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22・ホラらぶ&ぴーす♪

( ・ω・)ランキングのポイントがリセットされた

時だけ急浮上する小説(瞬間最大風速)



どこともわからない真っ白な空間の中―――

一人の少女が2人の同性を前に困惑していた。


│ ルコルア国:果樹園手伝い  │

│ Mさん(目線隠し)     │


「ここはどこなんだい?

 てゆーかお2人さん、今は別の国に行ってるんじゃ」


│ 天界:果樹と豊穣の女神  │

│ Fさん(目線隠し)    │


「ここは地球あちらで古来より伝わる表現方法を

 使っている空間です。

 プライバシー保護のため目線を入れており、

 また場所や時系列は無視出来る都合のいい設定に

 なっております。


 そもそもあの作者ブタは本編でもいろいろやらかして

 おりますので、整合性は気にしないでいいです」


│ ミイト国:商人・財閥のお嬢様 │

│ Sさん(目線隠し)      │


「そんな事より、貴女には聞きたい事があるのです」


「聞きたい事?」


お嬢様の問いに、不審に思いながら元情報屋の

少女は聞き返す。


「貴女の義弟おとうとさん―――

 ファ……F君の事なんですけど」


「基本的にMさんにべったりのようですが、

 どのようにそこまで調きょ―――教育したのか

 アタシどもはひっじょーに興味がありまして」


女神と財閥令嬢2人に迫られ、彼女は戸惑うも、


「いや……

 そりゃ何たって生まれた時から知っているし、

 ヤバい状況を一緒に生き抜いてきた仲でも

 あるから……」


Mの答えに、2人は首を傾げ―――


「あれーおっかしいなー。

 一緒に危機を乗り越えた経験なら、つい最近

 あったような気がするんですけど」


「奇遇ですねー。

 アタシもここ1、2年の間に、それなりに

 一緒に窮地きゅうちを脱してきた仲だと思うんですけどー」


納得出来ない、という体の2人に彼女は困り、


「そーは言われてもねえ……

 そもそも、お2人の『そういう人』とは、

 どれくらいの付き合いなんだい?」


まずはその質問に、財閥令嬢が答える。


「ネーブ……Nなら確か、彼が5才くらいの頃に

 家に来たから、もう8年くらいの付き合いに

 なるかしら?」


それに女神が続き―――


「う、結構長いですねえ。

 アタシのナヴ……Nはやっぱりここ1、2年

 くらいですかね」


そこで第一眷属の姉は考え込み、


「まあ、付き合いの長さも重要だけどさ。

 『いて当然』とか『当たり前』って思わない事も

 重要なんじゃねーかな?


 アタイはFの事は信じてるけど、それでも嫉妬とか

 したりするし……」


その言葉に、令嬢と女神は顔を見合わせて、


「う~ん……でも私の場合はどちらかと言うと、

 嫉妬される方、かな?」


「攻略対象というか相手も複数いる状態なんで……

 でも確かにそれで、嫉妬とかされた事は無いかも」


2人の同性の返答に、彼女は大きくため息をつき―――


「そりゃ複数相手なんてどれも本命と見られてないよ。

 あたいもFが好きな人が3人いるなんて言ったら、

 本気にしねーもん。


 ただ、いくら相手を全面的に信じているとしても、

 『あなたが浮気するなんて思ってないわ♪』

 って態度でいるとやべーぞ。


 時には嫉妬したりされたりする仲じゃねーとさ……」


それを聞いて2人の女性は、どこから取り出したのか

イスに座りテーブルに向かって、親のかたきのように

ガリガリとメモに鬼気迫る表情で書き込んでいた。


そしてそれが一段落すると、直立不動で立ち上がり、


「貴重なご意見ありがとうございました、

 教官!」


「肝に銘じておきます、教官!」


軍隊のような片手最敬礼を取る2人を見て、彼女は、


「ええと、まあ、はい。


 それじゃそろそろ、本編スタートすっかね」




│ ■マービィ国・温泉街    │

│ ■フィオナ一行宿泊部屋   │




ナヴィが暫定の担保としてシンデリンの元へ行くと

決まり、それから3日が経過した。


定期神託でそれらの情報はフラールとバクシアで

共有され―――

また、昨夜の神託ではソルトとトニック両名が、

アルプの家を経由してマービィ国へ向かっているとの

連絡があった。


そして現在、その2名はフィオナ一行と合流したの

だが……


「すみませんコレ何スか!?」


「俺たちマービィ国へ到着したばかりなんで!

 初めてなんスよ妖怪見るの!!」


彼らの目の前には―――

葉を放射状に鳥のクチバシのようにさせた、異形の

植物タイプのモンスターが、威嚇するようにその口を

大きく開けていた。


「どういう事かご説明願えましゅか?

 フィオナ様」


「いやーあのクルーク豆? ですか?

 アレを何とか果実のように出来ないかなーって

 思ったんですけどね」


女神はお目付け役に詰問され、それをアルプと

レイシェン・レンティルは遠巻きに心配そうに

見つめる。


地球あちらでも失敗しているのに(5章12話参照)、

 何でわざわざこちらでも繰り返しやがるん

 でしゅかね……」


ナヴィは呆れたようにため息をつき、その反応に

フィオナはその異形の植物の首根っこをつかんで

彼の目の前に差し出す。


「だだだ大丈夫ですよ!

 地球で作ったコとは違って大人しいしホラ

 らぶ&ぴーす♪」


「オ前ノ血ヲ寄越セエェエエッ!!」


その異形の物はナヴィに向かい叫び―――

室内にいる5人の人間はそれを聞いて硬直する。


「わーしゃべれるようになったんでしゅね」


半ば投げやりなお目付け役の感想に、女神は

がっくりとうなだれる。


「はあ……でもどうしようかしらコレ。

 地球では豆が苦手だったはずだけど……」


そう言いながら異形の植物を足元に置き、原料であった

クルーク豆を近付けると、ツルから生えた葉を手のように

して顔部分を覆い、ガクガクと震え始めた。


「ヤ、ヤメロ……ソレヲ近付ケルナ……!」


それを見て2人は顔を見合わせ―――


「弱点はどうも同じみたいでしゅねえ」


「元々は同じ豆なのに、何がイヤなのかしら?

 食べたらお腹壊すとか?

 とにかく、逃げ出す前にどうにかしないと……」


と、そこへ一人の少年が割って入り、異形の植物を

かばうようにフィオナとナヴィに対峙した。


「? どうしたの、アルプ」


「あ、あのっ、差し出がましいようですが……

 この植物もフィオナ様が作られた物なんですよね?

 その、処分とかそういうのはしなくていいかと」


その光景を見て、レイシェンとレンティルは困惑し、


「あの、アルプ殿……

 確かにフィオナ様が作られた物ではありますが、

 それはちょっと」


「元々、クルーク豆だという事を考えますと、

 私も複雑なのですが―――


 それに、女神様一行が魔物と一緒にいると

 風聞ふうぶんが立ちましたら……」


正論と常識論でアルプを諭そうとするが、

それでも彼は引かず、


「こ、言葉は通じるんですよね?

 それなら大人しくしてもらう事も

 出来るのではないかと思います。


 そうですよね、えーと……

 クルーク豆(元)さん?」


少年は異形の植物へ振り返って視線を落とし、

その反応を待つ。


「…………


 神トヤラノ意思デ望マヌ姿ニサレタコノ体……

 ソレヲ見テナオ、我ヲカバウ、カ……


 是非モ無シ……

 大人シク従ウ事ニシヨウ。


 タダシ、ガ主トアオグハソノ少年ダ。

 彼ノ命ナラバ従ウ。

 ソレガ認メラレヌナラバ同意ハセヌ」


その答えに、女神とお目付け役は視線を同時に

異形の植物へ向け、


「ウソ……この植物(性格が)イケメン過ぎ?」


「しょしてあふれる男気と忠誠心」


と、それぞれ感想を口にすると―――


「じゃ、じゃあアルプに一任するという事で」


「は、はい!

 お任せください、フィオナ様っ」


それを見たトニックとソルトは第一眷属に近付き、


「い、いや……大丈夫かい? アルプさん」


「こう言っちゃなんだが、何でよりによって

 こんなのを……」


当然の疑問を口々に話す情報屋2名に、彼は、


「やっぱり、小さい頃から果樹園をやってきた

 からでしょうか。

 せっかく出来た農作物を、無下むげに扱う事は

 出来ません。


 それに、フィオナ様の力によって作られた

 物です。

 悪しき存在であるはずがありません!」


自信満々に応えるアルプを見て、ナヴィは、


「(……さっき、血をよこせとか言ってたような

 気がしましゅが……

 まあフィオナ様が作ったんでしゅし、しょれほど

 実害はないでしゅか)」


こうして―――

元クルーク豆の異形の物は、アルプに任される

事となった。




│ ■マービィ国・ファーバ邸      │




「…………」


同じ頃、『枠外の者』『新貴族』の拠点となった

屋敷で―――

ラムキュールが眉間にシワをよせながら、一通の

書類に目を通していた。


「どーしましたかぁ、ラムキュールさん?」


屋敷の主がいつものペースで、からかうように

軽く声をかける。


「この話は本当なのか?」


突き返すように手に持った紙を向けると、

ファーバはおどけるように両手を広げ、


「トーリ家が空売りの準備を始めたって話でしょ?

 それが何か?」


「……今回、シンデリン・トーリは関わらないと

 言っていたはずだが。


 しかも、例の―――

 クルーク豆の新農法導入と、その収穫高の

 発表を明日に控えて、だ。

 このタイミングは偶然か?」


それを聞いたファーバは、自分で自分のグラスに

飲み物を注ぎ―――


「やっぱり儲かると踏んだんじゃないですか?

 勝ち馬に乗るのは、別に悪い事じゃあないでしょ。


 利益を求めるのは―――

 『枠外の者』の義務ってねぇ」


マイペースを崩さずに答える彼に、


「とにかく、この事はマイヤー伯爵様が戻ってきたら

 共有してくれ」


そう言うとラムキュールは席を立ち、かけておいた

コートに手をかける。


「どちらへ?」


「どういうつもりなのか、問い質してくる。

 ―――直接、な」




カシャ☆


―――女神フィオナ信者数:現在3198名―――



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