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04・プロセスがコンセンサスでインシデントでアグリーです

( ・ω・)祝日がある時は、必死に平日に

ペースを上げる(休みだと動けないタイプ)


日本・とある都心のマンションの一室―――


3人の少女が、掘り炬燵ごたつを囲んで座る。


「そろそろ3月だっていうのに……

 全然暖かくならないですねえ」


黒髪・セミロングの少女がつぶやき、


「いやもー普通に世間話しないでフィオナさん。

 あの後、私がどれだけ後始末に追われた事か」


ブラウンの、ワンカールロングの髪をした少女が、

そのコウモリのような翼を広げながら、卓上に顔を

乗せる。


「まーちょっとした戦闘訓練でしたねー」


次いで、黄色に近い金髪の―――

首までの長さのウルフカットの少女が、

ふさふさしたシッポをくねらせていた。


女神・フィオナと、サキュバス・ワーフォックスの

3人は……

先日あった怪物チョコとの戦いについて、反省会のような

ものを開いていた。


もっともそれはナヴィにもてなしてもらうという、

事実上のフィオナのお詫びであったが―――


「いやしかしホント、フィオナ様のチョコが

 あんな変化へんげを遂げるなんて」


「『動く』って聞いた時はさすがに意味が

 わからなかったけど、文字通りの意味だったん

 ですねー」


淫魔と半人半獣の少女がしみじみと語る。


「で、ですからその最初に言ったはずですし!

 だからちゃんと武装してって……あ痛っ!?」


「そもそも普通のチョコを作ればよかった

 だけなんですから。

 ていうか武装が必要な手作りチョコって

 何だよ」


女神が言い訳のように答えると、炬燵の

中から反論の声が聞こえてきた。


「痛っ、痛たたたた……!

 に、逃げ場無いんでそこでの攻撃止めてっ、

 噛んだまま両足でゲシゲシやって来ないで!

 止めっ、ナヴィ、お願いっ!」


仰向けになって悶絶もんぜつする女神を見て、他の

女性陣は、


「あ、ナヴィ様。

 私は少しくらい痛い方が良いのでいつでも

 オッケーでございます」


「むしろ泣き叫ぶくらいでお願いします。

 そりゃもう容赦なくヤッてくださいハァハァ」


サキュバスとワーフォックスより別角度からの

注文が入ると、お目付け役(猫Ver)はいったん

動きを止め、


「いや私に何の期待をしているんですかね?」


炬燵の中からの声に、フィオナは他の2人に

向かって、


「そうですよ、こちらでちゃんと準備は

 しておかないと。

 ムチとかローソクとか手錠とか」


「いらんから。

 それではそろそろ、本編スタートします」




│ ■フラール国・バクシア国代官館  │




「まあ、確かに―――

 いずれグレイン国に向かうのは、確定だった

 けどね」


館の主である、青みがかった髪・頬のクロスの傷、

フォックスタイプの眼鏡をかけた侯爵が周囲に対し

言葉を発する。


現状、この部屋にいるのは彼と、同じ貴族位にある

男女―――

そしてこの地の豪商の娘と、女神の主従のみで……

他はいったん果樹園へと戻されていた。


「アルプやファジーたちには申し訳ないですが、

 身分が絡む話ですからね」


シルバーの短髪の青年が、立ったまま話を進める。


「どちらにしろ、眷属の方々は後で必ず

 必要になると思いますので……

 まず先に、貴族の方で話を固めた方が

 よろしいかと」


赤いロングヘアーのグラノーラ家の令嬢―――

マルゴットが答え、それにバーレンシア侯爵と

ビューワー伯爵がうなずく。


「あと、わたくしどもで情報を止めておけば、

 必要以上に危険にさらされる事はありません」


いかにも女騎士といった、金髪のロングヘアーの

伯爵令嬢が、補足するように答えた。


「そうですねそのプロセスがコンセンサスで

 インシデントでアグリーです」


「意味不明の呪文詠唱やめるでしゅ。

 わからなかったら後でちゃんと説明

 しましゅから、お前はしょこで座ってさえ

 いればいいでしゅよ」


最後に女神が答え―――

主従の従である方のシルバーの短髪の少年が

つっこみ、室内が微妙な雰囲気になった。




「もしグレイン国に向かうとしたら……

 シッカ伯爵令嬢は問題無いよね。

 序列上位三ヶ国の一つだし。


 僕も当事者だから支障は無いとして……

 ビューワー伯爵はフラールの代表として、

 でいいかな」


書類や資料に目を通しながら、侯爵はテキパキと

話を進めていく。


「あの、こう言っては何ですが……

 フラールに、他の貴族の方はいらっしゃらないの

 でしょうか?」


レイシェンが言葉を選びながらたずねると、


「元は人口1万程度の弱小国ですからね。

 連合に加わる際、王家ゆかりの各家に

 便宜上べんぎじょう、貴族位を与えただけですから。


 公爵もおりますが、今回の結婚でフラールは

 バクシアの管理下から正式に外れました。

 なので、王の補佐として手一杯だと思われます」


バートレットが国としての事情を説明する。


「ビューワー伯爵は大丈夫なのですか?

 こちらの都合にこうまで付き合わせてしまって

 おいて、今さらですが……」


フィオナも申し訳なさそうに問うが、


「領民、引いてはフラールの国民を救って

 頂いたのです。

 フィオナ様の関わる事に協力するのは当然かと」


「それに、ここはバーレンシア侯爵様が代官館を

 構えた事もあって―――

 フラール国の商人たちの中心拠点にもなって

 いるんです」


バートレットの後に続いたマルゴットの言葉は、

この地と敵対する事、それはすなわち―――


ビューワー伯爵は元よりバーレンシア侯爵、

さらにそれに連なるレイシェン・シッカ伯爵……

またグラノーラ家やボガット家、ミイト財閥・

カトゥ財閥と、各国の主だった商家まで敵に回る

事を意味していた。


そこにバーレンシア侯爵の人脈まで加わると、

それは自殺行為とも言えるほど―――


だから多少の領主の不在など、ものともしない

くらいになっていたのである。


「ふみゅう。じゃあ―――

 グレイン国を訪問する人選は……


 バーレンシア侯爵様、ビューワー伯爵様、

 シッカ伯爵令嬢は確定としましゅて……


 他は誰がいいでしゅかね、フィオナ様」


「おぶぅえっ!?」


ナヴィの質問に、想定外だったのか女神は

上ずった声を上げる。


「え? え?

 いや何でそこでアタシ?」


「そりゃそうでしゅよ。

 ようやく上位三ヶ国に、介入するきっかけが

 出来たんでしゅよ?」


目を白黒させるフィオナに、レイシェンが、


「『枠外の者』や『新貴族』の実情を、

 アルプを始めとした眷属を通して、三ヶ国の

 王女・王妃に伝える事には成功しました。


 ここで、序列一位のグレイン国に対し、

 何らかの行動を起こす事が出来れば―――

 連中の勢力をさらに削ぐ、もしくは警告を

 与える事になるでしょう!」


「まあ、確かに―――

 『女神の導き』に取っては、勢いが

 乗っている感じではあるかな?


 だから僕の訪問に乗じて、いろいろと何か

 するという手はあるね、ウン」


消極的かつどこか他人事のように、

バーレンシア侯爵も彼女の意見に同意する。


「それに、フィオナ様は眷属のいる場所に

 いつでも降臨する事が可能だとか。


 ならば先にグレイン国へ派遣して、

 いつでもお迎え出来る態勢を整えるのも

 よろしいかと」


バートレットの意見に、フィオナは神妙な表情で

うなずき、


「そうですね、では―――

 考えをまとめますので、少々お待ちください」


そう言うと女神は精神を集中させ、意識を

地球の自宅、そのPCへ飛ばすと―――

ネット上の向こうとやり取りを開始した。



【 お、今回は一ヶ月ぶりくらいか 】


【 今度は何だ? 策か? それとも方法か? 】



次々に状況を確認してくる彼らに、女神は


「えーと、今回は人選なんですが」


そこで彼女は―――

序列一位の国家・グレイン国に向かう事、

その先遣として眷属の誰を出すのがいいか

相談に入った。



【 別に誰でも良くねえ? 】


【 どの眷属でも、そこにいればその場所まで

 飛べるんだろ? 】



「そ、それはそうなんですけどね。

 何か考えがあっての方が神様らしいっていうか、

 ちゃんと理由があるんだなーってわかる方が。

 ですから人選と一緒にその人でなければならない

 事情とか所以ゆえんとかあればなおベスト?」



【 お前本当に面倒だな…… 】


【 別に適当でもいいような 】


【 今までもあちらで何かしら、正当な理由を

 勝手に考えてもらったじゃん 】



「それはそうなんですけどぉ~」



不満そうに語るフィオナに、『アンカー』たちは



【 しゃーねーな 】


【 まあ何かしら考えてみるわ 】


【 取り敢えず『アンカー』やっとけ】



ひとまず同意は得られたようで、答えを求めて

彼女は条件を提示する。


「よし、ではいきますよ……!


 『アンカー』は今のスレで……600!


 聞きたい事は―――

 『グレイン国に先遣させる眷属』!

 『そしてその理由』も!


 ―――さあ、アタシを導き給え……!!」



>>600


【 人選:ポーラ・カガミ 

 理由:まずは女性同士で 】



「ん、む」


その答えを受け取ったフィオナは、フラール国に

意識を戻した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6191名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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