05・妄想……設定……破壊力……
( ・ω・)『勝手にランキング』から名前が
無くなった事に震える。
(タグの仕様変更のためでした。
今は直っています)
日本・とある都心のマンションの一室―――
家主と思われる黒髪セミロングの少女が、
炬燵でくつろいでいた。
「あ~……
何か暖かくなってきましたねえ。
そろそろコレも要らなくなるかしら」
「断固拒否する。
それはそうとフィオナ様、ちょっと
だらけ過ぎじゃないですか?」
すると炬燵の中から声が返ってきた。
お目付け役(猫Ver)であるナヴィは、
掘り炬燵の中で、シルバ―の体毛を
毛づくろいしながら姿を見ずに会話する。
「いやいや、メリハリって大事ですよぉ~。
休む時はきちんと休んでこそ、いい仕事が
出来るってモンです」
卓上に顔を突っ伏せながら答える女神。
それに対しナヴィは、
「またそんな事言って……
実際、地球の世界じゃ何もしてないでしょう。
せいぜい、ペットボトルを潰す道具に指と指の
間を挟まれて、血マメを作った事くらいしか」
「それは作者よ」
『え?』
どこからか聞こえてきた声を主従は無視して、
会話を継続する。
「あれ? じゃあ……
カップラーメン作ろうとしてお湯を注いだら、
沸騰してなくてぬるま湯に気付いたものの、
別にいいやとそのまま最後まで入れて、
結局食えた物じゃなくなって、
しかも乾燥ワカメまで入れていたものだから、
より惨劇が加速し、泣く泣く後で熱湯を
付け足したのも」
「それも作者よ」
『ちょっと待ってください』
どこからかまた聞こえてきた声を、フィオナと
ナヴィは再度スルーして、
「まあ、あのブタの個人情報なんてどうでも
いい事ですし」
「そうですね。
それじゃそろそろ、本編スタートしましょうか」
│ ■フラール国・バクシア国代官館 │
>>600
【 人選:ポーラ・カガミ
理由:まずは女性同士で 】
『アンカー』たちの答えを持ち帰ったフィオナは、
再びフラールへと意識を戻す。
「しょれで―――
どうでしゅたか? 結論は」
シルバーの短髪の従者が、女神に促す。
そこで彼女が人選と理由をメンバーに次げると、
「そういえばネクタリン嬢は―――
僕と一緒にミイト国まで同行した事があるし、
カガミさんは獣人族。
たいていの事なら切り抜けられるだろう」
フォックスタイプの眼鏡をかけた、青みがかった
髪を持つ侯爵が、頬のクロスの傷を撫でながら
その人選に同意する。
「それに、アルプとファジー……
『少年』の眷属は後から来ると聞かされたら、
あちらの期待と同時に、交渉を有利に導く事が
出来るでしょう」
金のロングヘアーに長身の伯爵令嬢が、
バーレンシア侯爵に続いて賛同する。
「ままま、まあ?
アタシはレイシェンさんの案を真似た
だけですから―――」
フィオナは目を明後日の方向へ泳がせながら、
謙虚に答えを返す。
次いで、シルバーの短髪の青年貴族と、
赤いロングヘアーの豪商の娘が、
「確かにそうですね。
それに、私もポーラさん・グラノーラ嬢と同じ、
ミイト国へ同行した一人ですし」
「商売のサポートならお任せください。
もし侯爵様のお許しがあれば、ですが」
彼女の言葉に、館の主は軽く頭を下げ、
「それはむしろ僕の方からお願いするよ。
あ、それと―――
出来ればあの情報屋の2人、トニック君と
ソルト君にも連絡を取っておきたいんだけど。
『女神の導き』の意見も聞いておきたいしね」
「わかりました。
今は多分、ボガッド家で動いている
はずですから」
マルゴットが頭を下げ、
「ほりぇフィオナ様の数少ない存在価値でしゅ。
さっさと神託を―――
……って、今あちらに眷属いませんでしゅたね。
本当に役に立たないんでしゅから」
「何で勝手にアタシの出番と能力を促して、
勝手に現状把握して、
勝手に自己解決して、
勝手に失望されているのか……クレイジーだぜ」
女神と従者のやり取りを、どういう表情で
見たらいいのかわからない周囲で、微妙な空気が
室内に形成される。
「た、ただまあ……
今はフラールに全員、眷属の方が集まって
おりますので、今後の方針はすぐに伝える事が
出来ますから」
こうしていったん話はまとまり―――
代官館にはバーレンシア侯爵とレイシェンが残り、
他はそれぞれ情報共有のため解散となった。
│ ■フラール国・王都コリン │
│ ■トーリ家ご一行・宿泊施設 │
「いやーしかし無いわ。
序列下位国だってわかっていたつもり
だったけど、こうまで田舎なんて。
いつぞやのマービィ国の方がまだ
しっかりしているじゃないの」
3階建ての宿屋の一室で……
ロングのバイオレットヘアーを揺らしながら、
ミイト国のトーリ財閥令嬢、シンデリンは
グチを従者であるネーブルに語る。
「あそこは温泉を目玉とする観光地でしたから、
まだマシなのは当然です」
この世界では珍しい、黒髪・黒目の12・3才の
従者は、お茶を用意しながら対応し、
「まだ……入国出来ただけ……いい方……
ほとんどは……隣国で止められた……から……」
姉と同じ色をした髪を、自分の身長とほぼ同じ
長さまで伸ばした、ネーブルよりも若干年下の
少女が会話に入ってくる。
ベルティーユの言う通り、フラール・バクシア
両王家の結婚式で来たものの―――
人数制限のため、周辺国で止められている客や
使者は大勢いた。
それでも身分上は平民である彼女たちが入国
出来たのは、序列上位国の人間である事と、
トーリ財閥の関係者という肩書を、フルに
使った結果であった。
「まあいいわ。
ある意味『篩い分け』されたようなものだし……
各国の貴族や商人に、ツテを作る事が出来た
だけでも上出来よ」
「その商品があの『男が見てはいけない本』で
なければ、もっと良かったのですが」
アルプやファジーと異なり、ある程度内容が
想像出来たネーブルはため息をつき―――
そんな彼にシンデリンは、
「いやあ、やっぱり良い見本があると食い付きが
違いますわね」
すごくいい笑顔で返す彼女の後に、無表情の妹も、
「……むふー……
アレをネーブルお兄ちゃんから手渡されたら……
妄想……設定……破壊力……
……全てが掛け合わさった時……
その効果は……無限大……!!」
それに対し従者の少年は、困ったように
両目を閉じる。
「あ、でもね。
一応ネーブルに手渡させた方は、まだそんなに
過激じゃないものだから」
「もっと別に気を使うところがあるような
気がするんですがそれは」
いろいろと諦めた彼は話をいったん仕切り直し、
「それで、今後はどうしますか?」
「ちらほらと帰国は始まっているみたいだけど、
何せ人数が多いみたいだし。
一応、ビューワー伯爵領にアルプ君が
いるみたいだから、そっちにあいさつしてから
帰ろうかなーって」
シンデリンが、用意されたブドウのような果実を
口にしながらネーブルに答え、
「あと……新作を……
レイシェン・シッカ伯爵令嬢様に渡す約束……
聞いたところ……彼女は今……
バーレンシア侯爵様の代官館に……いるという
話だから……」
「新作って何です?
もしかしてアレ、流通だけでなくウチでも
生産し始めたんですか聞いてないんですけど」
10才を少しも過ぎていない、幼い外見の少女に
従者の少年は聞き返す。
その問いに姉妹はそろって視線を明後日の方向へ
向けて、
「だってあれりえきりつがすごくたかいからー」
「……うれすじのしょうひんなら……
もほう・かすたまいずして……
……つくってみるのはとうぜんのこと……」
「おう2人ともこっち見て言ってみやがって
くださいませ」
圧をかけるネーブルに、シンデリン・ベルティーユ
2人は向き直って、
「だいたいあなただって悪いのよ!
どんな物語のキャラクターなのよ!?
従者で美形で強い上に女装も出来るって!!」
「最後いらなくない?
それにあれば私が望んだわけでは」
「……ネーブルお兄ちゃんは、その完璧過ぎる
美しさにもっと自覚を持つべき……!
……お化粧も無しで反則級……
お化粧をすればさらに尊く……!」
「ですから私が望んだわけではないと何度言えば」
こうして主従のじゃれ合い―――
もといやり取りはしばらく続けられた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6203名―――
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