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11・エネルギー充填200%……!

( ・ω・)明日3回目のコロナ予防接種

行ってきます。


日本・とある都心の片隅―――


女神・フィオナの住むマンションの近くの

裏路地で……

3人の少女が集まって話し合っていた。


一人は、ブロンドのロングウェーブをした髪と、

天使のような羽を持っており、


もう一人は和装で長い黒髪を後ろで、

ポニーテールのようにまとめ―――


その二人の間に、黄色に近い首までの長さの金髪を

ウルフカットにした、半人半獣の狐耳の子がいた。


「……さて、悪霊ちゃん、フォックスちゃん。

 誰にも見られなかった?」


「あたくしは大丈夫です」


「気配は消してますし、つけられてもいないかと」


それを気付かれること無く―――

一匹のシルバーの毛並みと鳩のような羽を持った

女神のお目付け役が、塀の上から見下ろしていた。


「(……何をやっているんですかね。

 今になって不穏な動きをする事はないで

 しょうが)」


ナヴィは監視役としても天界市役所から期待されて

いるので、一応不穏な動きをしていた彼女たちを

追ってきたのである。


「でも困りましたわ……

 まさか『あちら側』にフィオナ様が

 加わるなんて」


「邪神ちゃん・サキュバスさんがいて―――

 今のところあたくしたちと3対3……

 数の上では互角でありますけど」


「堕天使ちゃんは何かあるー?

 逆転の一手とか」


それを聞いて考え込む3人の上で、さらに

何を話しているかわからないナヴィが理解に

苦しむ。


そこで堕天使と呼ばれた少女が、


「しかし、我らとてこれは譲れません。

 貴女たちもそうでしょう?」


「ええ……!

 例えあちら側に女神という戦力がついたと

 しても、こればかりは……」


「負けられない戦いがそこにあるのだ……!」


どうも話を聞いている限り―――

フィオナ・邪神・サキュバス組VS、

堕天使・悪霊・ワーフォックス組の何か対立が

あるようなのだが、お目付け役にはそれが

何なのかわからず。


そしてそのまま人外の少女たちの会話は

続けられ、


「ナヴィ様のキャラからして―――

 あの方はS! それもドSです!!」


「ええ……!

 決して『誘い受け』ではありません……」

 あの3人は何もわかっていらっしゃらない……」


「ねー! 絶対Sだよねー!

 性的な意味で! 性的な意味で!!」


触れてはいけない争いだと判断したナヴィは、

塀の上でくるりと背を向けた。

それに構わず、議論は続けられており、


「でも女神クラスがあちらという事実は

 キッツイわー。

 こっちも誰か援軍呼ぶ?」


「……アルフリーダ様なら、こっちに加わって

 くれそう……?」


「エイ〇アンVSプレデ〇ー止めろ」


3人のかしましい声を背にしながら、ナヴィは

あくびをしつつ歩き続け、


「くあぁああ……


 じゃあそろそろ、本編スタートしますか」




│ ■グレイン国・王宮   │




高価で、かつ洗練された調度品に囲まれた部屋で、

豊かな黒髪をたたえた、一見アラサーほどの年齢に

見える、身分の高そうな女性が―――

何かの使いであろうひざまずく騎士を見下ろしながら、

口を開く。


「……なるほど。

 フラール・バクシア両国の結婚式の返礼に、

 いらっしゃると。


 それも、バーレンシア侯爵殿が直々に―――

 くれぐれも失礼の無いよう、お迎えの準備を

 するように。


 その時はわらわも出迎えよう」


淡々と述べるグレイシア王妃に対し、騎士は

顔を上げて


「仰せのままに……


 しかし、侯爵とはいえバクシアの者ですよね?

 序列上位国でも無い国の貴族に、王妃様が

 出迎えるほどの事では無いと思うのですが」


彼の申し出に―――

王妃はパチン! と持っていた扇子センスを閉じて、


「のう、そなたは騎士であったな?」


「はっ!

 宮廷の警備を務めさせて頂いております!


 それが何か……」


質問には答えるが意図がわからず、彼は聞き返す。


「ミイト国の『剣姫けんき』―――

 レイシェン・シッカ子爵令嬢、いえ今は伯爵に

 なったと聞いておるが……

 彼女の名前は知っているか?」


その問いに騎士は一礼し、


「もちろんです。


 元ミイト国の騎士団を祖とする家の出で、

 貴族となった後も、初代の薫陶くんとうを今の世に

 引き継いでいる―――


 女性でありながら、ミイト国随一(ずいいち)と言われている

 剣の使い手であります。


 確か我が国の、マイヤー伯爵様の婚約者でも

 あったんですよね?」


自分の知っている限りの事を答えようと、

彼は長く語る。


グレイシア王妃は近くのお付きの女性騎士に

視線を送ると、代わりというように口を開き、


「そのシッカ伯爵令嬢をして―――

 『手も足も出なかった』と言わしめた武人。


 それがレンジ・バーレンシア侯爵殿です」


「……なっ!?」


驚きの声を上げる騎士にグレイシア王妃は

ため息をつき、


「まあ、人脈で固められている、名ばかりの

 近衛このえ兵である者にはわからぬだろうが……

 そなた、一度王室騎士団へ行って聞いてまいれ。


 『バクシアの鬼神』・バーレンシア侯爵と、

 『フラールの剣聖』・ビューワー伯爵……


 今、剣に生きる者で、おそらく彼らの名を

 知らぬ者はおらぬであろう」


「…………」


無知を指摘され、彼は沈黙する。

彼女は続けて、


「今一度申し付ける。

 くれぐれも失礼の無いよう出迎えよ。


 ミイト国では、王室直属の騎士団が彼らに

 稽古をつけてもらっていると聞く。


 出来ればそれも頼みたいと、我が国の騎士団の

 団長より申し出もあるのでな」


「……お、仰せのままに……!」


姿勢を正しながらも、焦った様子で出て行く

騎士を見送り……

跡には侍女やメイドといった女性陣だけが

残され―――


「……行ったかの?」


「はい、グレイシア王妃様」


そこで彼女は玉座から立ち上がると、しずしずと

部屋の中央まで歩み出る。


いつの間にか彼女の周囲を、円陣を作るようにして

様々な身分・衣装の女性が取り囲み、


「それでそれで!?

 バーレンシア侯爵様の他に、誰がいらっしゃるん

 ですの!?」


「ハッキリしているのは―――

 侯爵殿とビューワー伯爵殿……

 あと、少年2名が同行しているとの事」


その答えに『キャー!!!』と黄色い声が

広間に響き渡る。


「ああ、ただこの2人は付き添いというか、

 例の『女神の眷属』ではないらしい」


今度は『え~!?』という声が上がるが、


「まあ待て。

 その辺りは調べておる。しっかりとな……!


 手の者によれば、1人はネーブルという

 トーリ財閥の従者―――

 もう1人はシモン・ストラジェンという、

 バクシアの青果店の者で……

 これはフラールの結婚式の時に会っておる。

 『カッコイイ』系であったな。


 ネーブルの方は彼と同じ黒髪の、美少女と

 見紛みまがうような外見であったらしい」


『オオオオオー!!』と獣の咆哮ほうこうのような

声が、大きな室内に響く。


「それで女性はというと、先ほど申した

 トーリ財閥の姉妹と」


「あ、それは結構です」


「男の情報さえあればそれで」


王妃の言葉に全員が片手を上げてスルーの

姿勢を見せる。


そして体育会系の部活のように、身分も何も

関係無く両肩を組んで輪となり、


「では、何としてでもこの『おもてなし』、

 成功させるぞ!


 そして―――

 フラールで会った眷属2名に、是非とも

 来て頂くのじゃあ!!」


グレイシア王妃の号令にも似た声に対し、

大広間は地響きがするほどの歓声に包まれた。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「お疲れ様、お二人とも。

 でもさすがに休んだ方がいいんじゃ……」


一方その頃―――

フラールで待機している女神と第三眷属の妹は、

相変わらず果樹園の手伝いに精を出していた。


グリーンの長髪の第一眷属の母が、心配そうな

声で語りかける。


「大丈夫です、お義母かあさま!」


「どうか次のご指示を!」


黒髪・セミロングの女神、フィオナと、

銀のロングウェーブの髪を持つメイが、

戦場から帰還した兵士のようによろよろと

やってきて答える。


「いやどう考えたってヤベーだろ2人とも……

 例の『どりんく』があるのは知っているけど、

 そのうちブッ倒れんぞ」


首まで伸びたブラウンの髪の、第二眷属の姉、

ミモザが頭をガシガシとかきながら話す。


「あっはっは~。

 心配性ですねえミモザさんは」


「そうですよホラ。

 わたくしたちはこんなに元気で」


「なあ2人とも。

 どこ見て話してんだ?

 ていうか何が見えてる?」


それぞれ明後日の方向に向かって答える

フィオナとメイに、さすが彼女はツッコミを

入れる。


そしてソニアに耳打ちし、


「(アルプさんさえ出せば、確かにこの2人

 馬車馬のように働くけど―――

 さすがにマズくねえですか?)」


ミモザの問いに、ソニアは『んー』と考え、


「(そうですね。

 ちょっと気合い入れておきましょうか)」


彼女は、フィオナとメイに向かってちょいちょい、

と手招きすると、


「フィオナ様、メイさん。

 ちょっとついて来て頂けますか?」


フラフラと従う女神と少女。

そして移動した先、ある扉の前でピタッと

止まり、


「(いいですか?

 声を出さないように……)」


そして、扉を少しだけ開けて中をのぞくように

二人に促す。


「??」


「何でしょ……」


フィオナとメイがのぞき込んだその部屋の

中には、ベッドがあり、


その上で―――

グリーンの短髪の少年と、それより少し年下の

ブラウンの髪をした少年が抱き合うようにして

眠っていて、


さらにその傍らで、二人より若干年上の、

シルバーの短髪の少年が寄り添うようにして

寝ていた。


それを見届けると、女神と少女はゆっくりと

振り向くようにして、


「エネルギー充填じゅうてん200%……!」


「誰もわたくしたちを止められませんよ……!」


「あんたらはそれでいいのかい?」


ミモザの呆れるような声を最後に―――

4人はそこから足音を立てないようにして

離れた。





カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6266名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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