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01・何のトラブルも無く降臨出来た

( ・ω・)6章スタート!

ていうか来月で二周年を迎えるのね。

よくもまあ(呆れ



バクシア国・ボガッド家屋敷―――


そこで女神・フィオナとお目付け役(人間Ver)の

ナヴィは、歓待を受けていた。


メンバーは、第一眷属のアルプとその母親、ソニア。

義理の祖父母であるローンとクレア。

第三眷属であるポーラ、その隣りにシモン。

そしてポーラの妹メイ。


また、フラール国からマルゴット、バートレットも

呼ばれていた。


「お疲れ様でした、フィオナ様。

 また『枠外の者』に狙われた国をお救い

 なさったようで……


 息子、アルプからも女神様のご活躍は

 聞いております」


ソニアから祝福の言葉と共に、グラスに

飲み物を注がれ―――

フィオナも上機嫌で言葉を返す。


「いえいえ、これもアルプがいたからこそ

 出来た事……


 ご存じの通り、アタシは人間の世界では

 制限があって動けない事の方が多いのです。

 彼がいなければどうなっていたかわかりません。


 今回の一番の立役者は間違いなく貴方ですよ、

 アルプ」


「フィオナ様ぁ……」


女神の褒め言葉に、うるんだ瞳で彼は答える。


「しかし、当初に比べれば協力者や信者も

 ずいぶんと増えました。

 これも女神様のお力あっての事かと」


「フラールも、バクシアの王族と縁続きになれば、

 もはや弱小国とは呼ばれません。


 全ては良い方向へ向かっていると思われます」


バートレットとマルゴットが語り、そこへシモンが

加わる。


「でもよ、水を差すようで悪いんだが―――

 信者数、千人ほどしか増えなかったってマジか?

 あれだけ活躍したんだから、もうちょっと増えても

 良さそうなモンだけど」


そこで屋敷の主が、その疑問に答える。


「トニック、ソルトの2人が詳細を調べてくれたの

 ですが……

 やはりフィオナ様が『果樹の豊穣をつかさどる女神』と

 きちんと認識されていないのが問題かと。


 『女神の導き』も、そこはきちんと周知を徹底

 させるとの事ですが―――

 まだ少々、浸透するのに時間がかかりそうですな」


少し落ち着いた雰囲気になり、それをアルプが

反発するように変える。


「で、でもっ!

 フィオナ様が眷属と一緒にいれば、眷属のいない

 国へ行けるようになっていたからこそ、今回の

 件は解決出来たんです!


 フィオナ様のご加護は確実に広まっています!」


第一眷属の応援とも擁護とも取れる言葉に、

彼女はますます鼻が高くなり―――


「確かに、出来る事は多くなってきたと思います。

 降臨さえ出来なかった事を振り返ると、感慨深い

 ものがありますねえ」


「そうでしゅね。

 6章にしてやっと何のトラブルも無く

 降臨出来たかと思うと……」


「ふっふっふ……

 もう何度降臨したと思っているんですか?

 いつまでも昔のアタシと思ってもらっては

 困ります」


「ええ、普通の事がやっと出来るように

 なるまで、こうまでかかるとは思って

 なかったでしゅよ。


 ええ、まったく、本当に」


いつもやり取りを、周囲はハラハラしながら

見つめ―――

耐えかねたポーラが口を挟む。


「そ、そういえば……

 ファジーさんは来れなくて残念でしたね」


するとアルプが申し訳なさそうに、


「さすがに、僕もお母さんも果樹園に不在と

 なりますと―――

 留守を任せられる人は限られていまして」


この場にいない第二眷属の少年とその姉は、

アルプの果樹園に『待機』となっていた。


「バーレンシア侯爵様もお呼びしたのですが……

 さすがに時の人、多忙を極めておられるようです」


「今や、この国の商人がこぞってお目通しを願って

 殺到しているとか……

 本当に節操が無いといいますか」


ローンの言葉に、妻であるソニアも加わり、

商家としての意見が述べられる。


「そーいえば、シッカ伯爵令嬢様だっけ?

 あの人も付きっ切りで侯爵様をサポート

 してるんだろ?」


「大恩ある人ですしねー。

 それに、代官やっててその上でいろいろと

 引っ張りだこですから」


シモンとメイが侯爵の身を案じ―――

そこへナヴィが口を開く。


「しょういえば、今フラールはバクシアの管理下に

 あるわけでしゅが……

 いつまでしょの状態なんでしゅか?」


その問いに、屋敷の主人がグラスに一口付けて、


「名目上は、フラール現国王・リーディル様が

 後継者として適齢になったら、という事でしたが……


 恐らく、フラウア様との婚約が発表された後、

 正式に管理下から外れるのではないか、と

 見ております」


すると女神は第一眷属の少年の方を向いて、


「結婚かあ―――


 いえね、実はアタシのお父様も元人間でして。

 お母様が眷属にした人だったんですよ」


「えっ!?

 そ、そうだったんですか。

 フィオナ様のお父様が……」


驚くアルプの近くにいつの間にかメイが

位置取り、フィオナとの間に入るようにして、


「へーそうだったんですかーそりゃ初耳ですねー。


 それで?

 女神様の母上は、何人眷属にしたんですかー?」


「えーそうですねーパパが最初にして最後の

 眷属と言ってましたねー。


 でもですねーそーゆーの古いと思いません?

 男でも女でも器が大きければですねえ」


アルプを巡って目に見えない火花を散らす

神と人間の少女2名に、さらに商人が加わり、


「ま、まあその……

 フィオナ様ほどの包容力、寛容性があれば

 何人でも受け入れられるとは思いますが―――


 相手がどう思うかはまた別の話かと……」


それを見て第一眷属の少年はオロオロと困惑の

表情を浮かべ―――

それをはた目で見ている貴族の男性は苦笑しながら、


「神と人との争い―――でしょうか」


「しょんな大層なものじゃないと思いましゅ」


お目付け役がツッコミに回り、老夫婦は『おやおや』

『あらあら』と微笑み、そして第三の眷属は余裕の

笑みを浮かべていた。


「神も人もコエーなー、女の争いは……

 俺はモテなくて良かったぜ」


自分は安全圏にいるとでも言うように、シモンは

自虐的に安堵するが、


「そ、そんな事はありませんよ!

 シモン君はモテないわけじゃ」


「な、何だ?


 ていうかポーラは、あっちに参加しなくても

 いいのか?

 メイと一緒にアルプを狙ってたんだろ?」


「い、いえ。わたしはその……」


「??」


赤面してうつむくポーラに、シモンはその理由を

察せず―――

室内に微妙な空気が形成される中、場の流れを

変えようと、ナヴィがフラールへ神託を繋げた。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │




「あっ、ナヴィ様ですか!?」


アルプの実家で留守番をしていた第二眷属の少年に

話しかけると―――

想定外の焦った声が聞こえて来た。


(どうしましゅた?

 何かあったんでしゅか?)


「ナヴィ様から神託が来ているのかい!?

 ちょうど良かった!

 今、客人が来ていて―――」




│ ■バクシア国・首都ブラン  │

│ ■ボガッド家屋敷      │




「……フィオナ様、ちょっといいでしゅか?

 今、アルプ君の果樹園に、お客さんが来ている

 ようなのでしゅが」


彼の問いかけに、それまでのグダグダしていた雰囲気が

一変し、


「お、お客さんですか?

 誰に? アタシに? それともアルプに?」


女神が対応すると、それに対してナヴィは首を横に振って、


「いえ、しょれがどうも―――

 私に??」


本人も意味がわからない、という表情で答えを返し、

室内の全員の視線がナヴィに集中した。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │




「あー……

 えっと、取り敢えず女神様がお話して

 くださるようですけど……」


「お願いします」


ファジーが神託越しに『彼』に伝えると、その人物は

礼儀正しくペコリと頭を下げる。


『彼』―――

男性ではあろうが、その外見は……

年齢は【人間であれば』10代前半くらいだろうか。

顔はともかくとして、耳は頭の頂点にあり、

口元からは肉食獣のような牙がのぞく。


(あの、女神・フィオナです。

 ナヴィに用があるというのは貴方でしょうか?)


「はい。失礼ですが、『女神の導き』の―――

 ガルバン殿からここの事を聞いて、ぶしつけながら

 参上いたしました。


 わたしめの名はリオネルと申します」


そこで話し先は、指名のあったナヴィへと

引き継がれる。




│ ■ボガッド家屋敷      │




「ふみゅ、獣人しゃんのようでしゅが……

 そのリオネルしゃんが、どうして私に?」


まずは当面の要件とその目的を聞くため、

全員を代表して質問する。




│ ■フラール国・アルプの果樹園  │




「今、各地で様々な奇跡を起こし、虐げられている

 人々を救っている女神の一団―――

 その中に、獣人の者がいると聞きました。

 それも、女神様の従者として……


 ナヴィ様はその、本当に我々と同じ

 獣人なのでしょうか……?」


その問いに、現場のミモザは首をひねり、


「元猫っていうのは聞いた事があるけど、

 アタイは人間の姿のナヴィ様しか見た事ねーな」


「でも、ボクが助けて頂いた時(2章13話)は、

 シッポも爪もありましたし、お顔にもうっすらと

 体毛らしきものが……

 ちょうど、リオネルさんのように」


弟の方は『獣人化』した時のナヴィを見ているので、

そう説明するとリオネルは目を輝かせ、そして

ひざまづく。


「お、おお、やはり……

 貴方が天から遣わされた者、なのですね!?」




│ ■ボガッド家屋敷      │




「あー……しゅみましぇんが、感動するなら

 後にしゅて頂いて―――


 それでリオネルしゃんは、私に何かして

 欲しくて来たのではないんでしゅか?」


ひとまず話を進めようと、彼は質問を繰り返す。


(た、大変失礼いたしました!!


 わたしめが来た理由は、どうかお力添えをお願い

 いたしたく―――


 同胞が、相次いで行方不明に……

 その件についてです―――)


「行方不明、ですか?」


その申し出に、室内のお祝いムードはいったん

止まり、全員が顔を見合わせ、


「んー……ファジーもあちらにいますし、

 いったんフラールで直接事情を聞いた方が

 良くない? ナヴィ」


「しょうでしゅねえ。

 お祝いの席のところ、悪いんでしゅが―――

 ひとまず、行ってみましゅか」


こうして急遽きゅうきょ―――

フラールにて、予想外の客と会合が持たれる

運びとなった。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在5031名―――



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