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21・いろいろと抑えきれない何かが

( ・ω・)3年やっているが、まだ話の

方向性が定まらない(オイ)


日本・とある都心のマンションの一室―――


テーブルを挟んで一人の少女と―――

銀髪の少年が向かい合って座る。


「ねーねーナヴィ。

 ちょっといい?」


「?? 何でしゅか?」


珍しく人間Verになっているお目付け役に対し、

女神はお茶に口をつけて話す。


「あなたの事なんですけど……

 最近、近所で噂になっているの知っています?」


「私がでしゅか? どうして?」


ナヴィが首を傾げると、フィオナはハー、と

一息ついて


「いやだってねえ……


 アタシはまだ黒髪だから日本人もしくは

 ハーフで通じるし、まだどこにでもいる

 美少女という事で通じるけど―――


 ナヴィはどこからどう見ても外国人、

 それも目の覚めるような美少年だもの。

 噂にならない方がおかしいってゆーかー」


「しょんな事を言われましても。


 しょれに、人間の姿でないとフィオナ様が

 発注した推しキャラのグッズとか、薄い本とか

 いかがわしい本とか受け取れないんでしゅよ」


聞きたくない現実と現状を返す彼に、彼女は


「いやそういう事を言っているんじゃ

 なくてですね……


 つまり!

 今さらですけど、設定を考えておいた方が

 いいと思うんです。関係性とか」


「まあ確かにそうでしゅね。


 まさか従僕とは言えましぇんから―――

 家族か、親戚か……

 決めておいた方がいいかも」


2人で真面目に考え込み、やがて女神の方から

口を開くと、


「どちらにしろ、外見上でもナヴィの方が

 年下っぽいですし……

 弟でも親戚の下の子でもいけそうな気は

 しますね」


「そうでしゅね。


 では、フィオナ様が私を呼ぶ時は引き続き

 名前のままでいいとして―――


 私がフィオナ様をお呼びする時は……」


そこでまた彼女は考え込み、


「そうねえ。

 ここは日本だし2人とも日本語ペラペラという

 事になっているから……


 『姉上あねうえ』だと何か貴族っぽいし、昔風だし。

 『姉さま』とか『フィオナねえ』?」


「普通に『お姉ちゃん』ではダメなんでしゅか?」


それを聞いた女神は口元に手をあてて、


「オゥフ♪

 いいですねーなかなかの破壊力……!

 よし、練習のためもう一度」


「確かに普通に対応するための練習は必要そう

 でしゅね……

 しょれではいきますよ」


改めて姿勢を直し、


「……お姉ちゃん?」


「よし!! ベッドだ!!」


「会話しろや」


ガッツポーズを決めるフィオナに、ナヴィは

冷静にツッコミを入れる。


「いやもー最高オブ最高っていうか目の前で

 やられると直撃っていうかしかも血の

 つながっていない最強設定でもう」


「取り敢えず落ち着くまで待ちましゅか……

 その間に本編スタートしましゅ」




│ ■シフド国・首都バーサー   │

│ ■職人ギルド街・印刷工房   │




「大変失礼いたしました……」


メガネをかけた、ピンクのロングヘアーの女性は

落ち込むと同時にうなだれる。


「すごいテンション上がってましゅたよね」


「何でそこまで興奮したのさ、メルリア」


同じ銀髪の―――

一方は短髪、もう一方は巻き毛の少年たちが

呆れたように問い質す。


「いやもう何つーか―――

 布を被って、まるで密室で一人きりになった

 感覚と、目の前に動く絵として2人が写った

 時、いろいろと抑えきれない何かが」


「わかるー」


「わかるうぅう」


茶色に近い金髪のツインテールの少女と、

同じ年に見える、ライトグリーンのショートボブを

した女の子がウンウンとうなずく。


「いやしかしなあ……」


「絵描きに必要なのかどうか、まだ

 試していねーし」


緑と茶の中間色のような短髪をした、

端正な顔立ちをした青年ふうの女性と―――

ロングの赤髪をハーフアップにまとめた同性が、

男言葉で疑問を口にする。


そこで女神と、赤茶のツインテールをした

獣人族の少女が、


「なら試してみては」


「はいはーい!

 カガミがやるー!!」


改めてカガミがピンホールカメラ……

中世のカメラ・オブスキュラとほぼ同等の箱に

近付き、光を遮断する布を被る。


「んー、またでしゅか」


「これでいいか? カガミ」


少年2人がメルリアの時にそうしたように

密着し、状況を再現したところ―――


「ブッフォ!!」


叫び声とも吹き出しとも……

とても女の子とは思えない声が室内に響く。


「ヤベェマジコレヤベェ!!

 ペンと紙、ペンと紙を早く!!

 2人ともそのまま動かないでー!!」


カガミの剣幕に押され、周囲は指示通りに動き……

そして10分もすると彼女が一枚の紙を持って

布から頭を出した。


「シュウッ!!」


「すげぇ気合いの入れようだな……

 どれどれ―――」


カガミの一声と共に出された絵を、周囲が

取り囲むようにしてみる。

そこには―――


「わ……!」


「こ、こんなに正確に描けるものなの!?」


まずは絵描きとして集められていた女性陣が

思わず感想を漏らす。


「これはスゲーな……」


「輪郭とか本物のようだぜ。

 中に写った光景をそのまま書き写したのか」


カーラとメヒラがのぞき込み、その繊細な絵に

感嘆する。


「顔は女神様から教えてもらった技法だけどねー。

 体とか服とか、すっごい描きやすかったよ」


胸を張るカガミに、ボウマン子爵家当主である

ベラと、付き添っているアーユが近付いて、


「これで絵描きにも役立つと証明できたのう」


「メルリアさん。

 協力の件……よろしいですね?」


勝ち誇ったかのように笑顔を向ける2人に、

財閥令嬢は、


「んー……

 まあちょっと待って。


 これは確かにスゴイものだけど、いったん

 持ち帰ってから検討させてもらうわ」


メルリアの返答に、周囲は『えー』という顔を

するが、


「あ、勘違いしないで。

 この有効性は認めているから。


 でも、ワタシはいったん持ち帰ってから

 契約とか内容とか詰める性格なの。

 その場即決なんてしてたら―――

 有象無象うぞうむぞうが群がってくるわ」


連合国の中でも序列上位国、その中でも有数の

財閥ともなれば……

対面や契約も慎重にならざるを得ないのだろう。


そこでメルリア一行はいったん屋敷へ戻り―――

他のメンバーはその装置で『練習』を行う事に

なった。




│ ■メルリア本屋敷       │




「とはいえメルリア、契約するのは決まって

 いるんでしょ?

 何が問題なの?」


難しい顔をしている彼女に、キーラが話しかける。


メルリア一行は本屋敷まで帰ってきたものの―――

屋敷の主人は、腕組みをしながら考え込んでいた。


「役に立つのは間違いないわ。

 でも初めての事でもあるし―――


 どんな問題が生じるのか、どういう展開に

 なるのか……

 ある程度は見極める必要があるのよ」


するとカガミがフィオナとナヴィの方へ

振り向いて、


「そういえばさー。

 女神様やナヴィ様はそんなに驚いた様子は

 無かったけど。

 やっぱりそちらの世界でこういうのあったり

 するのー?」


「こっちにあるのは原始的なものですけど……

 地球あちらにはありますね」


「そうでしゅねえ。

 ただ、あまりにも原始的過ぎて―――

 使い方は限定されるかも、でしゅが」


2人の言葉に、メルリアはずいっと身を

乗り出してきて、


「その情報―――

 出来れば詳しく教えて頂けませんか?


 また今後、どう動けばいのかも……!」


急に話を振られた女神は焦るものの、


「(久しぶりに、『アンカー』を頼ったら

 どうなんでしゅか?)」


「(へ? ま、まあナヴィがそう言うなら……

 でも積極的に勧めるなんて珍しいですね?)」


小声で『アンカー』を促す彼に、女神は

不思議そうに聞き返すが、


「(まあ少なくともフィオナ様よりは、

 建設的な提案をしてくれそうでしゅし)」


「(言い方!)」


こうしてフィオナは地球、自分の部屋へ

意識をダイブさせ―――

PCから回線へと繋げる。




【 おー、今度は何だ? 】


【 確か商売考えているんだっけ 】


【 上手くいってんのか? 】



さっそくの質問攻めに、フィオナは答え、


「じ、実はですね……」


そして状況を説明し始めた。



【 原始的なカメラを使ってのトレースかあ 】


【 悪くはないんじゃないか? 】



そこでフィオナは『アンカー』たちに、

問題点等を問う。



【 そういやモデル使ってたんだっけ? 】


【 その装置が何個あるのか知らんが……

 大勢でスケッチは出来なくなるな 】



「と言いますと?」


フィオナの質問に『アンカー』たちは、



【 光の方向は多分一直線しか確保出来ないと

 思うから…… 】


【 そう、今までのように多人数でぐるりと

 囲んでスケッチ、という事はムリ 】


【 多分少人数で描くものになるわな 】


【 絵描きを厳選するか―――

 それとも、スケッチの方法で別グループに

 分けるか 】



「うむむむ……

 ではそこで『アンカー』と行きましょうか。


 『アンカー』は今のスレで……

 650!


 聞きたい事は―――

 『スケッチの方法』!


 ―――さあ、アタシを導き給え……!!」



>>650


【 その装置でスケッチする場合は、

 絵描き1人用にする 】



「おえあ?」



うめくような声上げた後―――

女神は魂を宇宙へと飛ばした。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5758名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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