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03・ちょっと黙ってちょっと静かにしゅて

( ・ω・)次回で2周年だが、何も考えて

いない(マテ)



日本・とある都心のマンションの一室―――


女神・フィオナはリビングで、珍しく地球では

人間Verになっているお目付け役と隣り同士で

座っていた。


「い、いいですかナヴィ。

 ちゃんと一緒にいてくださいよ」


「ホラーゲームやりゅからって、そばにいて欲しいって

 いうのは……

 本当に子供なんでしゅから」


そう言いながら彼はTVのリモコン、ゲームの電源の

順に準備をしていく。


(ふ、ふふふ……!

 何とでも言いなさい!


 『アンカー』、そしてママから伝授された

 この秘策―――


 怖がるフリをして親密度を高める!!

 ここで女の子らしさアピール、そして頼って

 相手の庇護欲ひごよくを高める戦法……!

 受けてみるがいいわ……!!)


よこしまな考えを抱いたまま、フィオナはナヴィを

隣りに座らせ、ゲームを開始した。




―――10分後―――




「あのう、ゲームの事はよくわらないん

 でしゅけれど……


 どうしてフィオナ様は、何度もスタート地点から

 同じところを行ったり来たりしているんでしゅか?」


「だって怖いんですよ!!

 暗いんですよ!!

 こうまでリアルにしなくたっていいでしょーが!!」


それを聞いたお目付け役は呆れた顔で、


「しょういうものでしょう。

 明るくファンタジーチックなホラーゲームが

 あってたまりゅか」


「アタシにはわかるんですからね!?

 そこの画面の前でさっさと話進めろとか

 思っているやつ!!

 こちとらものすごい緊張&恐怖と

 戦っているんだよ!!

 バレていないとでも思ってんのかあああ!!」


するとそれを聞いていたナヴィは姿勢を崩し、


「どこに向けたのかよくわからん逆ギレやめるでしゅ。

 ほりぇ、ちゃんと隣りにいましゅから」


「うっうぉああぁ!?

 あのそのいきなり密着モードってのはええと

 心の準備ってゆーかーあぁあああ」


女神の様子にお目付け役はフー、とため息をついて、


「(どうしぇ、怖がるフリをしてこっちに抱きつこう

 とか考えていたんでしょうけど……

 怖がり過ぎて忘れてしまったでしゅね、こりぇは)


 どうでもいいでしゅから、そろそろ本編スタート

 しましゅよ」




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




リオネルが訪ねてきてから一週間後―――


情報屋の2人、トニックとソルトが集めた情報を

神託で共有する運びとなった。


「ではシオニム(ポーラ)さん、

 準備はよろしいですかな?」


「は、はい。

 後はフィオナ様からの神託を待つばかりです」


屋敷の主が、第三眷属の少女にたずねる。

隣りには定位置というようにシモンが座っていた。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




「では、そろそろ始めましょう。

 いいですか、みなさん?」


女神・フィオナの呼びかけで、面々が頭を下げる。


「はい……!

 わたしめの方は、もう」


この場のメインともいえる獣人族の少年、

リオネルが答え―――

貴族・商人も口々に回答する。


「私も、問題ありません」


「本来ならバーレンシア侯爵様にも来て頂き

 たかったのですが……」


マルゴットの言葉に、アルプも擁護するように

反応し、


「そ、それは仕方ありませんよ。

 侯爵様は今、すごく多忙ですから」


「後でわたくしが情報共有にひとっ走り

 行ってきますわ!」


第一眷属の隣りで、メイが元気良く答える。


「じゃあ後はルコルアにいる、ファジー君と

 ミモザさんにも繋げるのを忘れないで

 くだしゃいね」


「わ、わかってますって!」




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




ナヴィの注意に、フィオナはルコルアとも

神託を繋ぐ。


「あっ、ナヴィ様?

 はい、こちらもいつでも大丈夫です!」


「お、来たか。

 じゃあ始めちゃってくれ」


こうして―――

3ヶ国をまたぐ神託がスタートした。




│ ■ボガッド家屋敷      │




「ではまず、2人からの報告ですが……

 これは直接話してもらった方が良さそうですな。


 では頼む、トニック君、ソルト君」


その言葉に呼応するように、2人は立ち上がり、

トニックから口を開く。


「じゃあまず俺から―――


 ソルトと一緒にガルバンさんのいるオリイヴ国まで

 行って、獣人族の事を聞いてきました。


 オリイヴ国も、獣人族のある集落も、グレイン国の

 周辺に位置するいわゆる衛星国のようなモンで、

 互いにその存在は知っていたらしいです。

 わずかながらに交流も……


 もっとも、今回のように正式に相談されたのは

 初めてのようでしたが」


次にソルトが調査をまとめた書類に視線を落とし、


「ただ獣人族は人口が少なく、そもそも連合国は

 亜人との連盟はした事がありません。


 なワケで情報が連合国内では極めて少なく―――

 獣人族の集落へ行こうと思ったが、探し出す事は

 出来ませんでした」




│ ■アルプの家          │




「それは……当然でしょう。

 我らが集落は、人の目をあざむく仕掛けを施して

 おりますゆえ―――」


リオネルの説明に、女神は両目を閉じて、


「ん~……

 じゃあ、この件に人間は関わってないって事?」


「しかし、行方不明になっているのは事実でしゅ。


 ソルトさん、トニックさん―――

 ガルバンさんは何か言ってましゅたか?」




│ ■ボガッド家屋敷      │




ナヴィから問われ、2人は、


「カンがいいッスね、ナヴィ様」


「『この件と関係あるかどうかはわかりませんが』

 と前置きした上で―――


 オリイヴ国で、『枠外の者』による奉公労働者の

 オークションが行われるという噂があったらしい。


 で、俺とトニックで情報の裏付けを行ったところ、

 答えは真っ黒ッス」




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




一度、姉弟でオークション対象になった事がある

2人が反応し、


「……今度は、オリイヴ国が標的って事ですか?」


「でも待てよ?

 オリイヴ国って、今経済危機とかやべー事に

 なってたっけ?」




│ ■アルプの家          │




ミモザの疑問に、フラールのマルゴットと

バートレットが口を開き―――


「今のところ、そのような情報は入ってきて

 ませんね」


「そのような事態になっていれば、『女神の導き』も

 真っ先にその報告を寄越すでしょう」


周囲もウンウンとうなずき、話がバクシアへ移る。




│ ■ボガッド家屋敷      │




「まあだからこそ―――

 おかしいって話になったんスけどね」


「そこへ来て同時に、獣人族の行方不明事件……

 俺じゃなくても何か匂うでしょ?」


トニックとソルトの言葉に、屋敷の主が重たそうに

口を開く。


「……どうやら、予想していた事が起きておる

 ようですな。


 グラノーラさん、ビューワー伯爵様」


同室にいる少年少女も、事情を察したのか

暗い表情になる。




│ ■アルプの家          │




「はい。恐らく―――

 オリイヴ国で行われる、奉公労働者の

 オークションとやらは……」


「獣人族のみ……

 もしくは彼らが目玉商品のオークション、

 でしょうね」


バートレットは両腕を組み、マルゴットは眉間に

シワを寄せる。

ナヴィもまた情報を整理、理解して、


「ふみゅう、にゃるほど……

 商品が獣人族なら、経済悪化は関係

 ないでしゅね。

 どう思いましゅか? フィオナ様」


「取り敢えず猫耳も犬耳も押さえておきたいです」


笑顔で返してくる女神にお目付け役は、


「ちょっと黙って。

 ちょっと静かにしゅて。

 ちょっと待つでしゅ」


「それではオリイヴ国に行きましょうナヴィさん!

 ヒャッハーケモナー祭りだ!!」


「マズい!

 コイツ今回真面目なやり取りが多かったせいで

 もうオーバーヒートしてやがるでしゅ!」


周囲はその光景をおろおろと困惑した目で見守る。

するとナヴィはフィオナの首筋を叩き、


「とうっ!!」


そしてぐったりした女神をソニアとメイに任せると、

彼女はそのまま奥へ運ばれていき、


「えー少々お待ちくだしゃい皆様。

 神託カイセンをフィオナ様から私に切り替えましゅ」


そして女神抜きで、仕切り直す事になった。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




5分後―――

改めて各国の眷属に神託が繋がれ、話し合いが

再開された。


「ええと、ボガッドさん……

 予想していた、とおっしゃってましたけど」


「あー、そういや伯爵様とマルゴットさんも―――

 でもどうしてだい?

 今までは一応、連中も合法の範囲内で動いて

 きたんだろ?」


まずはアルプとファジーが、先ほどの会話まで戻って

疑問を呈する。




│ ■ボガッド家屋敷      │




「確かに連合国内では、人身売買や奴隷は

 認めてはおらんのだが―――


 それはあくまでも連合国内、人間に限っての話。

 亜人は法の範囲外なのだ」


ローン氏は実情を語り、それに対し、シモンとポーラが

反発する。


「うへぇ。

 法に触れないから犯罪じゃないってのか?」


「酷い……」




│ ■アルプの家          │




「さすがに、公になればタダでは済まないと

 思います。


 罰則は確かにありませんが、かと言って

 自治権外の資源や人を扱うのは―――

 連合国内で合同で取り決めるという条項が

 あったはずですから」


「ですが、その辺りは『枠外の者』も心得ていると

 思います。


 書類の不備で押し通すか、法の穴を突くか……

 一番手っ取り早いのは―――

 さっさと終わらせて証拠を残さない事でしょう」


貴族と商人の意見に、今の神託を司っているナヴィは

両眉の間に人差し指を当て、


「うみゅ、時間との勝負にもなるんでしゅか……


 ちなみにリオネルさん、最初の行方不明者が

 出たのはいつ頃でしゅか?」


「は、はい。

 確かこちらに来る1ヶ月と1週間前……


 つまりひと月と半月前ほどになるかと」


アルプがそれを聞いて不安そうな顔になる。


「だ、大丈夫なんでしょうか、それって……」


もう手遅れなのでは、という言葉を飲み込み、

それを義祖父が受け継ぐ。




│ ■ボガッド家屋敷      │




「いや、まだ大丈夫だと思う。


 オリイヴ国でオークションを行うのであれば、

 それに出席する各国の貴族や有力者を呼ぶのに

 時間がかかるし―――

 さらにその『商品』を輸送しなければならん。


 最悪、物流を見張れば何とかなるだろう」


彼の言葉に、室内のメンバーもふぅ、と安堵の

ため息が漏れる。




│ ■ルコルア国・ファジーの家  │




「でも、もし獣人族のオークションが

 確定だとしたら……」


「時間が無いって事に変わりはねーな。

 どちらにしろ、急いだ方がいい事に

 変わりはねぇ」


ファジーとミモザは現実的な対応を促し、




│ ■アルプの家          │




「そうでしゅねえ……

 ここはやはり、現地へ行った方がいいと

 思うのでしゅが」


とナヴィが話し―――

以降は、どのメンバー、どういうスケジュールで

現地入りするかが全員(※女神のぞく)で進められた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5103名―――



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