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22・これはいい物だ

( ・ω・)小説の記録はちゃんと取っているが、

この前確認したら2週間くらい日付が飛んで

いたり(記録してない)


日本・とある都心のマンションの一室―――


家主と思われる少女と、ペットらしき猫が

リビングで向かい合って座る。


「しかしアタシたちも連載始まって長いですけど、

 こう何てゆーか……

 一応ヒロインですのに人気が出ないというか」


「大丈夫ですよ、もともと人気無いですから。

 というよりこの小説自体もう下降気味で」


「それ以上いけない」


黒髪のセミロングの少女にシルバーの毛並みの

猫が答え、さらにそれを速攻で否定する。


「し、しかしですねホラ。

 キャラ人気だけでもっているところも

 あるじゃないですか。

 他の作品とか―――」


「それが出来るだけの力量を、あの作者ブタ

 求めるのは酷ですよ。


 でもまあ、人気が欲しいのであれば……

 ヒロインらしく振る舞ってみてはいかがで

 しょうか」


ナヴィからもっともな指摘を受け、フィオナは

さらに食い付く。


「んー……

 でもヒロインらしくってどうすれば」


「例えば言葉使いだけでもていねいにしてみたら

 どうですか?

 お嬢様ふうにしてみるとか。


 しばらくそれだけで会話してみてください」


彼の言葉に納得し、彼女はそれを実践してみる。

どちらからともなく、床からテーブルへと2人は

移動して、


「―――そういえばナヴィさん。

 最近はお母様とお会いになっては

 おりませんの?」


「定期的な報告には行ってますよ。

 ユニシス様もお元気そうでした」


置いてあったペットボトルから飲み物を注ぎ、

フィオナは続けて―――


「何か地球こちらで変わった事は?

 あの堕天使や悪霊、邪神の方々とは……」


「相変わらずちょっかいをかけてくる程度ですね。

 そういうフィオナ様は、彼女たちとはどのように

 過ごされているんですか?」


彼女はカップに軽く口をつけながら、


「時々お茶を飲んだりしていますわ。

 あと、彼女たちの昔話も聞けたりして、

 結構面白いものですわよ」


「良かったですね。

 考えてみれば、地球の人間とはうかつに

 交流出来ませんから……

 人外の方々の方が返って気を使わないかも

 知れません」


ナヴィの答えにコクリ、と軽くうなずいて、


「そうですわね。

 ここは信仰地域外でもありますし、慎重に

 行動しなくては。


 ナヴィさんもありがとうございますこれからも

 アタシと一緒に生活する中で頼りにってやって

 られるかこの口調だとキツいんだよいろいろと!


 めっちゃボケづらいんだよゴルァアアア!!

 これが続いたらアタシの精神が持たないわ!!」


カップを叩きつけるようにして置いて叫ぶ。

そんな彼女を見てお目付け役(猫Ver)は、


「正気に戻って何よりです」


「え? こっちが本当のアタシなの?」


抗議するような視線をよそに彼は、


「全てあなた自らが証明したと思いますが。


 それではそろそろ、本編スタートしますね」




│ ■シフド国・首都バーサー   │

│ ■メルリア本屋敷       │




「例の装置を使用してのスケッチは、

 絵描き一人専用にする……


 それってつまり、描く対象一つにつき、

 絵描きも一人のみって事?」


ピンクのロングヘアーの女性が確認してくる。

その声には消極的な響きも込められていて―――


「確かに、あのからくりはぐるりと囲んで

 描けるものじゃないと聞いているけど……」


「それでも数さえ揃えれば、2・3個くらいは

 いけるんじゃないのー?」


銀髪の巻き毛と、赤茶のツインテールをした

獣人族の兄妹が女神に聞き返す。


「いやまあ~……

 それはそうなんですけどねえ」


『アンカー』の決定は絶対……

(と思い込んでいる)

フィオナは困惑の表情を浮かべながらも、

自分の従僕に助けを求める視線を送る。


シルバーの短髪をした少年は、んー、と

少しうなった後、


「もうちょっと条件を詰めましゅよ。


 どちらにしろあの装置は、一人でしか

 描けないと思いましゅが―――

 描く対象、モデルまで一人、という事では

 無いんでしゅよね?」


女神は『アンカー』とのやり取りの記憶を

必死に引っ張り出し―――


「え、ええと……

 『スケッチする場合は絵描き一人用にする』

 だから……そうなんじゃ……」


「つまり―――


 ただスケッチをする絵描きさんや、

 ポーズの指示をする人が別にいても

 構わない、という事でしゅよね?」


コクコク、とフィオナはナヴィの言う事に

うなずく。


「でもそれって何の意味があるのー?」


狙って地雷を踏み抜くような空気クラッシュを

カガミが行うが、


「あの装置で描く絵描きは一人……

 そして他に人はいてもいい……


 指示をする人とか、それでいて描く対象は……」


「メルリア?」


ブツブツと独り言のようにメルリアが考え込み、

キーラが心配して呼びかけるが、彼女は続けて


「ワタシは今後どう動けばいいか、とも

 聞いているから―――


 今は印刷した上での大量生産での商売……

 でもあの装置をそれ以外で使ってはいけない

 事もなくて……


 それに今だって、一般向けと富裕層向けを

 考えているんだから」


自分の世界に没頭して考え込むメルリア。

どうやら、ビジネスとしてあの装置をどう

生かせるかを計算しているらしい。


獣人族の姉弟と女神の主従が見守る中、

彼女はブツブツとうなったり表情を変えたり

していたが、


「……出来た」


そう言って立ち上がるや否や、フィオナに

近付いて両手をガッチリつかみ、


「出来ましたよ女神様……!!


 必ずやこの商売―――

 成功させてみせますわあぁああ……!!」


フィオナ含め周囲がドン引きする中―――

メルリアだけが何かを達成したかのように

顔を紅潮させていた。




│ ■職人ギルド街・印刷工房   │




「貴女の言う通り―――

 女性の顧客を連れてきたけど、これで

 いいのかしら?」


そこにいたのは、ダークブラウンの髪をなびかせた

商業ギルド本部長・ジアで……

彼女の背後には、妙齢の身分の高そうな女性が

数名控えていた。


「さてと……

 お手並み拝見といきましょうかねえ?」


「カトゥ財閥のお嬢さん―――

 どんな『お話』を持ってきてくれたのやら」


壁際には、緑に近い茶の短髪をした、

青年のような顔立ちの女性と―――

ロングの赤髪を後ろでハーフアップにまとめ、

顔の両側にウェービーヘアーを垂らした女性が

カップルのように立っている。


メルリアが何かを考え付いた翌日……


詳しい情報を一行で共有した後、商業ギルドを

巻き込んで、そのビジネスのお披露目をここ、

印刷工房でする事にしたのだが―――


「あらっ?」


「まあ……!」


『モデル』である2人の少年が、貴族位であろう

夫人の方々にペコリと頭を下げ、


そこでメルリアが一人の女性を指名し―――

同時にカメラ・オブスキュラと同原理の装置を、

布をかぶるようにしてのぞき込む。


「では、伯爵夫人……

 あの2人のモデルが見えますか?


 お好きなポーズをご指定ください」


「いっ、いいのかしら?」


30代後半と思われるその婦人は、モデルとして

出てきたナヴィとキーラに対し、装置を通して

見たまま指示を出す。


「あっ、ええと、ええ!

 そうそこで……あっ、もうちょっと顔の向き

 変えてもらえるかしら?」


布の下から荒い呼吸音が聞こえてきて―――

フィオナやカガミも見守る中、指示は続き、


「でっ、ではこれでお願い出来るかしら?」


婦人は被った布から頭を取り出しながら―――

汗その他いろいろな水分を拭き取る。


「どれどれ……

 おおー、なかなかいい趣味してますねー」


入れ替わるようにカガミが装置の布を被り、

そこでやっとスケットが行われる。


時間にして10分ほどだろうか。

鼻息も荒くカガミが一枚の紙を手にして、

装置から頭を上げる。


そしてそれを―――

そのポーズを『指示』していた伯爵夫人に

差し出すと、


「ぐふっ♪ おお、こ、これはいい物だ……!」


その紙―――

描かれた絵を受け取った彼女は、同じ貴族位で

あろう他の数名が待つ場所へとそれを持って行き、


『ぬふぅ♪』『おぅふ♪』『尊い……♪』

と各自感想を述べていた。


「金貨100枚までなら出すわ……!

 その代わり色付きにしてもらえるかしら?」


「数日かかりますが構いませんか?

 それと、予備として2枚ほど増やして

 お渡し出来ますけど」


メルリアとその伯爵夫人が商談を始めると、


「是非ともお願いするわ!!」


「じゃ、じゃあ次はわたくしが!!」


「ね、ねえ……!

 モデルの衣装って、変える事って出来たり

 しますの!?」


と、他の数名も財閥令嬢に詰め寄り―――

今日1日はその対応に追われる事になった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5767名―――


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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