど、余興ですか。

 それならば……


 バスタ副団長。

 このネーブルとの手合わせを所望しょもうします。


 グレイン国の騎士の力、見せておあげなさい」


その王妃の言葉に―――

集まっていたグレイン国のメイド・侍女・

女性騎士は、一斉に歓喜の声を上げた。




「それではよろしくお願いいたします」


「……お手合わせ願おう」


ネーブルを前に、バスタは周囲に聞こえないよう

チッ、と舌打ちする。


「(まあいい、少なくともこれで―――

 俺の実力を見せる事は出来る。


 それにこのガキを負かせば、本命も出て

 こざるを得まい)」


さすがに真剣というわけにはいかず、施設の

どこからか、訓練用の刃を潰した刀が二人に

手渡された。


「でも大丈夫かしら。

 ネーブルの腕は信用しているけど……」


「……ん……

 ネーブルお兄ちゃんの事だから、勝算は

 あると……思う……」


トーリ財閥の姉妹の言葉に、剣の腕に覚えがある

三人組は、


「彼なら大丈夫だと思うよ?」


「あの騎士も強いですが……

 相手が悪かったですね」


「少なくとも、ミイト国の並の騎士なら、

 相手にもならないかと」


特にレイシェンは一度ネーブルと手合わせ

しており、その言葉には説得力があった。

(第5章10話

 「平日は半日ずつ、休日は共同で」参照)


そして―――

『手合わせ』が始まった。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




一方その頃……


女神・フィオナは従僕であるナヴィに提案され、

地球のPCと意識を繋げていた。



【 おー、久しぶり元気だったか(棒 】


【 生存確認! 生存確認! 】



あおりとも歓迎ともつかない対応をスルーして、

女神は本題を切り出す。



「それでは『アンカー』の皆様。

 さっそくおたずねしたい事があるのですが」



【 フィオナはスルースキルをおぼえた! 】


【 ほんで、今回聞きたい事とは何ぞや? 】



彼らに状況を説明すると―――



【 保護者有りでってハードル高過ぎんだろ 】


【 それが出来たらこうまで進展が遅れて

 ないだろうし 】


【 ここは1つ……

 2人きりの状況を作り出すくらいしか

 無いんじゃね? 】



その言葉にフィオナは飛び付き、


「そ、それですよ!

 アタシが求めていたのは……!」


【 その状況が作り出せるかな?

 オマエごときに…… 】


「何でちょっと悪役風の言い回し!?」


しばらく女神は『アンカー』と言い争うが、

しばらくして、



【 ともかく、このコ1人では難しいと

 いうのは同感 】


【 となると必要なのは…… 】


【 協力者やね 】



方針というか方向性は決まったようで―――

彼女は次の指示を出す。


「よし、ではいきますよ……!


 『アンカー』は今のスレで……850!


 聞きたい事は―――

 眷属たちともっと仲良くなるための

 『協力者』!!


 ―――さあ、アタシを導き給え……!!」



>>850


【 ミモザ 】



「……へ? 彼女?」


その答えを受け取ったフィオナは、ひとまず

フラール国に意識を戻した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6281名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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