01・証拠は残さず隠蔽するでしゅ
( ・ω・)8章スタートです!
毎度新しい章を作る度に、
仕様を忘れている(学習能力皆無)
日本・とある都心のマンションの一室―――
長い黒髪のワンレングスで片方の顔が隠れている
少女が、あぐらをかきながらスマホを操作する。
「ありーフィオナさん?
さっきから援護が……って死んでる!?」
その隣りで、黒髪セミロングの少女が
やや焦りながら、
「いやだってアタシに攻撃集中したんだもん!
殺意高過ぎなんですよ!
何でか! どうしてか! アタシだけに!」
さらにその隣りで、同じ黒髪ロングの
ポニーテールの少女が、
「まあ弱いところから崩すというのが、
古来からの戦略の基本ですので……」
こちらは和装で正座しており、寝そべっている
女神とは対照的な佇まいで―――
「邪神ちゃん! 悪霊ちゃん!
どっちでもいいからはーやーくー!!
生き返らせて!
じゃないと戦力にならないから!」
彼女たちはマルチプレイタイプのゲームを
3人でやっていたが……
戦闘不能になった女神が、他の2人に
助けを求めていた。
「仕方ありませんね。
ワタクシが取り敢えず」
邪神ちゃんと呼ばれた少女が答え、
「おお!
さすが黒髪、ありがとうございます!」
「あたくしも……
と言うより、ここにいる3人全員
黒髪なのですが……」
フィオナの言葉に、悪霊ちゃんと呼ばれた
少女がツッコミを入れる。
「待たせたな、女神よ!
さあ、人間どもが醜く相争う、血で血を洗う
この地獄に蘇るがいい……!」
「邪神っぽいセリフですけどコレ、ランキングを
競っているだけのレイド戦ですからね?」
「そっち生き返らせている間にあたくしも
死んでしまったので……
早くこの地獄に蘇らせてください。
でないとレイド報酬が……」
その光景を物陰から見ている、女神の同居人の
お目付け役(猫Ver)が一匹。
「マルチプレイなら別に家に集まる必要は
無いと思うんですけどね。
まあそろそろ、本編スタートしましょう」
│ ■フラール国・バクシア国代官館 │
「えーと……バーレンシア侯爵様?」
「生きてるかあ?」
グリーンの長髪をした、第一眷属の少年の
母親と―――
ブラウンの、首までの長さの髪を持つ
第二眷属の姉が……
目の前で脱力したように、手足を投げ出して
座っている貴族の青年に声をかける。
その青みがかった短髪は、白く灰のように
真っ白になっており―――
戦い終わった戦士のように、満足気に
フォックスタイプの眼鏡の裏の両目は
閉じている。
「燃え尽きたぜ……真っ白によ、
という感じですね」
フィオナの言葉に、真っ赤なロングヘアーの
豪商の娘が歩み出る。
「序列上位国の……
三ヶ国の王こそ来ませんでしたけど―――
グレイン国からはグレイシア王妃様が、
シフド国からはスカーレッド王女様が……
ミイト国からはシャロレー正妃様が参列
なされましたからね。
これだけの王族が揃うなんて、序列上位国の
行事でもめったにありませんから」
フラール国にて―――
現王であるリーディルと、バクシア国王の妹の娘、
フラウアの結婚式が行われたのだが……
かつて婚約発表の式典でも、連合国序列3位である
ミイト国のディーア公爵が出席しただけで、
序列下位の国にしては異様な盛り上がりを見せた。
それが序列上位国の王族が揃い踏みした場合、
どうなるか。
人口1万5千人程度の小国に、関係者や護衛、
また商機と見た商人たちが押し寄せ……
『一気にその人数が入ってきたら、食料が
足りなくなる』
と、バーレンシア侯爵の陣頭指揮の元、なるべく
重要人物以外は周辺各国で留まってもらい、
また食料の輸送計画を立てたりと―――
八面六臂の活躍を見せた。
「あの、侯爵様は大丈夫ですか?」
そこへ、ブロンドの長髪を持つ長身の女性が、
部屋へと入って来た。
「回復するにはまだ時間がかかるかと……
レイシェンさんこそお疲れではないですか?」
ソニアの言葉に、彼女は首を左右に振り、
「わたくしはミイト国の担当だけで、
トーリ財閥にも手伝って頂きましたから……
それより他の男性陣は、まだ戻られていないの
ですね」
「あ~……
ビューワー伯爵様を始めとして、
例の『モデル』やってた人たちは、
まだそのお仕事中っていうか。
でもまあそのおかげで―――
フラールとバクシアは元より、ルコルアや
オリイヴ国、マービィ国と言った序列下位の
国々も、序列上位国の庇護を受けられるって
話だぜ」
ミモザが苦笑しながら口を開く。
結婚式はすでに終わっていたのだが……
その後、懇談会という名目で、リーディル王と
フラウア王妃を交え―――
各国の王妃・王女を中心にもてなしていた。
その彼女たちに、先に送付しておいた絵物語の
『続き』を手渡すため―――
アルプを始めとした、例のモデルとなった
男性陣がスタンバイしていたのである。
それに先立ち、バーレンシア侯爵は……
上位国三ヶ国の代表である王女、王妃、正妃から、
さらには他の国々の女性陣からも―――
勲章や褒章を受け取っていた。
―――3時間後―――
「お、美味しいです!
体全体に染み渡るような……!」
「アルプさんの果物みたいです!
こんな飲み物があるなんて」
グリーンのブラウンの短髪の―――
第一眷属の少年と第二眷属の少年が、渡された
飲み物に口を付けながら語る。
「くっは!
スゲェな、何だコレ!?」
「不思議な味ですが、とても飲みやすいです」
「あの時、女神様が飲んでいたヤツかー」
日焼けしたような褐色の肌の黒髪の少年と、
お揃いの銀髪の、ノーマルと巻き毛をした
獣人族の兄弟が同じ物を飲みながら話し、
「いや―――
頭の中がスッキリと冴えわたるようです」
「おおぉおお……
こ、これさえあればまだ僕は戦える!」
そして最後に―――
シルバーの短髪をした伯爵と、代官館の主が
飲み干したビンを見つめていた。
「ほりぇさっさとビン回収しましゅよ。
証拠は残さず隠蔽するでしゅ」
「だいたい合ってますけど言い方ぁ!」
戻って来た男性陣が飲んでいたのは、
フィオナが地球から持ってきた、栄養ドリンクで
あった。
かつて、転移で力を使い果たす前提の
『スタミナ課金作戦』で、証拠を残さないという
条件で使ったものだが、
緊急事態という事で、特別にナヴィ監視の下、
使用が許可されたのだった。
「非常にお疲れのようでしたので……
(特に侯爵様が)」
byソニア
「本当に助かりました!
(特に侯爵様が)」
byマルゴット
「心より感謝いたします!
(特に侯爵様のために)」
byレイシェン
そこへ、銀のロングウェーブの髪を揺らしながら、
姉妹の少女がノックをして入ってきた。
「食事が出来ましたよ」
「冷めないうちに、食堂へどうぞー」
その言葉を号令のようにして、一行は
執務室らしき部屋を後にした。
「リオネル兄もキーラ兄も、お疲れー。
そんでどーなったの?」
赤茶のツインテールをした獣人族の少女が、
兄2人に声をかける。
食後のデザートが配られた後―――
男性陣から改めて、女性陣と情報共有する
流れになっていた。
「本を手渡す時、何か目が血走っていて
怖かったですが……
奉公労働者になりそうだった話をしたところ、
同情的な反応はありました」
「ボクとミモザ姉も、元奉公労働者でしたから……
でも各国とも、口が重かったように感じます」
アルプとファジーは、上位三ヶ国の王女・王妃に
会って、直接反応を肌で感じていたが―――
「まあ厄介だろうねえ。
『枠外の者』は考え方こそ健全では無いけれど、
たっぷり税金を納めてくれる『お得様』だ。
そして『新貴族』の方は―――
実力主義を標榜しているが、別に反逆している
わけでもない。
むしろその考えこそが、国を強くするという
意見もある。
王妃・王女様の立場からすれば、うかつに
意見表明は出来ないさ」
館の主が、状況を分析してみんなに説明する。
この中では一番序列の高い国の、さらに身分も
一番上であり―――
また今回の結婚式典のためにいろいろと情報を
収集した立場でもある、彼の言は重かった。
「『枠外の者』といえば……
そういえば、ラムキュールさんと
ファーバさんもいたのでは?」
フィオナの質問に、隣りにいたナヴィが
「まあ2人とも『枠外の者』という事で、
私たちとは別行動でしゅたよ。
あの本の『続き』を渡した後は、
どこかで商談でもしているんではない
でしゅか?」
「確か、トーリ財閥のあの姉妹も来ていた
はずですから……
もしかしたら何かしら、情報が入って
いるかも知れません。
それは後で確認しておきましょう」
レイシェンがその疑問について答え、
これでようやく一段落……
という雰囲気の中、ノックの音が響いた。
「ん? 何かな?」
「あの、侯爵様にお客様です。
グレイン国の―――
リーゾット・マイヤー伯爵と名乗って
おられますが、いかがしましょう」
その名前を聞いて―――
レイシェン・シッカ伯爵令嬢の顔が強張った。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在6102名―――
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