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メゾン☆アストロVS空き巣高校生  作者: SAND BATH
空き巣高校生VS超宇宙住民
54/112

決意の高校生

 集団面接。

 現状の居づらさと絶望感を総合すると、そんな言葉が参太の頭に浮かんでくる。

(来年には受験で味わうんだろうけどさ)

 そもそも高校入試の時点で集団面接は経験済みだったが、いまはそんなことはどうでもいい。

「俺のせい?」

 参太は一応、聞き返した。

(わかってる。でもな……)

 答えのわかってることをあえて聞く。

 そんな自分の心を見抜かれているのか、あるいは顔にでてしまっているのか。透が露骨ににらみつけてきた。

「盾伊が言っていたよ。すべてを手にする鍵を得た、と」

 透の視線がまっすぐ注がれる。“もうわかってんだろ”とでも言ってるような目だ。

「ちょうど君が辞めた後だった。君が無責任に職務放棄して戦場から出ていった、あの後だった。どうにか戦場から脱出してみせたら、盾伊が俺たちを褒めてくれたのさ。いつもは文句も言わない代わりに絶対に褒めもしないクソ上司だったのにな」

 透は両手の拳を握りしめ、震えた。

「奥津参太くんと会わせてくれてありがとう、ってな。俺たちはそう盾伊から言われたんだ。その後、君が辞めたことも聞いた。辞めたことがわかってるのに、どうしてその辞めた奴の名前が出てくるんだよ。おかしいだろ」

 言えなかった気持ちをぶつけているのか。緊迫した空気のなかで透は、まるで検察官が被告人を追い詰めるときのような迷いのない口調で糾弾する。

「君が聖剣を渡した。もうそれしか考えられない。聖剣を手に入れた者はメゾン・アストロの管理人と同じアクセス権限を持つ。メゾン・アストロ全体を遠隔操作することも十分可能だろう。君がその権利を、盾伊に与えた」

 つづいて司が言葉を継いだ。

「ボクも盾伊から連絡が入ったよ。メールでもラインでもなく、わざわざ電話でさ。どうしてメゾン・アストロの中にいないんだ、って。これじゃあ遠隔操作してあげられないじゃないかって。もう確信犯だよね」

 証拠はあがっている。透と司はそんな目をしていた。

 言い逃れはできない。無言の意志を叩きつけられている。

「そう、か」

 参太は諦めたように呟いた。

「俺のせいかよ」

 しかし参太の胸に宿るのは、怒りだった。自分の行為を顧みて、それで迷惑をかけてしまったことは事実で、謝るべきなのだろう。さらに謝っても許されないだろうから、彼らに手を貸すべきなのだろう。せめて一緒に責任をとれと、そう言ってくるに違いない。

 そこまで読んで、しかし参太は思う。

 冗談じゃない、と。

「でも俺はもう、利用されたくないんだよ。お前らへんてこな住民にさ」

 忘れてはいない。いままで自分が利用されつづけたことを。

 命を差し出して、危険な戦場に飛び込んだ。誰かを助けたいと思って、文字通り死力を尽くした。その結果、エイリアンを撃退したみせた。

 しかし。にもかかわらず。住民たちはいまだに戦うことを止めない。互いの利害関係を意識して。

「どうして戦ってるんだよ。管理人がいなくなったこと、もうみんなわかってんだろ?」

 参太はあくまで被害者の視線を送ってくる四人に対し、口火をきった。

「どうして戦ってるか俺には理解できない。普通に暮らせよ、もう。それでどうして、俺が巻き込まれなきゃいけないんだよ。お前らが勝手に原因つくってるくせに」

 忘れてはいない。透と司のバイトと称する住民間闘争に連れて行かれたとき、ハルとあのOL風女子の二人と戦ったことを。まだこちらが何もしていないのに、向こうから仕掛けてきた。

 まったくもって意味不明だ。狂ってる。

「俺のせい? ふざけるなよ。お前らは俺を、もう一度利用したいだけなんだろ。これは自分たちが好き放題戦って、それで起こった問題だ。俺のせいじゃない」

 途中、声が震えた。それでも参太は言い切った。さすがに目も合わせられなかった。最後の方はほとんど下を向いていた。それでも、言い切った。

 言い切らなければならないときがある。それが今だと、己を奮い立たせた。

 突然バイトを辞めたのが何だ。職務放棄が何だ。聖剣を渡したのが悪い? 渡さなければ辞められなかったのだ、渡すしかあるまい。

 その言い分は、四人には到底認められるものではない。

 四人は一様にため息をつくと。

「クズ野郎ね」

 ハルがそう呟けば。

「想定はしてましたが、まさか本当に言うとは思わなかったでーす……見損ないました」

 シャルロットが美しい眉根を呆れたように歪めながら苦笑した。

「わかったよ」

 透はつばを吐きたかったが我慢してやる、というような必死に怒りを抑えた顔面のまま立ち上がり、部屋から出て行った。

「ちょっと、透!」

 見かねた司が気まずそうに参太に一礼した後、透についていく。

 それを契機にして、ハルとシャルロットも無言で立ち去った。

 四人の住民たちは一瞬にして消える。

 ひとり残った参太は、思わず部屋の壁を蹴っていた。

「いったい、どうしろって言うんだよ」

 俺は間違ってない。

 自分にそう言い聞かせて、数分間待った。

(責任? 知るかよ、そんなもん)

 あのOL風女子、零華が操られているという。

 いまメゾン・アストロは空前の危機を迎えていることになる。そしてその原因は、自分にあると言う。

 ふざけるな、決めつけるな。そう思う一方、自分の責任だと言われて否定しきれない、そんな自分もいた。

 どっちの自分が本当なのだろう。

 腕時計を見る。すでに五分が経過した。

 参太も玄関から外へと出て行った。

 気晴らしに空き巣でもしてやる。動かなければ気が狂いそうだった。

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