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40・もらってくだ……さい!

( ・ω・)5章は今回で終了。

6章に続きますよ! 6章に続きますよ!

大事な事だから2回(ry



日本・とある都心のマンションの一室―――


玄関からカギを開ける音が聞こえると同時に、

家主の少女が転がり込むように帰宅する。


「うあっちゃっちゃっちゃあぁああ!!


 何よこの猛暑!!

 スタミナ一気に削れるっちゅーの!!


 もう暑さのピークは過ぎたってアタシと

 約束したでしょー!?」


「誰とだよ」


迎えに来たお目付け役(猫Ver)は、

わめきまくる女神に即座にツッコミを入れる。


「はー……もうダメ。

 もう今日は絶対動けないわ。


 確か16時から新イベントがスタートするから、

 それまで休んで体力を回復しないと……」


「元気じゃねぇか」


いつもと同じようなやり取りをする1人と1匹に、

さらにその室内へ声が響く。




『あ、フィオナちゃん?

 そろそろマービィ国の件、片付きそうなんでしょ?

 ちゃんと役所からの書類とか確認してるー?』


「あ、ママ」


「アルフリーダ様?

 書類や手紙が送られてきた場合は、私が

 一応確認してはおりますが……」


業務報告のように返すナヴィをさえぎって、

フィオナは母親にある事を聞く。


「そーいえばママ、前から気になっていたん

 ですけど……

 功績によって特典が付くのはわかるんですが、

 その、他に何かボーナスとか付かないんですか?


 主にお金とか、それとお金とか、あとお金とか」


「清々しいまでに欲望に忠実ですね」


娘の、ある意味正直な質問に対し母親は、


『あるわよ?

 自分の信仰地域だけじゃなく、あなた結構

 いろいろな国を救っているし……


 えーと、この世界の日本の通貨に換算して……

 確か500万円くらいになっているんじゃ

 ないかしら?』


それを聞いて飛び上がらんばかりに喜ぶフィオナ。


「うっはあぁあ何ソレ!?

 ガチャ何回まわせるの!?

 やっべーアタシもこれで廃課金者の仲間入り?」


何でそんな火に油を注ぐような事を……

とナヴィは不審に思うが、その主人からすぐに

次の言葉が返ってきて、


『あ、でもねー。

 ぱんつぁーふぁうすと君とか、今回のパック君とか、

 明らかに『その世界にいてはいけないもの』って、

 罰則食らうのよ。

 その辺はパパが上手く処理してくれているけど……


 その後始末で多分、1千万円くらいはウチからの

 持ち出しになっていると思うわ』


「申し訳ありませんでした。

 大変申し訳ございませんでした」


声に向かって土下座をするフィオナを見て、

ナヴィは呆れつつ―――


「ま、そんな事だろうと。


 それではそろそろ、本編スタートしましょう」




│ ■フラール国・バクシア国代官館(改)  │




バクシアが隣国を管理下に置くために、代官を

送り込んだ施設―――

その館の主が、テーブルの上に突っ伏していた。


「や、やり遂げた、ぞ……アハハハハ……

 ていうかサプライズ多過ぎ……もうお腹いっぱい……


 もう一生、何も起きなくていいや……」


そんな彼を見て、まず伯爵令嬢が彼を慰める。


「お、お疲れ様でした、バーレンシア侯爵様。


 わたくしも、晴れの舞台であのような事が

 起きるとは……

 いえ、めでたい事でしたからいいのですが」


マービィ国での一件が解決し、予定されていた

ミイト国で、シッカ子爵の陞爵しょうしゃくの儀が終わり―――

当事者はここに集まっていたのだが……


「あの、そんなにスゴい事があったのですか?

 確か、フラールの現国王リーディル様と、

 バクシア陛下の姪・フラウア様も同席したとは

 聞き及んでますけど」


ファジーが、確認するように聞き返す。

すると地元の伯爵が―――


「私も、護衛として同席したのですが……


 シッカ殿の陞爵の儀が終わった後、その後の

 ミイト国王とディーア公爵様を交えて、

 リーディル様とフラウア様の婚約が内密に

 伝えられまして―――」


続けてマルゴットも、


「さすがに私は同席まではしておりませんが

 その、聞くところによりますと―――


 その結婚に関する業者の選定や仕切りを、

 バーレンシア侯爵様に一任すると……

 つまり式典の一切の差配と利権を彼に

 任せるとの事で……」


あー……という声がミモザから漏れ、

フォローするように女神が続くも、


「で、でも、その~、め、名誉な事?

 何ですよね?」


「名誉いらない……安らぎが欲しい……」


と、力無い返事を聞かされ、空気を変えようと

ナヴィが別の話題を振る。


「しょういえば、アルプ君とメイさんの姿が

 見えましぇんが。

 果樹園にいるんでしゅか?」


「あー、アルプさんならシモンって人の店が

 忙しくなったとかで、手伝いに行ってる。


 自動的にメイも付いてったよ」


ミモザが答え、申し訳なさそうに弟も答える。


「あの、それで……

 せっかく女神様が来てくださったのに、

 ろくにおもてなしも出来なくて……

 申し訳ありません」


頭を下げるファジーとその他に、ナヴィは

女神をヘッドロックのようにつかんで頭を

下げさせると、


「あー全然気にする事はないでしゅよ。

 予定も聞かずに勝手に『突然行って

 驚かせましょう!』とか考え無しに

 行動したこの女神バカが悪いんでしゅ」


「女神をバカって読ませないで!

 せめてダ女神で止まってお願いだから!!」


周囲はどう答えたらいいかわからず戸惑うが、

空気を読んでナヴィが続ける。


「まあ改めて後日伺いましゅが―――

 しかし、シモン君の店が忙しいというのは……

 やっぱりクルーク豆の関係でしゅか?」


その話題にマルゴットも加わる。


「はい。まだまだ値上がっているんですよ。

 さすがに一時期ほどではないですが。


 特に序列上位三ヵ国からも……

 そこはトーリ財閥のお2人に任せていますけどね」


「『女神の導き』のレンティル殿からの報告では、

 今回を機に、国を挙げてブランド化するとの事。

 来年から忙しくなるでしょう」


続けて、レイシェンも状況を補足する。


あの後、マービィ国は―――

『連合共同金融安定局』への要請を正式に取り消した。


またグレイン国との関係は消滅したわけでは無いが、

クルーク豆の要請をうまく扱い、今後、バクシアや

ミイト、シフドといった他の序列上位国とも関係を

築いていく方針となり……


つまり、マービィ国においてグレイン国一強の

影響力は無くなったのである。


「いずれにしろ、あの国が希望を持てるように

 なったのは―――

 バーレンシア侯爵様の手腕、そしてフィオナ様の

 加護のおかげかと……」


レイシェンの言葉は、室内にいる関わった人間全員、

そして主に館の主に向けられていた。


「でも、これで―――

 少しは『枠外の者』、『新貴族』も、大人しく

 なるでしょうか」


不安半分、といった表情でファジーは疑問を呈する。

それに対しバートレットは、


「こう言っては何ですが―――

 バーレンシア侯爵殿が矢面に立つ限り、そうそう

 バカな真似はしてこないかと。


 我が国やフラールは言うに及ばず、この度

 ミイト国の王にも知己を得ておりますので、

 表立って何か仕掛けてくる事は」


すると、侯爵はゆっくりと上半身を起こして、


「まあ、確かにね。

 結果的にとはいえ、かなり上の人脈が出来た

 わけだから―――


 当面はあのお2人の結婚式に専念、かな」


ようやく復活した彼をねぎらうようにして、

あたふたとお茶や果物が差し出され、全員で

一息つく。


「(……ディーア公爵様から、もしバーレンシア侯爵と

 縁組をするのなら、公爵家の養女になればいい、と

 お話を頂いているのですが―――

 それを話したら失神しそうですね……)」


レイシェンの想いをよそに、軽く飲食しながら

落ち着いたところで―――

フラールの伯爵・商人が仕事モードになりつつも、

楽観的に今後の展開を語る。


「そういえば侯爵殿。

 結婚式に専念、と言いましても―――

 おそらく数年は動きが無いかと」


「そうですね。

 せいぜい、結納に必要な品を用意する、

 くらいでしょうか」


それに対しバーレンシア侯爵はコト、と

テーブルの上にカップを置いて、


「そうだね。

 お2人に希望の品があるかも聞いてみないと……


 そういえばシッカ伯爵令嬢」


「ぶうぅえっ!?

 ぶうぅえええぇえええっ!?」


いきなり話を振られた彼女は戸惑い、その慌てように

室内の全員が引く。


「あ、は、ははい何でしょうか」


「い、いやその……

 君の陞爵祝いをまだ用意してないと思って。

 ホラ、マービィ国の一件でゴタゴタしてたから。


 今回の件でもお世話になったし、希望があれば

 何でもいいよ?」


彼の言葉に彼女の思考は人生最大の回転を見せる。


「(今何でもって言った何でもって言った?

 貴族たるもの男子たるもの二言は無いわよね?

 何でもってアレよね物質とは限定してないんだから

 本当に何でもいいのよねだから今ここで結婚を切り

 出しても何の問題も無いという事で―――)」


「あの、レイシェンさん、大丈夫ですか?」


顔を真っ赤にして鼻息が荒くなる彼女に、

ファジーが心配して声をかける。


女性以外が緊張して注目する中、レイシェンは

小刻みに震えながらも口をゆっくりと開き、


「わ、わ、わた、わたくし―――」


「うん?」


バーレンシア侯爵が聞き返すと、彼女の体の震えは

さらに増し、


「も、もら、もらって、もらってくだ……さい!」


「えっと、何を?

 いや、あげるのはこっちの方なんだけど?」


彼の質問に、力尽きたかのように彼女はガックリと

肩を落とし、


「あ、い、いえ、その……」


「??」


そこでレイシェンはいったん、すー、と大きく

息を吸うと、


「ご、後日……

 考えてからまた、でよろしいでしょうか?」


「ああ、そうだね。

 いきなり何が欲しいって言われても困るか。

 うん、じゃあそれで」


そのやり取りを見て、男性陣は首を傾げ―――

女性陣は苦笑しながらフッ、と軽くため息をついた。




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在4028名―――






―――6章へ続く―――




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