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03・僕はそれを甘受すべきなの?

( ・ω・)『いいね』機能、こっちにも

付けました(多分告知しなければ

気付かれないほど作品がマイナー)


日本・とある都心のマンションの一室―――


そこでペットと思われる長毛種タイプの猫と、

その飼い主であろう少女が、共にコタツで

くつろいでいた。


「んんん~……

 いつになったらこの寒さは、収まるん

 でしょうかねえ」


セミロングの黒髪を揺らすように、上半身だけ

少女は体を前後に揺らす。


「そう言いながら、スマホだけは手放し

 ませんね」


コタツから首と両腕を出すようにして、

シルバーの毛並みのお目付け役(猫Ver)が

反対側からツッコミを入れる。


「いやーだって、バレンタインイベントが

 ちょうど佳境かきょうなんですよ」


「バレンタインと言えば……

 そういえば今年は大人しかったですね?

 もう新しい命を創造するのは止めたんですか?」


ナヴィの言葉に、フィオナは視線を横にずらし、


「い、いやその……

 チョコは作っていたんですよ?

 サキュバスちゃんとワーフォックスちゃんと

 一緒に」


女神の答えに、お目付け役は掘り炬燵の中から

上がって来て、


「?? アレ?

 あの2人が家に来た事って、最近は無かった

 ような?」


「あの、チョコを作っていたのは家では

 無いんですよ。


 アタシが何か作ると、またあの歩行可能な

 植物とかになる可能性がありましたので……

 迷惑をかけないように、ヨソで」


首を傾げ続けるナヴィに対し、彼女は言い辛そうに

しながら、


「え、えーとですね。

 サキュバスちゃんに、多少失敗しても大丈夫な

 土地ところは無いかって聞いたら……

 彼女の住処は別次元にあるらしいので、

 そこでいろいろと試しまして」




―――少女回想中―――




とある森林のような、木々がうっそうと

生い茂る中……

3人の少女が迷彩服に身を包み、何物かと

戦っていた。


「明らかな攻撃意思を確認!

 対象を詳細不明アンノウンからエネミーに変更!!」


ブラウンのワンカールロングの髪を持つ、

いかにもな悪魔のような羽と尻尾のある

少女が叫び、


「撤退は不可!

 ここで食い止めるしかなさそうです!」


黄色に近い金髪の髪を首まで伸ばし、それを

ウルフカットにした少女が『相手』を見上げる。


それはピンク色の肌を持つ両生類のような姿を

しており―――

その巨体で立ち上がった体長はおよそ

5、6メートル。


甘ったるい匂いをまき散らすそれと、彼女たちは

対峙していた。


「うろたえるんじゃありません!

 サキュバスちゃん! ワーフォックスちゃん!


 敵にジェットストリー〇アタックを仕掛けます!

 アタシの背中だけ見てついてきてください!!」


「「応っ!!」」


最後にフィオナが号令をかけ―――

『敵』に突入していった。




―――少女回想終わり―――




「……とゆー事がありましてですね。

 アタシが作り出した怪物チョコの後始末で、

 バレンタインどころでは」


「どうしてこうまんべんなく各方面に迷惑をかける

 事に関しては、順調なんですかね……


 まあそろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■フラール国・バクシア国代官館  │




「お見事でございました、バーレンシア侯爵様」


応接室から戻って来た彼をまず―――

同じ貴族である、シルバーの短髪の青年が

出迎える。


「ん? 何の事?

 ビューワー伯爵」


頬にクロスの傷を持つ、青みがかった髪の侯爵が

思わず聞き返す。


フォックスタイプの眼鏡を掛け直し、周囲を

見渡すと―――

尊敬と畏敬いけいの眼差しで囲まれている事がわかった。


「『新貴族』、それも序列一位の国の伯爵を

 相手取り、ああまで渡り合えるなんて」


「それでいて情報はほとんど渡さない上、

 何の言質も取られなかったもんな。

 やっぱりたいした人だよ」


真っ赤なロングヘアーをなびかせながら、

マルゴットが―――

次いでブラウンの髪を首まで伸ばしたミモザが、

称賛を口にする。


「アレ?

 もしかして聞こえてたの?」


きょとんとした表情のバーレンシア侯爵とは

裏腹に、羨望の目で見つめる、グリーンと

ブラウンの短髪の少年が2人。


「あっ、こ、ここ……

 壁が薄いので。

 聞こえてしまったんですけど」


「でもでもっ!

 堂々と渡り合う姿勢は、すごく立派だったと

 思いますっ!」


第一眷属であるアルプ、そして第二眷属の

ファジーに続き、


「お貴族様相手の商売は俺も経験がありますけど、

 ああいう風に返されちゃ―――

 付け込む隙は無いでしょう」


日焼けしたような褐色肌の少年、シモンが

感心しながら黒髪の頭をウンウンとうなずく。


「貴族世界の事はよくわかりませんが……

 序列一位の国の方と、よくあそこまで

 上下関係を気にせずに話せたと」


アルプの母・ソニアが、息子と同じグリーンの

長髪を揺らし、


「わたしたちも父の仕事がら、交渉を見る機会は

 ありましたが―――」


「ああまで、『普通』の何気ない会話に徹する

 手腕は……

 見た事がありません」


「???」


銀のロングウェーブをした姉妹―――

第三眷属であるポーラと妹のメイの言葉の

意味が飲み込めず、侯爵はただ流していたが、


「……あれ?

 ところで、シッカ伯爵令嬢は?」


そこで唯一、いない存在に気付き―――

質問を投げかける。


その問いに、女神の主従が顔を見合わせ、


「そういえばレイシェンさんは?」


「ああ、そうでしゅね。

 彼女なら―――」


と、彼女の従僕は窓の外へ目を向けた。




「もうお帰りですか? 伯爵殿」


いかにも女騎士といった、長身・ブロンドの

ロングヘアーの伯爵令嬢が、ある貴族男性の

背中に声をかける。


「レイシェン……シッカ伯爵令嬢か」


その筋肉質の体とは対照的な、痩せているように

思える顔―――

白髪交じりの短髪の下から、鋭い眼光と共に

声が発せられる。


ややバクシア国代官館から離れたところで、

レイシェンとリーゾット・マイヤー伯爵は

互いに向かい合って立っていた。


「侯爵様との話し合いは、首尾よく

 終わりましたか?」


「君も性格が悪くなったものだな。

 あの男の影響か?」


元婚約者同士である彼らは、旧友のように

接する態度を見せる。


「―――とんでもありませんわ。


 見識、知略、剣の腕……

 私など、侯爵様の足元にも及びませんもの」


「だろうな。


 何も警戒していないかのように見せかけて

 おきながら、その実、油断も隙も無い。


 かつてのグローマー男爵と話している気分に

 なったよ」


つい先日、隠居宣言をした『新貴族』の名に、

レイシェンは反応し、


「確か、シフド国の重鎮でしたね。


 その方に比肩ひけんし得る、と?」


「さてな。

 もっと性質たちの悪い人物かも知れん。


 手を組むような物言いで逃げ道を作り、

 言質を全く与えず―――

 それでいて離れるようにして接近してくる。


 グローマー男爵とはそんな人物であった。


 まさか彼より手強い人物がいるとは

 思わなかったがね」


その返答に満足したようにレイシェンは微笑むと、


「それで、今のご心境は?」


「ようやく厄介な相手が消えたと思ったら―――

 さらに老獪ろうかいな人物が待ち構えていたという

 感じだ。


 しかも私より若い。


 初戦は完全に敗北した。

 だが、腐ってもグレイン国は序列一位の国家だ。


 『新貴族』も『枠外の者』も―――

 他の国とは異なる事を教えてやろう」


言い終えた彼はそのまま背を向けると……

振り返る事なく、彼女の前から去っていった。




「……何か僕の知らないところで、

 僕の評価に対して―――

 とんでもない勘違いがあった気がするんだけど」


同じ頃―――

バーレンシア侯爵は自身の状況を的確かつ敏感に

感じ取っていた。


それを聞いた周囲に、困惑した表情が

広がっていくが、


「えーと……

 それは多分、勘違いではないと言いましゅか。

 結果的には仕方の無い事と言うか―――


 まあそういう事でしゅので」


「え? それは肯定なの?

 僕はそれを甘受かんじゅすべきなの?」


ナヴィの言葉に真顔で答える侯爵の表情は、

焦りとも諦めとも取れず―――

その微妙な空気は、レイシェンが帰ってくるまで

続いた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在6188名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。


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