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4話

それにしてもご主人様はなかなか目が覚めない。

もう窓から見える外は真っ暗闇が続いているし、

色々あって俺もかなり疲れて眠くなってきてしまっていた。

「ご主人様~すみません隣失礼しまーす……」

「んぅ……」

ふぅ、貞操の神の神罰ってのが心配だったけどやっぱりか、

貞操の神はエッチを仕掛けようとしなければ発動しない。

寝る前に少しこの世界の事を大まかにまとめてみよう、

1、まず神の力の加護は絶対的で最優先される力だが、発動に条件がしっかりある。

2、魔法はMPを消費すれば発動する文字通りの想像を具現化する、詠唱は想像を補助する為で適当でもいいが、効果のおおきいものはMPを莫大に消費する模様、何回かMP低下中の今試してみたが、一切魔法が発動する気配がなかった。

3、この世界の男女の価値観は逆転している、これに関してはまだはっきりとは分からないが、力などのパワーバランスも女が強くひ弱な男という異世界のようだ。あとは女性の性欲が異常に高い? それと男をほとんど見かけない、ウェートレスが言っていた男だけで貴重というのも引っかかる、何かしらの理由があるはずだ、これはおいおい調べていこう。

4、婚約状態-フレア・スカーレット-、これにははっきし言ってまったく心当たりがない酒場にでる前はこんなステータスはなかったはずだ、となると酒場での出来事に原因があるはずだが…… これまたウェートレスの言っていた男神の敬愛という聞き慣れない言葉が引っかかる、これの前後にはたしか俺がご主人様にキスをしたはずだが、キスを原因とするには事の発端となった、ウェートレスが俺にキスをした時点でウェートレスと俺の婚約状態が付いてないとおかしい…… もしや男からのキスが原因か?

仮に男からのキスが原因だとしても、しかしそういうハプニングというのもあるはずだ、それだけで婚約状態になるであろうか?

そうすると男からのキスは、ある種のプロポーズみたいなものか? 実際あの時ご主人様に対して俺はかなりの好意を抱いていたはずだ、そうなると好意を抱いた状態でのキスがプロポーズとなり、相手にも少なからず好意があれば婚約状態となり加護がつくという事か? この仮定がもし正しいとなると…… 

今後キスはなるべく気をつけなければならないな。手当たり次第に婚約状態となってしまっては人生が軽く詰んでしまう。しかし待てよ?男からのキスで簡単に婚約状態になるっておかしくないか?キスなんてそんな価値のあるもんでもなくないか……? いや違う!俺が異物なんだ、男女の価値観が逆転してるとしたらあながちおかしくもない話だ。ましてやウェートレスからの言動から察するに男が少ないまたはめったに男と出会えないという何かしらの原因があるはすだ。まじで男女の価値観が逆転している異世界というのが信憑性をおびてきたぞ。やばいかなり楽しくなってきた。前世で散々その手の小説は読んできたし何より俺の大好物だ。突然神様にチート能力の選択も無く問答無用で転生させられた時はこれからどうすんだと途方とほうれたが、蓋をあけてみれば、俺の望むままの異世界だったというわけか!これは嬉しい誤算だ。


そろそろ眠気が限界に近いな、まとめるのはここまでにしていい加減寝よう。明日もまた新しい刺激の連続、激動に日々になるだろうからな。


「きろ…… 起きろテツロー!朝だ」

「んっ……」

もう朝か? まだ寝ていたい気もするが、ご主人様に呼ばれてる起きねぇと。

「ふわぁ~ぁ、おはようございますご主人様」

「ようやく起きたか、しかしテツローも意外とお寝坊さんなんだなフフッ」

ご主人様に可愛く笑われてしまった。でも仕方ないんだ元の世界の時から俺はやけに朝が弱いんだ、俺にとっての一番の弱点それはこの世界に来てもあい変わらずといったところか。

「すみませんご主人様、いま朝ご飯の支度を」

「いや大丈夫だ、今日はあたいが作っておいた冷めないうちに早く一緒に食べよう」

やばいご主人様が女神過ぎるっ、見た目は完全に凛々しい美女、戦女神のたぐいだけど、

「はい!ありがとうございます」

部屋の中にある小さめの丸テーブルには既にパンやサラダ、スープなどが並べられている、ご主人様の向かい側のイスに座ると両手を合わせた。

「いだだきますっ」

「なんだいかしこまって、テツローは面白い事をするね」

パンに緑色のジャムみたいなモノを塗りながらご主人様が微笑みながら言ってくる。

しかしそうか、元の世界でもいただきますをするのはたしか日本特有なんだっけか、異世界にそういう習慣がないのも当たり前か。

「実は俺の生まれた国のならわしみたいなものなんですけど、食べ物に感謝を込めるって意味でいただきますって食事の前に手を合わせるんです」

「驚いたやっぱりテツローは異国の出身だったのかい、見慣れない顔つきだとは思っていたが…… でもそうか、とても興味深い習わしだね、あたいもその考えには共感するよ、そうだねぇ」

パンッ 、ご主人様が不慣れな感じで不器用にも両手を合わせる、胸元が押し寄せられるように強調されて少しドギマギする。

「いだだきます、ニシシッ」

歯を見せて純粋な少年のように笑って得意げな顔でこっちを見やるご主人様。

めっちゃ心がキュンキュンした。

日本の習慣を認められたようで異世界に来て初めて俺はこの世界の人間として認められたような気がした。

これが胸きゅんってやつか。

やばい心臓が爆発しそうだ。

「ッ、ご主人様っ早く食べましょうっ」

「そうだねっテツローも早く食べな、スープの冷めないうちにっ」

だめだ、ご主人様の顔が見れないっ、いったいどうしちまったんだ俺は。

顔が熱い、火を吹きそうだ。

おっぱい揉んでエチエチ三昧ざんまいするくらいの気概きがいは、どこにいっちまったんだ。

これじゃぁまるで恋を知ったばかりの乙女みたいではないかっ。

ご主人様もやけに余裕があるように見えるし、昨日まで出てた若干のモテないオーラが完全になりをひそめて、前世でいうところの雰囲気イケメンみたいなオーラがにじみ出てるし。

これが恋に落ちるって事なのかっ。








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