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02・どれか一つにしてくれませんこと

( ・ω・)最近、評価ptの変動が激しい

(+-10くらい?)



日本・とある都心のマンションの一室―――


窓越しにベランダの外を見ながら、家主と思われる

少女が、ペットであろう飼い猫に話しかける。


「雨ですねえ」


「そうですねえ」


どしゃ降り、というほどではないが―――

日光が薄くさえぎられているような光景に、

1人と1匹はしばらく見入る。


「何かもー、梅雨入り?

 っていうのをしたんだっけ」


「そうですね。

 これから雨の日が続くという話ですから」


受け答えをするナヴィを、フィオナは

まじまじと見つめる。


「……どうかしましたか?

 私の顔に何か」


「あ、違うの。

 雨の日なのに、何か普通にしているなあって」


元猫であるからか、雨の日は気だるそうに

している彼を知っている女神は、不思議そうに

問い質す。

(5章34話・6章5話参照)


「う~ん……

 確かにちょっと眠たいというか、

 少しだるいという感じはありますが……

 別にそこまでじゃないですね」


「自覚症状は無いって事?

 まあ、それならいいんだけど」


そこでフィオナは部屋を見渡して、


「ところでナヴィ。


 アタシの部屋とか、あちこちに置いてある

 ぬいぐるみなんだけど―――


 何かおかしくなっていたんですが」


「おかしく、ですか?」


そこでナヴィは首を傾げ、周囲を見渡し、

状況を確認する。


「……本当ですね」


「いやマジで覚えないんかい。


 ていうか寝ておきなさいお願いだから」


そう言うと彼女はお目付け役(猫Ver)を

抱きかかえる。


「……フィオナ様こそ大丈夫ですか?

 この状態の私に、何のアクションも

 起こさないとは」


「家中のぬいぐるみや人形を逆さまに

 しておいて、何の記憶も無いあなたに

 何かする気にはなれないわ。

 アレを無意識でやったとしたらどんな心の闇を

 抱えてんのよ。


 それじゃあそろそろ、本編スタートするわね」




│ ■シフド国 メルリア本屋敷  │




「えー、ご迷惑をおかけしました……」


メルリア・キーラ・カガミの前で、しゅんと

しながら女神は頭を下げる。


「いつもの事でしゅので、お気になしゃらずに」


「「いつもの事!?」」


ナヴィの言葉に、屋敷の女主人と獣人族の少年が

同時に聞き返す。


「ねーねー、それで何するのー?」


赤茶のツインテールをした、まだ10才にも

満たないと思われる少女が先を促す。


「この状況下で何事も無かったかのように

 話を進めようとするとは……

 さすがアタシの眷属、ただ者ではありませんね」


「まあ、ある意味……」


メルリアが困ったように答えると、カガミは

すっ、とフィオナの前に歩み寄り―――


「えっとフィオナ様は~、確かアルフリーダ様が

 お母さんなんだよね?」


「そ、そうですけどそれが何か?」


見上げるように女神と視線を合わせていた

眷属の少女は、その目線をゆっくりと落とし、


「あのオッパイは素晴らしかったけど、

 控えめなオッパイもいいと思うよ!


 というわけで揉ませて!!」


「感想を述べるのか比較するのか

 ケンカ売るのか欲望に走るのか、

 どれか一つにしてくれませんこと!?」


そこでナヴィがフィオナとカガミの間に

割って入る。


「まあ主筋でもありましゅし―――

 一応関係上、形式上だけでも止めなければ

 なりませんから」


「いえあの。

 ここは本心から助けて頂けると嬉しいです」


こうして5人はいったん一息つき―――

テーブルに座り直した。




「それではフィオナ様……


 せっかくキーラとナヴィ様、お二人が

 揃った事ですし、さっそくくんずほぐれつの

 デッサンのモデルになって頂きたいのですが」


「フム。それは非常に魅力的な申し出では

 ありますが……」


「嫌でしゅよ?」


その会話を、キーラとカガミの兄妹が側らで

聞いていたが、


「なあカガミ。

 そういえばお前の絵って、今どれくらいの

 腕前になってんだ?」


「それはカガミにもわからないなー。

 だって、カガミの描く絵がわかる人

 いないんだもん」


異世界、日本の漫画の技法を取り入れている

それは―――

確かにこの世界の評価基準では不明であった。


「見てもらえばいいんじゃない?

 ちょうどこちらに女神様もいらっしゃる

 わけだし」


「どれどれ……

 キーラさんがモデルの絵ですね」


「ふみゅ、これは……」


女神と従僕が受け取り、2人で目を通していく。


「この短期間でなかなか……

 これはお金取れましゅね」


「ちょっと絵が大人し過ぎるような感じですが、

 まあ、モデルがキーラさんだけなら」


するとカガミは、テーブルに猫が身を乗り出す

ように、上半身をくるんとねじって上向きになり、


「あー、キーラ兄には見せられない……

 じゃなくてカガミが全力で描いている方は、

 さすがに今は持ってきてないよー」


「待て今何て言った?」


慌ててメルリアがカガミの口をふさぐ。

フィオナもある程度察したのか、

話の方向を転換し―――


「そ、そういえば……

 結局何人くらい、絵師になってくれる

 女性は見つかったんでしょう?」


「オリイヴ国で3名ほど、カガミを入れて4人……

 シフド国でも同志を集めておりますわ」


メルリアの答えに、彼女はフム、とうなずき、


「いっその事アタシも参加しようかしら……

 別に異界の物を持ち込むわけじゃないし」


「もともと、フィオナ様に誰かに教えるほどの

 絵心がありぇば……

 こうまで手間は取らなかった思うのでしゅが」


「ちょっと待ってください。

 確かにアタシは絵はそれほど上手くないかも

 知れませんけど……

 別に酷いというわけじゃ」


いきなりの従僕の指摘に女神も反発するが、


「貴女が以前描いた―――

 メロンパンだと思っていた絵が実は

 アルマジロだと知った時の私の衝撃が

 わかりましゅか?」


「あ、あれは落書きレベルの絵です!

 いいでしょう!

 アタシの本気を見せてあげます!


 ナヴィ! 貴方がモデルになりなさい!」


横で聞いている3人には耳慣れない単語も

あったが、取り敢えず推移を見守る事にした。




―――30分後―――




「これは……その……」


「なかなか独創的な絵で―――」


メルリアとキーラは言葉を選んでフィオナの絵を

評価するが……

地雷を進んで踏み抜く少女の存在を忘れていた。


「何コレ?

 フィオナ様の世界にはこんな

 モンスターがいるの?」


「ぶっふぉ!!」


直撃を受けた女神は、従僕に体勢を支えて

もらうも、


「落ち着いてくだしゃいフィオナ様。

 確かに、とても同じ人型の知的意思を有した

 存在が描いたとは思えましぇんが―――」


「貴方も結構酷い事言ってません!?」


お茶のお代わりがメルリアの指示で用意され、

5人はそれを飲んで一息つく。


カップを置くと、従僕の方から口を開き、


「しかしどうしたんでしゅか。

 あの落書きでも、ここまで酷くはなかった

 はずでしゅよ?


 特に線とか―――

 どうしてこんなにぐちゃぐちゃに震えて

 いるんでしゅか?」


他の3人も絵を見ながら首を傾げる。


「あ、ええと、その、それは何ていうか……

 ナヴィの顔をしっかりと長時間見た事が

 なくってえ。

 それで緊張のあまり……」


顔を赤らめて答えるフィオナに、メルリアは


「そうなの?

 てっきり、一緒に暮らしているくらい

 仲良いものだとばかり」


「すいません。

 実際に一緒に暮らしているんでしゅが、

 この人ヘタレなんでしゅよ」


ナヴィの追撃のような言葉に、カガミと

メルリアは顔を見合わせ、


「あー、何かそんな感じー」


「フィオナ様、実際にどれほど一緒に彼と

 住んでおられたのですか?」


「え……ええと……

 かれこれもう2年以上?」


その答えに、眷属の少女はヘッ、と苦笑し、

妙齢の女性もハー、と静かに息を吐いて、


「それはいくら何でも、押しが弱過ぎるんじゃ

 ないかと思うなー」


「2人きりで暮らしているんですよね?

 機会はいくらでも作れると思うのですが」


「同性からの評価がシブい!!」


と、女性陣で話が盛り上がり、それを横で

見せられている男性陣2名のうち一人が

戸惑うものの、


「ナヴィ様。

 これはいったいどうしたら……」


「……ひとつ忠告をしておくでしゅ。


 こういう女性同士の話に首をつっこんだら

 ロクな結果になりません。

 下手をしたら巻き込まれましゅ。


 しょれより、現状について知っている限りの事を

 教えてもらえましぇんか?」


「は、はあ……」


こうして、女性は女性同士で―――

男性は男性同士の話し合いが始まった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5530名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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