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23・待ってギャラリー付きでするのはまだ

( ・ω・)最近、お昼ごはんのチョイスが

めんどい。


日本・とある都心のマンションの一室―――


部屋の住人と思われる少女に、ペットらしき

猫が一匹、彼女の足に頭を乗せてくつろいでいた。


「そういえばナヴィさんや」


「はい、何でしょう。フィオナ様?」


黒髪、セミロングの少女が、シルバーの毛並みの

お目付け役をなでながら言葉を交わす。


「アタシが神様の修行中に……

 ママに拾われたのよね?


 ウチの家庭環境についてはまあ、この前

 聞いたけど―――

 (7章19話

 「全部自分で言う事じゃないぞー」参照)


 でも赤ちゃんの頃からいたんでしょ?

 その時はどうだったの?」


「まあ、ユニシス様とセットでオモチャに

 されたのは、確かに物心ついてから

 でしたが。


 それまでは―――

 普通の家庭だったんじゃないでしょうか。

 私もよく何かやらかして、怒られたり注意

 された記憶がありますよ」


足に彼の頭を乗せたまま、彼女は姿勢を変え、


「幼い頃は、大人の想定外の事をいろいろ

 やっちゃうって聞きますもんね」


フィオナの言葉を聞きながら、ナヴィは過去に

思いを馳せる。




―――ナヴィ回想中―――


そこには、人間の……

幼い姿をした彼がいた。

外見上、年齢は2、3才だろうか。


手には軍神ユニシスの物であろう、銃が握られており、


「ちょっ! 何持っているのナヴィ!」


ロングのブロンドヘアーをした女性が、慌てて

彼に駆け寄る。


続けて、褐色肌の黒髪の青年も駆け付け、


「そんな物で遊ぶんじゃない、ナヴィ!」


両親とも言えるアルフリーダ、ユニシスに

大きな声で注意されたナヴィはシュンとなる。


「まったくもうこの子は、リボルバーなんて……」


「そうだぞ、ママに心配かけるんじゃない」


彼の手から、持っていた銃がやさしく母親代わりの

彼女によって取り上げられ、


「どうせ持つのならオートマチックがいいわよ?」


「ああ、装弾数の多い物をな。

 弾詰まり(ジャム)にも気を付けるんだぞ。

 予備も持っていけば完璧だ」


きょとんとするナヴィに、男女は続けて、


「あとでストラップを作ってあげるから、

 それを手首に付けておきなさい」


「うむ。不意に攻撃を受けても無くさないで

 済むからな」


―――ナヴィ回想終了―――




「(今考えるとアレはどうなんだろう……)」


思い出してみれば、通常の家庭環境ではなかった

記憶がよみがえり―――


「?? どうかしたの、ナヴィ」


「いえ、普通だったような決してそうでないような

 過去を思い出しましたので。


 それではそろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■シフド国・首都バーサー   │

│ ■職人ギルド街・印刷工房   │




「ふ~……」


「あ~……」


銀髪の巻き毛と―――

シルバーの短髪をした2人の少年がイスに座り

ながら、グロッキー状態で息を漏らす。


「まあ……何だ」


「その、お疲れさん」


端正な、青年のような顔立ちをした緑に近い

茶の短髪をした女性と、隣り合って立っている

赤髪をハーフアップにした女性が、ねぎらいの

言葉をかける。


「まるで嵐が去った後ですね」


「まー、仕方ないんじゃないかなー」


ピンクのロングヘアーをした眼鏡の女性と、

赤茶のツインテールをした獣人族の少女が、

2人の少年を遠目に見ながら語る。


「まあ気持ちはわかります。


 アタシたちは身近にいるから、免疫が

 出来ていますけどねー……」


続けて女神が感想を漏らす。


そこへ、顧客を見送りに行っていた商業ギルドの

トップが帰ってきて、


「そうよ、もう大変だったんだから。


 帰る直前まで、あのコたちはどこの国から

 来たのとか、いつまで滞在しているのとか―――

 馬車に乗せるまで質問攻めだったんだから」


ダークブラウンの髪を軽く左右に振りながら、

ジアが疲れ切った表情で話す。


「それででしゅね」


「結局どうなったのさ?」


少し回復してきたのか、ナヴィとキーラが

女性陣へ顔を向ける。


するとジアが手元の書類に目を通し、


「4人の顧客に『お試し』でやってもらって……


 絵が12枚、さらに複製と色付きを後で

 送る契約もして―――


 1枚あたり金貨20枚ってところかしら」


「確かボウマン子爵家当主様が―――

 装置全て金貨一千枚ほどで買ったと

 聞いているので……


 このサービスであれば、複製は除いても

 今の値段でも50枚売れば元が取れるって

 ワケね」


メルリアが眼鏡をクイッと直し、商人モードで

計算する。


「アレ……?

 確かアルプの家って、果樹園経営で―――

 出会った頃は年間金貨40枚くらいの売上で

 カツカツって聞いたような」


「今はもっと儲かっていると思いましゅが、

 まあ連合国の中でもまだ序列が中くらいの

 国でしゅから、これが序列上位国との差という

 事でしゅね」


フィオナとナヴィ、主従コンビが改めてその

経済格差を実感する。


「でもさー、儲かるのはわかったけど……

 このままじゃ厳しいと思うよー」


不意にカガミが声を上げ―――

全員が『?』という表情でそちらの方を向く。


「どーゆー事?」


女神が首を傾げると、彼女は自分の兄と

もう一人の少年を指差して、


「絶対モデルが足りないと思う。


 このからくりで絵を描けるのは一人だけだし、

 モデルの対象は2人だけ……

 絶対どこかで倒れちゃうよ」


指摘されたキーラとナヴィは、モデルの作業中の

事を思い出し、


「まあ、確かにね」


「どちらかというと精神的な疲れの方が

 大きいでしゅが―――

 しょのまま体力も削ってましゅから」


それを聞いたカーレイとメヒラが飲み物を用意し、

2人に手渡しながら


「ポーズとか衣装とか、いろいろ注文も

 受けていたしねえ」


「別料金でもらう予定とはいえ―――

 限度があるわな。

 確かにこりゃ、考えないといけないぜ」


こうして『お試し』は終わり……

本格的にビジネスとするために、問題点を

検討する事になった。




│ ■メルリア本屋敷       │




「とはいえ、ねえ~……」


屋敷に戻った後、その主人であるメルリアは

キーラを膝枕で寝かせながらつぶやく。


「この2人に匹敵するモデルさん……

 いると思います?」


メルリア・キーラ組とは逆に―――

フィオナはナヴィに膝枕してもらって、

寝ながら語る。


「疲れているのは私の方なんでしゅが。

 まあいいでしゅけど」


不満を口にしながらも、諦めたようにその状態を

黙認するナヴィをよそに、女性陣は話を進める。


「ねーねー。

 カガミたちのオリイヴ国でさ、

 モデルの人たちが集まった事

 なかったっけ?」


カガミの言葉に、他の2人も反応し、


「あー、ありましたね。

 しかも一人は貴族様で……


 確かに、アレだけ年齢や身分別に集められたら

 だいたいのカップリングはカバー出来ると

 思いますけど」


「アレは壮観でしたからね……

 思い出すかけで……じゅる」


「この体勢でヨダレはやめて、メルリア」


彼女の膝に頭を乗せているキーラが、耳を

ピンと立てて警戒する。


「でしゅが、そもそも―――

 男性モデルなんてこちらの世界に

 いるんでしゅか?」


ナヴィの質問に、メルリアは首を横に振る。


「やっぱりと言いますか、そちらの方は

 女性が多いわ。


 男性が絵描きに描いてもらうなんて、

 それこそ演劇の役者さんか―――

 肖像画を描かせるほど財力のある貴族か

 商人くらいのもので」


フーム、とそれを聞いて女神の主従コンビは

考え込む。


「まさかまたママに頼むわけにもねー……

 かと言ってフラールやルコルアから

 来てもらうワケにもいきませんし」


すると、彼女を膝枕していたナヴィがずい、

と顔を下へ近付け―――


「ななな何ですかナヴィ!?

 待ってギャラリー付きでするのはまだちょっと

 早いってゆーか!?」


「えーと……

 何を考えているのかわかりませんけど。


 フィオナ様、信者数が5千人を超えて

 いるんでしゅよ?

 しょの特典をどうして使わないんでしゅか?」


彼の言葉の意味がわからず、思わず聞き返す。


「え? いえ、だって……

 カガミさんを新たに眷属に加えましたよね?」


「しょれは4千人突破の特典でしゅ。

 だからいつまで決めないんでしゅかって

 聞いたんでしゅよ。

 (6章33話・

  その組み合わせは、無限大……! 参照)


 5千人突破の特典は他にちゃんと

 ありましゅよ?

 ていうかまた天界市役所からの手紙を

 読んでいましぇんね?」


さらに彼が顔を近付けるとフィオナは

混乱し―――


「待って待って近い近いってば!!

 ナヴィの顔が目が鼻がそして唇が―――

 いくら見慣れていると言ってもですねこんな

 超接近今までな……


 ギャアァアアアア!!」


およそ女性らしからぬ断末魔のような叫び声が、

室内に響き渡った。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5778名―――


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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