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25・真っすぐな瞳で事務的に

( ・ω・)評価pt900突破!

応援ありがとうございます!(3年目)


日本・とある都心のマンションの一室―――


家主と思われる少女を中心に、彼女と前後した

年齢とみられる少女たちがテーブルに座り……


その前にはホワイトボードがあり、そこに書かれた

課題を全員で話し合っていた。


「やはりここは温故知新という事で―――」


「いえ、流行りを取り入れるのも結構重要だと

 思いますよ」


「鉄板はありますからね。

 これは外せないっていう……」


かつて何度もナヴィが返り討ちにした―――

お馴染みの悪霊・邪神・サキュバス・堕天使

その他が、真剣な表情で意見を出し合う。


「フム……

 身内以外のアイディアも聞いてみるものですね」


黒髪セミロングの女神が、出された案を

次々とホワイトボードへ書き込んでいく。


それを全員が眺め―――

改めて活発に論議が行われる。


「やはりコーデは、ズボンがメインで」


「ミニスカートでもいいのでは?」


「いえ、それは本来の機能とうま味が

 損なわれるわ。

 すその長いスカートを大きくめくり上げる

 所作しょさこそ……!」


両腕を組む者、眉間にシワを寄せる者、

両目を閉じる者―――

それぞれが悩み、語り合う。


「破壊力から言っても、ブルマは外せません!」


「胸元が見られる浴衣系も捨てがたい……

 あの健康的な露出が」


「露骨でもいいのなら、チャイナドレスは

 確定でしょう!」


ホワイトボードには―――

『第四回・ナヴィハロウィン衣装会議』と題目が

書かれており、室内は少女たちの妄想と熱気で

あふれていた。


「まーたくだらない事を……

 はい、お茶入りましゅたよ」


もはやそれを非難する事も無く、白銀・短髪の

少年が飲み物を持って入室する。


「あ、ナヴィ。

 ちょうどいいところで貴方の意見も聞きたいん

 ですけど―――

 主に露出とか露出とか露出とか」


「清々しいまでに欲望一直線でしゅね。

 私としては、特に意見はありましぇんけど」


鼻息荒く取り囲む彼女たちを前にして、ナヴィは

淡々と作業をこなしていく。


「あ、ただ……

 ご主人様(アルフリーダさま)が一番グッと来たという衣装コスプレ

 聞いた事がありましゅ」


「「「それは!?」」」


女神・悪霊・邪神・サキュバス・堕天使たちが、

中心の彼に視線を向ける。


「普通の―――

 半袖半ズボンでしゅたよ」


答えを聞いて、少女たちはガクッと肩を落とす。


「ん、ま、まあでも―――」


「基本が一番……という事でしょうか」


彼女たちはそれぞれ納得と理解を示そうとするが、

さらにナヴィは続けて、


「あ、でも……

 下着もパンツもいていない状態で、

 でしゅたけど」


しばらくの間―――

時間は止まり、秒針の音だけが室内に響いていた。


少女たちはそれぞれ、互いに顔を見合わせると、


「では……」


「ご一緒に―――」


きましょうか♪」


彼女たちは鼻から勢いよく血を吹き出し―――

部屋の中は真っ赤に染まった。


「やれやれ……

 しゃて、そろそろ本編スタートしましゅか」




│ ■シフド国・首都バーサー   │

│ ■メルリア本屋敷       │




「あ~……」


アルプ・ソニア母子とメイをフラールへ

送り返した翌日―――


グロッキーになったフィオナは、メルリアの屋敷の

ソファに身を横たわらせていた。


「そりぇで―――

 ビューワー伯爵様とバーレンシア侯爵様の

 予定はわかったんでしゅか?」


「ああ……

 真っすぐな瞳で事務的に事を進める

 アナタが好き」


ナヴィは淡々と話を進めようとし、

女神は片手の手の平を天井へ向ける。


「ま、まあもう少し休ませてあげて。

 フラールとの連絡が1日で済むっていうだけでも

 予想外の早さですし」


ロングのピンクヘアーをした眼鏡の女性が、

飲み物を用意しながら話す。


「てゆーかそういう事が出来るならー、

 カガミたちもシフド国に来るの、馬車でなくても

 良かったよね?」


「うぐぅ」


赤茶のツインテールをした獣人族の少女が、

追い打ちのように語る。


「に、荷物とかいろいろあったし―――

 それに馬車だったんだから別にいいだろ」


シルバーの巻き毛を持つ兄が、妹をたしなめる。


「仕方ないでしゅね。

 二往復しただけでこりぇとは……


 メンバーの選定を先にやっておいた方が

 よさそうでしゅ」


こうしてフィオナを残し―――

シフド国へモデルとして連れてくる人間について

話し合う事になった。




「それじゃ、候補から―――


 アルプ・ボガット。

 ファジー・ベリーニ。

 シモン・ストラジェン。

 リオネル……


 バートレット・ビューワー伯爵様に、

 レンジ・バーレンシア侯爵様―――


 あとはここ、シフド国にいるナヴィ様と

 キーラ、合計8人ね」


応接室から場所を変えて―――

メルリアが大きな紙に名前を書き込んでいく。


「多分バーレンシア侯爵様はダメだと思いましゅ。

 フラールとバクシアの婚姻の儀式を担当して

 おりましゅので、多忙かと」


「そうよね。

 今もっとも話題の人だし……」


ナヴィからの情報を元に、彼女は書き込みを加えて

訂正する。


「となると、実質―――

 呼べるのは5人?」


「ただまあ、フィオナ様の体力と相談という事も

 ありましゅからね」


キーラの問いにナヴィが答え、


「たった3人送り迎えするだけで、

 すっごく疲れていたようだからねー」


カガミが続けて現状を確認する。


「あの様子だと……

 多分、1日に3人が限界と見た方が

 いいんじゃないかしら」


「一度に全員集める必要はないから、

 そこは何日かかけて、って感じだねー」


女性同士で意見を交換し合い、


「国とか距離とか―――

 それで疲労の違いとか出ないの?」


「距離は関係無いんじゃないでしゅかね。

 問題はやっぱり人数だと思いましゅ」


少年2名もそれぞれ疑問や問題点を洗う。


「工房の人とか、商業ギルド本部長―――

 ボウマン子爵家の人にも聞いてみては

 どうでしゅ?

 あとグローマー男爵様にも」


外部の人の意見も求めたらどうかとナヴィは

切り出すが、


「グローマー男爵様は多分こちらに一任して

 くださるんじゃない?

 というか、男の人に男性モデル候補について

 聞いても、これと言った答えが返ってくるとは

 思えないし……


 あと女性陣からまともな答えが返ってくるとは

 期待しない方がいいわ」


ウンウンとうなずく同性に、異性の2人は

困惑した表情になる。


「あとモデル候補はその5人としても―――

 アルプさんにお母さんと女の子がついて

 来たよね?」


「あー、そうでしゅね……

 ファジー君ならミモザしゃんが―――

 シモン君ならポーラしゃんがもれなく

 ついて来るでしょうし」


キーラとナヴィの指摘に、メルリアはペンを

持ち直し、


「んー? ちょっと待って。

 じゃあその人を合計して……」


・アルプ→ソニア&メイ

・ファジー→ミモザ

・シモン→ポーラ


次々と予想出来る名前を紙に書き込んでいき、


「あと多分、アルプ君にはマルゴットしゃんも

 ついて来ると思いましゅ」


「すると5人に対してさらに5人追加で……

 合計10人をフィオナ様に運んでもらう事に

 なるわけね」


テーブルをトントン、と叩くと、同時に額に

手を当てる。


「……大丈夫?」


不安そうになるメルリアに、ナヴィは頭をかき、


「やっぱり本人に話してみましゅよ。

 そろそろ回復しているでしょうし」


そこでこれまでまとまった話を、女神本人に

聞いてもらう事にし、応接室へと向かった。




「え? 10人って何人?」


「10人」


目覚めたばかりの女神とお目付け役の間で、

すかさずボケとツッコミが入れられる。


上半身を起こしたフィオナは手を垂直に立てて

顔の前で左右に振り、


「いやいやいや……

 昨日今日のアタシを見てますよね?


 さすがに3日くらいはもらいますよ?

 来る時も戻す時も―――」


するとナヴィは目を閉じて、


「でも、長期間は難しいんじゃないでしゅかね」


「?? どゆ事?」


今度は女神が彼に聞き返す。


「だって、眷属はフィオナ様の連絡役でも

 あるんでしゅから……


 長い間その国に不在というのは、ちょっと

 マズいといいましゅか」


神託を通して―――

眷属たちと連絡を取る事が出来るのが、

アドバンテージであり、『枠外の者』や

『新貴族』は一部を除いてこの事実を知らない。


逆に言うとそれは、こちらの数少ない有利条件

でもあった。


「まあ……

 交代で来てもらう、という手もありますけど」


「それはそれで、誰を呼ぶかで絶対揉めると

 思うなー」


獣人族の兄が解決策を提案し、妹によって

即座に疑問が付けられる。


「ぬあぁあ~……

 ちょっと、ちょっと待ってください。


 こ、こういう時こそ『アンカー』です!

 というわけで皆様、少々お時間をください!」


フィオナは逃げるように『アンカー』を口にし、

地球のPCへ向かって意識を飛ばした。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5792名―――


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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