01・彼女を眷属にした理由とは
( ・ω・)新章スタート!
さて、7章はどんな展開になるのか!?
(まだ考えていない)
日本・とある都心のマンションの一室―――
チャイムが鳴らされ、家主である少女が玄関まで
出向いて、来客を迎え入れる。
「ただいま戻りましゅた、フィオナ様」
「おかえりー、ナヴィ」
明らかに日本人ではないシルバーの短髪の少年が、
黒髪の少女とあいさつを交わす。
2人ともリビングにいったん入り、そこで
冷たい物を飲みながら会話を続ける。
「ママに報告しに行ったんでしょ?
で、どうだった?」
「まあ今回はアルフリーダ様も関わって
おりましゅし、多少の事はご主人様の監督の下、
という事で大目に見られると思いましゅ」
2人とも飲み物にまた口を付け、少し時間をおいて
またフィオナの方から口を開く。
「……それで、パパとママはどう?
2人とも元気だった?」
「アルフリーダ様はツヤツヤテカテカして
おられましゅた。
ユニシス様は何かゲッソリしてました。
まあいつも通りでしゅね」
示し合わせかのように2人は同時に飲み物を
飲み干すと、フー、とため息をついて、
「ママねー、異世界でちょっといろいろと
資料を手に入れちゃったから……」
「毎度思うんでしゅが、ああいうのって
ユニシス様に対する浮気には……
ならないんでしゅよねえ」
フィオナは両目を閉じて口を一文字に結び、
「男の子が同性同士でキャッキャウフフ♪
しているのを見ているだけだもん。
まあ浮気にはならないでしょーよ」
「そうでしゅねえ。
立場を逆にしゅれば、ユニシス様が
女性同士じゃれ合っているのを、ただ
見ているだけのようなものでしゅから」
そこで女神は額を人差し指でかきながら、
「それはそれで、ママ許さないような
気がするなー」
「理不尽にも程がありましゅ。
しょれではそろそろ、本編スタートしましゅね」
│ ■フラール国・アルプの果樹園 │
│ ■アルプの家 │
第一眷属の少年の家で、家主の母子の前で
女神の主従は、外出の準備を整えていた。
「本当に申し訳ありません。
本来であれば、眷属である僕もついていくべき
なんですが―――」
アルプがペコペコと頭を下げ、その前でフィオナは
片手を軽く振る。
「いいですよ。
人間の生活を第一に、という考えは変わって
いませんから」
「まあ後はでしゅね……
侯爵様のケアをくれぐれもお願いするでしゅ」
ナヴィが両目を閉じて話すと、母子は苦笑しながら
『その事』を思い出していた。
オリイブ国の騒動が一段落してから
一ヶ月ほど後―――
フラール国にて、正式に現王であるリーディルと、
バクシア国王の妹の娘、フラウアの婚約発表が
大々的な式典と共に行われた。
その式典には、連合国序列3位であるミイト国の
ディーア公爵も出席した事で―――
内外に『この婚約は序列上位国の後ろ盾がある』
と示した事になり……
さらにそこへ、今を時めくバーレンシア侯爵が
婚約の祝い品として献上した物が、どの国の王族も
手にした事の無い『獣人族の秘宝』であったのと、
レイシェンがしっかりとその功績をミイト国で
吹聴しまくった事により―――
一目見ようと各国の重鎮もこぞって式典に参加。
当然彼はその対応に追われに追われ……
式典をやり遂げた後の侯爵は真っ白に燃え尽き、
今はレイシェンの手厚い看護を受けていた。
「当然のように、『次は婚儀の式典をよろしく♪』
って言われたみたいですからねえ……」
「アルプが毎日、果物を差し入れているん
ですけど―――
今回ばかりは疲労の回復が遅いようですし」
フィオナとソニアが話し合う中、少年同士は
別の会話に入る。
「そういえばナヴィ様。
フィオナ様が新たな眷属として、カガミさんを
指名したのは知っておりますが……
あの後、改めて顔合わせもしましたけど、
あの―――
彼女を眷属にした理由とは何でしょうか?
い、異論があるわけではありませんが、その」
「あ~……
こっちに来た時もいろいろとやらかし
ましゅたからねえ。
まあ神様の基準でしゅから、しょんなに
気にしゅる事ではないでしゅ」
「そ、そうですよねっ」
そして従僕は主筋である女神の方を向き、
無言で『オイ聞いているかダ女神』という
オーラを発する。
「ナ、ナヴィの言う通りですよっ。
『アンカー』たちの意見も取り入れた
結果ですからっ」
―――女神回想中―――
│ ■日本国・フィオナの部屋 │
【 ……次の眷属ぅ? 】
【 確か、同じ国からはNGってヤツだっけ 】
かつてナヴィから『新たな眷属は自分で決めるな』
と釘を指されていたフィオナは―――
(第6章33話参照)
妥協案として、『アンカー』を使う事を提案、
彼らに相談を持ち掛けていた。
【 んじゃ、カガミにでもすれば? 】
【 身体能力は言うまでも無いし―――
小さい女の子なら警戒もされないでしょ 】
「えーと、いや、そのぉ……
女の子の眷属ならもう、ポーラさんが
いらっしゃるんでぇ」
明らかにリオネルかキーラを狙っていた女神は、
諦めきれずになおも食い付く。
【 まーまー、お前さんの狙いは知っている 】
【 しかしだな―――
物は考えようだ 】
「……と言いますと??」
―――女神回想終了―――
「あ、アタシはあくまでも総合的な意見を検討した
結果でしてね……!
決して『アンカー』たちの、
『カガミを眷属にすれば自動的に美少年の
兄弟2人もついてくるぞ』という口車に乗った
せいでは……!」
「ウンちょっと黙っているでしゅフィオナ様」
フィオナの言葉の途中でナヴィがアイアンクローを
極めて止める。
「それではフィオナ様、ナヴィ様。
そろそろ……」
「シフド国へ行かれるんですよね?
お気をつけて」
母子のあいさつにナヴィは振り向き、
「しょれでは行ってきましゅ。
ほれ、さっさとシフド国へ降臨するでしゅよ」
「あだだだこのまま?
せ、せめて手を放していでででで
わかったからこれ以上力入れないで!」
│ ■シフド国 メルリア本屋敷 │
同じ頃―――
本拠地へキーラ・カガミと一緒に戻っていた
メルリアは、女神様・従者の降臨を待っていた。
「神様をお迎えになるなんて―――
他の『枠外の者』が聞けば卒倒するかしら?」
「その割にはずいぶんと意気投合してたじゃん。
この国に降臨されるのも、一緒にやる事業の
視察のためなんでしょ?」
「ウンでもわかるわ。
実際にナマで見てみないとゲフゲフゲフ♪」
不気味な笑い声をあげるピンクヘアーの女性から
彼は目をそらし、そのまま妹へと向ける。
「……お? やっと来るみたいだよー?」
神託を受け取り、状況を知ったカガミが
他の2人へ伝える。
「あなたねえ……
相手は神様なのよ?
少しは礼儀ってものを―――
キーラ、あなたもお兄さんでしょ?
何か言ってやって」
「そんな事言ってもなー。
第一、カガミを眷属にしたのはその
神様だし……
ま、あまり怒らせるようだったらフォロー
しておくよ。
で、神様は何て言ってるの?」
メルリアの言う事に、呆れと諦め半々で
キーラは妹に聞き返す。
「えっとねー、上手く言えないんだけど、
フィオナ様が顔面をわしづかみにされて
苦しんでいるような声が聞こえるよ?」
「ヤケに具体的ね!?」
「どんな状況……って、これは―――」
室内の一部に光の球のような物が出現したかと
思うと、その光はだんだんと強く大きくなって
いって……
やがて部屋全体がまぶしくなり、全員が思わず
目を閉じた後、まぶた越しに光が無くなった事を
確認する。
そうして目を開けた時、そこにいたのは―――
「いやいやいやいだだだだだからギブですって!
タップしたらギブアップっていうのは世界の
常識でしょーが!」
「あ、しゅみません。
久しぶりの降臨でしゅたので、つい無意識に」
「無意識かー無意識なら仕方ないですねー。
じゃなくて! もう到着しているでしょ!
早く外して!!」
そしてようやくアイアンクローから解放された
女神は、メルリア・キーラの丸くなった目と、
カガミの好奇心に満ちた視線に気付いた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在5524名―――
( ・ω・)最後まで読んでくださり
ありがとうございます!
基本、土曜日の午前1時更新です。
休日のお供にどうぞ。