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07・再降臨

ひっそりと2000PV達成m(_ _)m



日本、とある都心部のマンションの一室。


そこで一人の少女―――女神と、

お目付け役兼サポート役である一匹の猫が

くつろいでいた。


「……しまった」


「どうしました?」


「お茶を飲もうとしていたのに、

 間違えてコーヒー開けちゃった」


「じゃあお茶を諦めて、コーヒーにすれば

 いいんじゃないですか?」


「いやもう急須も持ってきているのに」


そのまま急須を持ってウロウロしている女神に、

ナヴィは思いついた解決策を提案する。


「あ! そうだ。

 口に含めばいいんじゃないでしょうか?」


「そっかー」


「いやそうかじゃねえ納得すんな。


 それじゃそろそろ本編入ります」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「臨時雇いの人が?」


「姉と弟……ですか」


早朝―――

マルゴットとバートレットは、以前、

グラノーラ家の屋敷中庭に侵入した

怪しい人物の情報共有のため、

アルプの家を訪れていた。


「本当の姉弟ではないと言ってました。

 事情があるみたいで」


「しょれで、お2人は様子見でこちらへ?」


ナヴィの問いかけに、2人は一回顔を見合わせ、

改めて向き直る。


「いえ、先日のフィオナ様のご降臨の際、

 ナヴィ様が感じたという気配―――

 あれをバートさんも感じていたと」


「敵意は無く、2人ほどですが……

 ちょうどナヴィ様もいて良かった」


今度は、アルプとナヴィが顔を見合わせ、

そして向き直った。


「しょれ、今回臨時雇いで来たあの

 姉弟でしゅよ。

 気配でしゅぐわかりましゅたから」


「えっ?」


「はい?」


ナヴィの答えの意味がわからずに、

2人は理解しようと全力で

頭をフル回転させる。




「―――何か事情がありそうでしたので、

 その事については触れてあげないよう

 しているんです。


 それに、もし怪しい人なら、ナヴィ様が

 放っておかないと思います」


「そ、それはそうかも知れませんが……」


「では、会いに行ってみましゅか?

 そろそろ、朝食の時間でもありましゅので」


「―――是非」


ナヴィの提案を飲むと、その姿を自分の目で

確かめるため―――

4人はミモザ、ファジーの泊まる部屋へと向かった。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■宿泊小屋の部屋        │




「ねえ、ミモザ姉。

 早く起きて。

 今日から本格的に働き始めるんでしょ?」


「う~……待って。

 あと3分……」


「確かにそのベッド、

 すごく寝心地良かったけど……」


彼らの部屋では、未だに夢の世界から

出てこようとしない姉を起こそうと、

弟が奮闘していた。


そこに背後から、ノックの音と声がかけられる。


「すいません、アルプですけど。

 そろそろ朝食の時間ですよ?」


「ははっハイっ!

 すいません少しお待ちを」


慌てて対応しようと、ドアノブをつかんで開けて

アルプと対峙する。




「ご、ごめんなさいっ。

 ミモザ姉が仕度に手間取っているので―――

 すぐに向かいますからっ」


「……ミモザ『ねえ』?」


「姉妹……でしたっけ?」


アルプの背後にいたマルゴットとバートレットは、

目を丸くして疑問の言葉を返す。


「え? あの……ボクは弟ですけど」


「しょの、ファジー君?」


「えーと、どうしてそれを……」


4人の視線が自分の首から下だという事に

気付き、彼は着ている物を再確認する。


「あ……ああぁあああっ!?」


昨夜、ミモザにメイド服を着せられたファジーは

そのままそれをパジャマ代わりに寝てしまい―――

そしてそのまま4人と顔を合わせてしまったのだった。


「違うんです違うんですっ!

 すぐに着替えますからっ!!

 ミモザ姉のバカバカバカーーーっ!!」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家・食卓       │




「なぁなぁ、わかったから……

 機嫌直しておくれよ」


「知らないっ!」


とは言いつつ、隣同士に席に座るミモザとファジー。

そして対面にアルプ、左右横にナヴィとマルゴット、

バートレットが座る。


「まあ、(女装の)事情はわかりましたけど……」


「そもそも、どうしてメイド服がこの家に?」


当然の疑問を大人の男女が指摘し―――

その贈り物をされた当人が対応に追われる。


「あの、バクシアのポーラさんとメイさんの姉妹が、

 僕宛てに贈ってきてくれたんです。


 ただ、女性用でしたので、何かの間違いだと

 思うんですが」


「ホントはミモザしゃんのための

 服だったんでしゅよ。

 アルプ君の母上の着物は大きしゅぎでしょうし、

 ちょうどいいという事で―――」


この時、別世界の被お目付け役―――

フィオナがナヴィとの神託カイセンを開いた。


(ふっふっふ……

 メイド服姿の女装美少年と聞いては

 黙っちゃいられねえ……!)


「お願いでしゅので出来れば黙りぇ」


(いやイヤ嫌ー!!

 だって最近出番がアンタより少ないのよ!?

 これっておかしくない?)


「それで久々の出番がこりぇでしゅか」


独り言のように見えるナヴィに、恐る恐る

ミモザが声をかける。




「あの、どうかしたかい?」


「あ、多分フィオナ様のご神託を聞いているんだと

 思います。

 頭の中に直接声を下されるので―――」


眷属であり、神託経験のあるアルプが擁護する。


(ああもうっ、アタシが直接そちらに向かうわ!

 新たな供物……いえ、アルプに近付く人間は

 この目で確かめねば!)


「今度はちゃんと威厳を保ってお願いするでしゅ。


 ―――あ、今フィオナしゃまが降臨されましゅよ」


「え? 今ここに、ですか?」


バートレットが言うが早いか、食卓の部屋は

光に包まれ―――


まばゆさに目を閉じ、光が収まった時に

まぶたを開けると、そこには一人の少女が

立っていた。


「フィオナ様―――」


「貴女がご降臨されたという事は……」


マルゴット、バートレットは思わずミモザと

ファジーの方向に目をやる。


その視界に入るように、女神・フィオナは

つかつかと2人に歩み寄った。


「……あ……あ……」


「ミ、ミモザ姉……っ」


ファジーは思わずミモザの腕にしがみつく。




「確かに―――」


「な、何?」


「美少年にメイド服―――

 その価値に口を挟むものではありません」


「……は?」


「しかし、物事の本質はそこにはありません。


 儀式で使う祭器さいきに魂がこもって

 いないように―――


 そのものに価値があるという事ではないのです」


「……??」


「かつて弓の名手めいしゅは、弓を持たずとも

 飛ぶ鳥を落とした、と言われています……


 つまりアタシが何を言いたいかと言うとですね、

 メイドさんも道を極めるとだな服などな」


「黙りぇ♪(超笑顔)」


次の瞬間―――

フィオナにアイアンクローをかけている

ナヴィの姿があった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在1124名―――




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