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33・その組み合わせは、無限大……!

( ・ω・)引き伸ばしではありません。

綿密な心理描写です(弁解)


日本・とある都心のマンションの一室―――


ペットらしき飼い猫と、家主と思われる少女が

リビングでくつろいでいた。


「ふんほんフンふむ……

 次の花見イベはこんな感じですか。

 それまで英気を養っておかねば」


「そのやる気を出す前に、もう少し神様としての

 やる気を出して頂きたいものなんですが」


お目付け役(猫Ver)のナヴィは、主筋である

女神・フィオナにいつも通りツッコミを入れる。


「やや、やる気はちゃんとあるんですよ!

 ただそのえーっと、今はまだその時じゃ

 無いっていうか朝のバイオリズムとか

 今日の運勢とか株価の動向とかいろいろな

 要素が重なってですね?」


「本当にもう、言い訳だけならベラベラと……


 ていうか、ちゃんと天界からの手紙や

 報告書読んでます?」


その言葉に寝転がっていたフィオナは、ようやく

起き上がって―――


「ちゃ、ちゃんと見てますよ!

 バカにしないでください!」


「それでは……


 前章の最終話で信者数が4千人を突破

 したわけですが、新たに眷属を追加して

 いない理由をお教え願えますでしょうか?

 (5章4話 無い(断言)、というか無理

 (5章40話 もらってくだ……さい!

  参照)。


 ていうか、もう信者数5000人超えて

 いるんですけどねえ……」


するとフィオナは両目を閉じて眉間にシワを寄せ、


「それはもちろん知っていたんですけど―――

 4人目の眷属になるんです。

 ちょっと考えるところがあって」


「む。それは失礼を―――


 でも確かに悩みどころかも知れませんね。

 新たに関わった国も増えておりますし……

 ミイト国は元より、マービィ国、オリイヴ国、

 グレイン国、シフド国と……


 ここはより慎重に考えませんと」


彼の答えに、女神はコクコクとうなずいて、


「え? いえ国としてはもうオリイヴ国に

 決めているんですけど」


「そうなんですか?


 しかし、こう言っては何ですが序列下位の

 国ですし―――

 上位三ヶ国に絞った方が、後々の活動の

 ためにもいいのでは」


ナヴィの問いに、フゥ、とフィオナは

ため息をつき、


「これでも相当悩んだんですよ。

 確かに、下位の国ではありますし、今回の

 騒動さえ収まれば『枠外の者』も当分、

 手出しはしないと思いますが……

 上位三ヶ国に新たな出会いがあると考慮

 してもですね」


「う~ん……

 言われてみれば下位国とのつながりも

 おろそかにしては……


 何より『女神の導き』の本拠地でもある

 わけでちょっと待て出会いって何だ?」


理解不能な単語を見逃さず、お目付け役は

聞き返す。


「え? だから出会いですよ。


 だってケモ耳美少年、それも兄弟でですよ!?

 どちらにするかそりゃあ悩むってモンですよ!

 出来る事なら両方ゲットを目指してですね」


するとナヴィは無言で人間の姿になり、

そのままアイアンクローをフィオナに極める。


「新たに眷属を決める権利はお前に無いでしゅ。

 必ず私の許可を得るように。

 しょしてお前に拒否権は無い。


 私 が 法 律 で し ゅ。


 しょれではそろそろ、本編スタートしましゅね」




│ ■オリイヴ国             │

│ ■奉公労働者オークション会場内・控室 │




「ふぅ……」


「うなぁ~……」


ピンクのロングヘアーの女性と、10才に満たない

獣人族の少女が、同時に満足と感嘆の声を上げる。


遠巻きに見つめる男性陣をよそに、彼女たちは

視線を合わせ、


「確かにこれは、男性は厳禁ね……」


「ウン。

 キーラにいやリオネルにいには見せられないよ」


そこで貴族位の男性が顔を見合わせ、老齢の

男爵から口を開く。


「女人禁制は聞いた事があるが―――

 男性がダメというのは、あまり聞かないのう」


「フィオナ様と、その母のアルフリーダ様も

 女神様ですから……

 禁止というよりは女性専門の性質の

 ものなのでは」


ある意味、鋭い考察をビューワー伯爵が行い、

次に眷属の少年2人がおずおずとたずねる。


「そ、それであの―――」


「その本についてなのですが」


アルプとファジーの呼びかけに、メルリアと

カガミは妄想と欲望とその他いろいろが混ざった

瞳をうるませ、


「この本―――

 おいくらで売ってくださるのかしら?


 金貨1万枚程度ならすぐ支払うわよ?」


「ころしてでも うばいとる」


温度差はあるものの、ベクトルは同じ2人に対し、

眷属2名はあたふたとする。

そこへ獣人族の兄2人が割って入り、


「いい加減にしろ、カガミ」


「何がお前をそこまでさせるんだ」


続けて、伯爵が助け船を出す。


「それはあくまでも交渉材料です。


 奉公労働者、及び獣人族のオークションと

 その噂を流す事―――

 それを止めて頂く事が前提です」


そこへ、グローマー男爵がメルリアへ向けて

声を発する。


「どうなんじゃ?

 それだけの価値があるものか?」


彼女はいったん、手持ちの本に目を落とし、


「女性に限れば、ですが―――


 この絵と口語体の描写は、今までの芸術を

 覆す可能性があるかと」


ふむ、と男爵はヒゲをつまんで伸ばし、


「ワシは男だから読めんが、お主ら2人だけで

 決めても良いものかのう?


 招待客の中にご婦人もおろう。

 その方々の反応を見させておくれ」


慎重な姿勢を見せる老人を前に、伯爵に

新たな神託が告げられる。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「あ、伯爵様ですか?

 もし他の女性陣を呼ぶのであれば―――」


フィオナの次にポーラ・メイ姉妹が続き、


「その本をお持ちになって、アルプ君と

 ファジー君……」


「出来ればキーラさんリオネルさんとお迎えに

 行ってください」


そしてもう一組の姉妹である、

シンデリン・ベルティーユも話に加わり、


「美しい青年貴族と美少年2人……」


「……さらに、獣人族の兄弟……

 その組み合わせは、無限大……!」


マルゴットとレイシェンもダメ押しするように、


「それが最善の一手と思われます」


「―――完璧です」


それを、身内であるソニアとミモザ、そして

女神の母であるアルフリーダは、否定も肯定も

せずに生暖かい目で見つめていた。




│ ■奉公労働者オークション会場内  │

│ ■メイン舞台           │




「んん?」


「あれは……」


メイン舞台のある大広間で、待たされていた

招待客がざわめく。


オークション中断の原因となった『女神の眷属』

である少年たちが現れ―――

さらに獣人族の少年が続く。


「まさか、再開するのか?」


「いや、でもそんな」


少年4人の登場に、意図が読めない招待客は

困惑するが―――

その空気を一変させるかのように、

ビューワー伯爵が彼らの後に入ってきた。


「フラール国の?

 なぜこんなところに」


「オリイヴ国に来たという情報はあったが」


彼らの戸惑いをよそに、伯爵は例の本を

片手で高く掲げて


「―――みなさん。


 ここにあるのは、女神様から下賜された

 本であります。


 ただし男は読む事が許されず……

 女性しか読む事が出来ないもの。


 この『催し』を中断させてしまったお詫びに、

 ご興味のある方は控室までおいで頂きたい」


ビューワー伯爵の提案に、女性陣は夫や

家族に確認する。


「まあ、読むくらいであれば……」


「話のタネにはなるだろう」


そして数名が、伯爵を始め、アルプ・ファジー、

キーラ・リオネルに歩み寄り、


「……ちょっと、中を見ても?」


一人の身分の高そうな婦人が手を伸ばす。


「は、はい!」


「あ、でもボクたちには見えないようにっ」


そして複数の女性たちがページをめくっていき、


「……見た事も無い絵ですわね。

 しかし、とても精巧な」


「文字は……他国のもの?」


そして読み進めていく内に―――


「ほぅ……」

「ほぅ……」

「ふぅ……」


内容はわからないが、食い付いたと見た

ビューワー伯爵はペコリと一礼し、


「もしご興味を惹かれましたならば―――

 控室まで。


 私たちがご案内します」


そして、誘導されるままにフラフラと―――

招待客のうち、女性だけが彼らの後に続いた。




│ ■アルプの家          │




「よーしよし。

 これで片足突っ込んでくれたわね」


「あとはハマるだけ……

 いやすでにハマっている……!

 すでに泥中、首まで……!」


女神の母娘が悪い表情で勝利を確信し―――

周囲の女性陣も、それを当然の事のように

受け止めていた。




│ ■奉公労働者オークション会場内・控室 │




控室に到着した招待客の女性陣は、貪るようにして

本を交換しながら読み……


「どうじゃね、ご婦人の方々。

 これは売れそうか?」


当然彼女たちは、『枠外の者』、『新貴族』の

息がかかった者―――

もしくはその血縁者で、連合国上位三ヶ国の

重鎮の言葉に、


「もちろんです、グローマー男爵様!」


「これはもはや芸術の革命とも

 呼ぶべきもの……!」


すると男爵は、今度はメルリアの方へ向き直り、


「女性にしかわからぬらしいから、

 この交渉、貴女に任せようかのう。


 ただし―――

 ミイト国で利益になりそうな時は、

 まずワシに話を通してもらおう。


 それが条件じゃ」


「こちらとしても、ミイト国の『新貴族』の

 窓口が、男爵様である方がやりやすいですわ。


 では伯爵様―――

 それに『神の御使い様』の方々……

 お話を聞きましょうか」


こうして、メルリアとアルプ・ファジーの

交渉が、ビューワー伯爵のサポートの元

スタートした。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5358名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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