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09・鉄壁の保護者が付いております

( ・ω・)そろそろ評価ptが1000に……!

(と思いつつ3週間が経過)


日本・とある都心のマンションの一室―――


家主である女神が炬燵こたつに入り、従僕である猫が

彼女の膝の上でくつろいでいた。


「ねーねーナヴィ。

 結局炬燵(コレ)片付けませんでしたねー」


黒髪セミロングの少女は、視線を落として彼に

語り掛ける。


「いきなり寒の戻りとかで、急激に寒くなったり

 しましたからねえ」


そこで彼女たちの対面の席にいた―――

黒髪のワンレングスに何らかの儀式めいた衣装の

少女と、ブラウンのワンカールロングにコウモリの

ような羽を持った女の子が、


「ナヴィ様が風邪をひかれたら困りますし」


「もうしばらくは様子見でいいんじゃない?」


外掛けの布団に目いっぱい潜り込みながら、

邪神とサキュバスが語る。


「んー、でもナヴィってそのヘンどうなの?

 従僕とはいえ、ママの加護もあるでしょうし」


すると膝上の彼はくあ~、と大きくあくびを

した後、


「まだアルフリーダ様に拾われた頃は、

 しょっちゅう熱とか出していたと聞いて

 おりますが……


 ユニシス様にきたえられた後は、医者や

 病院にかかった記憶があんまりありません」


それを聞いていた女神の対面の少女たちが、


「はあ、ナヴィ様もそんな時が」


「まー私らみたいに、生まれた時から

 人外の存在ってわけじゃないしね」


人ならぬ少女たちはうなずき―――

次いでフィオナはニヤニヤしながら、


「じゃー今は病院も注射も怖くないん

 ですよねえ? ナヴィ」


「まったく……

 当たり前でしょう、もう子供じゃないん

 ですから」


彼は女神の膝上から降りると、するっと

掘り炬燵の中へ入っていく。

そこに、邪神とサキュバスの手が伸び、


「あ~ん♪ ナヴィ様ぁ♪」


「じゃあ次は私の膝に―――」


「え? ちょ」


急に両手を引っ張られたナヴィは、

2人の間に引き上げられるが、


「あれ?」by邪神


「何か肉球がすごく湿って」byサキュバス


「ほー?」by女神


※猫は体温調整の他、怖い時や緊張した時などに

肉球に汗をかきます。


ナヴィは2人の間をそのまますり抜け、

人間の姿になると、


「……そろそろお昼です。

 何でも好きな物を作りますよ」


それを聞くと彼女たちはそれぞれ、

自分の好物の料理を上げ―――

ナヴィはそれを作りに台所へ移動した。


「はあ……

 それじゃそろろ、本編スタートしましょう」




│ ■ミイト国              │

│ ■シンデリン(トーリ)家屋敷     │




「じゃあ、先にこの手紙をグレイン国にある

 トーリ財閥の支店へ―――


 あなたはそのまま各国の支店経由で、

 『女神の導き』への情報共有をお願い」


バイオレットのロングヘアーを持つ―――

財閥令嬢が、二人の男を前に指示する。


濃い緑色の短髪・中肉中背の青年がまず

手紙を受け取り、


「確かに。

 じゃあソルト、お前もしっかりやれよ」


「お前こそな、トニック。


 しかし、専用の高速馬車を使ってもいいとか……

 こんなゼイタクなお使いは初めてだぜ」


ソルトと呼ばれた、相方よりもやや細身の

青年が、薄いブラウンの短髪をかく。


彼らは―――

フラールのグラノーラ家とバクシアのボガット家に

従事していた『情報屋』で、


もともとはシンデリン一行がバクシアに到着後、

彼らを使って、それまでの情報共有と今後の意見を

聞くため、『女神の導き』に連絡を取る事になって

いたのだが……


序列上位国のトーリ財閥は各国に支店・支部を

持っているので、そことの連絡用馬車を使えば

いいとの提案で―――

いったんトニックとソルトはミイト国まで

同行する事になったのである。


その彼らを見送った後、


「しかし、よろしいのですか?

 本格的に『女神の導き』に加担していると

 思われるのでは」


この世界では希少な黒髪・黒目の従者が、

主人であるシンデリンに問い質す。


「……ん……マービィ国での一件で……

 トーリ財閥が……クルーク豆の暴落阻止に……

 動いた事は……もう知られているから……」


自分の身長とほぼ同じ長さの髪を持つ、

姉と同じバイオレットヘアーの少女が、

彼女の代わりに説明する。


「それにあの件は担保ももらっていたし、

 結果的に利益も得たわ。


 『枠外の者』『新貴族』には―――

 利用価値があるとでも言っておけばいいの。


 どんな相手であれ、利益をくれるのが

 『味方』であり『お客様』なんだから」


シンデリンの言葉に、従者の少年は頭を下げる。

そこで真っ赤なロングヘアーを持つ、フラールの

豪商の娘が、


「そういえば、他の方々は?」


マルゴットの問いに、シンデリンは振り向き、


「ポーラさんとシモンさんは買い物に―――

 シッカ伯爵令嬢は、バーレンシア侯爵様と

 ビューワー伯爵様が騎士団の稽古に顔見せすると

 言われたので、同行しているわ。


 カガミちゃんは―――

 屋敷内を駆け回った後補足不能に。

 多分お腹が空いたら出てくるでしょ。


 今日一日はいろいろと準備があるし……

 私たちも動くわよ」


主筋の彼女の言葉に、ネーブルは首を傾げ、


「……?

 本日のスケジュールには、もう何も予定は」


そこでベルティーユが少年の片腕をつかみ、


「……グレイン国へ行く……前に……

 例のブツを……さらに積み込まないと……」


「印刷工房にもいくつか頼んであるから、

 今出来上がっているのは全部持っていくわよー」


さらに逆の腕をシンデリンがつかみ、ネーブルは

姉妹に挟まれた形で拘束された。


「いえ、あの。

 せいぜい見本をもらいに行くだけですよね?

 力仕事でもないですし、私が同行する理由は」


彼は嫌な予感と共に、正論で彼女たちを

諭そうとするが、


「いやいや~、良い見本がいるかいないかで、

 現場のヤル気が違うのよ?」


「……ネーブルお兄ちゃんが行けば……

 作業が……通常の3倍の速度に……!」


「その代わり私の精神が削られていくような

 気がするんですけど!?


 あ、あのグラノーラ令嬢。

 貴女も何か―――」


彼の救いを求めるような視線を前に、

マルゴットは両手を後ろに回してもじもじと

腰を動かしながら、


「な、名高いトーリ財閥の商売の現場を、

 この目で見ておくのは後学のためにも

 いいなと、思ったりしないでもなかったり?」


少年の抗議もむなしく―――

姉妹はズルズルと彼を連行していき、

それにもう一人商人の娘が付き添った。




│ ■ミイト国・首都ポルト      │

│ ■商業区             │




「あら?

 ナヴィ様?」


「どうしたんだ、ポーラ」


銀のロングウェーブを持つ少女が、街中で

立ち止まり―――

それに同行している黒髪・褐色肌の少年が

声をかける。


「ううん、シモン君。

 今、ナヴィ様からの神託が……


 はい、はい……

 こちらは今、ミイト国に来ています。

 明日にはグレイン国へ向かう予定です」


ポーラはフラールから来たナヴィからの

神託に、立ち止まって答える。


『神託』はシモンも知っており、自然体で

彼女に付き合いながら対峙する。


「ええ、はい。

 ミイト国で、あのトーリ財閥のご令嬢が、

 交渉手段としていくつか、追加して持って

 いくそうで……


 はい。早ければ数日中にグレイン国入り

 するかと」


その様子を見ながら、青果店の跡取り息子は

適当にうなずいて相づちを打つ。


「そうですね、はい。

 え? アルプ君とファジー君についてですか?


 あー、その心配は無いんじゃないでしょうか。

 だってお2人には今、身内という―――


 鉄壁の保護者ガードが付いておりますので。

 特にあのソニアさんを打ち破るのは不可能じゃ

 ないですか?」


話の内容に理解出来ないところが出て来て、

『何か危険な事でもあったっけ?』と、

シモンは口には出さないが一人思い悩む。


「……まあそのガードを崩すなら、むしろ

 ファジー君の方が危ないかと。


 え? だって狙いはナヴィ様ですよ?

 そこでスキが出るかも―――


 えぁ~!?

 気付いていらっしゃらないんですか?

 アレは絶対……!」


「な、なあポーラ。

 今あちらは何か危険な状態なのか?」


思わず少年が、彼女のやり取りに口を挟むが、

ポーラは片手を垂直に立てて水平に振り、


「えっ? あ、違うわ。

 これはある種の戦いというもので―――


 あ、ええ。わかりました。

 それではまた明日、定刻通りに……

 失礼します」


神託を終えたポーラを、不安そうな表情で

見つめるシモン。

彼女は一息つくと平静を装いながら、


「ナ、ナヴィ様からの神託だったんだけど、

 ちょっとフィオナ様とメイについてね」


「女神様と?

 何があったんだ?

 それに、戦いって」


「それはホラ……お、女の戦いよ!

 男が気にしちゃダメ!

 さ、早く買い物を済ませましょう!」


そこでポーラは強引に会話を終わらせると、

シモンの手を引いて歩き始めた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6248名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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