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26・ボクにそんな趣味は無い

( ・ω・)やはり休日が無い方が、自分は

エンジンがかかるタイプらしいです。

(追い詰められないとダメなタイプ)


日本・とある都心のマンションの一室―――


家主と思われる少女が、リビングでソファに

背中を押し付け、天井を見ながらうなっていた。


「お~う~……

 何か今回の章は登場人物多いわね。

 女性陣大集合って感じで」


彼女の足元にいたペットと思しき猫が、

ピョン、とテーブルの上に飛び乗り、


「ネクタリン姉妹さん(ポーラ・メイ)に、

 トーリ姉妹さん(シンデリン・ベルティーユ)、

 それにマルゴットさんとレイシェンさん、

 あとミモザさんにソニアさんですか。


 まあ多いと言えば多いですが、別に

 10人20人といるわけでも無し―――

 それに結構関わってきた人たちでしょう」


お目付け役であるナヴィはそう返すも、

フィオナは眉間にシワを寄せたまま、


「いやーアタシ人の顔とか名前覚えるの

 苦手なんですよ。

 5人以上は『たくさん』って数える

 ひとなんでぇ~」


「どこの部族の数え方だそれは。


 ていうか乙女ゲーの登場人物、

 よくそれで覚えておけますね。

 それとも主要キャラだけとか?」


呆れながら返すナヴィに、女神は自信満々で、


「何を言っているんですか!

 全員の身長体重生年月日、趣味に過去、

 イベント分岐までバッチリです!!」


「何でその記憶力を他に向けないのか……」


フー、と軽くため息をつく彼に対し、フィオナは


「いやいや、だってですよ?

 アタシが他の女性メンバーを詳しく知っていたら

 それはそれでアレでしょ?」


「そういう理屈ですと、アルプ君やファジー君の

 事は詳しいという事になりますが……

 どれほどの事を知っておいででしょうか?」


ナヴィの問いに女神は両腕を組んで

しばし考え―――


「それを言われると弱いんですよねえ。


 せいぜい、髪の本数とか網膜の個人識別とか

 静脈や指紋の特徴点が見てわかる程度?」


「質問です。

 何で見ただけでそこまでわかるんですか?」


「……愛かな?」


「もはやホラーの領域だと思いますが……

 まあそろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




量産・そして最悪の場合はレンタルするという

方針が決まった翌日―――

改めて目標であるカガミとの接触について、

みんなで話し合う。


「でも、リオネルさん・キーラさんの

 妹なんですよね?

 あの2人を通して何とか会う機会を作れば

 いいと思うんですけど……」


フィオナから案を切り出すと、アルフリーダは

首を左右に振る。


「フィオナちゃん、話聞いてた?

 あの2人―――

 それに今一緒にいる獣人族だって、

 手を焼いているみたいな事言ってたじゃない」


それを聞いて、マルゴット、シンデリン、

ベルティーユの3人が、商人として策を練る。


「取引材料―――

 言い方はアレですが、食い付く何かが必要に

 なりますね」


「好奇心が強いって言ってたわよね」


「……それに加えて好みがわかれば……

 リオネルさんに、聞く……?」


そしてポーラとメイも賛同し、


「こちら側で、一番身近な親族ですからね」


「アルフリーダ様、お願い出来ますか?」


2人の要請を受けて―――

母であり女神の彼女は、オリイヴ国の彼に

神託を繋いだ。




│ ■オリイヴ国 ガルバン家     │

│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「―――!

 め、女神様ですか!?


 は、はい……え?

 カガミの好み、でしょうか?」


突然の神託と質問に戸惑ったものの、

リオネルは従順に答える。




│ ■オリイヴ国 市街地・メルリア屋敷  │




ところ変わって―――

『枠外の者』の拠点で、兄の後に妹が

ついていきながら会話を交わしていた。


「はぁ、もう……

 大人しくしていろ、なんて出来ない事は

 言わないから―――

 せめて騒ぎは起こさないでくれ、カガミ」


「あーもう、せっかくキーラにいについて

 来たっていうのに……

 なかなかイケメンイケオジ美少年って

 いないモンだねー」


「お願いだからボクの話を聞いてくれるかな?」


兄は立ち止まって大きくため息をつく。

それに対し妹は意に介さず、


「だってぇ、大勢の人間と出会う機会なんて

 めったに無いのに……

 どれもこれも標準以下なんだもん。


 そういえばキーラ兄、

 もう彼氏見つけた?」


「ボクにそんな趣味は無い!!」


速攻で否定した後、深呼吸のように

息を吐いて、


「しかし本当にお前、メンクイだよな」


「そりゃーイケメンの兄2人の妹だもん。

 もし他の家に生まれていたかと思うと

 ゾッとするよー。


 もし2人の妹じゃなかったら、

 生まれた瞬間自殺してたよ♪」


それに対しどう答えたらいいかわからず、

頭を抱えるキーラに対し―――

カガミは屈託のない笑顔を彼に向けた。




│ ■アルプの家          │




一通りの情報をリオネルから入手した後……

それを元に、またフラール国の女性陣+

少年2名は話し合っていた。


「重度のメンクイ、ですか。

 確かにリオネルさんには一度お会い

 しましたけれども―――


 あのくらいは要求されそうですね」


「そんなに、ですか?

 レベルとしてはどれほどの……?」


マルゴットの説明に、レイシェンは聞き返す。

すると彼女は隣り合って座っているアルプと

ファジーの方を手の平を上にして指し示し、


「あの2人に匹敵するくらい、でしょうか。

 またはトーリの家の従者の少年……

 もしくはナヴィ様ほどの」


「「「「うおっまぶしっ!!」」」」


ポーラとメイ・シンデリンとベルティーユの

2組の姉妹が両手で目をおおい、

ソニアがアルプを、ミモザがファジーを

抱くようにしてガードする。


「まあ冗談はともかくとして……」


「この子たちに匹敵するくらいの男性を

 用意出来れば、食い付く―――

 もとい交渉に応じる可能性はあるわけですね」


それぞれの母と姉が、まず話をまとめて提案する。


「となると、男性陣の中から……

 人選する必要がありますね」


フィオナの提案に、シンデリン・ベルティーユが

答える。


「ビューワー伯爵様は?

 それに、バーレンシア侯爵も申し分

 無いと思いますが」


「……あの2人……

 腕も顔も……いい……」


姉妹の提案した候補に対し、もう一方の

姉妹も参戦し、


「シモン君はどうでしょうか?」


「店の跡継ぎだし、交渉もそれなりに

 出来ると思います」


それを聞いていたアルフリーダは片目を閉じて、


「ビューワー伯爵は、今のところオリイヴ国の

 貴族階級を見張ってもらう役目があるから……


 バーレンシア侯爵も多忙でしょう。

 シモン君だって仕事があるでしょうし」


分析・補足して語る女神に、4人の女性は

押し黙るが、


「あっ、あのっ!」


「ボクたちではダメですか?」


必然的・消去法的に残った少年2人が

自ら立候補する。


しかし身内及び恋人候補は難色を示し―――


「本を渡すだけならいいんですけど……」


「今回は潜入じゃねーけど、

 本格的にあちらさんの邪魔をしに行くって

 事だからなあ」


ソニアとミモザがその危険性に消極的になる。


「ナヴィ様の護衛があれば安心なのですが」


「でも相手が獣人族なんて、今まで無かった

 事ですし―――」


ポーラとメイも同調してそれに続く。


「……ひとまず、条件をまとめてみましょう。


 本を交渉材料として持っていく―――

 カガミさんや『枠外の者』と相対しても

 守り、逃げ切る事が出来る―――


 目的は、最低でも奉公労働者のオークションから

 獣人族を切り離す事。


 オークションそのものを潰せればベスト。

 ……これくらいでしょうか」


レイシェンの言葉に、全員がウンウンとうなずく。


「護衛はナヴィとリオネルさん―――

 ビューワー伯爵さんもいれば、足りないと

 いう事は無いでしょう。


 となると後はどうやって彼女と接触するか……

 という話になりますね。

 でもまあ、ママがいればそんなの―――」


腕組をして説明する女神に、母が両肩を

つかんで、


「それを考えるのは貴女よ、フィオナちゃん」


「そーです!

 そこでアタシが……ってうぇえ!?」


丸投げしようとしていたところ、真っすぐの

ベクトルで返されて彼女はうろたえる。


「だって、この世界、この地域、そして信者は

 フィオナちゃんが担当しているんだから。


 私はあくまでも手助けするだけ―――

 実際に行動して解決するのは貴女なのよ」


アルフリーダは神、そして母親の顔に戻り、

フィオナをたしなめるように語る。


「それにね、もちろんそのカガミさんの

 場所がわかれば―――

 アルプ君たちをそこへ転移させる事も

 出来るわ。


 でもそれでどうするの?

 どうなると思う?」


彼女にしてみれば、突然目の前に知らない

人間が出現するわけで―――


驚かれるだけならまだマシだろう。

下手をすれば警戒、最悪の場合、反射的に

攻撃されかねない。


周囲も状況をシミュレート出来たのか、

沈黙する。


「む、むむうぅ~……

 ごめんなさい、確かにちょっとママに

 頼り過ぎていました……」


人間サイドも、ばつが悪そうに頭を下げる。


「申し訳ありません。

 本来なら、こうまでお手を煩わせてしまう

 事すら、望外の事ですのに」


代表するようにマルゴットが謝罪の言葉を

口にすると、


「別にそんなつもりで言ったんじゃ

 ないのよ。

 それに、フィオナちゃんが見定めた信者、

 仲間ですもの。


 これが私利私欲のためなら私は動いて

 いないわ。

 ただ使い道はよーく考えてって事♪」


重苦しい雰囲気を払拭するように、

アルフリーダは軽く話す。


ホッとする一同をよそに、彼女は今度は

娘の方を振り向き小声で、


「(まあ万が一何かあったら、私の能力で

 時間巻き戻せばいいだけだし)」


「(ママ、それがあるもんねー)」


「(でもコレやったらさすがに天界市役所も

 黙ってないわ。

 最終手段と思っておきなさい)」


「(は、はーい……)」


と、母娘だけに聞こえない・理解出来ない

会話は終わり―――

再び話し合いが続けられた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5307名―――



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