**04
ごめん。俺は知ってた。
お前がずっとここに来てたこと、知ってたんだ。
───俺がいる。会いに行く。
だからあした、逃げないで待ってろ。
どうして。
どうして知ってるの。
あたしは彼の名前も知らない。
顔も、年齢も、親のことも、友だちのことも。
なのに彼は知っていた。
誰も知るはずがなかった。他人と関わらないあたしのことなんて。
怖かった。ただ怖かった。
あんなに浮き上がっていた心が闇に沈んでいく。
昨日ととは一転して、あたしの頭の中は怖いという言葉で埋め尽くされていた。
あの手紙に書いてあった。
“あした、逃げないで待ってろ。”
これは空き地で待ってろということなのか、あたしにはよく分からなかった。
考えれば考えるほど頭が混乱して目が回りそうになる。
走って向かう、あの帰りたくない家へ。
でも前とは違う。重い、重い心で。
帰ってすぐに眠りについた。
少しだけ、現実から目を逸らしたかった。
でも、すぐに無駄だと気づいてしまうんだけれど。
朝起きても心は迷ったままだった。
いったら何かが変わるかもしれない。
だけど変えたくなかった。
そして今日はいつもよりも学校にいる時間が短く思えた。
すぐになってしまった、終わりの鐘の音。
その瞬間、あたしの心が動いた。
そして体も動き出した。
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分かりにくいかも知れませんが、手紙の内容は省略されています。
3話で書いてあるのもそうです。
不思議に思われた方、申し訳ありませんでした。