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厭紀endB 彼の元へ


知っている人の傍なら一人で逃げるより安全だと思って、私は厭紀さんの元へ行くことにする。


「静華!」

「厭紀さん!?」


するとこちらにむかってきた厭紀さんが私の手をとって、走り出した。


「どこへ行くんですか!?……家ですよね?」


だけど家とは反対方向にむかっているのがなんとなくわかる。


「いや……家に帰るのはやめておいたほうがいい!」

「えっ?」


なんでダメなんだろう。と考えている間に森が見えてきた。


「……ここまでくればきっと大丈夫だろ」

「あの、助けてくれてありがとうございます。でも森じゃなく家に帰ってればよかったと思うんですが」


表情は見えないが、彼は疲れて肩で息をしているようだ。


「……村だし追っ手が家まで来るかもしれないだろ」

「?」


「それに起きてきても深夜徘徊の言い訳とか、村の人間だから儀式とか……」

「たしかに」


「てかなんでこんな夜に一人で?」

「実は……」


私は神社の倉で見つけたものについて話した。


「こんな話、信じられませんよね」


見つけた私でさえ疑っているのだから。


「信じる」

「……本当ですか?」


「―――普通は信じられないけど、こんな怪しい村だしな」

「ですね」


「かりにそんな力がなくても、お前がそんな嘘をついてなんになるんだよ。って事だ」

「はい……あの、信じて貰えて嬉しいです」


謎の儀式について厭紀さんは知っているのだろうか。


「……今さらだが、この村はヤバいよな」

「……村ですか?」


ヤバいのは村というよりさっきの村人だと思うんだけど、そういう意味なんだろうか。


「こういうのあんま興味ないし誰も詳しい話をしてくれた覚えがないけど、なんか変な儀式があって犧を捧げているとかオカルトな噂は聞く」

「あ、私つい最近母から聞いたんですけど……」


儀式の事を話した。


「……つまり俺かアイツが犧にされるってことか?」


アイツとは乃穢さんのことだろう。

縒彦さんや伍糸さんはこの村には関係ないし。


「でも、男性限定だって聞きましたよ」

「……きっと強いから大丈夫か」


なんか話が噛み合っていないけどいいか。


「夜が開ければ一応安全だと思うんですけど、これからどうします?」

「この森にいよう。たぶんここなら村人はこないと思う」


まるで確証があるような自信ぶりだ。

もしゾンビ映画のように村人が全員ゾンビだから頼れないとして、森なら村人は誰もいないから逆算したら安全だろう。


それにこんな夜中に起きている村人がいたらそれは間違いなく追っ手である。


「巻き込んですみません」

「気にするな、むしろあいつらが何を企んでいるか早く気がつけてよかった」


厭紀さんは私から聞くまでもしかしたら自分が犧にされるかもしれない事を知らなかった。

つまり結果オーライということだろうが、まだなにも解決はしていない。


「不謹慎だけどゾンビ映画のヒーローになった気分だ」

「ヒロインなんてガラじゃないけど、手を引いて走るところとか、かっこよかったです」


さっきまで手を繋がれていたんだと思いだし、今さらドキドキしてきた。

こんな人が彼氏ならいいとは思うし第一印象や見た目も犧に選ばれるくらい良いわけで、嫌いなわけじゃない。

しかし会ったばかりなのだから、恋ではなく噂の吊り橋効果のようなものだ。


「……夜があけるまで話でもするか」


―――村人に追われたことや珠の導きは明日でいいか。


【ノーマルend・・しばしの回避】

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