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36・チャンネル登録高評価、フォローもお願い

Q:いつ終わりますか?

A:( ・ω・)本人にもわかりません(無計画)


天界・フィオナの神殿じっか―――


そこで一匹の、ペルシャのような長毛種で、

その背に鳩みたいな翼を生やした猫が……

主人である女神を前に、前足を揃えて座る。


ロングのブロンドヘアーを持つ彼女の横には、

黒髪を肩まで伸ばした褐色の青年がおり、


それと相対するかのように、猫の横には

黒髪セミロングの少女が座っていた。


「メリークリスマス明けましておめでとう

 本年もよろしくー♪」


「は、はは……

 元気だったかい、フィオナ?

 年末年始はどう過ごしていた?」


明るくハキハキと母親アルフリーダがあいさつし、

どこか疲れた表情で父親ユニシスが近況を聞く。


「まークリスマスは邪神ちゃんたちと一緒に

 過ごしてましたし……

 新年は悪霊ちゃんとサキュバスちゃんとで

 迎えました」


「見事に男っ気が無いわねー。

 あのたちも、素材は良いんだから

 もうちょっと頑張ればいいのに」


「邪神ちゃんや堕天使ちゃんは信者がいる

 みたいなんですけどね。

 あんまり好みの層がいないっぽくて」


「あちゃー」


母子が女子トークに突入する中―――

ナヴィはユニシスに近寄り、小声でたずねる。


「(そういえばユニシス様。

 今年はSOSのメッセージがありません

 でしたけど……)」

(6章19話目

 むしろアイツが一番の危険物 参照)


「(ああ、それはね。

 ママに電源切られていたから)」


「(Oh……)」


どう答えたらいいのかわからない顔をしながら、

猫Verの従僕は父親の心中を察する。


「(……しかし、ナヴィ。

 お前も話を聞くところ、女性陣に囲まれて

 過ごしたという事だけど)」


不意に主筋しゅうすじの夫から話を振られ、


「(そういえばそうですが、やっていた事は

 料理と給仕ですからねえ。


 それにフィオナ様を始めあのメンバーに、

 あの状況下で私に手を出そうという猛者もさ

 いないかと)」


「(う~ん……

 最近のコは、積極的なんだか消極的なんだか

 わからんなあ)」


「(フィオナ様を始め全員ヘタレですからね)」


「(言い方ァ!!)」


ナヴィと軍神が小さな声ながらも加熱した

言葉を交わしていると、


「何してるの、パパ?

 ホラ早く、あっちで私の手料理を食べましょう。

 ナヴィも人間の姿になりなさい」


「やったー!

 ママの料理ってホントに美味しいからねー。

 パパ、早く早く!」


アルフリーダとフィオナにつられ、ユニシスが

移動し、


「では私も―――」


ナヴィは猫から人間の姿……

シルバーの短髪をした、11・12才ほどの

少年の姿になる。


「しゃて……

 それではそろそろ、本編スタートしましゅか」




│ ■シフド国・首都バーサー   │

│ ■メルリア本屋敷 応接室   │




「では、僕たちはこれで……」


「失礼いたします」


グリーンのお揃いの髪をした母子―――

第一眷属の少年・アルプとその母・ソニアが

深々と頭を下げる。


ある程度の取り決めを行った後……

2日ほど後、各国の人間は一度帰還する事に

したのである。


「バーレンシア侯爵様への言伝ことづて、確かに」


「私も一度屋敷に戻って、販路の準備と確保を

 いたします」


白銀の髪を持つビューワー伯爵が、真っ赤な

ロングヘアーの商人の娘、マルゴットと隣り同士に

なり、それぞれあいさつする。


「それじゃ、わたくしはアルプ君と一緒に

 フラールへ戻りますから―――

 バクシアの方はポーラ姉さまにお任せします」


シルバーのウェービーヘアーをした、長い髪の

姉妹の妹の方が、姉に話しかける。


女性陣の両手にはそれぞれ、20冊はあろうかと

いう本の包みがぶら下げられて―――


「じゃあまず、フラール組から帰還して

 くだしゃい。

 ほら、フィオナ様」


「うーっし。ほんじゃ行ってきまーす!!」


両手で自分の頬をバシバシ叩く女神。

そして彼らは光に包まれた。




―――それから一時間後……


バクシアへシモン・ポーラ組が、

そしてオリイヴ国へリオネルが帰還し、


ルコルアへファジー・ミモザ組を転移させようと

準備を進める中……

その光景を初めて見る『枠外の者』2人が

目を白黒させていた。


ブラウンの、それぞれ首までと肩越しの

長さの髪を持つ姉弟が、かつての『雇い主』に

視線を向け、


「ほら、何ボサっとしてるんだよ。

 ちゃんと荷物持ったか?」


「本当に一瞬ですから、心配しなくても

 大丈夫ですよ」


それを聞いた、痩せ過ぎとも思える体型の

アラサーの男が口を開き、


「女神、と言っていたが……

 まさか本当だとは」


「ラムキュールさん、自分たちこのまま

 地獄行きって事は無いですよね?」


ダークブラウンの短髪の青年は、さすがに

緊張した面持ちで―――


それに対し、ピンクのロングヘアーをした

屋敷の主、メルリアが、


「そこは大丈夫よ。

 人間の世界にあんまり介入出来ないそうだから。


 それに貴方たちは―――

 もう重要な『協力者』だしね。


 たっぷりと稼ぐといいわ♪」


その横で、赤茶のツインテールをした獣人族の

少女がニヤニヤしながら、


「おー悪い顔だー♪」


「あんなので、そんなに儲かるものなのかな」


そして銀髪の巻き毛をした兄の方が、頭を

かきながら見つめていた。


「わかっておりませんね、キーラ君」


「そこは仕方ありませんよ。

 何せ『男子禁制』なんですから」


ライトグリーンのショートボブをした、

子爵家の令嬢と、ダークブラウンの

長髪をした、この国の商業ギルド本部長が

言葉を交わす。


「そんなみんなの思いを乗せてぇ~」


その後方にいた女神が、ダン! と

飲み干した栄養ドリンクのビンをテーブルへ置き、


「……よし、チャージ完了。


 ナヴィ、アタシが戻ったら―――

 お風呂用意しておいて。


 あとスイーツのフルコースと、

 それと全身マッサージと、

 チャンネル登録高評価、フォローもお願い」


「お前チャンネルなんか持ってたのかよ。


 まあとにかく、可能な限り要望には応えて

 あげましゅから―――

 早く行くでしゅ」


こうして女神は、全員+追加2名を転移で

元の国へ送り届けたのであった。




│ ■職人ギルド街・印刷工房   │




ところ変わって―――


モデルのデッサンと印刷・製本も兼ねる

工房では、シフド国の男爵と子爵が膝をつめて

商談を行っていた。


「少し、投資し過ぎではないか?

 あのモデル料だってバカにならんと

 思うのだが……」


真っ白な頭髪をなでながら、グローマー男爵は

幼馴染のベラ・ボウマン子爵にたずねる。


「わかっておらんのう。

 この商売のスゴさが……!


 今、グレイン国にも伝手を使って

 売り込み中じゃ。

 何なら、お主は手を引いても良いのじゃぞ?」


茶色に近い金髪をツインテールにした、

少女のような外見の当主が、人差し指を

振り子のように動かす。


「いや、元々はワシが持ちかけた

 商売なんじゃがなあ?」


理不尽かつ納得がいかない、という表情を

しながらも―――

『男子禁制』という性質上、あまりツッコむ

事も出来ず……


そもそも、最初は隠居を進める方針で動いて

いたが、結局は当人をやる気にさせてしまい―――

呆れと嬉しさが半々のような気持ちになっていた。


「ま、それはそれとしてじゃな」


ベラ子爵家当主は、グローマー男爵に向き合い、

礼をする。


「何だ?」


「いや、実はな。

 お主の言う通り、もう隠居いんきょするつもりなのだ。


 最後にこんな楽しい商売ことが出来て―――

 返って良い機会だと思うようになった」


突然の申し出に男爵は戸惑うも、


「そうか。

 では後は、後継に任せてゆっくり……」


「何を言っておる?

 お主も一緒に隠居せい」


「……ん? んん?」


思わぬ方向に話が飛び、彼の顔に困惑の色が

浮かぶ。


「この商売を本格的に支援するには、

 その方が身軽そうだからのう。


 隠居はお主が言い始めた事じゃ。

 まさか自分がイヤとは言うまいな?」


「い、いやその。

 ワシの方はまだ跡継ぎに不安が」


すると、ベラ子爵はグローマー男爵の顔を

ジッと見つめ―――


「ふ~ん……

 そんなこと言うんだ。


 じゃあ私も、隠居止めよっかなー?

 止めちゃおうかなー?」


「むぐぐ」


外見は少女に見える子爵家当主は、ニヤニヤと

幼馴染の老人を見る。


「わ、わかったわい!


 だがしばらく待ってくれ。

 家督譲渡かとくじょうとで少しごたつくかも知れんからな」


「別によいぞー?

 隠居は私と一緒に、同時にだからのう」


それを聞いて苦笑する男爵を、彼女は

微笑みながら見つめていた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5925名―――


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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