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ラスカル様

「それは大変だな。私も今、アレだ。良かったら私のを貸そうか、ミラルディ」


 なんと現れたのは麗しのラスカル様だった。


 なんなのよ。

 どういうタイミングなのよ。


 私はあっけにとられて立ち尽くした。


「ラスカル様。ここで何を……?」


 そんな私に黒のカーゴパンツと紫のチェックのシャツ姿のラスカル様は爽やかな笑顔で答えた。


「こんにちは、ミラルディ。休日返上で演劇部で使う衣装を二人で探しているところなのだ」


 長いおみ足の抜群のスタイルは、まるでモデルのよう。ラフな格好なのにどうしてこんなに素敵なのかしら。

 私は一瞬、我を忘れてラスカル様に思わず見とれちゃった。


「フリマはどうだった、ポリアンナ」

「古着を見たけど、イメージに合いそうなのはなかったわね。変態が一人いて不愉快だったわ。もう一つの古着屋さんに行ってみる? ラスカル」


 私の目の前で会話を交わす二人。

 ポリアンナの顔のしかめぶりに、私はヨシュアを少しかわいそうに思った。あいつ、ポリアンナに相当嫌われているわね。


「ミラルディ。私のでよかったら」


 お優しいラスカル様は私のために背負っていたリュックを前に抱き、中から取り出したものを私に差し出した。


「え、これ……」


 私は思わずそれを見て、固まっちゃった。


 ラスカル様ってこっちなの?

 そ、そっちはまだ私は使ったことがなかったからよ。なんだかちょっと怖くて抵抗があるのよね。

 さすが大人だわ、ラスカル様。いえ、剣術で激しく運動するラスカル様にはきっとこっちの方がふさわしいのかも。


 手を出さずに凝視する私を見て、ラスカル様は気づいたようだった。


「ああ、もしかしてミラルディはコレを使ったことがない? すまない、私はいつもコレしか持ってないのだ。ポリアンナ、持っているか?」

「ええ」


 ポリアンナは頷くなり、肩から下げたバッグに手を入れた。中から、小花模様の可愛い丸いポーチを取り出す。

 やったわ! それね!


「はい、どう……」


 ファスナーを開けて中からアレを取り出そうとしたポリアンナの手から。

 私はポーチをひったくった。


「ありがとう、ポリアンナ!」


 よし! とってやったわ!

 私はくるりと身を返すと駆け出した。


「あとで返すわね!」

「あ、待って! ミラルディ!」


 後ろからあわてたようなポリアンナの声がして、彼女が追いかけてくる気配がする。

 追いつかれるもんですか、このまま逃げ切って、中身を確認してやるわ!

 勢い込んで私は、だっ、と走り出した。

 体育の授業での五十メートル走の記録では、ポリアンナより私の方が早かったはずだわ。大丈夫よ、いける!


 そのとき。


 急に赤い車が前に現れて、私はあわてて立ち止った。

 やだ、ひかれるところだったわ。


 急ブレーキをかけて止まったその車の後部座席のドアが開いた。

 中から人が出てきた、と思ったら。


「え……」


 私は中に引っ張り込まれていた。


「きゃ……!」


 抵抗するひまもなく、私は後部座席に放り込まれる。

 本当に一瞬だった。


「暴れるな! 静かにしろ!」


 男の声と同時にドアが勢いよく閉まり、次には車が発進する。


 なに。なんなの。

 状況が分からなくて目を白黒させ、起き上がった私に。


「ごめん、ミラルディ。おとなしくしていて」


 聞き覚えのある女性の声がしたわ。

 いえ、それはついさっき、別れた女の人の声よ。


 助手席に座る黒髪にサングラスをかけた女性が振り返って私の方を見ていた。


「ギョヒョンおばさま……」


 私は、確認した彼女の姿に。

 呆然とつぶやくしかなかった。












ただいまラストから逆に執筆中です。

書き上げた際はすぐに投稿しますのでよろしくお願いします。

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