表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/402

02・ありがとうございますねえ

( ・ω・)この小説、もはやライフワークと

いうよりネバーエンディングストーリーに

なりつつあるのでは(オイ)



日本・とある都心のマンションの一室―――


女神・フィオナは自室の机に座り、目の前の

PCに向かって、ネットの向こうの相手と

やり取りしていた。



【 で? 進展はあったのか? 】


【 団体で行ったとはいえ温泉旅行だぞ? 】




「い、いろいろあったのは貴方たちも知っているで

 しょーが!」


マービィ国での顛末の報告を『アンカー』たちに行い、

その事について評価される。

もちろん、それが高いはずもなく―――




【 だからなあ……それを利用しないのが

 ダメなんだっての 】


【 共に危機を乗り越える―――

 これ以上は無いシチュを無駄使いしてるんじゃ 】




「だーかーらー!!

 アタシはどうすれば良かったのか、今度どうすれば

 いいのか教えろ教えてくださいお願いします!!」


ほとんど逆ギレのように吠える女神に、

『アンカー』たちは答える。




【 だから一通り解決した後、

 お前は彼に何つったんだ? 】




質問の意図がわからず、きょとんとする

フィオナに、続けてメッセージが表示され、




【 その時こそ思いっきり頼るんだよ。

 女として 】


【 『アタシにはやっぱり貴方が必要です』とか、

 『貴方がいなければダメです』とかさ 】




それを見た女神は座っていたイスを倒さんばかりに

勢いよく立ち上がり、


「天才ですか貴方たち!!

 アタシ、皆さんが用済みになるまで

 一生付いていきます!!」




【 ハハハ本音は隠そうぜ女神様 】


【 ていうか本来、女神・年上・家族の恩人と

 フルコンボでどうしてこうまで手間取るのか 】


【 この状況でまだ落とせないって、

 逆に難しいよな 】




そして、女神はまだいくつかのろくでもないやり取りを

オンライン上で続け―――

その光景を後ろから見ているお目付け役(猫Ver)

がいた。


「どうせまた『アンカー』と、ろくでもない事を

 やりとりしているのでしょうが……


 ではそろそろ本編スタートしましょう」




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │

│ ■アルプの家          │




獣人族の者がアルプの家を訪ねた事を受けて―――

詳しい話を聞く必要があると判断したフィオナと

ナヴィは、バクシア・ボガッド家の歓待をいったん

中断してもらい、フラールへ『降臨』する事になった。


「……来ます、フィオナ様が……!」


「!」


「こ、この光は……!?」


ファジーが女神の来訪を察知し、部屋の中が光に

包まれ―――

その光景を初めて見る獣人族のリオネルは、思わず

目をつむる。


そして光が収まった後―――

2人の人影が、3人の前に姿を現した。


「お、おお……

 あなた方が女神・フィオナ様と―――

 その従者・ナヴィ様なのですね!?


 なんと神々しいお姿……!」


ひざまづく彼をよそに、第二眷属の少年とその姉は

行動に移る。


「あ、じゃあボク、席を用意しますから」


「アタイはお茶用意してくる。5人分だね」


「なぜに普通に日常的な対応を!?」


困惑するリオネルに、フィオナとナヴィが近付き、


「この2人は今までずいぶん、降臨を見てますから」


「もうすっかり慣れたものでしゅ」


「慣れる物なのですか!?」


と、テンションの違い、温度差が異なる空気の中、

改めて話し合いが行われる事になった。




「―――さて、リオネルさん、でしたね?

 『女神の導き』のリーダーであるガルバンさんから

 こちらの事を聞いて来た、との事でしたが……」


「は、はい。

 行方不明になった同胞たちを捜索しているうちに、

 その組織の名前を耳にしまして……


 そこでナヴィ様なる獣人族が女神様の従者を

 していると―――

 その事の確認と、ガルパン殿から頼ってみては、

 と提案されたのを受け……

 ワラにもすがる思いで、ここに参上した次第」


姉弟はそれを聞いて顔を見合わせ、


「悪い人じゃなさそうですけど……」


「てか、そもそもナヴィ様は女神様の使いであって

 獣人族じゃないと思うぜ?

 そのツテで来られても何つーか……

 いや、同情はするけどよ」


気まずい表情になるリオネルをかばうように、

ナヴィが口を開き、


「んー……

 しょういえば、仲間が行方不明と聞きましゅたが、

 しょれを探して欲しいという事で合ってましゅか?」


「は、はい!

 女神様にお仕えしている同じ獣人族であれば、

 何か知っているのは無いかと。


 ですが言われてみれば、ナヴィ様は御使みつかいで

 あっても、地上の存在であるはずもなく―――

 浅はかな考えでございました」


テーブルの上に額をこすりつけるように、彼は

頭を下げ続け、それに対し女神は、


「ま、まあ悪くない手だと思いますよ?

 アタシはアタシを信じる人を見捨てたりしません。

 誰であっても、です!」


「『よく見りゃカッコイイやんけこの人!

 ケモ耳美少年ゲットですわ』でしゅね」


女神は立ち上がって隣りのナヴィの両肩をつかみ、


「誰が訳せって言いました?」


「誰が訳って言いましゅた?」


その光景を3人はどんな顔をしたらいいかわからず、

ただ見つめていたが、耐えかねた女性が片手を上げる。


「あ~、ちょっと情報屋として言わせてもらうけど、

 そのテの情報が入ってきてないかどうか、取り敢えず

 バクシアに問い合わせてみたら?」


「そ、そうですよっ。

 もしかしたらローンさんが、何か知っているかも

 しれませんし」


ファジーもそれを後押しするように声を上げ、

その提案を受けてバクシアと神託が繋がれた。




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「……フム、なるほど。

 お話は伺いました。


 リオネル殿、と申しましたか―――

 残念ですが『獣人族行方不明』に関して、

 わしのところへ情報は来ておりません。


 そもそも獣人自体が、連合国に取っては

 珍しい存在なので……」


(そ、そうですか……)


神託の向こうで肩を落とすリオネルへ、ローンは

続けて、


「ですが、こちらの手の者に調べさせましょう。

 今のところ、『枠外の者』や『新貴族』も

 動きは大人しいですし」




│ ■アルプの家          │




「あ、ありがとうございます!!」


声を聞いた彼は、目前のフィオナとナヴィに

頭を深々と下げる。


「いえいえ、別にアタシの力では……ん?


 え? こちらに戻って来て欲しい?

 そうですね、祝い事の途中でしたし―――」


そして女神とお目付け役の視線は獣人の少年に向かい、


「しょういえばリオネルしゃんは、フラールで

 滞在しゅるアテはあるんでしゅか?」


「い、いえ。

 ただひたすら、こちらを目指しておりましたゆえ」


そこへファジーが彼に提案する。


「あ、あのっ。

 だったらここで泊まったらどうでしょうか?」


「そーだな。

 今のところ収穫するモンは一通り終わってるから、

 部屋は余ってるし。

 調べてくれるってんだから、それがわかるまで

 ここにいた方がいいだろ。


 アルプさん、いいかい?」


姉弟はフィオナに振り返り、


「……あ、はい。大丈夫だと言ってます。

 それではアタシたちはいったん戻りますね」


そしてまた、2人はまばゆい光に包まれ―――

現れた時とは逆に、その姿を消した。




│ ■ボガッド家屋敷      │




「ただ今戻りましゅた」


「ました」


再びバクシアへ戻ったフィオナ・ナヴィは―――

応接室で待機していたメンバーと合流した。


「お疲れ様でした、フィオナ様」


「しかし本当にすごい力ですね……

 どこへでも一瞬で転移出来るなんて」


バートレットとマルゴットがまず出迎え、

その苦労をねぎらう。


「でもさすがに1日で3回の降臨は……

 ああ、ちょっと足がふらついて」


そのままおぼつかない足取りで、しかし一直線に

フィオナはアルプの方へと向かい、


「あっ!

 だ、大丈夫ですか、フィオナ様!?」


「大丈夫デスカー? ふぃおなサマ?」


彼女を受け止めた先は、第一眷属の少年、

そして第三眷属の少女の妹の2名で―――


「ご、ごめんなさいアルプ」


「いっいえ、これしき当然の事……!」


少年にお礼を言う一方で、フィオナはもう片方の

少女の方へ振り向き、


「そしてせっかくアルプ一人で受け止めてくれそうな

 ところをありがとうございますねえメイさん!!」


「お褒めに預かり光栄ですわフィオナ様!!

 もうお休みになられたらどうでしょうかねえ!?」


と、プロレスの力比べのように両手を組んで、

それを遠目でシモンとポーラは呆れながら見つめ、


「何してんだ、アイツラ」


「はぁ……

 メイ、わたしたちもそろそろ帰りますよ?」


と帰宅を促し、屋敷の主人は、


「ビューワー伯爵とグラノーラさんは泊まって

 いってくださらんか。

 部屋は用意してあるし、今後の事でちょっと

 話し合いたい事がありまして」


「それでは遠慮なく―――」


「お言葉に甘えさせて頂きます」


2人が会釈し、そこへナヴィが両手を組み合う

フィオナとメイへ近付きながら、ソニアの方へ

向いて、


「では、ソニアしゃんはアルプしゃんとお風呂にでも。

 私はアレ引っぺがしてきましゅので」


「そうですね」


「は、はい。ではそのように」


こうしてバクシアでの歓待は、ひとまず幕を閉じた。




その夜―――


フィオナやナヴィ、アルプやその母ソニア、義祖母の

クレアも寝静まった後、応接室に屋敷の主と伯爵、

商人の娘が集まった。


「―――お話というのは、昼間の?」


まず、バートレットが話を切り出し、


「そうです。


 獣人族の行方不明を調べると言いました。

 幸いにも、今、『枠外の者』や『新貴族』も

 大人しいですからな。


 ……不気味なほどに」


ローンが答えると、すかさずまた伯爵が答える。


「フィオナ様に計画や計略を潰され続けたので、

 その立て直し、もしくは様子見に入ったのでは?」


すると、商人の娘が即座に否定する。


「あり得ませんわ。


 あの連中が、大人しくなるはずなんて無い。

 計画が潰されたのなら、その補填、損害を

 取り戻そうと躍起やっきになるはず」


老人がその言葉に同意するようにゆっくりと

うなづき、


「昼間の話と関係があるかどうかは

 わかりませんが、連中が標的を変えた、

 というのは十分に考えられます。


 定期連絡でトニックとソルトが戻り次第―――

 調査させましょう」




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5042名―――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ