表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/402

16・どんな汚れ仕事でも

( ・ω・)題名を考えているだけで、

話の半分くらいの時間を取られる(オイ)



日本・とある都心のマンションの一室―――


母と娘と思われる女性と少女が、ペットと

思われる猫の前で……

真剣な眼差しで互いに向き合い、座る。


「……私が言いたい事はわかるわね、

 フィオナちゃん?」


「……うん。多分、何となくだけど」


それをお目付け役(猫Ver)は、

固唾を飲んで見守る。


しばらく、静寂が室内を支配し―――

それをアルフリーダの方から口を開き破る。


「クリスマスイブは帰ってくんなよ♪」


「これだよ」


どうせそんな事だろうと―――

ナヴィは達観した面持ちで2人を見ていた。


「でもフィオナちゃんも素敵な世界で

 休んでいたのねぇ♪

 こうまでオオヤケにイチャついていい日が

 あるなんて、世の中は広いわぁ」


「いやまー、アタシが言うのも何だけど、

 本来そういう日じゃないんですけどねー」


ナヴィを抱きかかえるようにして膝に乗せると、

娘は呆れたように母親に答えて続ける。


「それにパパとママは何ていうか―――

 普段から結構……」


「あ、愛を育んでいるのよ!」


言い訳気味に焦るアルフリーダに、今度は

ナヴィがフィオナの膝の上から、


「それでも何と言いますか。

 育成カンストというかオーバーキルというか」


「パ、パパに対するママの愛は

 無限で永遠だから……」


視線を泳がせつつ答える母親に、娘と従僕は

同時に軽くため息をつく。


「まあママはシチュやプレイを際限なく

 作れちゃうからねー」


「とにかく、そろそろ本編スタートしましょう」




│ ■オリイヴ国 ガルバン家     │

│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




神託を終えた翌日―――


オリイヴ国へ来ていた貴族と商人の娘は、

『女神の導き』リーダーと、女神のお目付け役と

共に悩んでいた。


「昨夜聞いた―――

 トニック・ソルトの2人の情報が

 正しいとすれば……」


「すでに噂をバラまく準備は出来ている、

 そう考えた方がいいかも知れません」


マルゴットとバートレットが、互いに事実を

確認し合う。


いつものように、フラール・バクシア・

ルコルア・オリイヴ国と神託が繋げられ、

情報が共有されたのだが、


情報屋の2人がシフド国から持ち帰ってきた

情報は、女神一行を困惑させていた。


シフド国のメルリアが、連合国家内の

『枠外の者』、特に下位国を中心に

ネットワークを持つ事、


そして最近、その国々に代表と出会い、

何らかの依頼をした形跡が見て取れた

のである。


「……『枠外の者』が他の国々の仲間と

 連絡を取るのは、しょんなに珍しいの

 でしゅか?」


ナヴィの質問に、マルゴットとガルパンが

答える。


「連中に仲間意識や、特定の者に対する

 忠誠心も信頼もありません。

 推し量るのはただひとつ、『利益』のみです」


「『新貴族』であれば多少は違うのでしょうが、

 今回はまだ深く関わっている情報はなく……


 こうも各国組織だって連携しているのは、

 不気味としか言いようがありません」


少年は今度は、貴族の方へと顔を向けて、


「でも、連合国家内の経済破壊計画―――

 それに伴う『連合共同金融安定局』の設立は、

 『枠外の者』、しょして『新貴族』主導で

 作らりぇたのでは」


「大まかな計画はその通りですが……

 後、各国でどうするかまでは決められては

 いないかと。


 儲ける枠組みは作ったので、それをどうするかは

 各々でやれ、という事でしょうね」


「ふみゅ」


大がかりな事は一応協力しつつ―――

細かい部分はそれぞれの力量で切り取り次第、

という事……

ナヴィはそれに納得し、うなづく。


「そしてこちらの方針としましては、その噂が

 発動される前に奉公労働者オークション、

 そのものを阻止する、という事でしたが」


「噂の補強にはなりましゅが、絶対に必要と

 いうわけでもないんでしゅよね……」


ガルパンの言葉に、やや消極的に答えるナヴィ。

そしてマルゴットとバートレットが続く。


「つまり、噂だけならいつでも流せるという

 事です」


「メルリアという人物―――

 これまでの『枠外の者』とは、

 異なる相手ですね」


それには同意というように、一同がうなづいた。




│ ■オリイヴ国 市街地・メルリア屋敷  │




「……でさー、いつそのオークションとやらは

 やるのさ」


『枠外の者』の拠点で―――

屋敷の主に向かって、獣人族の少年が問い質す。


「いやそれなんだけどねえ。

 獣人族は全部ワタシのモノだと言ってるのに、

 商品として出せって周りがウルサクてー」


メルリアは大きくため息をついて、

カップに口をつける。


「まさかこんな身近なところから

 裏切り者が出ようとは……

 このワタシの目を持ってしても

 見抜けなかったわ」


「アレ敵だったの?」


勝手に敵視される他の『枠外の者』の事は

横に置かれ、キーラは話を元に戻す。


「そもそも売るために誘拐してきたんでしょ?

 で、全部メルリアが買うって言ってたじゃん」


肩をすくめて、両手を曲げて手の平を上にする

キーラに、彼女は


「いやだって二度手間じゃないそれ。

 最初から手元に置いておいた方が安心

 するしー。

 それに万が一本当に買われでもしたら」


「商品を仕入れたけど売りませんって、

 どうなのさ。

 それなら最初から、獣人族は商品から

 外していたら良かったんじゃないの?」


正論を突く少年にメルリアは、


「噂にするにはそれなりにインパクトが

 無ければって思ったんだけど……

 失敗だったわねえ。


 いいえ待って。

 実際にオークション会場に出してみて、

 困惑する尊い表情を堪能するのもハァハァ♪」


勝手にもだえる女主人と、それを見て眉間に

シワを寄せる獣人族とで―――

室内の時間は過ぎていった。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




一方その頃―――

女神・フィオナは、ナヴィから神託を

繋げられていた。


「何ですかナヴィ。

 アタシは今、策を考え中なのですよ?」


(ほう、何でしゅか?)


そこで女神は神妙な顔つきになり、


「いかにどうやって『ほら、ほっぺに食べ残しが

 ついているわよ♪』っていうシチュにどう対応

 するかという―――」


(今すぐ止めるでしゅ。

 しょして、やって欲しい事があるでしゅよ。


 私は調査に出ましゅので、しょの間に

 お願いしたいのでしゅ)


そして女神は、ナヴィの要請に従い―――

久しぶりにある事をするために、意識を地球の

PCへと飛ばした。




【 ん、何だ? 】


【 獣人族との話はついたんだろ? 】



『アンカー』たちの質問に、フィオナは

話を切り出す。



「いえ、それがですね」


今回、フィオナの持ってきた課題とは―――

オリイヴ国に来た、マルゴット・バートレットの

行動方針についてであった。


「……というわけでして。

 もし、万が一『枠外の者』に噂を流されたら、

 それに対抗する手段や方法をと」



【 いやー、ちと難しくないかソレ? 】


【 そもそも2人はどういう名目で来てるんだ?

 お忍びか? 】



「い、一応バーレンシア侯爵に頼まれて……

 お祝いのための品探し、という事になって

 いるようですけど」


そこで掲示板の書き込みはいったん間を置き、



【 んー、それならニラミは効かせられるが 】


【 いやでもなあ……

 今回、噂流された時点でほぼ終わりだよ? 】


【 1章を思い出す詰みっぷりだな 】



さすがに今回は分が悪いのか、悲観的な

意見が続く。



「そ、そこを何とかしてこその『アンカー』

 でしょう!?」


半ば逆ギレ気味にフィオナが噛みつく。



【 まぁなくもないけど。

 でもこれ、神様サイドが使うのはなー 】


【 今さらって気もするがw 】



「な、何ですか!?

 信者を守るためなら、どんな汚れ仕事でも

 やりますよ!


 では、超がつくほどの久しぶりに

 『アンカー』を……!


 『アンカー』は今のスレで……600!


 聞きたい事は―――

 『噂に対抗する方法』!


 ―――さあ、アタシを導き給え……!!」



>>600


【 カウンター 】



その答えに、フィオナはいったん思考を

停止させた。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




「……んで?

 あたいに聞きたい事って?」


それからしばらくして―――

フィオナはルコルアに神託を繋げていた。


もちろん、第二眷属・ファジーを介してでは

あるが。


(いえ、それが~……

 ちょっとアタシの方でも考えがまとまらなくて

 ですね。


 それで情報のプロであるミモザさんに

 お話をと)


『アンカー』に示された事がわからず―――

ナヴィが調査から戻って来る前にと、女神は

慌てて彼女にコンタクトを取ったのである。


そして一通り話を聞くと、


「ん~……

 ボクには、聞いた通りの意味としか

 思えないですけど」


「まあ、受け取り方はあるだろうけどな。


 中には、神様が取るような方法じゃ

 ないって事もあるし」


姉弟の言葉の後に、フィオナは、


(そんな事は覚悟の上です。


 アタシは、信者を救うためなら―――

 何でもするって決めているんですから)


決意を聞いた第二眷属とその姉は

感嘆の声を上げ、


「フィオナ様……!」


「そうだったね。

 それで、あたいたちも救われたんだし。


 わかった、話すよ。

 情報屋に取って、『カウンター』ってのが

 どういう事か―――」




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5224名―――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ