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20・未来はワタシの手の中

( ・ω・)何かちょっと評価ptが上がった。


日本・とある都心のマンションの一室―――


住人と思われるミドルロングの黒髪をした少女が、

テーブルに座りティータイムを楽しみながら、

ペットと思われる猫を前にカップに口を付ける。


「そういえばこの小説―――

 ついに! 3周年を迎えたんですよ!!」


「おめでとうございました」


「過去形!?」


淡々と返すお目付け役(猫Ver)に、

女神は反発するも、


「いやだって3周年になったのは先週でしょう?


 1周年の時も2周年の時も―――

 PV数50万突破した時も、あの作者ブタは何も

 考えていなかったんですから」


「うぐぅ」


ナヴィの言葉に、女神もため息をつき、


「最近じゃ中身スッカスカで水増しして、

 これ絶対1話で済むよねって話を数話に

 引き伸ばしているような感じですしね」


「あ、それについて言わせてもらえれば、

 あの作者ブタにそこまでの知能はありません。


 毎回毎回、何も考えていないのでネタが無く、

 土壇場どたんばの綱渡りのように何とか更新を守って

 いるのが現状ですから」


「それもそっかー」


「うぐぅ」


フィオナとナヴィは―――

一方はテーブルのイスに着席し、一方は

テーブルの上で前足を揃えて改めて対峙する。


「……しかし、もう3年ですか。


 結局のところどうするんですか?

 アルプ君・ファジー君・バートレットさん、

 シモン君にバーレンシア侯爵……

 最近は獣人族のリオネル君・キーラ君も

 攻略対象なんでしょう?」


「待って!

 貴方とネーブルを忘れているわよ!」


女神の答えに、彼はフー、と一息ついて、


「で、まあ―――

 結論としては?」


追及の手を緩めない彼に、女神は目を明後日の

方向へと泳がせながら、


「んー……まあ、だって、ホラ。

 本命決めちゃうと他の人とは付き合えなく

 なるしー」


「そして誰もいなくなった」


速攻で切り返すお目付け役に、彼女は身を

乗り出して


「いや何か辛辣(しんらつ)過ぎません!?

 アタシ今回何かしました!?」


「でもまあ、ちゃんと考えているようで

 何よりです。

 本命を考えているあたり、堂々と二股宣言

 するよりはマシですしね」


そこで会話がいったん切られ、しばしの沈黙の後

ナヴィから口を開き、


「……意外ですね。

 『フッフッフ……本命が一人だと

 誰が決めました?』

 くらい返してくるものかと」


「もー、貴方はアタシを何だと思っているのよー」


そこで落ち着いた空気になるが―――

両者の心境はというと……


(言わなくて良かった危ねー、

 敵は心が読めるのか)byフィオナ


(どうせ『言わなくて良かった危ねー、

 敵は心が読めるのか』とか思って

 いるんだろうなあ……)byナヴィ


老夫婦のようなお互いの理解度を確かめても

口には出せず、


「それじゃそろそろ―――」


「本編スタートしましょうか」




│ ■シフド国・首都バーサー   │

│ ■メルリア本屋敷       │




「は~……

 何とかなったわね」


ロングのピンクヘアーをした、眼鏡の女性は―――

自分の屋敷に戻ってきた事で安堵の言葉を漏らす。


次いで黒髪、そして赤茶のツインテールをした

少女が引き継ぎ、


「ホント、危ないところでしたよ」


「もう少しでキーラにいたちが(社会的に)死ぬ

 ところだったー」


そして、普通の人間よりも体力があるはずの

シルバーヘアーの少年2人がグッタリしながら、


「そもそもの原因があなたたちなんでしゅけどね」


「でも本当に疲れたよ。

 まるで何かを吸い取られているような感じ

 だった……」


ボウマン子爵屋敷に行った時の事を2人は

まざまざと思い出し、身震いする。


「悪意じゃないだけ、質が悪いでしょうね」


「いったい何が起こっているんじゃ?」


メルリアの言葉に、白髪の老人が疑問を口にする。


「そういえばおじいちゃん、

 あっちのお屋敷の女の子と幼馴染って

 言ってたけど」


カガミの質問に、彼は口ヒゲに触れながら、


「そうじゃよ。

 ああ見えてもワシと年は変わらん」


それを聞いたフィオナとメルリアは、


「いやもー、いっその事それを商売にしたら

 どうなんですかねえ」


「あれでワタシの約3倍の年齢って……

 それこそいくらお金を積んでもその若さの

 秘密を知りたいわ」


それを横で見ていたナヴィが口を挟み、


「話題変えるのに必死でしゅね」


そのツッコミに対し女性陣は、


「たりめーだ」


「あんなの口で異性に説明したら3日は

 起き上がれない自信があるわ」


「イスに縛り付けてもいいのなら、

 説明するよー?」


妹の答えに、キーラはグローマー男爵の方へ

近付いて、


「いざとなったらボクとナヴィさんが

 逃がしますので。

 窓を割って逃げる心の準備は出来ていますか?」


「何か燃えるのかの?」


「ある意味まあ、炎上案件ではありましゅね」


そこで一番高齢の人間が両手を上げて周囲を制し、


「まあ待て。

 取り敢えず今回の件については―――

 その絵とやらを回収して解決したんじゃろう?


 あとはボウマン子爵が何を持って協力とするか

 だが……」


彼の申し出に周囲はようやく頭を冷やし、


「そうですわね。

 こちらのする事は大体決まっておりますので、

 後はあちらの出方を待ちましょうか」


屋敷の主人が提案し、


「相手あってのものですからね」


「賛成ー」


女神と獣人族の少女も同意し―――

男性陣はこれ以上うかつに話さない方がいいと

判断して、話し合いは終了した。




│ ■職人ギルド街・印刷工房      │




それから3日後……


女性専用の工房へ(※ただしモデルは除く)、

ボウマン子爵家当主と、その親族である少女が

訪問していた。


「へっへっへ……

 いい物をお持ちしましたぜお嬢さん方」


「これさえあれば―――

 いろいろとはかどる事請け合いでさあ」


茶髪に近いブロンドのツインテールと、

ショートボブのライトグリーンの髪を持つ少女が、

悪役の商売人のように語る。


「ほう。そりゃあ……

 とてもイイ物なんだろうねえ?」


「言っておくけど―――

 並大抵の物じゃ、俺っちたちは満足

 しないぜ?」


緑に近い茶髪の、青年風の女性と―――

ブロンドの髪を後ろにまとめた女性が、

2人して対応する。


ベラとアーユ―――

ボウマン子爵家を代表して来た2人は、

同じく工房の代表格であるカーレイ・メヒラと

顔合わせをしていた。


「えっと……ボウマン子爵様。

 それで、いい物とは何でしょうか?」


同席していたメルリアが、話を促す。


「それは―――」


「これですっ!!」


大仰に布をかけられたそれの『除幕式』を

2人が行うと―――

そこには一つの箱が現れた。


「何だい、コレ」

「妙なハコだね」

「?」

「これなーにー?」


フィオナとカガミも一緒に同行していたが、

他の女性陣と同じく、疑問の声を上げる。


しかし、メルリアだけは眼鏡を直しつつ、


「外の景色を箱の中に映す―――

 からくりですよね?」


それは原始的なピンホールカメラで……

ラムキュール・ファーバ組から購入していた

情報をすでに得ていた彼女は、冷静に返す。


「知っていたんでしゅか?」


「それで何を?」


モデルの少年2名は興味深そうにその『箱』を

見ていたが、


「ご存知ならば話は早い」


「ちょうどいらっしゃる事ですし―――

 そこの2人にモデルになって頂こうかしら?」


しかし、それでもベラとアーユはひるむ事なく―――


そこで、メルリアが工房の代表として

箱に近付き……

同時に被写体としてナヴィとキーラが壁際に並ぶ。


「……へぇ。

 確かにこれなら、上下逆さまにならないわね」


上からのぞき込むようにして―――

彼女は実際にそれを使ってみた感想を述べる。


「でもこれ、箱自体は動かせないから……


 ナヴィさん、キーラ。

 もうちょっと寄ってもらえるかしら?」


「こうでしゅか?」


「そんなに映る範囲が狭いの?」


メルリアの指示通りに2人は身を寄せ合い―――


「んー、ちょっとまだ両側が切れている……

 もう少し寄れない?」


「これでどうでしゅ?」


「結構キツいなー」


明るさを遮断しゃだんするために布を被ったままの彼女は、

さらに要求を追加する。


「そうね、もう少し―――

 いっそ密着してみて。

 抱き合って!

 それでもっともっとイケるこれイケるわ!

 未来はワタシの手の中あぁあああああ!!」


さすがに妙な方向へテンションが上がってきた

状況は見逃せず―――

ひとまず全員でメルリアをピンホールカメラから

引きはがす事にした。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5746名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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