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31・ワシ何しに来たんじゃろうな?

( ・ω・)18禁もランキングってあったのかあ

(一度も入った事が無い)


日本・とある都心のマンションの一室―――


家主の、黒髪セミロングの少女が、ペットらしき

一匹の猫を前にくつろぐ。


一人と一匹はホットカーペットの上で……

フィオナはスマホを見て、ナヴィは毛づくろいを

しながら雑談に興じ、


「そういえば―――

 ナヴィ、あなたママに何か頼まれて

 いなかったっけ?」


「あ、そうでした。

 たしかに本でいうところの『オセイボ』って

 いう物を、天界市役所しょくばの人たちに送ってくれと

 言われてましたね」


その言葉に彼は、銀髪の少年の姿に変化する。


「これから買い物に行くの?

 外は寒いからちょっと暖まってから行かない?

 ベッドインプロレスで60分1本勝負を」


「さすがに猫の姿で買い物は無理でしゅよ。

 ていうかさり気なくセクハラかますな」


外行きの服に着替えながら、ナヴィは主筋の

少女に答える。


「んーでも、どうしてナヴィなんでしょ?

 いくら従僕って言っても、買い物くらいなら

 アタシに頼んだって……」


「まあ実際、私の方がよくお使いで、市役所の

 方々と面識もありましゅしね。


 言ってみれば現場での付き合いも長いでしゅし、

 しょういう理由もあるのでは」


なるほどねー、と言って女神はうつ伏せになり、

スマホの画面に目を向ける。


「何か買って来て欲しい物とかありましゅ?」


「あ、じゃあ―――

 ポテチ系のお菓子と、後……」


こうして2・3のやり取りをした後、

彼はマンションを後にした。


1Fの玄関を抜けて、道中、彼は考える。


「しゃて、贈り物はどうしましゅか……


 いつもご主人(アルフリーダ)様に泣かされているみたい

 でしゅし……

 胃薬や胃腸薬でも送ってみましゅか」


事実、彼らはアルフリーダから―――

フィオナもしくは夫であるユニシスへの扱いに、

無理難題をよく吹っ掛けられていたが……


ナヴィの選んだお歳暮が胃薬と聞いて、

アルフリーダの方は役所への対応を改め、

少し大人しくする事になり―――


それを聞いた役所の職員から、二重の意味で

感謝される事となる。


「さて、しょれでは―――

 そろそろ本編、スタートしましゅ」




│ ■シフド国・首都バーサー   │

│ ■職人ギルド街・印刷工房   │




ある意味、熱い議論が交わされた翌日……


様子見に訪れた商人ギルド長・ジアが目にした

ものは―――

戦闘の後かと思われるほどの光景。


イスは方々に倒れ、ある者は机に突っ伏し、

またある者は床で寝息を立て……

それでいて描かれた絵と思われる書類はキレイに

まとめられていた。


彼女はそのダークブラウンの髪を手櫛ですくと、

工房のメイン2名、グリーンに近い茶色の短髪と、

赤い長髪を後頭部でハーフアップにまとめた

女性2人を起こして事情を聞く。


「何があったのよ……

 まあ、ある程度は予想していたけど」


すでにモデルを数名確保したと聞いていたジアは、

呆れながら飲み物を用意する。


カーレイとメヒラは、その体力を使い果たした体を

無理やり起こすようにして、


「いやあ、一生分の幸運を使っちまったような

 モデルさんが来てねえ」


「まだ完全には絵にしてないけど……

 ホラ」


メヒラが一枚の絵を手に取ってジアに渡す。


「……ほほぉ、これはこれは」


その絵が描かれた紙越しに、ジアはカーレイを

見つめ、


「でも意外だったわね。

 あなたがそんな事を言うなんて―――」


「あ? いやー、俺は可愛い子一筋だぜ?

 男でもあれだけの美形さんであれば、

 やぶさかでは無いねぇ」


メヒラも彼女に同調するように、


「あれはめったにない逸材……

 そう、性別すら関係なくなるほどに」


そこでジアは頭を抱え、


「えーと、あなたたち……

 男に興味無かったんじゃ?」


すると2人はポカンとして、


「いや、何でそうなる?

 俺は美しいものが大好きなだけで、

 美少年はその範囲に入るが?」


「俺っちもそう。

 可愛ければ性別は関係ないさー♪」


ジアは眉間にシワを寄せた後、そこへ人差し指を

あてて、


「(う~ん……

 もしかして人選失敗したかしら?


 でも、男禁制の職場を用意するとなったら、

 この2人以外にいなかったし。

 手を出さないのなら別にいいかしら)」


別方向の心配をする彼女に、カーレイは

もう1枚の絵を取り出し、


「まーまー。

 あんたもどうだい?

 捨てたものじゃないって、これなんか」


「いえ、だから私の方は―――

 ブッフォ!?」


その絵を見せられたジアは思わず吹き出す。


「え? いや、え?

 ここ、これは何してはりますのん?」


「とか言いながらしっかりガン見してんじゃ

 ねーか」


「おーそうだ、あんたはいなかったからなー。

 で? どの組み合わせがベストと思う?」


こうして泥沼に足を踏み入れた彼女は―――

その後、復活してきた周囲の加勢により、

肩まで沈む事になった。




│ ■メルリア本屋敷 応接室     │




「ん~……」


ピンクのロングヘアーをした眼鏡の女性が、

ソファの上で大きく伸びをする。


その下には、彼女の膝枕で寝る銀髪・巻き毛の

獣人族の少年がおり―――


「そういえば、今日もモデルやるの?

 メルリア」


「一日は置いた方がいいと思うわ。

 あっちもこっちも疲れているでしょうし。


 それにしても―――

 フィオナ様があの装置、一人に付き一台って

 仰っていたけど……」


あの装置―――

カメラ・オブスキュラだが、『アンカー』によって

スケッチする時は、モデル一人に対し一台しか

使ってはいけないと定められていた。


だが、モデルが一気に増えた事により……

逆に装置の数が足りなくなるという、逆転現象が

起きていたのである。


「スケッチは普通、モデル一人につき複数の

 絵描きで描く方が効率は良いのだけれど……


 まさかこうなる事を予想していたのかしら?」


「……まあ、ポーズや衣装を注文する人と、

 絵を描く人は別々の方が確かにいいかもね」


彼女を背にするようにして顔を横に向けて、

寝たまま彼は言葉を交わす。


そこへ使用人がノックをして、


「ご主人様。

 グローマー男爵様と、ボウマン子爵様がお見えに

 なっておりますが」


「わかりました。


 お客様もあいさつした方がいいと思いますので、

 応接室へお呼びください」


キーラが上半身を起こし、そしてメルリアも

ソファから立ち上がって―――

客を招き入れる準備を始めた。




「うわ、うわ、うわわわ……」


「べーちゃん、驚き過ぎ……

 気持ちはわかるけど」


ベラ・ボウマン子爵家当主は―――

その茶に近いブロンドのツインテールを

揺らしながら、口元に手を付け、


それを同家の、ライトグリーンのショートボブの

髪を持つ子爵令嬢がたしなめる。


「オリイヴ国以来かのう。

 ビューワー伯爵様」


「お久しぶりです、グローマー男爵様」


真っ白な口ヒゲをたくわえた紳士と、

銀の短髪をした青年―――

貴族位の2人は互いに頭を下げ、


次いで、銀髪の―――

口からのぞく牙を持つ獣人族の少年、

その妹、赤茶のツインテールの少女、


グリーンの短髪と長髪を持つ、第一眷属の

少年とその母親―――

アルプとソニアが、


同じブラウンの髪で、短髪と首まである長さの

第二眷属の少年と姉……

ファジーとミモザが一礼する。


そして、黒髪・褐色肌の少年と、第三眷属である

銀のウェーブの髪をした少女―――

シモンとポーラが、


さらに姉と同じシルバーのウェービーヘアーをした

その妹、また伯爵と同郷の赤いロングヘアーを持つ

豪商の娘である……

メイとマルゴットが深々と頭を下げて―――

一通りのあいさつを終えた。


「……そういえば、もう一人の少年と少女が

 見当たらないようですが」


ベラは目ざとくこの場に不在の2人を指摘する。


「フィオナ様とナヴィ様なら―――

 お疲れのようですので、休んでおられます。


 一時的なものなので、すぐお見えになると

 思われますが」


連合国家上位国であり、シフド国でも有数の

財閥令嬢の態度に、ベラとアーユは違和感を

覚えるが、


「いやしかしべーちゃん、これホントに

 すごいよ。

 モデルを呼ぶって聞いてはいたけど、

 まさかこれほどとは。


 ナヴィさんとキーラさんは見た事あるけど……

 それに勝るとも劣らない美形揃い!」


ベーラとアーユに(半ば強引に)くっついてきた

メイドの面々も―――

異国の男性陣に向けて黄色い声と視線を送る。


そこで屋敷の主が、コホン、と咳払いして、


「では……

 モデルの方が揃いましたので、先日、

 工房との顔合わせと『予行練習』として、

 あの装置を使い絵を描いてみました。


 その絵はここに」


テーブルの上に何枚か広げられると同時に、


「じゃあ、アルプは……」


「うん。ファジーも念のため」


と、第一眷属と第二眷属の少年は、身内に

背中を押されるようにして、


「では伯爵様も」


「シモン君もちょっと遠慮して」


にぃたちも!

 部外者は外でねー」


と、次々と男性陣は使用人含めて部屋の外へ

追い出され……

彼らは廊下側で顔を見合わせる。


「え、ええと……?

 取り敢えず、広間へとご案内いたします。

 どうぞこちらへ」


「う、うむ……

 ワシ何しに来たんじゃろうな?


 あいさつした途端いきなり部屋から

 締め出されたんじゃが」


事情が飲み込めない執事風の男の案内で、

グローマー男爵を始めとして―――

とにかく彼らは別の部屋へと移る事になった。




「ぬふぅ……

 これが『物語』用の絵ね」


「べーちゃん、あの装置もっと買い付けない?

 もしくは複製するとかぐふふ♪」


「じゅる……♪

 ちょうどそれについて相談したいと思っていた

 ところでして。

 装置を売りに来たあの商人たちはまだ

 国内にいますか?」


ボウマン子爵家の者と、カトゥ財閥の令嬢が―――

上流階級とは思えない言葉を端々(はしばし)に出しながら

会話を交わす。


「しかし、『物語』とはいえ―――

 兄が4人、弟が3人という設定は」


「確かにちょっと偏り過ぎですよねえ。

 でもせっかく7人いるんだから」


マルゴットとメイが、製本化に向けて

意見を挟む。


「弟役が、アルプにファジーちゃん、

 キーラ君、ナヴィ様でしたっけ?」


「で、兄役が伯爵様にシモン君にリオネル君……」


「え? あの人はお父さん役じゃないの?

 それにしても、確かに男兄弟7人って

 厳しいかなー?」


ソニアとミモザ、カガミの身内組が状況の把握と

問題点を洗い出して、


「……ではいっその事―――


 実のお父さんと義理・師匠・再婚と、

 父親役を増やしてみたらどうでしょうか」


「「「お、お前天才か!?」」」


その意見に全員が注目すると―――

いつの間にか女神・フィオナがしれっと

降臨して混ざっていた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5861名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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