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29・やりましょうそうしましょう

( ・ω・)初めてネット小説大賞に

エントリーしました!

応援よろしくお願いします!

(エントリー方法を知らなかったなんて

今さら言えな)


日本・とある都心のマンションの一室―――


一匹の猫が、飼い主であろう少女のひざの上で

ゴロゴロと喉を鳴らしていた。


「そういえばナヴィ。

 貴方、パパにも我が子のように可愛がって

 もらったって言ってたけど―――


 やっぱりママと同じような感じで?」


その問いに従僕は頭を彼女の方へ向けて、


「そうですね。

 というか、可愛がり方にあんまり差は

 無いのでは」


するとフィオナは口元を歪め、


「そっかそっかぁ……

 すると膝の上で甘えたり一緒に寝たりとか

 そりゃもういろいろと」


「猫の姿の時は猫の扱いですよ。

 アルフリーダ様もユニシス様も―――


 ていうか身内まで妄想のネタにするの

 止めて頂けませんかねえ?」


軽く爪を服に引っ掛けて抗議するナヴィ。

それを取りつつ彼女は話を続け、


「んー? でも子供の頃の話でしょ?

 そんなに気にする事なの?」


「そういう事ではなく……

 フィオナ様やアルフリーダ様の想像する

 それがどんなものかは知りませんけど……


 男同士ってそこまでベタベタするものじゃ

 ありませんよ?」


フィオナはナヴィの腕を取って肉球を触りつつ、


「そうなんだ?

 アタシとママは結構普通にじゃれ合ったり

 してるけどなー」


「まあそのノリをこちらに要求されても

 困るわけで……」


そこで彼女は両目を閉じてうなり、


「うーん、でも……

 アタシがプレイするそういうゲームでは、

 結構みんなベタベタしているような気が」


「そういうゲームだからじゃないですかね?

 それじゃそろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■オリイヴ国 ガルバン家     │

│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「ただ今戻りましゅ……た……?」


降臨演出を女性陣が考えていた翌日の朝―――


日課になっていた周辺の探索を終えたナヴィが

ガルパンの家に帰ると、『女神の導き』と思われる

メンバーが複数、慌ただしく動き回っていた。


「あ! ナヴィ様!?」


家の主が彼の姿を認めると、すぐにもう一人の

伯爵と共に駆け寄る。


「ナヴィ様!

 今すぐ神託は繋げられますか!?」


「バートレットしゃんまでどうしたんでしゅか?

 それとリオネルしゃんは……」


あまりの剣幕に、さすがのナヴィも気圧けおされて

聞き返す。


「し、失礼しました。

 実は―――」


そこで事情を聞いたナヴィは、すぐさまフラールと

神託を繋いだ。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「お? ナヴィ?

 どうしたの、こんな朝早くから」


起床はしていたものの、まだ眠気が覚めない

アルフリーダは―――

従僕からの呼びかけに目をこすりながら対応する。


「(アルフリーダ様、大変でしゅ!

 奉公労働者のオークションの開催日でしゅが、

 本日行われる事がわかったでしゅよ!)」


「…………」


それを聞いて、彼女は一瞬大きく目を見開くが、

すぐに平静になり、


「場所はわかってるの?

 あと、知っている限りの情報を詳しく」


そして、まだ寝ているであろう娘を起こしに、

移動しながら神託を続けた。




│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「はい、はい……!

 あ、たった今リオネルしゃんが戻って

 来たでしゅ!」


「ただ今戻りました!

 あ、ナヴィ様。オークション会場は

 突き止めましたよ!」


リオネルがその状況を察知し、すぐさま

情報を報告する。




│ ■アルプの家          │




「うん、うん……

 わかったわ、今からリオネル君とも神託を

 繋ぐから。


 取り敢えずこれから、いつでも動けるように

 スタンバイするわ。

 いったん落ち着いて、情報をみんなで共有

 しましょう」


こうしてまずは―――

フラールとオリイヴの間で、緊急会議が

開かれる事になった。




│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「では、フィオナ様、アルフリーダ様―――

 現状でわかっている事を報告します。


 時間が惜しいので、前後したり重複ちょうふくしたりする

 場合もあると思いますが、ご容赦ください」


まず、『女神の導き』のリーダーから

話を開始する。


「まず、いきなり開催される事になった

 奉公労働者のオークションについてでしゅが、

 『女神の導き』のメンバーも今朝方知った

 みたいでしゅ」


次いでナヴィが事情を説明し始める。




│ ■アルプの家          │




「何か一晩明けたら展開がすっごく早い事に

 なっているんですけど」


アルフリーダに起こされた時、フィオナはまだ

ベッドの中にいたが―――

瞬時に目が覚め、リビングで事の次第の理解に

務めていた。


「で、でも調べていたはずなのに」


「どうしてこんな……」


眷属の少年2人が、不安そうな表情を隠せずに

そのまま疑問を口にする。


「……やられたわね。

 多分、周到に準備していたはず。


 恐らく、来客はオリイヴ国の国境付近に留めて、

 連絡と同時に入国させたんだわ」


「……国に入った当日にそのまま……

 なんて、誰も思わない……


 『女神の導き』のメンバーは、裏をかかれた

 可能性、大……!」


シンデリン・ベルティーユ姉妹が分析し、

理解し―――


「でも、まだ時間は……!」


「オークション開催までは、それなりに

 準備があるはず!」


ポーラ・メイ姉妹が希望にすがるように

話すも、アルフリーダは手をパン!

と叩いて注目させる。


「―――どの道、奉公労働者のオークションは

 開催されます。

 この情報を止める事は不可能……!


 なので、それに沿って作戦を変更しなければ

 なりません」


女神の提案にマルゴットは片手を上げ、


「それで、他の状況は……」


「リオネル君に、そのオークション会場となる

 現場へ向かわせています。

 護衛にビューワー伯爵もついて……

 すぐにそこへ転移可能な状態です。


 ただ、見た事の無い建物内ですから、

 何も起きないとは保証出来ません」




│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「申し訳ございません。

 今しばらく時間さえあれば、内部の見取り図も

 入手出来たのでしょうが」


申し訳なさそうにガルパンが謝罪し、


「あと、開催時間は……

 お客さんが揃ってから、と考えた方が

 良さそうでしゅ。


 どちらにしろ、動くのは早めの方が

 いいでしゅよ」




│ ■アルプの家          │




「アレ? でも見た事の無い建物って……

 ママは普通にこっちにみんな呼んでたじゃない」


娘が問うと母である女神は、


「『呼ぶ』のは自分がここにいたから、

 転移先を微調整出来たの。


 『戻す』のも、ある程度転送させる人物の

 意思を補助させる事が出来るから―――

 そうそう変な場所に戻る事は無かったはずよ」


あとフィオナちゃんの記憶ものぞいてね♪

とは言わず―――


それを聞いて、転送されてきた女性陣は

そういえば……という表情になる。


「……つまり、アルフリーダ様も転送される側も

 知らない場所となると、リスクが伴う、という

 事ですね?」


レイシェンの補足に、ソニアとミモザは自分の

身内の少年に目を向ける。


「アルプ―――」


「ファジー……」


その重苦しい雰囲気を吹き飛ばそうとするかの

ように、彼らは元気良く大きな声で、


「大丈夫ですっ!!」


「必ずやり遂げてみせますっ!!」


気合い十分な少年2人を見て、アルフリーダは

娘へ振り返り、


「フィオナ」


「へぶれっしゅっ!?」


急な指名で驚いたのか、形容し難い叫びを

彼女は上げる。


「ななな、何でございましょうかお母様?」


「何で、じゃなくって……

 貴女の眷属でしょう?


 アルプ君とファジー君に、何も指示しなくて

 いいの?」


その言葉に、期待の眼差しで2人の少年は

フィオナを見つめる。


「え、あ、そ、そういえばですねっ!

 ところでナヴィは何をしているんですか?」


助けを求めるように、彼女は話の矛先を変える。




│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「私は万が一の時、ここを守るために残って

 いるんでしゅ。

 オークション会場にはバートレットしゃんを

 向かわせていましゅし、彼は貴族でしゅから

 ある程度の事態収拾も見込んで。


 しょれでまあ、アルプ君とファジー君への

 指示で悩んでいるんでしょうが……

 久しぶりに『アンカー』を頼るのは

 どうでしゅか?」


フィオナの悩みを見通し、彼は解決策を提示する。


「(そそ、そうね。

 こういう時のための『アンカー』だし!

 やりましょうそうしましょう!)」


逃げ道を見つけたかのようにフィオナは精神を

集中させ、意識を地球の自宅の自分のPCへ

飛ばすと―――

ネット上の向こうとやり取りを開始した。



【 えーと、どちら様? 】


【 更新遅いよ! 何やってんの! 】



いつものスレの洗礼を受けつつ、フィオナは

状況を説明する。



【 へー、ほー、ふーん 】


【 期限:今すぐ

  人員:非戦闘員の男の子2名

  方法:非合法オークションを止める 】


【 どないせえと 】



無茶の上に無理を重ねたような条件に、さすがの

スレ住人たちも難色を示す。



【 なあ、そのアルプとファジーってコ以外を

 転送出来ないのか? 】


【 でもまあまさか、貴族様を斬り込ませるって

 わけにもいかねーか 】


【 神様が直接行くってのは反則かー 】


【 あとは、ものの見事に女子供しか

 いねーな 】



「で、ですから!

 何かこう、一発逆転にして切り札奥の手を」



この上なくムシの良い言い分に、

『アンカー』たちも呆れるが、



【 まあ、時間も無いしな 】


【 よし! さっさといってみようぜ! 】



半ば投げやりに催促され、フィオナも焦りながら

PCに意識を移す。



「で、ではいきます!


 『アンカー』は今のスレで……

 500!


 聞きたい事は―――

 『アルプとファジーでオークションを

 止める方法』!


 ―――さあ、アタシを導き給え……!!」



>>500


【 方法:2人にお任せ!

  責任:もちろんフィオナ 】



「OH……」



フィオナは英語のつぶやきを最後に、

思考を停止した。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5338名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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