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メゾン☆アストロVS空き巣高校生  作者: SAND BATH
空き巣高校生VS管理人
30/112

高校生と決戦・序

 鈍色の鎧の表面がひび割れ、メッキがはがれた。

 現れたのは金色の輝きを放つ鎧。

 参太はいま一度、己の体を兵器とする。

 鈍色の人型戦闘機械から、黄金の勇者型救世兵器に。

「いま、行くから」

 目の前に広がる宇宙には、宇宙怪獣とエイリアン、そして全高15メートルの白騎士型巨大ロボットが戦闘を繰り広げていた。

 宇宙怪獣をあと一歩で倒せるというところで、青色のエイリアンに乱入された形だった。

 二対一の危機にさらされたロボットは、新たな武器を召喚しようとするが……。

「それをやったら、ダメだ!」

 時空跳躍でもない、完全に世界をやり直す機会を得た参太は現在から見た未来の出来事をすべて記憶している。

 だが。

「わかってる。太陽剣であの怪獣を倒したら、あのエイリアンが覚醒する」

 巨大ロボットのパイロット――OL風女子の凜とした声が響けば、

「ホウ。全員ガ記憶ヲ保ッタ儘、時間ガ戻ルトハ!」

 青色のエイリアンが感嘆する声も響く。

「え?」

 参太は思わず首をかしげた。

 世界をやり直す機会を得たのは確かに自分のはずなのに、その世界では全員が記憶を共有しているようだった。

(思ってたのと違うんだが)

 これではまた同じことの繰り返しではないのか。

「シカシ貴様ダケ、前ノ状態ト異ナッタ姿ヲしていル。興味深イ!」

 青いエイリアンは乱入したことなど忘れたとでもいうように参太に向かって突撃してくる。

「是ハ試練ノ続行カ、蛮族ノ英雄ヨ」

 エイリアンは言いつつも両腕から爪を生やして振ってくる。

 斬撃の爪痕が刻まれる刹那、参太はそのすべてを視界に収め、見切っていた。

 防ぐまでもない。

 体の向きをかえ後ずさるだけで避けてみせると、手にした神剣――宇宙剣カイゼル・ブレードで敵の腰を叩き斬る。

「ナッ」

 青いエイリアンにも回避できない一撃は見事に上半身と下半身を分断させた。

「英雄ヨ……魔獣を倒すノだ!」

 最期にそう言い遺し、青いエイリアンはあっけなく絶命して死体を宇宙に漂わせる。

(なんだこれ、体が軽い)

 全身は確かに金属になっているはずなのに、軽い。鈍色の姿になっていたときは鋼鉄相応の重さがあったが、いまは生身の時よりも体がよく動く気がした。

 敵はあと宇宙怪獣だけ。

「言われるまでも、ない!」

 参太は振り返って蛇の体の宇宙怪獣を視界におさめると、文字通り、宇宙怪獣の目の前にいた。

 体を動かした実感はない。ただ敵を視界におさめてそこに行くと思った直後、瞬間移動していた。

「俺にもよくわからないけど!」

 敵が剣の間合いに入ったのであれば好都合。

 参太は勢いよく神剣を横なぎに振るえば、それはなめらかに宇宙を疾走して怪獣の首を切り落とす。

 戦いと言うより狩りのようなものだ。

 一瞬で敵を殲滅させた参太の傍ら、白銀の巨人はただ棒立ちになっているしかなかった。ロボットもつ機動力と攻撃力を、参太は遙かに凌駕していたからだ。

「試練、か。そういうことだったのね」

 白銀の巨人が女性の声で参太に話しかける。

「迫り来るエイリアンたちが一体ずつ襲撃してきたのは、侵略のためではなく、私たちの世界の戦闘力を試すため、ということかしらね」

 女子の声が、これから襲来する最後の敵の存在を予見していた。

 世界が逆再生されたことで、ワームホールは縮小することなく開いたままだ。

 時空の歪みそのものであり異界とこの宇宙とをつなぐ架け橋は、円形に開いて回転しており、小さなブラックホールのようにも見える。

 いま、そこからかすかな輝きがもれた。小さな虹の架け橋だった。

「さあ。私といま一度、勝負をしよう」

 男性の声がした。まるで管理人のように、エイリアンながらも明瞭な言葉で発話されている。

「試練を抜けた者よ。栄光ある者よ。英雄同士、戦をしよう」

 ワームホールからやがて、一体のエイリアンが現れた。

 虹色の輝きを放つ個体だった。

 ワニのように大きく裂けた口がにやと歪められ、その眼は参太だけを映している。

「やるしかない、のか」

 選択肢はなさそうだ。敵は神々しいまでの虹の輝きをほとばしらせ宇宙を照らしている。

「参太くん。世界の命運は、すべて君にかかった」

「ん?」

 耳元で突然、管理人の声がした。

 見ればいつの間にか霊体となっている管理人がそばにいる。

「まだいたの、あんた」

「世界が逆再生されたときもずっといたんだがな。気づかなかったか」

「そもそも霊体だから存在感なかったよ」

「そうか、まあいい。参太くん。あれは私の故郷の英雄だ。代々受け継がれている虹の表皮を纏っている。もし君が敗北すれば彼の手に聖剣が渡り、この世界が滅ぶ」

「滅ぶ?」

「ああ。聖剣を手にした瞬間、彼の力は際限なく解放されることになる。その未来を回避するためにも、君はここで死力を尽くす必要がある」

「勝手にいってくれるな」

「霊体である以上、物を言うことしかできんからな。勘弁してくれ」

「わかったよ。やるしかないんだろ……やってやるよ」

 参太はあくまで自然体でぼやくように、世界を救う決意を口にした。

「あと、OLさん。今度は俺に、やらせてほしい」

 ひっそりと武器を身構えている白銀の巨人に、参太は一応釘をさしておく。

「ごめん……それしか言えないんだけど。でも、恩返しになるなら」

「わかったわ」

 白銀の巨人はふたつ返事でさらりと後退した。

「ここで、見てる」

「脱出は、しないの」

「ええ。勝つんでしょ?」

 女性の声はあくまで凜としている。

「やってみる」

 参太は女性の声に応えるように前にでると、そのままゆったりと前に進んでいく。

 敵もまた四肢を広げたまま前に出る。

 金色の勇者と虹の侵略者が、そのまま肉薄する。

 参太は剣を振るい、エイリアンもまた剣を出現させ受け止める。

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