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28・尊さを感じて出る命の輝き

( ・ω・)作品は、女神→百怪→常識の

順で書きますが、時々書き終わったと

思って終わってない事がある(忘却)


日本・とある都心のマンションの一室―――


母娘と思われる女性と少女が、いろいろな衣装を

前に、話が盛り上がっていた。


「バレンタインの後はひな祭りに

 ホワイトデー♪

 さぁて、今年はパパにどんな服着て

 もらおうかしらー?」


「やっぱり和服ベースで……

 あ、こっちのフリフリのヤツもいけるかも♪

 何才くらいにまで戻しますか、ママ」


そこへ、その少女よりもやや年下の少年が

口を挟み―――


「毎度思うんでしゅけど、そういうのって

 女性自身が着る衣装について迷うんじゃ

 ないでしゅかねー」


アルフリーダ・フィオナの手により、すでに

いくつかの試着をさせられたナヴィが呆れ気味に

ツッコミを入れる。


「あら、私は私でちゃんと吟味するわよ♪

 『食べて』もらうために♪」


「でもママ、スタイルが良過ぎだからねー。

 日本ここだと身長その他サイズが合うのが

 なかなか無いんじゃない?」


取り留めのない母娘の会話を聞きながら―――

何かに気付いたように、ナヴィは首を傾げる。


「?? どうしたの、ナヴィ?」


「いえ、アルフリーダ様は―――

 『時と成長を司り、見守る女神』

 なんでしゅよね?


 その、サイズとかも自由に出来るのでは

 ないかと思いましゅて」


それを聞いたフィオナは母親の胸に視線を移し、


「そうですよママ。

 その無用な脂肪のカタマリはもう少し

 大人しめであるべきです。

 そして半分くらいアタシによこすべきです!」


「フッ……だが断る!

 私の体はパパだけの物!!


 パパを誘惑し満足させる以外のカスタマイズなど

 不要!!

 そこは女として譲れぬ一線……!!」


欲望とノロケが交錯する不毛な争いが行われ、

従僕はそれを冷ややかな目で観察する。


「それで、ナヴィ……!」


「あなたはどっち!?」


面倒くさい流れになってきたと思いつつ、

彼は大きく一息ついて、


「私は元猫でしゅから、人間の好みなんて

 わからないでしゅよ。ただ―――」


「む?」


「お?」


バッサリと切り捨てつつも、含みを持たせた

物言いに母娘は注目する。


「大きい方がいいと思ってましゅ」


その答えに、アルフリーダはガッツポーズを、

フィオナは両手を地面に付けてうなだれる。


それを見ながらナヴィはさらに続け、


「私の場合―――

 最初に拾われたのがアルフリーダ様

 でしゅからね」


「あ……」


彼の言葉に、アルフリーダはトーンダウンし、

そのままナヴィはフィオナに向き合い、


「しょれに、フィオナ様も同じ匂いなので、

 一緒に寝ていると時々アルフリーダ様と

 思って安心するでしゅよ。


 好みというのなら、そうなりましゅかね」


要は、初めて自分を助けてくれ、触れた人間の

影響と遠回しに言うナヴィの説明に、


「ま、まあそうねえ。

 最初のご主人様だもんね、私―――」


「そ、そっかー。

 アタシ、ママと同じ匂いかー。

 そりゃママの娘だもんね」


と、母と娘はやや頬を赤らめ……

彼はそれを見届けると、


「しょれではそろそろ、本編スタートしましゅ」


そう、強引に話をまとめた。




│ ■オリイヴ国 ガルバン家     │

│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「はい、こちらはいつでも準備出来ております」


神託を通じ、バートレットがフラール国の

アルフリーダに向けて返答する。


「フィオナ様の『降臨』はこの目で拝見した事が

 ありますが……


 『転移』というのですか。

 他の人間まで、好きな場所に飛ばす事が

 出来るとは」


理解の範疇を超えているのか、ガルパンが

独り言のようにつぶやく。


「フィオナ様の母上であり―――

 私の本当のご主人様でもありましゅからね。


 力は、比べ物にならないと思った方が

 いいでしゅ」


「い、いえ!

 決して疑っているわけでは……!


 事実、グラノーラ令嬢も突然姿を消したと

 思ったら、フラール国にいたわけですし」


彼はナヴィに咎められたと思ったのか、慌てて

言い訳のように語る。


「しょこまで緊張する必要はないでしゅ。

 あくまでも試験のようなものでしゅから。


 あ、リオネルしゃん。

 そこもうちょっと離りぇて」


「も、申し訳ありません!


 しかし室内への『転移』ですか……

 屋外の方が安全なのでは?」


獣人族の少年の質問に、ナヴィは口に人差し指を

あてて、


「しょれも含めてのテストでしゅよ。


 キーラしゃんやカガミしゃん―――

 獣人族のほとんどは、あの屋敷や獣人族が

 隠されている場所から出て来ないみたい

 でしゅし……


 建物の中、出来れば当人の前にいきなり

 出現しゅれば、効果は高いと思われましゅ」


フィオナのお目付け役の言う通り、これは

テストであり―――

『効果的な出現』を兼ねてのシミュレーション

でもあった。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「2人とも、そろそろいいかしら?」


一方その頃、フラールでは―――

『転移』させる役割のアルフリーダが、

対象の少年に確認を取っていた。


「い、いつでも大丈夫ですっ」


「ちゃんとアルプさんにつかまって

 いますからっ」


アルプとファジーがお互いに抱き合いつつ、

その光景を女性陣が取り囲む。


「イイデスヨー、

 そのまま離れないように……じゅる」


「フィオナ様。

 はしたないですよ……ゴクリ」


「メイも口元、口元……じゅるり」


フィオナ、メイ、ポーラの3人組が同じような

反応を示す中―――

それをもう一組の姉妹も釘付けになって

見つめており、


「……ズズッ、まったく……

 やましい目で見るからそうなるんです」


「……シンデリンお姉さま……

 目と口から……液体……ジュルル」


「こ、これは尊さを感じて出る命の輝きだから」


そして遠巻きにマルゴット、レイシェンが

アルフリーダの周囲に位置取り、


「えーと……

 そろそろいいのでは(ゴクッ)」


「そうですね。

 まずは今回、本は置いておいて人間だけの

 『転移』を(ゴクッ)」


ソニアとミモザは、マルゴットとレイシェンが

唾を飲み込む音をあえてスルーして、先を促す。


「はい、ではアルフリーダ様―――」


「よろしく頼むぜ」


そしてアルフリーダは手を水平にかざし、


「……よし! ではいきますわよ!!」


彼女の掛け声と同時に、2人の姿が光に

包まれた。




│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「―――む!

 来るでしゅよ……!」


気配を感じたナヴィは、その場にいた他の

3人に注意を発する。


それを聞いた彼らは身構え―――

そして室内の中央に光が収束するように

輝き始める。


「……?」


「??」


「音……?

 いやこれは、音楽?」


クラッシックのような荘厳なBGMが室内に

響き渡り、そしてキラキラと、ゲームの魔法の

エフェクトのような光が散りばめられ……


さらにそこに魔法陣がいくつか、そして

半透明の2人の少年の姿がゆっくりと

実体化し、


「あ……ここって」


「ナヴィ様! 伯爵様も……!」


抱き合うようにしていたアルプとファジーは

お互いに離れると、彼らと視線を合わせた。


同時にナヴィはフラールへ向けて神託を繋ぎ、




│ ■アルプの家          │




「え? ナヴィ?

 どうかしたの?


 あの登場の仕方は何、って?

 それはやっぱりホラ、演出っていうか―――

 神様の使いって相手にわからせるためのぉ」


軽い感じでアルフリーダは受け流すが、


「(ダメでしゅよ!

 過剰演出もいいところでしゅ!)」


「ええ~……

 だってこれからスモークとか火花とか

 いろいろ付けようかと思っていたのに……」


不満そうな主人に、従僕はさらに問い詰め、


「(しょんな事したら、出現した途端に

 逃げられりゅか、攻撃が来るかのどちらか

 でしゅよ!)」


それもそうか、とアルフリーダは両目を閉じ、


「わかったわ、ナヴィ。

 もう少し静かな演出にしてみるわね」


ナヴィは『何もわかってない』と思ったものの、

これ以上ややこしくされるよりは、と―――

ひとまずはそれで了承する事にした。




│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「というわけで、またお二人にはフラールに

 戻ってもらいましゅが」


主人との神託を終えたナヴィは、第一眷属と

第二眷属の少年に説明する。


「あ、はい。わかりました」


「じゃ、じゃあまたギュッと」


と、ファジーがアルプに抱き着くようにして、

密着する。


「フラールの方々によろしくお願いします」


ビューワー伯爵が代表のように頭を下げると、

彼らの姿は一瞬光ったかと思うと、その場から

消え去った。




│ ■オリイヴ国 市街地・メルリア屋敷  │




「ね、入ってもいーい?」


「入ってきてから言うな。

 ……あと、どこから入ってきたんだ?

 カガミ」


キーラは、少し汚れたカガミの衣装を見て、

脱走してきたのを確認した上で、そこは

流して話を聞く。


兄妹の会話を、『もう慣れたわ』という視線で

メルリアは見つめ、


「まあ、獣人族相手だったら警備は何の役にも

 立たないけど―――


 でもどうやったのかは興味があるわ。

 あの山の隔離施設だって、頑丈な格子こうし

 変えたのに」


彼女の疑問に、カガミは屈託のない笑顔で笑って、


「あーアレ?

 地面の上じゃ意味無いよー。


 土掘っちゃえば下からくぐれるもん」


その答えに、メルリアとキーラは、

申し合わせたかのようにため息をつく。


「それでー?

 何を話してたのー?」


カガミの問いに、2人は顔を見合わせて、


「奉公労働者のオークション開催が決まったよ」


「明日になる。

 だから、明日だけは大人しくしてろよ」


「努力はしてみる!」


彼女の元気良い返事に対し―――

2人は力無くうなだれた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5331名―――



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

基本、土曜日の午前1時更新です。

休日のお供にどうぞ。

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