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12・どっちにしても、厄介そうな

( ・ω・)なぜか評価ptが2ptくらい

上がったり下がったりするけど今では

仕様のように受け入れている。



天界・フィオナの神殿じっか―――


そこで一匹の猫が、黒髪の少年を前にかしこまって

両足を揃えて座る。


「―――というわけで、今は私は他国で調査を継続し、

 フィオナ様は第一眷属のいる国で待機しており……


 ところで、どうしてユニシス様はそんな格好と

 いうかお姿になっているのですか?」


12・3才くらいと思われる姿になっていた

軍神は、頭をかきながら、


「ママが元の姿に戻し忘れて出かけちゃったんだよ。

 衣装コスプレはいっぱいあるし、取り敢えずは困らないから

 いいんだけど―――」


「生殺与奪どころかカスタマイズまで

 握られてますもんね」


改めて『時と成長を司り、見守る女神』の力を

見せつけられ……

ナヴィは呆れとも感心とも取れないため息をつく。


「それで、話を戻すけど……

 つまりは、第三眷属の妹と一緒とはいえ、

 第一眷属の少年―――

 アルプと一緒にいる、という事でいいのかな。


 彼の母親も一緒だろうけど、何ていうか……

 大丈夫かなあ」


「メイさんとは相変わらずバトルしてるっぽいですし、

 あの様子じゃ手を出す事も出される事も多分無いと

 思いますよ」


するとユニシスは眉間にシワを寄せて両目を閉じ、


「いやわからんぞ。

 最近の女の子は進んでいるというし……

 そのメイという子とタッグを組んで、2人がかりで

 もしアタックとかしだしたら」


「まあその場合、アルプ君のフィオナ様に対する

 信頼度はMAXなので、喜んで従うと思いますが」


それを聞いた途端に軍神はうろたえ、


「い、いやそんなのダメだパパは認めないぞ!


 ……というかナヴィ、お前はどうなんだ?

 その、フィオナが他の異性と一緒にいても

 嫉妬とか怒るとか」


「異性としてどうでもいいからじゃないですかね?

 ていうか6章にもなって誰ともいい雰囲気に

 なってないしいざとなったらヘタれるしで」


「空気のごとく暴言吐いてないキミ!?」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「―――ハッ!」


「?? どうかしましたか、フィオナ様」


アルプと一緒に果実の箱詰め作業をしていた

フィオナは、何かに気付いたように声を上げる。


「い、いえ……

 今、何か、腹立たしくも反論し切れない事を

 言われたような気がして……」


「??」


女神の言葉を理解出来ず、少年は首を傾げる。




│ ■天界・フィオナの神殿じっか  │




「う~む……

 でもまあその辺は確かになあ。


 僕とママの娘なのに、ちょっと積極性に

 欠けるというか」


父親としても、娘の押しの弱さは否定出来ず―――

それをナヴィがサポートするように答える。


「ある意味、バランスが取れているとも

 思いますが。

 足して2で割るって感じで……

 それも含めてフィオナ様でしょう。


 それではそろそろ、本編スタートしますね」




│ ■オリイヴ国 市街地・某所  │




ナヴィという偵察者が去った翌日―――


屋敷の中でもひと際豪華な室内で、獣人族の少年が

『枠外の者』の女性を前に、互いに向き合う。


「……どういう事なのさ。

 『目的は半分達成されたようなもの』って。


 まだボクに話してない事でもあるの?」


不審そうな態度を隠そうともしないキーラに対し、

メルリアは涼し気な視線で答える。


「あら、あなたに隠している事なんて無いわよ。


 このオリイヴ国での奉公労働者のオークション、

 さらに獣人族を―――

 女神様とその御一行をおびき寄せるエサとする事。


 何ひとつウソは言ってないわ♪」


フン、と少年は対面のイスではなく、壁際のソファに

座ると、


「それはそうなんだけど―――

 で、おびき寄せたのはいいけど、どうする

 つもりなのさ」


「言ったでしょ?

 もうすでに目的の半分は達成されているって……


 いえ、もう終わっているのかも知れないわねえ」


それを聞いて、ふてくされるように彼女に背を向けて

キーラは横になり―――


「ハイハイ♪

 拗ねない拗ねない♪


 ただね、これでいいのよ。

 『女神様とその御一行』が来た事、

 この国で奉公労働者のオークションが行われる事……


 ただそれだけが重要なんだから」


そうしてメルリアはキーラと同じソファに座ると、

彼の頭を膝に乗せた。




│ ■オリイヴ国 ガルバン家     │

│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




「……そうですか。

 リオネルさんの弟さんが……


 確かに一度お会いした事がありますが」


ガルバンの家まで戻ったナヴィは、ひとまず

『女神の導き』のリーダーである彼に、調査結果を

報告した。


「キーラ君に会った事があるんでしゅか」


「はい。何と言いますか、その……

 リオネルさんには悪いですが、

 『あ、都会出たらカモだわこの子』という

 感じでしたね」


ナヴィは彼の兄との情報を合わせて、何となく察する。


「妹のカガミしゃんも、一緒にいるよう

 なのでしゅが―――

 彼女も誘拐されたというわけでは

 なさそうなのでしゅよ」


それを聞くと、ガルバンはキーラの事を聞いた時よりも

複雑そうな表情となり、


「う~ん……カガミさんも、ですか。

 彼女は彼女で、ちょっと何と言いますか。

 別に悪い性格ではないのですが、

 キーラ君とは別の意味で夢見がちな……」


「どっちにしても、厄介そうな2人でしゅねえ。


 ……しかし、他にも気になる事があるでしゅ」


「と言いますと?」


ずい、と身を乗り出すようにガルバンが聞き返す。


「彼ら―――

 『枠外の者』の目的が、今イチ見えて

 こないんでしゅよ。


 おびき寄せているのは確かなのでしゅが、

 かと言ってこちらをどうするつもりなのかが

 全く見えましぇん。


 対決にしろ、交渉にしろ―――

 意図が酷くフワッとしている感じで」


ガルバンは両腕を組んで考え込む。


「確かに―――

 そもそも、彼らに女神様やナヴィ様を

 どうこうする力があるとは思えません。


 それを認識していないにしても、

 今までの彼らの行動からすると……

 計画性というか緻密ちみつさが見られない。


 彼ららしくないのですよ」


対抗組織を作り上げたリーダーの言葉に、

ナヴィは深くうなづき、


「夕方になったら定期連絡を取りましゅ。

 しょこで、こりぇまでの調査結果を総合して、

 次の方針を決めましょう」


「わかりました。

 では自分は、この国の『女神の導き』の

 メンバーたちに、情報共有しておきます」


こうしてひとまず―――

彼らは夕方まで待つ事にした。




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「うーむ……」


その日の夕方―――

取り敢えず、獣人族の方針と『枠外の者』の動きを

報告された女神一行のメンバーは、頭を抱えていた。


「ボガッドさん……」


「雲をつかむような話じゃあるけどさ、

 別に深刻なわけじゃないだろ?」


ポーラとシモンが、悩むように頭を抱える

屋敷の主に声をかける。


妻クレアと、情報屋2名はただ黙って神託の

行方を見守る。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




今回、アルプの家には貴族であるビューワー伯爵、

バーレンシア侯爵、シッカ伯爵の姿は無く―――

女神と第一眷属の少年と母親、そしてフラール国の

財閥令嬢、そして第三眷属の妹が待機していたが、


「そうですよ。

 まだまだ調査を続けていけば」


フィオナもまた、楽観的に語るが―――

そこにマルゴットが口を挟む。


「いえ、これは何と言いましょうか……

 商人特有のカンみたいなものです」


「商人の?」


第一眷属の少年が疑問を口にすると、

グラノーラ家の令嬢は続ける。


「『枠外の者』―――

 彼らは金の匂い、儲けに敏感です。


 そんな彼らの行動から、利益になる感触が

 全く伝わって来ないのです」


「ボガッド財閥のローンさんも、似たような

 気持ちって事?」


メイの言葉に、今度は別の国の眷属が反応する。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




「でも、奉公労働者のオークションを計画している事は

 確かなのでしょう?」


その姉も話に参加するが、やや疑問寄りに語る。


「それなんだけどさあ―――

 なーんか違和感? がするんだよねえ。


 手ぐすね引いて待っていた割にゃ、

 動きが少な過ぎるってゆーかー?」




│ ■ボガッド家屋敷      │




それを聞いたローンが、目をカッと見開き、

テーブルに両手をつけて立ち上がる。


「あ、あなた?」


妻のクレアが思わず声を出すと、彼はそれに構わず

待機していた情報屋の2人に顔を向ける。


「トニック君、ソルト君―――

 悪いが今すぐオリイヴ国……いや、シフド国へ

 向かってくれ。


 調べるのは、メルリア令嬢と―――

 シフド国での『枠外の者』の上層部の動きだ」


「わ、わかりましたッス!」


「今すぐ出ます! じゃっ!」


言うが早いか、2人の姿はあっという間に

部屋からいなくなった。




│ ■アルプの家          │




「ど、どうしたんですか? お義父様?


 それに上層部って……

 『枠外の者』って個々が利益のためだけに

 好き勝手やっていたような―――」


「確か意思統一は儲け話に限ってであって、

 マービィ国のように、味方の方針とは異なって

 いても、利益が出れば正義って話じゃありません

 でしたか?」


アルプの母ソニアと、女神フィオナが同じ認識で

答える中、商人の娘が異なる見解を出す。


「……もしかすると……

 度重なる失敗に業を煮やして、ここにきて各国の

 有力者が手を組んだのでは。


 『連合国家の順次の経済破壊』という方針は

 生きているはず―――

 その推進のために、としたら……」




│ ■『女神の導き』オリイヴ国拠点  │




それを聞くとナヴィは懐疑的な表情になり、


「しょんなたいそうな感じでは無かったと

 思うんでしゅが」


「『女神の導き』でも、ある程度は情報を

 把握しておりますが―――

 主要メンバーが団結して事にあたる、

 というような動きは」


ガルバンも同じ考えで、それを伝えるが―――




│ ■ボガッド家屋敷      │




「ワシも確信を持っているワケではありません。

 とにかくここはお任せくだされ」


ローン・ボガッドの提案を一同は了承し、

情報共有と、いくばくかの緊張感を残して―――

神託は閉じられた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5167名―――



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