06・……お姫様抱っこ……?
現状、3章まで空白スペース削減他いろいろと
リニューアル中。
何か評価が一気に20pt以上増えた。
読みにくかったかーと改めて実感(;・∀・)
日本・とある都心のマンションの一室―――
地球では珍しく人間Verになったナヴィと、
女神・フィオナはコタツで向き合って座っていた。
「しゃて、フィオナ様―――
こりぇから今年最後の反省会を開くわけでしゅが。
申し開きはありましゅか?」
「え? 何でアタシいきなり冒頭から責められてるの?
まず罪状を言って頂けますか?」
焦りを通り越して何が何だかわからず、ポカンとした
表情でお目付け役に聞き返す。
「フラールでの『女神の導き』との会合で、
上手く自己紹介出来なかった件についてでしゅ。
4章27話で私が用意しゅると言った手前、
作成してお渡ししたわけでしゅが―――
それを全て無駄にした罪は重いでしゅよ」
「だだだだって仕方ないじゃないですかー!
降臨の時、ちょっとゴタゴタしちゃったん
ですから……!
アレで全部忘れちゃったんですよ。
第一、ナヴィがママに捕まってさえいなければ」
フィオナの言葉に、ナヴィは目を閉じて考え込む。
「うみゅう……確かにしょれは一理あるでしゅ」
「てゆーか、何でナヴィは捕まってたの?」
女神に質問を返され、お目付け役は正直に説明する。
「確か、聖戦に向けてどうのこうのと……
しょういえばフィオナ様、今年は去年に比べてあまり
クリスマスに向けた動きが無かったようでしゅが。
神殿にも帰らなかったでしゅし、
何かあったんでしゅか?」
「あー……それ、ママにね。
『聖戦の日は帰ってくんなよ』ってキツく
言われてたんで」
「…………」
呆れながらどう返答したらいいものか悩むナヴィに、
さらに追い打ちのようにフィオナが追加する。
「あ、あと『今年最後の日と来年最初の日も
帰ってくんな』って言われているから。
何かね、ナントカ初めっていう日本文化を
取り入れるとか言ってたっけ」
「……まあ、夫婦仲がいいのは良い事でしゅ。
しょれではそろそろ、本編スタートしましゅね」
│ ■マービィ国・温泉街 │
│ ■温泉宿メイスン・大広間 │
―――前回のあらすじ―――
―――ロリ痴女が男湯に現れた―――
休憩・喫茶を兼ねた場所で、お湯から上がった
男性陣・女性陣が顔を見合わせていた。
「ベルティーユ様……
いったい、どうやって男湯に入ってきたんですか?」
その長髪を乾かしながら、彼女はマイペースな口調で
ネーブルの質問に答える。
「……(ネーブル)お兄ちゃんが中にいるって……
そう言ったら……入れてくれた……」
理由を聞かされた従者の少年は、思わずため息をつく。
「確かにベルちゃんは実際の年齢よりさらに幼く
見えるからねー。
しかも結構押しが強い性格だし」
姉が納得とも不本意とも取れない複雑そうな
表情になる。
「男湯で叫び声が聞こえた時は何事かと
思いましたけれど……
まさかこんな伏兵がいたなんて羨ましい」
「おーい、本音がダダ漏れしているでしゅよ」
女神の言葉にお目付け役はツッコミを入れ、
たしなめる。
「あの、トーリ……シンデリンさんは
どうしてここへ?」
アルプがおずおずと質問し、シンデリンはその警戒を
やんわりと否定する。
「そんなに緊張しなくても大丈夫よ。
少なくても私は今回、何があろうと関係無いわ。
『お仕事』に妹やネーブルを連れてくるほど、
ヤボじゃないわよ」
その言葉に、ベルティーユとネーブルはうなづき、
それを見てアルプもホッとした表情を見せる。
「まあでも―――
思わぬ収穫はあったかもね。
ベルちゃん、貴女の見て来た値千金の
トップシークレット―――
お聞かせ願えるかしら?」
「いや、ちょっと待つでしゅ。
何考えているでしゅか?」
シンデリンの行動を止めようとするナヴィに、
主筋の女神が割って入る。
「貴方は黙ってて、ナヴィ。
これはとても重要な事なのよ?」
「……いいの? お兄ちゃん……」
「ダメに決まっているでしょう」
ベルティーユはネーブルに確認を取るも即座に
拒否され―――
そしてアルプはあわあわと顔を真っ赤にさせて
視線を右往左往させていた。
「そうよ。それにこの情報は私の妹が手に入れた
最重要機密―――
どうしてそれを貴女に公開しなければならないの?」
「ナ、ナヴィとアルプはアタシのお目付け役と
眷属なんです!
アタシにも知る権利があります!」
正論のようでいてめちゃくちゃな持論を展開され―――
状況は混乱の一途をたどる。
「そもそもでしゅねえ……
本人たちを目の前にして、どうして許されると
思ったんでしゅか」
「そうですよ。
まだ一応本人の許可を得ようとする
ベルティーユ様の方が筋が通っています」
ネーブルの言葉に、フィオナとシンデリンは同時に
反応し、
「「許可を取ればいいのね!?」」
「「出さないでしゅ(です)よ!!」」
彼女らの問いにまた、同時に応えるお目付け役&従者。
その横で、彼らよりさらに年下の少年少女が残され―――
「……貴方は……?
どうする……?」
「え? ええっ?
ぼ、僕はその……」
その声の方向に4人の男女が振り返り、注目する中、
彼は祈るように両手を合わせて答えを出す。
「フ、フィオナ様の御心のままにっ」
それを聞いたフィオナとシンデリンは―――
全身の力が抜けたかのように、その場にひざをついた
「ふ、ふふふ……見ましたか……
これこそ我が信仰のなせるオイシイ……
もとい御業……!」
「ちょ……っ、は、反則、でしょ……
『人生で言われてみたい言葉ベスト3』に
入るセリフじゃないの、コレ……」
遺言のようにそう言い残すと、2人は四肢を地面に
着けて倒れ―――
それぞれの主人と主筋を見下ろす2人は行動に移る。
「……破壊力が高過ぎて、両者ノックアウトという
ところですかね」
「とにかく倒れたままなのは他の人のジャマに
なりゅので、運びましゅよ」
そうして女神はお目付け役に―――
商人の女性は従者に抱えられて、それぞれの部屋に
帰って行った。
│ ■温泉宿メイスン・大部屋 │
│ ■フィオナ一行宿泊部屋 │
「……お?」
「お目覚めですか? フィオナ様」
自分の部屋で意識を取り戻した女神は、同行してきた
護衛役のレイシェンと目が合った。
「あれ? 他の人たちは」
「ナヴィ様とアルプ君でしたら、入浴時での騒動を
改めて説明を兼ねて謝罪に行くとかで……」
女神は上半身を起こし、ベッドの外に足を下ろす。
「しかしお風呂の中にまで曲者が入り込むとは。
わたくしも油断しておりました」
「そ、そこはあまり気にしなくてもいいですから。
それよりシッカさん、貴女もいろいろと忙しい身
なのに、本当にいいんですか?」
「わたくしを呼ぶ時はレイシェンで構いません、
フィオナ様。
それに、女神様とその一行の護衛―――
しかも侯爵様からの依頼とあらば、これほどの
栄誉ある任務はありません!
領地に戻ったら、さっそく民にフィオナ様の
信仰を広める所存で……!」
心酔しているバーレンシア侯爵からの頼みでもあり、
彼女は一片の疑いも無く女神・フィオナの信奉者へと
変貌を遂げていた。
「いえあの、ほどほどにね?
それに無理強いは絶対ダメですから。
えっと、あと、何か変わった事とかは
ありませんでしたか?」
「あ! そうです。
フィオナ様がお眠りになっておられる間、
他のお2人には話したのですが……
あの『枠外の者』のラムキュールが―――」
│ ■温泉宿メイスン・最上級客室『光の間』 │
│ ■シンデリン一行宿泊部屋 │
「シッカ子爵……伯爵令嬢が?」
「ああ。一応ここにいる君には知らせておこうと
思ってね」
目を覚ましたシンデリンは、部屋を訪ねてきた
ラムキュールから、ある報告を受けていた。
「何で彼女まで来てるのよ、もう……
まーた変な疑いでもかけられたりしたら―――
あれ? そういえばネーブルはどこ?」
「……ネーブルお兄ちゃんなら……
改めて男湯で騒いだ謝罪に行ってる……
ナヴィさん、アルプさんと一緒に……」
ベルティーユが現状を説明し―――
それを聞いて、ラムキュールは不機嫌そうに
ガシガシと頭をかく。
「女神様のご一行とやらが来ているそうだね。
まったく、縁があるものだ。
私はこの件を他の『枠外の者』に報告に行くよ。
君の言う通り、また妙な疑いをかけられては
たまらないし」
面倒くさそうに吐き捨てると、ラムキュールは
部屋を出て行った。
それを見送ると、シンデリンはベッドから身を起こし
腰かけるように履物を探す。
「……あれ? そーいえばベルちゃん、
ちょっと聞きたいんだけど」
「……ん……?」
│ ■フィオナ一行宿泊部屋 │
「そういえばレイシェンさん、誰がアタシを
部屋まで運んでくれたんですか?
宿の人?」
フィオナの質問に、彼女はいったんドアの方へと
目をやってすぐに戻り―――
「いえ、わたくしが部屋で待っていると、アルプ君が
扉を開けて抑えて―――
その後にナヴィ様が……」
│ ■シンデリン一行宿泊部屋 │
「……ネーブルお兄ちゃんが……抱えてきた……
シンデリンお姉さまを……こう……
両手に抱え上げて……
……お姫様抱っこ……?
すごく……うらやましかった……」
―――10分後―――
「ただ今戻りました。
ベルティーユ様の事も言っておきましたよ。
もう男湯へは入れませんから……ん?」
ネーブルが部屋に戻って来て見たものは、
未だにベッドに突っ伏しているシンデリンの姿だった。
「……まだお嬢様は目を覚まさないんですか?」
「……さっきまで……起きてた……
でも……何か叫んで身悶えして……
……それで、また寝た……」
「???」
│ ■フィオナ一行宿泊部屋 │
「ただ今戻りました」
「ン? まだ寝ているんでしゅか?
このダ女神は」
謝罪から戻ってきたアルプとナヴィに、レイシェンは
困惑しながらも説明する。
「い、いえ。先ほどまで起きておられたのですが……
突然枕を抱きしめ転がりまくったと思ったら―――
いきなりまたお眠りに」
2人が女神をのぞき込むと、そこにはだらしなく
口元を歪め、幸せそうな笑顔で寝ている彼女がいた。
そこへ、慌ただしく『女神の導き』のメンバーが
入って来た。
「ご、ご無事ですか!?
他国の『枠外の者』が現れたとの情報が……!」
「落ち着くのだ、レンティル殿。
ラムキュールならわたくしが会った。
フィオナ様とも情報は共有している。
それと―――
同じ宿に、トーリ家の者も泊まっているそうだ」
レイシェンの説明を聞いて、レンティルは胸を
撫で下ろした。
「そ、そうですか。
という事は、まだグレイン国の『新貴族』は
到着していないようですね」
「??」
「グレイン国の―――」
「『新貴族』?」
その言葉に、寝ているフィオナ以外のメンバーが
顔を見合わせた。
カシャ☆
―――女神フィオナ信者数:現在3066名―――